ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki 翼の折れた天使

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水銀燈「あらぁ?お馬鹿さんの真紅じゃない?大学を留年しすぎて、高校からやり直すことにしたのぉ?」
真紅「…誰がお馬鹿よ!?私は、今日からここで教師として働くことになったの。…まさかあなたも…?」
高校を卒業してから4年…。同窓会でもないのに、水銀燈と真紅は意外な場所で出会った。
場所は、『私立有栖学園』の校門前…。そう、2人は教師としてこの場所を訪れたのだ。
それを確認するやいなや、水銀燈は真紅にこう言った。
水銀燈「…ねえ、これから毎日あなたの顔見るの嫌だから、今から他のところに就職してくれなぁい?じゃないと、また昔みたいに腕へし折っちゃうわよぉ?」
その言葉を聞きつけ、どこからともなくあるものが現れ仲裁に入る。
翠星石「2人とも、せっかく4年ぶりに会ったんだから、ケンカはやめやがれですぅ!!」
雛苺「そうそう、ケンカはめっめーなのよ?」
まさかと思い、水銀燈が辺りを見回すと、そこにはよく知った顔がぞろぞろと現れた。


ローゼン「…どうせ教師を選ぶなら、高校時代に僕の母校に通ってた人をと思ったんだけど…ずいぶん集まっちゃったね…♪」
悪びれる様子もなく、校長であるローゼンは新任の教師たちを前に朝礼を行った。
そしてその後、各人のクラスと担当教科が発表され、それぞれはその準備をしだした。
中でも、国立の名門出の水銀燈には、社会系全てと保健体育の授業…そしてクラスの受け持ちと多大な期待が寄せられていた。
水銀燈本人もこれに満足したのか、生徒に対し熱心に指導した。
そう…それは、熱心すぎるほどに…


水銀燈「…あらぁ?今日もやけに人数が少ないわねぇ…」
その美貌と若さゆえ、始めは絶大な人気があった水銀燈。しかし、それから1ヶ月、2ヶ月と過ぎる頃、その人気はどんどん下火になっていった。
それは、彼女の授業についていけない者が急増したことが原因であった。
元々、『完璧』を強く求める彼女は、少しでも生徒がミスを犯すと、それを激しく叱咤した。それが生徒たちの間でだんだんと重荷になり、やがて彼女の授業に出席する生徒もごく限られた人しか出ないようになってしまった。
水銀燈自身も、出席率の低下についてはどうにかしようと考えたが、結局明確な答えを導き出すことは出来なかった。
彼女が天才であるが故の悩み…それは、『勉強ができない人の気持ち』が分からない事だった。
そして、それから数日後…ついに水銀燈は受験に関係がなく、元々本人もやる気のなかった保健体育だけを専門に教えることになった。
それは同時に、彼女が初めて挫折を味わった瞬間でもあった。


それからというもの、水銀燈の生活は一気に荒んだものになってしまった。
人に相談する事、そして同情される事をなにより嫌う彼女に、寄り付くものは徐々に減り、気がつけば彼女に話し掛ける人物は、ごく限られた人物だけになってしまった。
しかし、そんな状況でも水銀燈は決して他人に頼ろうとしなかった。
水銀燈「大丈夫よ、メイメイ…。周りの環境が、高校時代に戻っただけ…ただそれだけの事だから…」
憔悴しきった顔で、水銀燈はただ一人の友人に対してそう言った。
高校時代、寂しさを紛らわせるために始めた夜遊びや悪さも、今では麻薬のように自身の生活を蝕んでいた。
そしてその後の、学校を休んだ次の日に感じる疎外感…それから逃げるように、彼女はだんだんと学校へ来なくなった。
そして、ある冬の日…水銀燈は校長室へと呼び出された。


ローゼン「…今年度は、本当にお疲れ様。まあ、どんな人でも最初は上手くいかないものだから、気にしないほうがいいよ。」
水銀燈「…そんな、美辞麗句を伝えるために、私をここに呼んだ訳?」
もう、仕事なんてどうでもいい…。そんな気持ちからか、水銀燈の口調はついつい横柄になる。
しかしそれにもめげず、校長であるローゼンは『ある決定事項』を水銀燈に伝えた。
ローゼン「いや…実はね、もうそろそろ君にもちゃんと学校へ復帰してもらいたいと思ってるんだ。そういうわけで、もう1度クラスの担任を受け持ってもらえないかい?」
水銀燈「…一体、どういう風の吹き回し?今更、私に出来ることなんて、何も無いわ…」
ローゼン「いいや、出来るさ!水銀燈君は問題を1人で抱えてしまう傾向があるから、今回は特別に副担任を付けようと思うんだ。で、4月から『薔薇水晶』っていう新任の教師が…」
水銀燈「…で、いずれはその薔薇水晶って子にクラスを任せて、私は用済みってわけね?」
ローゼン「…!?ち、違う!君は何か誤解を…!!」
水銀燈「いいのよ…人に捨てられるのは慣れてるから…。お父様にも捨てられたし、高校時代だって、友達だと思ってた子にも…」
そう言うと、彼女は小走りに自身の車へと向かい、オーディオのボリュームを全開にして、車を発進させた。


やがて、人気の無い森へとたどり着くと、彼女は1人声を押し殺し、泣きじゃくった。
本当は、自分だって生徒達に慕われる存在になりたかった…。
『夏休みが多そうだから』という短絡的な理由…それ以上に、色んな意味で自分の高校生活を取り戻したかった…。それが、彼女を教師の道へと進ませた本当の理由だった。
なのに…。
水銀燈「…薔薇水晶…か。…最後ぐらいは、ちゃんと引き継がせてあげないとねぇ…。」
そう言うと、彼女は涙をふき取り、車を走らせた。
そう…今の自分に出来ること…。それは、その新任の薔薇水晶という『生徒』に最後の授業をしてやること…。そして、自分と同じ道を歩ませないこと…。
こうして、彼女自身の運命の歯車は徐々に動き出した。