今年もあと少しで終わり
「ご主人、今年もあと少しで終わりですね」
「だなー、1年はあっという間だと、ヒトが言う意味が判った気がするぞ」
「ところで、今年もあのオセツとか言うのを、作ってくれるよな?」
「ご主人、オセツではなくお節です。 それに、すぐ食べ物の話になりますよね?」
「食い物の話でもいいだろ別に(細かいな、こいつは…)」
「そんな事より、今年はち・ゃ・ん・と、お正月理解してくれましたよね?」
「ん、理解したぞ。 新しい年おめでとう、んでオセチ食べようだろ?」
「全然、理解していない様ですが、取りあえず信じておきます」
「何んだ、その取りあえずってのは?」
「去年のあの事、忘れたとは言わせませんよ」
「あのことって何だ?」
「この事ですよ」
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「こっちの、これは何だ?」
またもや、ご主人の質問です、いったい何度目の質問でしょうか。
「これは、門松と言う物です」
「んで、これのどこが楽しいんだ?」
「楽しいとかではなくて、新しい年をお祝いしましょう、という為の物です」
「うーん、しかし、これじゃ俺には祝ってるように見えないぞ?
まったく、ヒトの考えることは判んねーなー」
「まっ、好きなだけやってもいいが、仕事だけはサボるなよ」
私の工作を見飽きたのか、そういい残して、フラフラと歩き去ります。
「ふー、やっと集中して出来ます」
それから1時間近く掛けて、玄関前の飾りつけ等を終わらせる。
その後、炊事などの残っている仕事を、大急ぎで取り掛かる。
悪戦苦闘しながら仕事を終え、ふと何気なく玄関へ門松を見に行くと、
そこには沢山の花が挿された、元門松だった物の姿が。
「誰ですか、門松に大量に花なんか挿したのはーー!!」
その声に反応したのは、ちょうど庭から戻ってくる所のご主人です。
「あ? 俺が挿したんだが、文句でもあるのか?」
「みすぼらしいから、ワザワザ俺が挿してやったんだぞ、感謝をしろ、感謝を!」
ワザワザの部分を強調してきます。 そして、なぜ文句を言われているのかと、
憮然とした態度です。
「だーからー、これはそう言う物じゃないって……」
無駄だと判りながら、涙目でご主人に反論してみる私。
来年こそは、ご主人のお正月の態度を躾けてみせるぞ!
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「と、言うことが、在ったじゃないですか。 あの後、直すのに凄く苦労したんですよ」
「そういうことも在ったなー、ハッハッハー」
「ところでだ。 最後の方に、非常ーーに気になる台詞があったんだが?」
「えっ、な、何のことでしょうか? さ、さっぱり判りませ…」
「フッフッフ、躾けるっていうのは こうやるんだよ、おらっ!」
「いやぁーーーーーー」
【おわれ!】