ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki 幼馴染

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「I was born to 【  】 you」♪♪
「 with every single beat of my heart」♪♪♪

リズム良くQueenの名曲が流れてくる。ここは誰かのプライベート?
いや違う。 ここは教室で今はしっかり授業中である。

「Yes I was born to 【   】 care of you」♪♪

これは高校時代誰でも一度は体験したことがあるであろうリスニングの授業だ。
こうゆう授業はビートルズや映画の主題歌の有名曲を用いることが多く
生徒から人気の授業である。

カチッ、

音楽を止め曲を聴いて空白を埋める形式の授業だ。しかしこれが結構ツライ。
知ってる曲じゃなきゃ空白を埋めるのは案外難しいのだ。

真「それじゃあ今日は15日だから14番の坂田の次は桜田ね。
桜田君、ここの空白に入る歌詞を答えて頂戴。」
JUN「loveとtakeです。」
真「正解よ。続いて全文和訳しなさい。」
JUN「え~と、私はあなたを愛するために生まれてきました。毎日私の・・・」

これは何ら変哲のないただの授業風景。
真紅も、さりげなくJUNに好意を寄せてる巴もなに一つ変わらず授業をこなしていく。
しかしJUNにおいては少し心境が違うようだ。

みんなに悟られないようにしているが、本心は少しうやむやした気持ちが渦巻いている。
きっとこれはラブソングによるもの。
誰に言うわけでもない愛の告白。けどJUNの心の中ではある人物に向けられていた。

真紅(23)とJUN(17)は教師と生徒という関係のほかに、もうひとつみんなが
知らないような秘密があった。

JUN「うわ~んやめてよ返してよボクのおにんぎょう~」
いじめっ子「うるさいぞ男の癖に人形遊びなんて」
いじめっ子「こいついつもドッジボールとかしないで
おままごとばっかしてるんだぜ」
JUN(あれ?懐かしいな、僕は夢を見ているのか・・・)
真紅「コラ!なにしてるのだわ!やめなさい!」
いじめっ子「また真紅が来た~」
いじめっ子「逃げろ逃げろ~ アッカンベーだ!」

JUN(昔から真紅はあんなだったな・・・)
JUN「真紅ちゃんありがとう」
真「まったく情けないのだわ。私の下僕ならあれ位たまにはガツンとやっちゃいなさい。」
JUN「うん・・・ごめん、でもたたくのは・・・」
真「まったく、あなたは優しすぎるのだわ。使えない下僕を持つと主人も苦労が絶えない
のだわ。」

真「だからこれからも主人としてあなたと一緒にいるのだわ。JUN、感謝するのだわ。」
JUN「うん。ありがとうボクもずっと一緒にいたい。ぜったいぜったい一緒だよ。」
JUN(このときの僕はまだ何も知らなかったんだよな・・・僕たちのこれからも・・・)
真「ええずっと一緒なのだわ。とりあえず喉が渇いたからジュースを持ってくるのだわJUN。ちゃんと氷も入れるのだわ。」
JUN「うん、分かったよ」

JUN「ハイ。持ってきたよ。」
真「ありがとう」
「ねぇ・・・、さっきずっと一緒って言ったよね。
ならボクを真紅ちゃんのお婿さんにしてくれる?」
真「それは紳士の言う台詞ではないわ。」
真「でも・・・あなたがこの真紅につりあうような男になったら考えてあげるのだわ。」

JUN「じゃあボクは真紅ちゃんに認めてもらえるような男になるよ。絶対なるよ」
  「約束のしるしに指きりしよう」
JUN真「ゆっびきーりげんまーん嘘ついたらハリセンボンのーます指切った!」
真「絶対よ」
JUN「うん、絶対だよ。絶対絶対なr」

まッだー言わなーいで呪文めいたそのとt  ♪♪


カチッ!

JUNは携帯の目覚ましをとめる。
そして気づく。
JUN(しまった、今日は創立記念日で学校休みだ。ハァ・・・いつも通り目が
    覚めちまった。)
  (それにしても懐かしい夢だったな・・・昨日の授業が原因かな・・?)

JUNは鮮明に覚えている夢のせいで昔を思い出し、少し恥ずかしくなった。
仕方なく起きることにした。

JUN「お~いお茶漬けのり、朝飯できてるか~?」
JUNは半分寝ぼけながらリビングに下りている。
そして数秒後一瞬で眠気など吹き飛び覚醒した。

真「あらJUNおはよう。てっきりまだ寝てるものかと思ったのだわ。」
 「休みの日でも早起きとは感心ね。」
JUN「ああ、おはようしんk!!」

ガン!!!
JUN「痛ぅぅぅー」

驚きのあまり足の小指をトビラの角にぶつけたのだ。
痛みのせいかその場で丸まっている。

真「朝からせわしないわねJUN。顔を洗ってきたら紅茶を入れて頂戴。」
JUN「なななんでお前がいるんだよ!!お茶漬けのりはどうした?」
真「今朝訪ねたらのりが中に入れてくれたのよ。ちなみに彼女は部活の朝連に行ったわ。」

