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蒼星石と女子生徒1(おあ氏ver

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放課後の中庭。沈みかけた夕日が草木を黄金色に輝かせる。
一人佇む蒼星石の手には一枚の紙が握られていた。
蒼「話ってなんだろう・・・?」
その紙は、昼食から帰ってきた蒼星石のデスクの上に置かれていた。
今日の放課後、中庭に来て欲しい。話がある、と。差出人の名は無かった。
暫くして、一人の女子生徒が来た。ある程度は予想していた。置き手紙の字は間違いなく女子のものだった。
蒼「あぁ、手紙を置いたのは君だったのか。ボクに話があるって…?」
「あ、あの・・・」
女子生徒は、顔を真っ赤にし、モジモジするばかりだった。蒼星石は少し嫌な予感がした。
女子生徒は覚悟を決めたように一人頷くと、搾り出すように声を出した。
「わ、私…蒼星石先生のことが好きです!!つ、付き合ってください!!」
蒼(やっぱり…)
女子から告白されることにはもはや慣れていた。
入学したての新一年生が、蒼星石を男だと勘違いして告白をするのである。今回もそうだと思った。
蒼「申し訳ないけど、ボクは女だよ。だから・・・」
「知ってます!!蒼星石先生が女だって事くらい!!」
予想だにしない答えだった。頭に殴られたような衝撃が走った。
蒼「え・・・?」
「先生が、女の人って知っているうえで言っているんです…」
女子生徒が涙混じりに訴えた。とても冗談を言っているような目ではなかった。
蒼星石はなんと返せば良いのか分からなくなり、黙り込んでしまった。
不意に、目の前の女子が駆け寄り、蒼星石に抱きついてきた。
蒼「・・・!?」
あまりの不意打ちに、蒼星石は危うく倒れそうになったのを必死に堪えた。
「先生・・・好きです」
蒼星石の胸に顔うずめながら、女子生徒は何度も呟いた。
どうやら相当本気のようだ。だが・・・

蒼「君の気持ちは分かったよ。ありがとう…」
「ほ、本当ですか!?」
女子生徒が顔を上げ、蒼星石の顔を見つめた。その顔は涙でくしゃくしゃになっていた。
蒼「でも…」
蒼星石はそっと女子生徒を引き離した。
蒼「君の気持ちには応える事はできない…」
女子生徒は目を見開き、蒼星石に掴みかかった。
「!!??ど、どうしてですか!?私が女だからですか!?」
女子生徒が叫びに近い声をあげた。蒼星石に断られたのが余程ショックなのだろう。
蒼星石は今にも暴れだしそうな女子生徒の肩を掴み、落ち着かせた。
蒼「違うよ。ボクは愛に性別は関係ないと思っている。でも、それを差し引いたとしても
君はボクにとっては生徒なんだ。どう足掻いても…」
「・・・・・・」
蒼「口だけでなら君の告白にOKを出すことは簡単だよ。でも、それは何よりも君の気持ちを裏切ることになる」
そう言うと蒼星石は指で女子生徒の涙を拭った。
蒼「だから、ボクは君の気持ちには応えられない…」
「先生は正直なんですね・・・何でもズバズバ言っちゃう…」
蒼「・・・ごめん」
女子生徒は自分で涙を拭うと、笑顔を作った。それは、少しでも触れたら壊れてしまいそうな笑顔だった。
「でも、これでスッキリしました。なんか迷惑掛けちゃってすいません」
蒼「そんなことないよ」
「ねぇ蒼星石先生。これからも、私の先生でいてくれます?」
蒼「うん…勿論だよ」
「…ありがとうございます」
再び女子生徒が抱きついてきた。今度はゆっくりと。
「少しの間、こうさせて下さい・・・」
次の瞬間、女子生徒は糸が切れたように蒼星石の胸の中で泣き崩れた。
蒼星石は、それを抱きしめてあげることしかできなかった。

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