ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki 親子

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金「あー、美味しかったかしらー!」
満足気にお腹をさする金糸雀の後ろを、顔色の悪い水銀燈がついて行く。
銀「あなた、よくあんなものが食べられるわねぇ…」
美味しいお店があるから一緒に行こうと金糸雀に誘われたのは、昨日のことだった。
休日はゆっくりしようと思っていたのだが、せっかくのお誘いだったので金糸雀の紹介するお店へ行くことにした。
席に着くなり金糸雀は、メニューを開くことなく水銀燈の分まで料理を注文した。
どうしても食べさせたいものがあると言う。そのあまりの自信に満ちた口ぶりに、否応無しに期待させられた。
程なくして、目の前に一つのランチ定食が置かれた。ライスと、スープと、巨大な玉子焼き。その横に小さなハンバーグが申し訳程度に置かれていた。
水銀燈ははじめ、我が目を疑った。目の前にある巨大な黄色い物体が何か分からなかった。
これは何?と聞くと玉子焼きという返事が来た。その時には既に金糸雀は玉子焼きを頬張っていた。
それは、玉子焼きというよりは黄色い枕だった。だがこれで寝ても安眠はとてもじゃないが得られそうに無い。
金糸雀は美味しいかしらーと言いながら次々と玉子焼きを口に運んでいった。
その姿を見ると、確かに美味しそうに見えた。とりあえず食べてみることにした。
しかし、その味は凄まじいものだった。玉子焼きというよりは、砂糖の塊のようであった。
一口食べるたびに、胃にボディーブローを食らうような気がした。
二口でお腹いっぱいになった。三口食べたら、頭が痛くなった。そこで食べるのを止めた。
四口食べたら虫歯になっていたかもしれない。
玉子焼きの横にあった一口サイズのハンバーグがとても美味しく思えた。
しかし、金糸雀はそんな玉子焼きをぺロリと平らげてしまった。しかもその上、水銀燈の残した玉子焼きまで食べてしまった。
水銀燈はそれをただ眺めるしかできなかった。
会計の時、カナが誘ったのだからカナが払うのかしらーと言って水銀燈の分も払った。
水銀燈は気にしなくてもいいのよぅと言ったが、金糸雀に払わせた。あんなもので金を払わされたら堪ったものじゃない。
今日はもう何も食べる気になれなかった。

金「水銀燈先生―?あの玉子焼きはどうだったかしらー?」
銀「ちょ、ちょっと口に合わなかったかなぁ、なんてぇ」
半分以上残したんだから何か気付けよと思ったが、美味しいと信じて疑わない金糸雀は水銀燈の意図に気付かなかった。
胃の中でまだあの玉子焼きが漂っているのが分かった。思い出しただけで口の中に重過ぎる甘さが蘇る。
ブラックの缶コーヒーを飲むと、ちょうど良い甘さになった。
金「あら、あれは何かしらー!?」
水銀燈の前で、金糸雀が素っ頓狂な声をあげた。指差す先には、撮影スタッフとアナウンサーがいた。
道行く人々になにか質問している。
銀「中継みたいねぇ」
金「えー!?それじゃあテレビに映れるの!?」
目を輝かせる。水銀燈は少し嫌な予感がした。
銀「ま、まぁそういうことじゃなぁい?」
金「カナ、テレビに映るの生まれて初めてかしらー!!」
そう言うとまるで子供のようにアナウンサーの許へ駆けて行った。いや、どう見ても子供である。
銀「んもぅ!いい加減にして欲しいわぁ」
深く溜め息をつくと、歩いて金糸雀の後についていった。


アナウンサーは他の人に質問中だった。金糸雀はその質問が終わるまでその周りをウロウロとしていた。明らかに不自然だった。
銀「もぉ、恥ずかしいじゃないのよぅ…」
暫くして、質問を終えたアナウンサーが次なる質問者を探し始めた。
金糸雀がちらちらとアナウンサーを見ながらゆっくりとその前を通り過ぎた。
「ちょっと、質問いいですかー?」
アナウンサーが金糸雀に声をかけた。金糸雀はえー?私ですかー?とおどけて見せた。
撮影側としては、周りでウロウロと邪魔な金糸雀を片付けたかったのだろう。

金「こ、これって今撮影してるのかしらー?」
「そうですよー」
金「と言うことは、テレビに映ってるのかしらー?」
「そうですよー。ところでお譲ちゃんはどうして今日街に来たのかなー?」
アナウンサーはまるで子供に語りかけるように質問した。
金糸雀をテレビに映りたがっている子供だと勘違いしたのだろう。あながち間違いではないが。
子供と間違えられることが何よりも嫌いな金糸雀は激昂した。
金「お譲ちゃん…?し、失礼かしらー!?カナは・・・」
「カナちゃんって言うの?可愛いー!」
銀「でしょうー?可愛いでしょう?」
いつの間にか後ろに立っていた水銀燈が金糸雀の肩に手を置く。
「あら?あなたは?」
銀「この子の親よぉ」
「まぁお若い!!」
当たり前だ。これが本当の親子だったら水銀燈はとんでもない歳で子供を産んだことになる。
金「ちょ、ちょっと水銀燈先せ…むぐぅ!?」
金糸雀の口を押さえながらそうかしらぁ?と笑う。
「お子さんは今何歳なんですか?」
銀「中学生になったばかりなのぉ」
金「な…!!」
水銀燈がサラリと嘘をつく。
「そうなんですかー!」
アナウンサーも何も疑うことなく水銀燈の言葉を信じた。
「まだ小学生の名残が残ってますもんね」
金「し、失礼かしらー!!?」
じたばたと暴れる金糸雀を、水銀燈が両腕で押さえ込む。
「今日はどんな御用で?」
アナウンサーは水銀燈を相手にインタビューを進行した。

銀「子供と一緒にお昼ご飯を食べに来たのよぉ」
「仲が良いんですねー!ところでお子さんはあまりお母さんと似てないんですねー。もしかしてお父さん似なんですか?」
銀「そうなのよぉ。私にどこも似てないのぉ。お尻も私より大きいしぃ。そのくせに胸は全然無いしぃ?」
水銀燈は少し前屈みになり胸を強調する。すかさずカメラマンがそれを捉える。その後ろで撮影スタッフがドッと笑う。
金「ちょっといい加減に…むぐぐぅ!!」
再び口を押さえられた。
今日は金糸雀のせいで散々な一日となった。せめて、これくらいの復讐をしないと気がすまない。
この『親子』のインタビューの様子は、全国で放送され多くの生徒や教師の目に触れた。