真「それに“お前”とは良い度胸ねJUN。」
JUN「うう、うるさい!ここは学校じゃないんだぞ!」
真「確かにここでは教師じゃないかもしれないけど、ここではあなたの主人よ。」

これが学校では明らかにされてない、いや明らかになったら確実に問題であろう。
教師と生徒ではなく、主人と下僕の関係だ。
そして学校の外では“JUN、真紅”と呼び合っている。

JUN「なんで休日の朝から来るんだよ」(最近はちっとも遊びに来ないくせに・・・)

真紅は就職してから教師と生徒の関係を考えあまりJUNとプライベートで会うことは
しなくなった。まわりから特定の生徒を特別扱いしていると思われると自分にも
JUNにも迷惑がかかるからだ。

それまでは年の差6つもあり性別も違えどほぼ毎日遊んでいた。
JUNは幼きころから真紅のことが好きであったが、それはあくまでお姉さんとして
好きだったのだ。

しかしJUNが15のとき真紅への恋心に気づいた。
JUNは確信こそ持ってなかったのだが、昔事実上のプロポーズもした仲だし、外ではお高く留まっている真紅もJUNの前では素直になる。だからきっと真紅はプライドが高く自分から告白なんて生涯しなさそうだが自分からすればこの恋は実ると信じていた。

だが自分は名門有栖学園の受験を控えていたし、真紅は夢である教師になるため忙しく
思いを伝えられないままでいた。

そしてJUNが17のとき真紅が教育研修期間を終えて念願の教師になれた。
これで真紅への思いを伝えられる。
しかし15のときから2年間待ち続けていた少年に神はなんて残酷なことをするのだろう。

JUNが2年生に上がり同時に新しい教師がやってくるという話を聞いた。
結構美人だと噂されていたが、正直JUNにとってはどうでも良かった。
彼の頭はいつ告白しようか、それだけだった。

トビラが開いたその先には綺麗なブロンドの髪の女性。
周りの男達からは拍手喝采。
ビシッと深紅のスーツを着こなし、優雅な大人の女性の姿。

JUNは目を疑った。それと同時に知ってしまった。
この日から恋人という関係になってはいけないということを・・・

それ以来半年ほど教師と生徒の関係が続き、実に久しぶりに二人は一緒にいられるのだ。
しかし昔のようにとはいかない。
JUNは気持ちを落ち着け真紅に今日来た意図を訪ねる。

真「今日来た意味ですって?まずはこれを見なさい。」
JUN「う・・・」

JUNは目の前に置かれたものに目をやると思わず唸ってしまう。

真「これはどういうことかしら?23点ですって?平均点は46点よ。」
 「赤点ぎりぎりじゃないの。」

JUNは英語が苦手だった。ただでさえ得意でないのに真紅に質問するのが恥ずかしく
独学で勉強していたから大幅にみんなより遅れをとってしまったのだ。

真「とにかく、次のテストで良い点を取らないと進級できないのだわ。」
 「だからこの私があなたに直接指導しに来たのだわ。感謝しなさい。」

JUNはドキっとした。あの真紅が自分のためだけにわざわざ足を運んできたのだと
思うと嬉しくなった。

真「あなた意外にY君やK君のところにも行かなくてはいけなくて大変だわ。」

JUNの喜びは脆くも数秒で崩れた。
新米教師にはありがちな熱血ということだ。生徒のためなら休日も潰す。
それが今の真紅には当たり前のことなのだ。

JUN(そっか・・・生徒は俺だけじゃないもんな・・・)
  (俺も40人の生徒の内の一人でしかないし、真紅にとってもう俺は特別な
   存在じゃないのかな・・・)

JUNは胸の奥に“チクン”と針を刺されたような気持ちになった。
憧れの相手は生徒からも人気の高い素晴らしい教師になってしまった。
事実生徒から告白されたという噂も聞いたことがある。当然すべて断ってきたらしが。

気持ちを伝えることもできない。仮に伝えたとして100%実ることなく二人の
関係だけを壊してしまう・・・

結局この日JUNは勉強にあまり集中できなかった。
そして二人の間に勉強以外の無駄な言葉が極端に少なかったのが悲しかった。

真「また時間ができたら来るのだわ。JUN、しっかり復習しておくのよ。」

JUNは内心また来るという言葉に喜びよりも悲しみの方が大きかった。
半年前とっくに諦めていた気持ちがまたぶり返してきたのだった。
この日JUNはどうにもならない気持ちと戦いながら心の中で泣いていた。

金「さてみなさん、このとき主人公はどんな気持だったのかしら~?」

日にちは代わり今は国語の時間。
金糸雀先生の授業は分かりやすく工夫も多くされているので生徒から人気だ。
だがそれはともかく、たとえどんな重い内容の話でも陽気な“かしら~”の口調なので
いまいち臨場感がないのが難点である。

