猫耳少女と召使の物語@wiki保管庫(戎)

博物館

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だれでも歓迎! 編集
「ご主人様、博物館に行きましょう。無料キャンペーン中ですから」
「だめだ」
「えー、なんでです?」
「だめなものは、だめだ」
 こいつに付き合うのが嫌なわけじゃない。
昨日、俺がふらりと博物館に寄ったからだ。
それ自体は理由じゃない。昨日食べたレストランだろうと、こいつと一緒なら味が違う。
今は、別の意味でダメだ。

「あ、先輩」
「…お前、なんで博物館前で署名活動をしてる」
「見てもらったほうが早いっす」
 案内された博物館。
「入り口のモニュメントっす」
 そこには、裸のヒトが繋がれていた。
看板に書かれていた。
「エサをやらないでください、か」
 そこに人だかりができている。
皆が少年を懸命に説得しているが、少しやつれた彼は、微笑んで首を横に振るだけだった。
「ヒトが、日に日に痩せ細り、そして死ぬ…そういう『作品』だそうで」
「狂ってる」
「抗議しようにも作者は寿命っす。あ、あのヒトはその作者のモノっす。
 ヒトのほうに皆が受け入れ先を案内しようとしても、笑顔で断るっす」
「…どっちも狂ってる」
「最初、魅了とか呪いとか、神経毒とか、物の怪や式紙とかにヤられてるんじゃ?
 と疑ったんすけど、ボランティアで来た呪術師も、ウサギの薬剤士も、
 キツネの陰陽師も、栄養失調以外は心身ともに正常だそうで」
「いや、狂ってるだろ」
「そうっすよ!だから議会に署名あつめてヒトの生存権の拡張なりするっすよ!」
「…なぜ伏せ目になる」
「…それを、促すための、作品なんだって、あの子が」

 …だから、つれてけない。
お前が、取り返しのつかないほど遠くに行ってしまいそうだから。

























***





     博物館ネタ台無し編


「ねえージーク、『渡る世間はカニばかり』はじまっちゃうよー?」
「もうちょっとニュース~」
「次のニュースをお伝えします。
 昨夜未明、S級犯罪者『ディンスレイフ』が博物館に侵入し展示物を変質させたとのことです」
「ぶぅーっ!?」
「わー!お茶ふくな零すなー!」
「ディンスレイフは当博物館が現在行っている無料キャンペーンの目玉でもある『細り逝くヒト』に危害を加えました」
「何やってんだ顔面う゛みっは…」
「犯人は展示物であるヒトに対し肥満魔法を使用し、犯行後声明として『死にたくなければ太ればいいじゃない みつを』とのメッセージを残しました」
「いやー、少年はおかげでぽっちゃり系になってしまい牛科からの引き取り立候補が劇的に増えましたねえ」
「細り逝くヒト対策委員会(構成員1名:本人)のコメントは
 『体調をボランティアの皆様によって調べていただいたところ、周囲の魔素が勝手に脂肪に変換されてしまう呪いによって理論上餓死が不可能になってしまいました』とのことです」
「高度な呪術らしくボランティアの呪術師じゃあ手に余る上に、まともに解除するには触媒の用意に博物館を10回建てて壊す費用がかかるそうですねえ」
「いいとこあるじゃん」
「絶対遊んでるだけだって…」
「次のニュースをお伝えします。夏の夜空をもっと楽しめるよう、猫井こども科学社(株)よりアルジャーノン式個人用天体望遠鏡が発売されました…」









***





     台無しの台無し


大ムカデ二匹の会話
《なあ、ディン公はなんであんな機嫌悪いんだ》
《想像するに、狗国の博物館の一件が原因です》
《いつの間にか犯人にされてたアレか》
《術は高度だけれども、やり方が美しくないのだそうで》
《どうせ似たようなことをするつもりだったのにか?》
《偽者に先を越されて実行されたのが、ことさらに悔しいのではないでしょうか》
《いやー。情報って大事だよなー》

「お前ら後でうるさい!」



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