猫耳少女と召使の物語@wiki保管庫(戎)

首蜻蛉 二話

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首蜻蛉 二話


「ううー…」
「どしたの?」
 正直涙目で恥ずかしいから体育座りで顔を隠している僕の後頭部をひっつかんでご主人様が僕の顔を覗き込みます。
「いたいです」
「うわあ! また顔にアザが…もーしっかりしなさいよ、どうしたの!?」
「どうしたもこうも!!」
 自分がイスの上で体育座りから突如として直立になったのでアカネ様はちょっと驚き、リビングテーブルにもたれます。僕の頭の上のベアードが「ニョホー」と言いながら転がり落ちます。
「さっきのご主人様の弾幕ごっこの流れ弾ですよ!!」
「だってしょーがないじゃん、『今日こそ負けたら俺のトコ嫁げ』とか陸奥(ムツ)が言うんだもん!!」
 陸奥さんもトンボのひとりです。ご主人様を好きだけど、ご主人様は彼をキライです。
(模様が)黒くて(腕が)太くて(筋肉が)硬くて(触角が)黒光りする(魔法装甲板で作られた)凶器で(射撃主体のトンボでは珍しく)突きまくる(あ、槍を使う闘士なんです)変態です。
いえ、脱皮とかそういう意味じゃなくて、変な人…トンボってことです。それは追々。

「そんなの毎日じゃないですかー!」
「毎日だから困るんじゃない!!」
「じゃあ毎日の『家への防弾防壁』を今日に限ってどーして忘れるんですか!
 ご主人様が勝つ姿を! この! このガラスの破片だったものの内側から見ていたかったのに!!」
「うぐう」
「思い返せばこの間も僕がいるにも関わらずベアードたちごと部屋でボムったし!!!」
「だ、だってちゃんと冷蔵庫をカギしないから…」
「『えへへーしつけー』と称して特に意味もなく背中にBB弾級の魔法弾を不意撃ちしてくるし!!!!」
「な、なによ、スキンシップでしょー…」
「それでも、グスッ、そんな痛い目にあっデも、ぐずっ、ご主人様の魔法を信じて、グスッ、お見守りした結果がこれですよ!!!!!」
 僕の剣幕にご主人様もたじろぎます。もう本気で悲しいです。
日々の鬱憤が、なんか言ったら撃ち殺されそうだと溜めていたものが。
関を切って溢れてきました。
「ふえーん、ふえーん、どうせ、どうぜぼくなんか、ご主人様に少しづつ撃ち殺されるんだ、ふえーん!!」
 そのままイスの上で崩れ落ちて、なよなよと女の子座りしてしまいました。(思い返すと恥ずかしいです)
 さすがのご主人様も困り果てています。(思い返すと良い気味です)
「…ごめんね、ちっとも気がつかなくて」
 ご主人様が、ワラの床の上に正座しました。ベアードは、物陰でこちらの様子を伺いながらもっちもっちしています。
「あたしさ、いっつもケンカして、それで話してるから、その、こんなときどうすればいいか、わかんないけど」
 細い指先でグリグリとワラを掻いています。

そうだ! 今日はあたしが『ハチミツじぇらあと』作ったげる!」
「ふえ」
「よし、ハチミツとりにいこー!! れっつごー!!」
 思い立ったら吉日なんです。がっしとボクの手首を掴むと
「わ、わ、わ! わ!!」
 ボクを引き摺りながら居間から廊下に勢い良く飛び出て
「玄関《カタパルト》、オープン!」
 呪文ひとつで「天蓋玄関」が開き(トンボですから、天井に玄関があるんです。ボクは自力では家から出られません)
「ちょっと、またボク寝巻き」
「アンチグラビティウィング《制重翼》、展開!」
 背中に『反重力制御魔道体』、通称「ハネ」が展開され
「まだ歯も磨いてないし」
「エアギア《制空外骨格》… オールグリーン!」
 全身に『悪の女幹部(赤色)』風の微妙に露出がある甲冑を瞬時に纏い
「だいたいネグセが」
「コフィンサイトバイザ《全天視覚鏡》 … オンアイ!!」
 頭部にはトンボらしい全方位視覚を約束する「コフィン」という『精神感応制御式視界補助装置』なる…つまり見た目がトンボヘッドな、半透明ヘルメットが現れると
「その他省略 フライトオオオオオオオン!」
「いーーーーやーーーー!!!!」
胸元に抱えられたまま、体感3Gを味わい、風を切りました。

「イッテラッホー」
「…レーゾーコ?」
「レーゾーコ、レーゾーコ!!」
「…カギ、カカリーニョ」
「…ニョホー…」

つづく



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