金「愛する人を置いて自分は旅立たなければいけない。本心はずっと愛する人いたかった
  けど旅立つ決心をしたのかしら~」
 「このときの主人公の気持を選択肢から選んで欲しいのかしら~」

JUN「先生スイマセン、気分がすぐれないんで保健室に行っても良いですか?」

JUNは昨日殆ど眠ることができなかった。
そのうえ今国語の授業で扱ってるのは、またも純愛系小説。
JUNは嫌がらせか?などと思いながら仮病を使い授業をふけることにした。

金「それは大変かしら、じゃあ学級委員の柏葉さん連れてってほしいのかしら」
巴「ハイ。桜田くん行こう」
JUN「ああ・・、わりぃ」

少し申し訳ない気持になりながら教室を後にした。

巴「最近桜田君げんきないね、何かあったの?」
JUN「え、あ~いや別に大丈夫だよ」
巴「そう・・なら良いんだけど何かあったら私で良ければ相談にのるよ」

相談なんかできるはずはない。悩みというのは人に話せば癒されるもの。
だがJUNの悩みは相談することもできずに一人で抱え込むしかない。

JUN「もう保健室だからここで良いよ。」
  「柏葉も授業戻らなきゃいけないだろ?」
巴「分かったわ、お大事にね」
JUN「ああ、ありがとう」

保健室に入ろうとしたところで呼び止められた。

巴「あ・・、桜田君・・・」
JUN「ん、?どうした」

JUNは巴の態度に首を傾げている。心なしか巴の顔が赤い気がする。
巴「ううん、ごめん別になんでもないの。じゃあね」

JUNは頭に?マークを付けて保健室の中に入っていく。
彼の鈍感さは筋金入りのようだ。

JUN「水銀燈先生いますか?ベッド借りたいんですけど」
水「あら~誰かと思ったら桜田君じゃなぁい。どうしたの?」
JUN「少し具合悪いんでベッド借りて良いですか?」
水「別に良いわよぉ、でも変ねぇ顔色は悪くなさそうだし・・あ~もしかして恋の病って
やつかしらぁ?」

JUNは心臓が口から飛び出るかと思った。
女の人は鋭いというが数々の修羅場をくぐった水銀燈は誰にもまだ知られてないJUNの秘密を一瞬でつかんだのだ。
なるべく冷静を装いJUNは答える。

JUN「なーにいってんすか?別にそんなの保健室に来ても直るわけじゃないでしょう?」
水「それもそうねぇ。」

しかしJUNは思った。この人なら的確なアドバイスをくれるのではないだろうか。
水銀燈先生だって今まで生徒から告白されたことあるだろうし、この有栖学園で
は間違いなくそういうことに最も長けている。

JUN(けどよりによって口の軽い水銀燈先生に言えるわけないよなぁ・・)
  (真紅と仲良くなさそうだし・・・)

なのでJUNは極めて冷静に尋ねてみた。

JUN「水銀燈先生って今まで生徒に告白されたことってありますか?」
水「な、何よぉ藪から棒にぃ。」
JUN「いや、少し気になって。モテそうだし、そういう時ってどう対処するのかなって
   思って。」
水「そおねぇ・・あまり年下に興味ないわぁ。お金を持ってるわけでもないし。」
JUN(ハァ・・・この人は・・・)

JUN「じゃあ・・もしですよ、もし水銀燈先生がその生徒のことを嫌いでなくて、生徒と
   教師の関係じゃなければ付き合っても良いような男に告白されたら?」

水「それって私も相手を好きってことぉ?」
JUN「・・・はい」

水銀燈はあごに手を添えて少し下を向きながら答えた。

水「そおねぇ・・それでもきっと断るわぁ」

以外だった。やはりこの人も教師なんだと初めて思った。

JUN「それってやっぱり教師と生徒だからですか?」
水「それもあるけど・・JUNは告白されたことってある?」
JUN「え?俺はまだ・・・」
水「そぉ、ほんとは今の質問はね、実は答えられないのよ。
ただ私は生徒のあなたの前では今のように答えるしかないのよ」

いつもの人を小ばかにしたような態度でなく真剣だ。

水「告白ってね、相手から突然されると正しい判断がとれなくなるの」
 「たとえ好きじゃなくても突然告白されるとその場で好きになって
  付き合う場合もあるし・・」

水「逆に好きな人に告白されても恥ずかしさで頭が混乱して断っちゃったりとかね」
 「だから好きな人に告白されたらたとえ職を失くしても駆け落ちしちゃったりとか
  するかもしれないわぁ」

JUN「それって教師と生徒の恋が実ることもあるってことですか?」
水「そおねぇ・・・でもそれは相手の人生を狂わせてしまうこともあるのよ」
JUN「・・・」

水「告白した方はそれからずっと相手の人生を背負って生きていかなければダメね」
 「まぁ、世間には隠れて付き合う人カップルもいるんだろうけど室外デートは不可能だし・・・やっぱり厳しいわねぇ」
 「やっぱり卒業してからの方が私は無難だと思うわぁ」

