ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki

怪談大会

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 カラリ、コロリと乾いた音がする。
 自分の足音ではない、しかし聞こえるのその音。
 立ち止まれば、その音が消え。
 歩き出せばその音が聞こえる。
 走っても走ってもその音は聞こえる。
 荒くなる自分の息の音と同じように響くカラリ、コロリと乾いた音。
 怖い。怖い怖い怖い怖い怖い怖い。怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。
 ただの乾いた音であるソレが、追うその音が怖い。
 とうとう体力がつき、その場に立ち止まる。
 そして振り向くと……
「下駄を履いて刀を振り上げた骸骨が!!!」
 その声に、ひっ! と短い声が無数に上がる。
「さて、コレで僕のお話は終わり」
 終わりを告げる言葉により、暗い空間に明かりがともり数秒後には
 明るい体育館が其処にある。
 実はこれ、ローゼンが企画した全校生徒参加の怖い話大会。
 教師が話す怖い話に、生徒たちから立候補した者達が、壇上に上がり延々と怖い話をし続けると言う物で
 これで、一日丸ごとぶっつぶれているあたりがローゼンらしい。
 何故か、体育館に繋がる廊下で出店が出ているあたり有栖学園らしいと言えば有栖学園らしい。

 先ほどまでの話は、蒼星石の怖い話でその前は蒼星石が受け持つクラスの男子生徒が怖い話を披露していた。
 そして、次は薔薇水晶のクラスの男子生徒ジュンの怖い話となる。
「えぇ~と、まぁ怖い話って事なんだけど怖いかも知んないし怖くないかも知れないから」
 ジュンは壇上に上がって、体育館に居る皆にそう告げた。
 そんなジュンの言葉に、なんだよーそれーと笑う男子生徒にどんな話かな? と首をかしげる女子生徒。
「まぁ、これは実際体験した話なんだけどさ。俺の家は洋服とかぬいぐるみとかを作る会社だ」
 そういえばそうだな。と、うなずく皆。
 これは、ジュンの家の会社が、結構幅広く色々とやっている為に校内の全員が知っている事だ。
 CMにも出てるし、くんくん人形の服を作ったこともあり何気にブランド品として有名な会社。
「俺も見習いとして手伝う事がある。まぁそんな時に起きた話なんだけどさ」
 ジュンが、そう話し始めると体育館の証明が落ち、スポットライトのみがジュンを照らす。
 何気に効果音も小さくだがその場の雰囲気に合ったものが流される。
「親父たちの手伝いとして俺は、くんくんの服のデザインをしていたんだ。依頼主のイメージに合うモノをね」
 ジュンの語りが、言い感じに体育館に響く。
 まだ語り始めゆえに、そんなには怖くないが、この先に起こる展開に期待する皆。
「深夜。親父たちが寝て俺は一人作業所でデザインを考えては作って、考えては作ってって何度も試行錯誤してた時なんだけどさ
 ふと、声が聞こえたんだ。親父たちは寝てるし他の作業員の人たちももう帰宅してるはずなのにさ」
 ゴクリと、誰かが生唾を飲む音がやけに響く。
「その声がした方を見ても誰も居ない。最初は空耳だとおもったんだ。窓に風が吹き付けてその音が声に聞こえたのかもしれない
 だけどその声が何度も何度も聞こえる。俺は、いったん作業をやめて窓を開けて風が吹いてるのかどうか確かめたけど
 風なんて吹いてない。雨も空に雲ひとつない。満月がヤケに綺麗だった」
 そこでいったん言葉を切るジュン。

「やっぱり気のせいかと、俺はまた作業に戻ったんだ。しかし声が聞こえる。
 何度も何度も声は聞こえて、気がつけばその声がだんだんと近づいて来るんだ。
 そう、さっきの蒼星石先生の下駄をはいた骸骨みたいにね。
 暖房が入って暖かいはずの作業所なのに、俺は背筋に冷たいものを感じた。
 手を開けば汗をかいていたし……何より嫌な予感がヒシヒシと感じた」
 ジュンは、そこでいったんメガネを外し懐からハンカチを取り出しメガネを拭いて掛けなおす。
「よぉぅくその声を聴いたんだ。何を言っているのか。何を伝えたいのか。
 その声の方を向きたかったけど本能が、向くな。向いては駄目だと言っているし……
 だから、作業の手を止めてその声を聴いたんだ。
 ………声は、寒い。寒い。寒い。助けて助けて助けて。そう言ってた。
 作業所は暖かいし、助けを求めていても何について助けを求めているのか分からない」
 分かるわけが無かった。と、ジュンは天井を仰ぎ見た。
「ついには、声は僕の直ぐ後ろまで来る。相変わらず言葉は、寒い。助けての二つ
 俺は無視に徹した。後ろを振り向いたら何かが終わる。何かがやばい。そう思ったんだ」
 あいかわらず声は聞こえ続けた。ジュンは、メガネの位置を直しながらそう言う。
「ふと、声が聞こえなくなった。何かが居なくなった? と、俺は安堵した。
 しかし次の瞬間。『連れて行こう』。そんな言葉聞こえた。
 ヤバイ。そう思って俺は振り返った」
 そこで、言葉を切るジュン。

「………そうだな。ちょうど水銀燈先生だ」
 行き成りの言葉に、その話を聴いていた水銀燈はえ? と驚く。
 同じくその言葉に、話を聴いていた皆もえ? と首をかしげたあと暗がりであるにもかかわらず
 水銀燈の方を向く。
「あぁそう……イメージはそんな感じだ。その声の主は、水銀燈先生そっくりで
 両目が無くまるで全てを飲み込む黒い黒い空洞で、逆さまに浮いていた。
 想像して欲しい、容姿は水銀燈先生の様に綺麗だが……目が無く逆さまで浮いている。
 なおかつ、血の涙を流していた……そして笑うんだ。ニヤリと」
 想像した皆がブルリと震える。怖い。確かに怖い。
「俺は、あまりの事に声も出ず声にならない悲鳴を上げた。
 まぁ、話はこれで終了。おきた時は何も無かったし。
 そう一つあったとすれば……長い髪の毛が一本。
 俺の首に絡まりついてた」
 んじゃ、終わり。とジュンはさっさと壇上を降りた。
 ザワザワとざわめきたつ生徒達。
 今のジュンの話についてなにやら話し合っているようだ。
「ちょっとぉ……ジュン~なぁんでアソコで私をだすのよぅ?」
「あははは、丁度水銀燈先生がイメージどおりだったんですよ。幽霊の」
「ゲッ、あれマジなの?」
「もちろんですよ? なんなら、首に絡み付いてた髪の毛みせましょうか?」
「え、遠慮しとくわぁ」
 水銀燈は、額に漫画みたいな汗を浮かべてジュンにそう言った。
 そうですか? 残念。と、ジュンは体育館を出て行く。どうやらトイレのようだ。
 そんな感じに怖い話大会は続いて行くのであった。



「そういえば、なんで髪の毛保存してるのよぅ?」
「いや、捨てても捨てても、気づいたら首に絡んでて」
「うげ」
「今は、塩漬けにして保存してあります」
「清め塩?」
「そんな感じです」

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