ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki そうだ、京都へ行こう!行きの車内編

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その後、新幹線は何事も無く順調に進んでいく。
東京駅を出発した後は、品川・新横浜・小田原・熱海と過ぎていき、今は次の駅である静岡へと向かっている。
その間、それぞれは思い思いに時間を潰していた。

真(・・・あぁ、岡引姿のくんくんは逞しかったのだわ。お殿様のくんくんも凛々しくて捨てがたいのだわ)
真紅は魔法瓶に入れてきた紅茶を飲みながら、ニュース番組で取り上げられていたくんくんショーの余韻に浸っていた。
内容は岡引のくんくんが江戸の町で起こる難事件を解決していくという、ありふれたストーリーだった。
しかし映画村という事もあり、迫力満点のアクションシーンや、普段は絶対に見ることの出来ないくんくんの着物姿など、
真紅を魅了するには十分な内容であった。

水「Zzz・・・すー・・・う・・ん・・・くんく~ん・・・」
水銀燈は先ほども言っていた通り、眠りについていた。
おそらく、くんくんの夢でも見ているのだろう。その寝顔はとても気持ち良さそうだった。
今回の旅行を一番楽しみにしていたのは、もしかしたら水銀燈なのかも知れない。
彼女は高校時代に陰湿ないじめを受け、その後薔薇水晶達と出会うまで誰も信じられなくなっていた。
当然高校の修学旅行にも参加せず、また大学時代も1人で旅行することは有っても誰かと一緒にという事は一度も無かった。
しかし、薔薇水晶や他の教師たちと共に過ごすうちに彼女の中で何かが変わり始めていた。
その証拠に、当初雪華綺晶と一緒に行くつもりだった事が挙げられる。
そして、薔薇水晶が真紅とも一緒に行こうと提案した時もからかい半分で承諾したが、無意識下ではそれを望んでいたのだろうか。
彼女にとって今回の旅行は、あの時行けなかった修学旅行なのかもしれない。

翠「今頃チビチビは何しているですかねぇ。『京都に行きたいの~。巴許して~なの~』とか言ってるに決まっているです」
蒼「ははは・・・。雛苺先生にはちゃんとお土産を買っていってあげないとね」
金「吹奏楽部のコンクールが前日で良かったかしら~」
翠星石・蒼星石・金糸雀の三人は世間話に華を咲かせていた。
話題は今回参加できなかった雛苺の事に関してだった。

翠「それにしてもチビ苺には困ったもんですぅ。この1週間ことある毎に『京都行きたい、京都行きたい』と
  うるせーったらなかったです」
この1週間、確かに雛苺はそう言っていた。もちろん授業中ではそんな事無かったが、昼休みとかではよく言っていた。
蒼「それは君が、ことある毎に雛苺先生をからかっていたからだよ」
金「あれは結構悪質だったかしら~」
そう、翠星石は職員室とかでこれ見よがしに京都関連の雑誌記事や旅行の計画などを雛苺に見せていた。
はっきり言って嫌がらせ以外の何物でもなかったが、それで二人の仲が拗れる事はなかった。
翠「あ・・・あれは、あんだけ見せておけば十分行った気になれると思って見せてただけですぅ」
蒼「その割には結構細かい交通手段まで言っていたよね?」
にこやかに質問してくる蒼星石。どうやら、次の話題は翠星石のようである。
金「そういえばそんな事も言っていたかしら~」
翠「う・・・そ、それは・・・きっとあのチビチビの事です。写生大会を抜け出して京都に行こうとか、絶対考えるです。
  でも、おバカだからきっと迷子になるですぅ。そうならない様、ちゃんと教えてやっただけですぅ」
そう言って窓の方を向く翠星石。照れているのか、ちょっと顔が赤くなっていたりする。
蒼「ほんと、なんだかんだ言って仲が良いんだから」
金「ちょっと羨ましいかしら~」
なんとも微笑ましい光景だった。

一方場所は大きく変わって上野動物園。
美術部は今日ここで行われる写生大会に参加していた。
雛「・・・クシュン、クシュン!」
巴「先生、大丈夫ですか?」
雛「大丈夫なの~。きっと誰かがヒナの事噂してるの~」
2回だから悪口だと思います、と心の中で突っ込む巴。
雛「さ、気を取り直してキリンの絵を描くの~」
おー、と1人気合を入れなおす雛苺。
動物園という事もあってか、どうやら絵を描いてるうちに楽しくなってきたようである。

場所は再び新幹線の車内に戻る。
雪「・・・ぱくぱく・・・もぐもぐ・・・」(どこか満ち足りた表情)
雪華綺晶の膝の上には、新横浜駅で買った味わい中華弁当が乗せられていた。
東京駅で買った弁当は新横浜に着く頃には既に彼女の胃の中に消えていた。
その後も、品川・新横浜・小田原と止まるたびに駅弁を買い求めに新幹線を飛び出していった。
ただ、薔薇水晶とのお約束条項に新たに書き加えられた「駅弁は1つの駅につき3個まで」という言葉によって
いつもぎりぎりまで厳選する雪華綺晶の姿が見てとれた。

雪「・・・・・・ばらしー、お茶」
薔「・・・はい、どうぞ」
そう言ってお茶を渡す薔薇水晶。
普段あまり感情を表に出さない彼女だが、今日はなんだか嬉しそうだ。
彼女自身はくんくんに対してはさほど造詣は深くないのだが、学校行事としてではなく
プライベートでこうして皆で旅行するというのは初めてだったからだ。
特に水銀燈が自分の提案を受け入れてくれたのが、何よりも嬉しかった。
普段の彼女なら「面倒だからパスするわぁ」と断っていたかもしれない。
それがこうして皆(雛苺先生は残念だけど)と一緒に行くことができて本当に良かったと思っている。
薔(・・・今日は皆と・・・沢山の思い出を作ろう)
そう心に誓う薔薇水晶だった。

ピンポンパンポーン
アナウンス「まもなく、本新幹線は静岡、静岡に着きます」
蒼「あ、もうすぐ静岡に着くね」
翠「随分嬉しそうですぅ。どうかしたですか?」
蒼「新茶の季節だからね。売店でお茶を買って来ようと思うんだ。それにこの時期には毎年、
  ホームで新茶の無料サービスをしているんだって」
翠「なるほど、緑茶好きの蒼星石にはたまんねーって訳ですか。でも、無料って言うんなら翠星石もついて行くです」
金「カナも行くのかしら~」
真「たまには緑茶も悪くないのだわ」
雪「・・・静岡駅ではみかんめし弁当と茶めし弁当、特製四季のお弁当を買ってくる」
薔「・・・お茶を買ってくるね」
水「・・・・・・Zzz」
それぞれの思いを胸に、新幹線は静岡駅のホームへと入っていく。
京都までは・・・あと半分。