JUN(それでも・・俺は・・・)

水「そんなことより早く寝なさぁい、次の授業始まるわよ」
 「それとも一緒に寝て欲しいのぉ?」
JUN「いいい、いえ、ねね寝ます」

JUNはがばっと布団を被って夢のなかに落ちた。前日あまり寝ていないためか
寝つきは良いらしい。

水銀燈は“ふぅ”とため息をついた。

水(ごめんねぇ、以前教師全員の弱みを握るため雪華綺晶に頼んでみんなの過去を調べて
  もらったのよ・・・)
 (けど生徒と教師は恋人同士にはなれないの・・・これで諦めてちょうだい)

水銀燈は心の中でそう願った。

JUNは昨日の水銀燈の言葉を思い返しながら考えていた。
JUN(僕は・・・どうすれば良いんだろう・・)
JUN(こんな気持で学生生活をあと一年と半年も続けることはできそうにない・・・)

JUNは部屋の中でPCをいじくっている。
しかし心の安らぎである通販も今の彼には廃れて見えた。
下の方で電話の音がする。

ジリリリン ジリリリン

JUN「お~いお茶漬けのり電話だぞ~」
JUNは行ってから気づく。
JUN(そうか、まだ部活の練習か。毎日毎日ご苦労なやつだ)

JUNはやれやれとめんどくさそうに電話を取りに行く。

JUN「はい、桜田です・・・」

JUN「すいません、真紅先生いますか?」
雛「真紅先生?う~とね、今6時間目終わったはずだからもうすぐ来ると思うの」
JUN「じゃあ放課後用事があるんでA棟の空き教室に来てもらえるよう伝えておいて
   くれませんか?」
雛「了解なのー」



真「JUNいるかしら?待たせたかしら?」
JUN「ああ、いるよ。平気、僕も今来たところだから」
真「また何か分からないことでもあるのかしら?」
真「・・・JUN?」
真「話がないのなら帰るのだわ」

真紅がJUNに背を向けようとする。
真「きゃあ!」

JUNは真紅を壁に押し付けるような形で肩をつかみ自分の方へ向かせた。

真「何するのだわ!話なさい!」
JUN「ごめん・・・でも今日は大事な話があるんだ・・」
  「最後まで話を聞いてほしい」
  「僕は今までずっと我慢してた。でも・・」

真「やめて!・・・それ以上は言ってしまってはダメなのだわ・・・」

真紅があわててJUNの口を押さえるように手を添える。

JUN「でも・・・今話しておきたいんだ・・・じゃないと僕は・・・」
真「それより・・・私もあなたに話があるのだわ。JUN、あなたはドイツに行くべきなのだわ」
JUN「な・・んでそれを・・?」

真「昨日の夜のりから相談があったのだわ“JUNがドイツ留学を断ろうとしている。
  自分はどうすれば良いの?“って」

実は昨日の電話はJUNの両親のものであり高校を卒業したら裁縫の才能を
生かしてドイツ留学をしないか?
という内容のものなのだ。

とてもお金のかかることで有名な学校だが海外で働いている両親のコネでJUNが
卒業するまで学費は無利子で借りることができる。
そして卒業するまで早くて4年、とても難しく留年してずっと卒業できない人もいる。

しかし卒業することができた者は皆成功している。
特別な学校なので卒業するまでお金さえあれば何年でもいてもいい。
中には職人になるため10年間そこで修行をしているものもいるらしい。

JUNは手先が器用で裁縫の類が昔から得意なのだ。
ゆえに高校を卒業したら日本にある裁縫の専門学校に行く予定だ。

そんなJUNに突然の朗報。
普通なら断る理由はない。
しかしJUNには一人で何年も海外行くなんて考えられなかった。
JUNは目の前の女性といることを選択したのだ。

なので両親に誘いを断り無理やり電話を切ったのだが、納得できない両親は姉ののりに
説得するよう頼んだ。

のりは自分はJUNを説得できないであろうと思い、教師であり幼馴染の真紅に
相談したのだ。

真「JUN・・あなたは卒業したらドイツに行くの。それで立派な職人になるのだわ」
 「それが一番あなたのためになるのだわ」

JUNはこの日自分の気持を伝えるはずだった。
しかし昨日の水銀燈の話を聞いて真紅を不幸にしてはいけないと思い
“返事は卒業してから聞きたい”と言うつもりだったのだ。

つまりJUNの出した結論はあくまで自分の気持をぶつけて、それでもなお
教師と生徒の関係を平穏に続け、幼馴染という心地よい関係を続けようと思ったのだ。

これはとても卑怯な手段。本当は水銀燈の言ったように卒業してから
告白するのが正しい手段だろう。

しかしドイツ留学という人生に大きくかかわる出来事の結論を迫られ、
今のJUNはまともな思考ができなかったのだ。

だから上記に述べた卑怯な手段を選択してしまったのである。

JUN「僕は・・・僕は・・・なんで・・なんで真紅はそんなこと言うんだよ」
  「ドイツに行ったらいつ日本に帰るかも分からないし・・僕の気持が分からない
   わけじゃないだろう・・」

