ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki 愚者の苦悩

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お題 『雛苺(とできたら新入生)』


雛苺「ただいまー、なの!」
2時間目の終了時、雛苺はそう言いながら、全身泥だらけで職員室に戻った。
実は、雛苺は家庭科のほかに生物の授業も担当しているのだが、郊外学習と称して、生徒たちを学校の外へ連れて行くことがあった。
せっかく生物について学ぶのなら、実際に見たり触れたりしたほうがためになるという考えらしい。
もちろん、生徒たちにこの授業は大変好評で、流石の真紅もこれには文句が言えなかった。
蒼星石「おかえりなさい。今日はどんな事をしたんだい?」
雛苺「んっとねー、今日は野草の観察をしたのよ!その後、近くの小川に行って…」
その時、その話を遮るように、1人の教師が怒鳴り声を上げた。
翠星石「うるっさいですぅ!!きったねぇから、早くその泥を落としてきやがれですぅ!!」
一瞬にして静まる職員室内。そして、皆の視線が翠星石に集まった。


雛苺「…ふぇ…?」
蒼星石「ちょっと…何をそんなに怒ってるのさ?」
翠星石「…別に何でもないですぅ…!ただ、次の家庭科の時間は調理実習だから、汚いままじゃ困るんですぅ!!」
そう言うと、翠星石はイライラしながら、どこかへ行ってしまった。
その言葉を聞き、雛苺はしょんぼりとした様子でこう言った。
雛苺「…翠星石の言うとおりなの…。急いで洗ってくる…。」
蒼星石「あ…うん…。」
何か釈然としない気持ちを抱えながらも、蒼星石は自分の仕事へと戻っていった。


その頃、翠星石は何かをブツブツ言いながら、家庭科室へと向かっていた。
翠星石「全く…いつまでも、こんな事をしてるヒマは無いんですぅ…!!何かもっと斬新なアイデアを出さないと…」
そう、イライラの原因は別にあった。それはズバリ、自身のイタズラに関するもの…。
それは例の『水銀燈、学校乗っ取り未遂事件』が原因だった。
未遂とはいえ、その『力の差』をまざまざと見せ付けられた事に、翠星石は焦っていたのだ。
このままでは、自分の存在がどんどん小さくなってしまう…。そして、そのまま無くなってしまうのではないかというのを恐れたのだ。
しかし、だからといって水銀燈のようにヘマをするわけにはいかない…。
そんな、『目立ちたいという気持ち』と『バレた時の恐怖』との葛藤で、翠星石は悩んでいた。
翠星石「…あー!悩んでもラチあかねぇです!こんちくしょー!!」
そう言うと、翠星石は力任せに家庭科室のドアを開けた。


雛苺「道具を全部台の上に出したら、班ごとに翠星石から卵をもらって…翠星石?」
授業が始まっても、翠星石の頭の中はイタズラの事でいっぱいだった。
卵…教師全員の車に投げつけて…でもこんなことじゃ、到底水銀燈にはかなわない…!!
卵をじっと見つめながら、そんなことを考える翠星石に、雛苺が心配そうに声をかける。
雛苺「…うー…翠星石どうしたの?何か今日おかしいよ?何か悩みでもあるのなら、ヒナが相談に…」
その言葉に、翠星石はハッとする。
自分がこれだけ悩んだことなのに、何も分からない『おバカ苺』が相談に乗る…!?
一体何様のつもり…!?
雛苺「…翠星石?」
心配そうに、翠星石の顔を覗き込む雛苺。その頬を、翠星石は思いっきり引っ張った。
雛苺「ふぇ…!?び…びゃああああああああああ!!!!!!」
男子A「お、おい!!誰か他の先生呼んで来い!!」
女子B「先生!!お願いだから、雛苺先生を放してあげて!!」
しかし、そんな言葉を無視して、翠星石は泣き続ける雛苺の頬を、力いっぱい引っ張り続けた
そしてそれは、蒼星石が無理やり引き離すまで、決して止めようとはしなかった。


蒼星石「…さ、何であんなことしたのか、きちんと説明してくれる?」
雛苺が泣き止むのを待ってから、蒼星石は翠星石を職員室に呼び、彼女を問いただした。
翠星石は、むくれながらこう答えた。
翠星石「別に…ただチビチビが生意気な面してたから、いじめてやっただけですぅ。」
蒼星石「…雛苺は、君の事を心配していたんだよ?さっき、雛苺とも話したけど、今日の君は何かおかしいよ。何があったのか話してよ。」
翠星石「…。」
その問いに何も答えず、ただむくれるだけの翠星石。
そんな翠星石に対し、蒼星石はいつになく険しい顔つきで、こう迫った。
蒼星石「…どうしても言えないっていうの?」
翠星石「う…。」
その迫力に、ついつい本当のことを喋ってしまう翠星石。
それを聞き、蒼星石はただ呆れるばかりだった。


蒼星石「全く…。何を悩んでいるのかと思えば、そんなくだらないことで悩んでいたの?」
翠星石「く、くだらないとは何ですか!?翠星石は…」
蒼星石「君は大切なことを忘れてるよ…。いい?これを見てごらん?」
そう言うと、蒼星石は一冊の卒業アルバムを取り出した。
蒼星石「ほら、君は去年『生徒が選ぶ、尊敬する先生ランキング』の第1位に選ばれてるんだよ?そっちのほうが、よっぽど価値のある称号じゃない?」
その事に気がつきハッとする翠星石に、蒼星石は続けてこう言った。
蒼星石「それに、そんなに水銀燈がうらやましいのなら、今から水銀燈の代わりに薔薇水晶と一緒に暮らす?喜んで代わってくれるはずだよ。」
翠星石「け、結構ですぅ!!あんな、生きた屍みたいにはなりたくねぇですぅ!!」
蒼星石「ふふっ…じゃあ、ちゃんと授業に打ち込まなくっちゃ。それに、4時間目は確か1年生の授業じゃなかった?新入生に、自分を売り込むチャンスなんじゃない?グズグズしてると、雛苺にその座を奪われちゃうよ?」
その言葉を聞き、急いで家庭科室に戻る翠星石。

しかし、この時…蒼星石は1つだけ、肝心なことを言うのを忘れていた。
『だからと言って、人の足を引っ張ったり、陥れたりしちゃダメだよ』と言うのを…。
学園での覇権争い…それは、新たな局面を迎えようとしていた…。