ここは夜の職員室。
僕と翠星石は、いつもの様に仕事をしていた。
僕と翠星石は、いつもの様に仕事をしていた。
「はぁ…」
「どうしたですか?蒼星石」
「いや、なんでもないよ…」
「どうしたですか?蒼星石」
「いや、なんでもないよ…」
とは言ったけど、嘘だ。
正直言うと体の調子がよろしくない。
正直言うと体の調子がよろしくない。
「顔色悪いですよ、蒼星石」
「そうかなあ…」
「そうかなあ…」
見た目にまで影響が出てるのか…。
「本当に大丈夫ですか?」
そしたら、翠星石が僕のおでこに手を当てた。
「あちっ!、蒼星石!熱があるですよ!なにがなんでもないですか」
「そうかなあ…」
「まだそんなこといってるですか。さぁ、とっとと家に帰るですよ」
「そうかなあ…」
「まだそんなこといってるですか。さぁ、とっとと家に帰るですよ」
そう言って、翠星石は僕の家まで付き添ってくれた。
バイクは学校に置いてきた。このまま乗ったら確実に事故りそうだったし。
バイクは学校に置いてきた。このまま乗ったら確実に事故りそうだったし。
「さぁ、用意もしたからとっとと寝ろですぅ」
翠星石はいろいろな用意をしてくれた。
まったく、持つべきものは友だなあと実感するよ。
まったく、持つべきものは友だなあと実感するよ。
ふと、ここで思う。
どこかで見た事ある光景のような気がしてならない。
なんだったっけ…。
どこかで見た事ある光景のような気がしてならない。
なんだったっけ…。
「なにぼーっとつったっとるですか。早く寝ろですぅ」
翠星石に急かされて、僕はベッドに入った。
「じゃ、明日の朝に様子を見に来るですよ」
そう言って翠星石は帰っていった。
なんだったけなあ、どこかで…。
だけど、深く考えると頭が痛くなってきた。
結局、僕はその答えを見出すことなく眠りについた。
結局、僕はその答えを見出すことなく眠りについた。
翌朝、翠星石は予告通り僕の家にやってきた。
「調子はどうですか?蒼星石」
「頭がガンガンするよ…」
「蒼星石は働きすぎなんですぅ。今日もゆっくり休めですぅ」
「頭がガンガンするよ…」
「蒼星石は働きすぎなんですぅ。今日もゆっくり休めですぅ」
働きすぎか…、そうなのかも……
「あっ!」
「どうしたですか?蒼星石」
「どうしたですか?蒼星石」
大変な事を思い出してしまった。
今日は大事な会合の日だ…。
今日は大事な会合の日だ…。
これか…、昨日感じた、どこかで見た事ある光景は…。
「実は…、今日は大事な会合の日なんだ…」
「それは大変じゃねぇですか!」
「だから行ってくるよ、歩く事ぐらいはできると思うし…」
「だめです」
「へ?」
「だめですよ、蒼星石は病人なんです。今日は一日ゆっくり休めです。もし蒼星石の身に何かがあったら…」
「それは大変じゃねぇですか!」
「だから行ってくるよ、歩く事ぐらいはできると思うし…」
「だめです」
「へ?」
「だめですよ、蒼星石は病人なんです。今日は一日ゆっくり休めです。もし蒼星石の身に何かがあったら…」
翠星石……
「……そうだね、たまには休まなきゃだめだよね。わかったよ、電話を…」
「待つです」
「へ?」
「変わりに翠星石が行くです」
「…へ?」
「大事な会合なんですよね、ならば休むわけにはいかねぇです」
「待つです」
「へ?」
「変わりに翠星石が行くです」
「…へ?」
「大事な会合なんですよね、ならば休むわけにはいかねぇです」
いきなり何を言い出すかと思えば…。
「このまえの借りがあるですぅ、今日は翠星石が蒼星石の変装をするですぅ」
…ハハハ、まったく翠星石は……
「だめに決まってるじゃないかあ!」
「ううっ、そんな大声出すなです…」
「いいよ、やっぱり電話するよ…」
「ちょーっと待ったですぅ!」
「ううっ、そんな大声出すなです…」
「いいよ、やっぱり電話するよ…」
「ちょーっと待ったですぅ!」
次は何なんだろう…。
そう言って、髪の毛をいじり始めた翠星石。
そして、床に落ちる髪の毛。
そして、床に落ちる髪の毛。
……髪の毛!?
僕の目の前には…、つるっ禿げ…もといスキンヘッドの翠星石の姿が……
「ええええええええええええっ!!!」
「まったく、大声を出すなですぅ…。今まで黙ってましたけど、これが翠星石の本当の姿ですぅ」
……ええっと、その、これは…、いったい…。
僕があっけに取られている間に、翠星石は僕の服に着替え始めた。
そして、カラーコンタクトを着け、カツラを被った翠星石。
そして、カラーコンタクトを着け、カツラを被った翠星石。
「どうですか、これなら問題ないですよ♪」
そこには、声を除けば僕と瓜二つの翠星石の姿が……。
「では、行ってくるですよ♪蒼星石はゆっくり休んでるですよ♪」
そう言って、部屋を出て行ってしまった翠星石…。
「……」
しばらく、僕はその場に固まっていた。
えっと…、まずは状況を整理しなくちゃ…。
昨日僕は体の調子が悪くて…、翠星石に連れられて部屋まで帰ってきて…、
朝、会合の存在に気付いて…、そしたら翠星石が……
昨日僕は体の調子が悪くて…、翠星石に連れられて部屋まで帰ってきて…、
朝、会合の存在に気付いて…、そしたら翠星石が……
「ええええええええええええっ!!!」
またもや声を上げてしまった…。
そうだ…、翠星石がカツ、カツ、カツラを……
「ええええええええええええっ!!!」
……。
もうやめよう…、深く考えるのは…。
もうやめよう…、深く考えるのは…。
そして、僕はベッドに入る。全てを忘れたいが為に…。
『そ……い…き』
……。
『そうせ…せき』
……。
『蒼星石!』
誰かに呼ばれた声がして、僕は少し起きる。
「蒼星石!」
目の前には、翠星石と雛苺先生の姿が。
あれ…、僕の部屋にいたような…、でもここは職員室…。
僕は、さっきまでの記憶を取り戻す。
「ちょ、いきなり何をするですか」
僕は翠星石の髪の毛をいじる。
…何も問題ないようだ。
…何も問題ないようだ。
「ふぅ」
「なにが『ふぅ』ですか」
「なにが『ふぅ』ですか」
夢…か。
「何ニヤニヤしてるですか。おかしくなったですか」
「おかしくなったの~」
「おかしくなったの~」
「…なんでもないよ、フフ」
ふぅ…、夢でよかった…。
しかし、職員室で居眠りとは、僕も疲れてるのかなあ…。
しかし、職員室で居眠りとは、僕も疲れてるのかなあ…。
「まぁいいです、ほれ、飯食いに行くですよ」
「行くの行くの~」
「行くの行くの~」
「うん、今行くよ」
フフ、我ながらへんてこな夢だったなあ。
「またニヤニヤしてるです。何があったですか」
「なにがあったの~?」
「なにがあったの~?」
「なんでもないよ」
そう、なんでもない夢。
「もったいぶるなですぅ」
「なの~」
「フフ、実はね―」
「なの~」
「フフ、実はね―」
もう一回見るのは御免だけどね。