真「・・分からないわ」
 「今の私に分かるのはあなたの気持じゃなくてあなたの幸せのためにはドイツに
  行って修行してくること・・言葉に出されてない気持は伝わらないわ」
 「そして言葉に出してしまってもダメなの・・・それは私のわがままなの・・」
 「私のいいたいこと分かるわね?JUN」

JUN「うぅ・・・ちくしょう!」

バン!!
JUNはその場から走って逃げてしまう。

JUN「ハァハァ・・ハァ・・・」

JUN(真紅・・・真紅・・・ なんで留学を進めるんだよ・・)
  (僕とずっと一緒にいてくれるんじゃないのかよ・・・僕とはもう離れちまっても
   良いのか・・・僕は真紅と一緒に居られればそれで良い・・・なのに・・・)

タン、タン、タン  ドスン!

?「きゃあ!」
JUN「えっ」

JUNは走っていたため曲がり角で誰かにぶつかってしまった。

JUN「あっと、ゴメン・・・柏葉か?」
巴「桜田君、こんなとこにこんな時間どうしたの?」
JUN「えっと、ちょっと用事があって・・そっちは委員会か?」
巴「え、あ、・・うん//////」
 (こんなとこで会えるなんてついてるかも・・/////あれ?桜田君泣いてる?・・・)

巴「桜田君何かあったの?」
JUN「ううん・・何もないよ気にしないでくれ」
巴「気にするよ。だって凄く悲しそうな顔してるもん」

JUN「い、いいから僕のことはほっといてくれ!柏葉にはかんけいないだろ・・」
巴「・・・なくないよ」
JUN「え・・」
巴「関係なくないよ!だって・・その////」

巴(桜田君・・今弱ってる・・・)
 (人の弱みにつけこむなんて・・・私はなんて卑怯で最低な女なんだろう・・・)
 (でも・・でも今しかない)

巴「私は・・私は桜田君のことが好きだもの」
 (ついに言っちゃった////)
 「私は桜田君のことが好きだから悲しいときは私が慰めてあげたいし、ずっと一緒に
  いたいって前から思ってた」

JUN「柏葉・・・////」
突然の女の子からの告白に酷く動揺しているようだ。
JUN(でも僕にはずっと好きな人がいて・・・柏葉が僕を好きで・・・僕はその人と
   一緒にいたくて柏葉は僕とずっといっしょにいたくて・・・)

JUN(あれ・・?僕は何を考えてるんだ? 頭が混乱する心臓が破裂しそうだ)
  (なんで僕はこんなに緊張してるんだ?だって僕は真紅が好きなんだろ?
   僕がドキドキしてるのは柏葉が僕を好きだからで・・でも違う・・
僕が好きじゃなきゃドキドキなんてしない、でも僕は真紅のことが・・・)

巴「桜田君」
JUN「は、はひ」

緊張で変な声をあげてしまう。

巴「返事聞かせて欲しい・・・」
JUN(そうだよ返事しなきゃ・・・可哀想だけど断ろう・・・僕はまだ真紅のことが
   諦めきれない・・)
JUN「良いよ・・僕も付き合いたい」

巴「本当に!・・・嬉しい」
巴は顔を真っ赤にしながらとても嬉しそうに微笑んでいる。

JUN(あれ?どうして僕はOKの返事を出したんだ?僕は断ろうと思ったのに・・・)
  (僕は・・・柏葉のことが・・・好き・・・??)

巴「じゃあ・・桜田君・・・ううん、これから二人のときはJUN君って呼んで良い?」
JUN「うん、じゃあ僕もこれから二人きりの時は巴って呼ぶよ」
巴「じゃあ一緒にかえろっか?」
JUN「ああ」

巴「ねぇ・・この時間誰もいないし、手・・繫いで良い?」
JUN「ああ、はい」
巴「JUN君の手・・・あったかいね///」
JUN「巴の手もあったかいぞ」

僕はこの日真紅に拒絶された。
そして柏葉と付き合うことになった。
冷え切った僕の心を暖めてくれるものにすがるように、僕は柏葉の暖かさに包まれ
ながら家に着いた。

それからの3週間僕の日常が変わった。
お昼は柏葉とみんなに見つからないように校庭の裏で食べ、
下校は時間を見計らい、手をつないで帰る。

平日はお互いの家で過ごし、休日はみんながいないように少し遠出をして
デートをする。

柏葉は口が堅いからまだ誰にもばれていない。

真紅はあれから学校での事務的な会話以外話しかけてこない。
けれど僕はきっと幸せなんだと思う。

僕のことをこんなに好きでいる人と一緒にいられる。
けど僕はまだその真実を隠したがる。

それは何故?別にみんなに知られてもいいじゃないか。
多少冷やかしを食らうかもしれないが平気なはずだ。
なのに何故?僕は誰にこの関係を隠したがってるんだ。

僕は自分の問いかけの答えをすぐに出せるはず。
しかし出さない。出したくはない。

巴「ねぇJUN君、今日は楽しかったね」

今日もまた遠出にデートだ。
雨が降っていたが明日は日曜なので多少疲れても問題ない。


JUN「ああ、また行こうな」
巴「うん///」

キキィー バシャァ!
JUN「うわ!」
巴「きゃあ!」

突然車が飛び出してきて水溜りの水が思い切りかかってしまった。

JUN「大丈夫か?」
巴「うん、JUN君が道路側歩いてくれてからそんなに濡れてないよ」
JUN「でもこのままじゃ風邪引くぞ。今日姉ちゃん合宿でいないけど
   服勝手に借りても平気だから一旦うち来いよ」
巴「うん、ありがとう。そうさせてもらうね」

JUN「あがって」
巴「お邪魔します」

巴「JUN君、シャワー借りても良いかな?」
JUN「かまわないぞ。はい、服とタオル持っていって」
巴「ありがとう」

JUNは自分も着替えをする。防水性のある服を着込んでいたため
予想以上に濡れてなかったので身体を綺麗に拭いて着替えをすませていた。

“がちゃり”ドアの開く音がする。
風呂上りの女の子の匂いが部屋に充満する。
姉の風呂上りで慣れているはずのJUNもたまらず振り向いた。

そして驚愕する。

JUN「てっ!えっえっ??」

それもそのはず巴は確かに服を貸したはずなのにバスタオル1枚だけ巻いて
出てきたのだ。

JUN「なっななんだよその格好は」
巴「服のサイズが合わなくて・・・」

そんなはずはない。確かにのりの方が多少背が高いが体格的には大差ないはずだ。

JUN「い、今すぐ別の着替えを持ってくるよ」

ふわ・・・

不意に後ろから抱き疲れて固まる。

JUN「は、離して・・・着替え持ってくるから・・・」
巴「離さなきゃダメなの?」
JUN「まずいよ・・・」
巴「どうして・・?私達恋人どうしなんだよ。これは普通のことだよ」

かすかに震えてるのが分かる。

JUN「と・・もえ・・・」

更に強く抱きしめられる。

巴「私は大丈夫だから・・・・」


巴「ねぇ・・気持良かった?」
JUN「ああ・・巴は大丈夫だった?」
巴「少し辛かったけど大丈夫だよ・・それに嬉しかったし・・・」
 「JUN君も嬉しかった・・かな・・・?」
JUN「当たり前だろ。好きな人と一緒になれたんだし」

巴「・・・・良かった・・・ずっと不安だったから」
JUN「え・・・?」
巴「だって・・JUN君初めて“好き”って言ってくれたから」

JUN(・・そうか・・・僕はずっと不安にさせてたのか・・・こんなに良い子なのに・・・)

JUN「ごめんよ・・・不安にさせて」
巴「ううん、もう大丈夫だよ」

そういって巴はJUNの腕の中で包まれて眠った。
JUNもそれに続けて眠りに入った。

次の日の朝巴は親が心配するからと早くに家を出た。
ちなみに昨日は女友達の家に泊まると電話越しに言ったらしい。

時間は朝の11時、のりもいないしJUNはまだ布団の中で包まっている。

ピンポーン

チャイムがなる。

無視することにしよう。

ピンポンピンポンピンポン

JUN(うるさいな~誰だよ~)
仕方がないので玄関に出た。

JUN「あ・・・」
そこには真紅が立っていた。
あの告白の日から初めて家に来たのだ。
二人になるのもその日以来である。

JUN「・・・なんの用?」
真「あなたに勉強を教えようと思って来たの」
JUN「英語ならもういいよ。前に教わったので十分だから」
真「いえ、今日は英語じゃないの」

そういうと真紅はバッグからたくさんのプリントを取り出した。
真「JUNがドイツに行っても困らないようドイツ語のプリントを作ってみたの」
 「大学に居た頃はドイツ語を学んでいたから教えられるわ」
 「行って挨拶もできないんじゃ大変でしょう・・だから・・」

JUNはふつふつと怒りがこみ上げてきた。
まるで早く日本を旅立てと言われてるみたいだからだ。

真「どうしたの?JUN、あがらせてもらうわ」
JUN「ダメだ・・・」
真「どうして?・・・」

JUN「俺は今日これから柏葉とデートなんだ。
だから勉強なんかしてる暇はない。」

JUN「まだ誰も知らないと思うけど実は最近俺達付き合い始めたんだ。
   だから今日は家にあげられない」

本当は前日デートをしたので今日は何も予定がないのだが
JUNはあえて嘘をついた。

JUNは俯きながら話したのでこのとき真紅がどんな顔をしていたか知らない。

真「そう・・・分かったのだわ。ならプリントだけ置いておくから暇なとき
  目を通しておいてちょうだい」
真「それじゃあまた来週ね」

そういって真紅は玄関を出て行った。
貰ったプリントをクシャクシャにしてテレビのゴミ箱に放り投げた。
だが方向がずれテレビの裏に入ってしまう。取り出すのがめんどくさいので
そのままにしてJUNはもう一度寝なおすことにした。


真「どうしよう・・・クンクンのお人形が壊れてしまったのだわ」
JUN(また夢・・・?)
JUN「ほんとうだ・・真紅ちゃんのおきにいりだったのに・・・」
JUN(こんなボロボロになるまでどうやって遊んだんだ?こんなの捨てるしかないな・・・)
真「うぅ・・・ぐすっ・・・この子はジャンクになってしまったわ」
JUN「泣かないで真紅ちゃん・・・そうだ、ちょっとまってて」
JUN(僕は何をするつもりなんだ?)

く~ん・・・
JUNく~ん朝だよ~
JUNく~ん起きて~


JUN(夢・・・?真紅が尋ねて来たからまた昔の夢を見たのか・・・)
  (あの後ボクは泣いてる真紅をどうしたんだっけ・・・)

巴「おはようJUN君、月曜の朝なのに遅刻しないで偉いね」
JUN「僕は小学生かっての」
巴「あらぁ、JUN君って月曜日が一番遅刻率高いんだよ」
 「これでも学級委員だから先生に報告してるの」
JUN「そうなんだ、なら彼氏の特権でこれからは遅刻し放題だな」
  「先生には内緒ね」

巴「ダーメ、ちゃんと報告しちゃうもんね」
JUN「でも巴が激しすぎたせいで疲れて眠いんだ」
巴「///ちょっ///// なに言ってるのよ朝から」
JUN「ハハハ、冗談冗談」

真紅が僕の家に訪ねてからまた10日ほどたった。
あれ以来みんなにも僕たちの関係をばらすことにした。
だから朝はいつもラブラブモードで登校してるので周りの視線が痛い。

はたから見れば幸せなカップルだろう。
真紅のプリントなんか忘れて僕たちは充実した毎日を過ごしていた。

巴「じゃあ今日はもう遅いから寝るね。お休みなさい。
  それと・・・愛してるよ////」

また長電話をしてしまい料金が不安だ・・・
電話越しに別れをつげ布団に潜る。


JUN「真紅ちゃん僕に貸して。直してあげる」

JUN(これは・・・夢の続きか?)
真「うわぁ・・・すごいのだわ」

指はまるで踊り子のように舞
針は生命を与えられ意思を持つかのごとく動く
作業が終わると
一度ジャンクになってしまったその人形はまた新たな命を吹き込まれたようだ

真「すごいわJUNまるで魔法よ」
JUN「そんなのおおげさだよ~」
真「そんなことはないわ。その指は魔法の指よ」
 「あなたはいつか世界一のマエストロ(神業級の職人)にだってなれるわ」

JUN「まえすとろ?なあにそれ」
JUN(そういえばそんなことを言ってたな・・・)
真「マエストロとは世界に認められた偉大な職人のことよ」
 「あなたの指はいずれ世界で羽ばたけるわ」

JUN「じゃあボクが“まえすとろ”になったら真紅ちゃんのウエディングドレスを
   作ってあげるね」
  「そしたらボクのこと前に言ってた真紅ちゃんにつりあうような男って
認めてくれる?」

真「ええ、そしたら私はあなた以外に沢山の男が追いかけてくるような、
とても美しく気高く最高の女性になるのだわ。そしてあなたと一緒にいるわ」
JUN「うん!約束だよ」
JUN(そうか・・・思い出した。)
(僕はマエストロになって真紅にウエディングドレスを作ってあげるんだ。
だから僕にドイツ留学をあんなに進めたのか・・・僕のため、自分のため・・・
そして子供の頃からの約束を果たすために・・・)
(真紅は今でもあのときの約束を守ってるんだ。とても美しく気高く最高の女性になることを・・・)


ガバッ!
僕は飛び起きた。

JUN(なんでこんな大事な事を僕は忘れていたんだ・・・)

のり「JUNく~ん、ちょっと~」
JUN「どうしたんだよ?」

のり「今ね、部屋のお掃除してたらテレビの裏から変なプリント見つけたの」
  「でもお姉ちゃん全然読めなくって~・・・」
JUN「ちょっとそれ貸せ!」
のり「あ~ん・・・」

JUNは部屋でクシャクシャのプリントに目を通す。
文法から発音、日常生活における様々なシチュエーションを想定した
対応方法、さらにはチャンク(日常生活に良く使う意味のあるまとまり)まで
沢山のプリントに沢山のアドバイスやポイントごとに一口メモなど
とても手が込んだ作りだ。

グッ・・・
JUNはそれを胸に抱きしめるとある決意をして2本の電話をかけた。
彼の目にもう迷いはなかった。

巴「やっほぅJUN君。どうしたの急にこんな人気のない公園に呼び出して?       今日はどこ行く?」
JUN「今日は・・大事な話があってきたんだ」

巴の顔がこわばる。
何かを感じ取ったようだ。

巴「えっと・・・ねぇ今じゃなきゃダメかな?とりあえず遊びに行かない?」
JUN「いや今じゃきゃダメなんだ。それに・・・僕には時間がない・・・」
  「僕は明日ドイツに行くよ。学校は辞める、向こうで裁縫の修行をするんだ。」  
  「昔大切な人と約束したんだ・・・だからごm」

巴「いや!!そんな話聞きたくない!私は・・・私はJUN君とずっといっしょに
  いたいの!」
 「昔の人がなによ、JUN君の好きな人は今は私でしょう・・・」
 「前に“好きな人”だっていってくれたじゃない・・・」

JUN「あの言葉は嘘じゃないよ。今でも巴のことが好きだ」
  「けど・・・僕は永遠を誓った人がいる・・・最近まで忘れてた」
  「僕は酷い男だ・・・好きな人を2人も傷つけてしまった・・・最低な男なんだ」

巴「違う!JUN君は悪くない 私は告白した日JUN君が弱ってるのを知ってた」
 「そこを助けて自分がJUN君の彼女になったの」
 「本当はずっと知ってた・・・JUN君が他に好きな人がいるってことを・・・
でも諦め切れなかった・・・だから身体を重ねたの」

巴「私のことを好きになってほしかったの・・・」
 「お願い!私のことを捨てないで」
 「絶対JUN君を幸せにするから・・・もっと良い女性になるから・・・」

JUN「ごめん・・・僕は大切な人を待たせてるんだ・・・」
  「だから行かなきゃいけないんだ・・・今までありがとう」
  「そして・・・ゴメン・・・」

巴「ううぅ・・・ああぁぁ・・・」

JUNは巴の悲痛な叫びと泣き顔に胸が張り裂かれそうな思いになる。
けどこれはダメな自分への戒めなんだ。
愚かな自分への戒め。うまく言葉を繕えば巴を泣かさずにすんだかもしれない。

けど、これ以上彼女に嘘をつきたくなかった。
だから自分の本当の気持をすべて話した。

これからも彼女のことを思い出して胸が苦しくなるかもしれない。
けど決してその苦しみから逃げずに受け止める。必ずだ。

僕は走った。
愛する人の所へ。
永遠を誓ったあの人のところへ。
彼女は時間にうるさいから遅刻はできないな。

JUN「ハァハァ・・・ごめん、待った?」
真「レディを待たせるとは感心しないわねJUN」
 「でも息を切らしてるからまぁ勘弁してあげるのだわ」

JUN「真紅、僕はドイツに行くよ。明日から」
  「もうすべての手配は終わった。いつ帰ってくるかは分からない」

真「そう・・・」

JUN「けど・・・僕は絶対に帰ってくる」
  「たとえ何年かかろうとも絶対にマエストロになって帰ってくるよ」
  「そしたら君にウエディングドレスをプレゼントするんだ」
  「そして深紅のヴァージンロードを君と歩くよ」
  「ずっとずっと・・・一緒だ・・・」

真「まったく・・・思い出すのが遅すぎるのだわ・・・」
 「こんなにレディを待たせるんですもの。針千本飲まされても
文句は言えないのだわ」
JUN「ごめん・・・」

真「けど・・・あなたの指は魔法の指よ」
 「私は待ってるわ・・・あなたが世界一のマエストロになって
  白馬の王子様のように私を迎えに来てくれることを・・・」

JUN「真紅指切りしよう」
真「ええ・・・」

JUN真「指切りげんまん嘘ついたら針千本飲ます。指切った」


バチッバチバチ!
豪華な西洋風の建物をイメージした室内の一部屋でもう夜も遅いが
まだ暖炉に火が灯ってる。
薄暗い部屋の中、暖炉の明かりで照らされたその部屋は実に幻想的だ。

その中でロッキングチェアーに座った老婆と作りかけの人形を手に床に座っている
子供が居る。

子供「ね~え、おばあちゃん続き聞かせて。僕もっと亡くなったおじいちゃんの
   お話聞きたいよ」

老婆「そおねぇ・・・でも今日は時間も遅いからまた明日聞かせてあげるわ・・・」

子供「うん分かった。絶対約束だよう」
  「そうだ、指切りしようよ」

老婆「いいわよ・・・指を貸して・・・」

子供「うん!」

子供「じゃあおばあちゃんおやすみなさい」

老婆「ああ・・・おやすみ・・・」

子供「あっ!ねぇおばあちゃん」

老婆「なんだい・・・?」

子供「僕も“まえすとろ”っていうのなれるかなぁ?」

作りかけの人形に目を通し子供が尋ねる。

老婆「ええ・・・絶対なれるわ・・・私が保証するわ・・・」

子供「やったーじゃあまた明日ね。おばあちゃん」

老婆(あなたならきっとなれるわ・・・)
(だって・・・あなたは世界一のマエストロ(神業級の職人)の血を
受け継ぐものなのだから・・・)
                  ~~Fin~~