残暑の陽射しが容赦なく照りつける。地面の照り返しが今が秋である事を忘れさせる。
蒼「ふぅ、暑いなぁ…」
額に滲む汗を拭い取る。
「焼きそばうまいっすよー!」
「特製生ジュースいかがですかー!!」
蒼星石の左右から、威勢の良い声が響く。
今日は文化祭。蒼星石は、両側を出店で埋め尽くされた道を歩いていた。
基本的には教室はクラスの出しものの為に使用される。しかし、そこにずっといなければならない訳ではない。
部活や、友達同士でクラスでの仕事が無い時間を利用し、個人的に出店を屋外に出すことができる。
仲間同士で仕事時間の調節をすれば、難しいことではない。
小遣い稼ぎの為に店を開く生徒もいるが、客取りのための値引き競争で、儲けが無くなるのは定番である。
出店通りは、生徒の活気で満ち溢れていた。その熱気で、より暑く感じるのかもしれない。
「あー!蒼星石先生!!」
一人の女子生徒が駆け寄ってきた。
「先生こんにちは!!見に来てくれたんですか!?」
蒼「うん。それにしてもみんな凄い活気だね」
「はい!みんな商売に必死だから」
ははは、と笑いながら再び汗を拭う。
「あ、蒼星石先生。暑いんですか?」
蒼「うん、ちょっとね」
「それじゃあ、私たちのお店に来てくださいよ!!」
女子生徒は我ここに得たりといった表情で、蒼星石を自分の店へ連れて行った。
「はーい!上客一名様ご来店でーす!!」
女子生徒が店番に声をかける。蒼星石の姿を見ると、黄色い歓声が上がった。
奥にいた男子生徒も駆け寄ってきた。
蒼「ここは・・・?」
「ここは私たちが部活でやっているアイスキャンデー屋です!部活とは何の関係も無いですけど…」
蒼「ふぅ、暑いなぁ…」
額に滲む汗を拭い取る。
「焼きそばうまいっすよー!」
「特製生ジュースいかがですかー!!」
蒼星石の左右から、威勢の良い声が響く。
今日は文化祭。蒼星石は、両側を出店で埋め尽くされた道を歩いていた。
基本的には教室はクラスの出しものの為に使用される。しかし、そこにずっといなければならない訳ではない。
部活や、友達同士でクラスでの仕事が無い時間を利用し、個人的に出店を屋外に出すことができる。
仲間同士で仕事時間の調節をすれば、難しいことではない。
小遣い稼ぎの為に店を開く生徒もいるが、客取りのための値引き競争で、儲けが無くなるのは定番である。
出店通りは、生徒の活気で満ち溢れていた。その熱気で、より暑く感じるのかもしれない。
「あー!蒼星石先生!!」
一人の女子生徒が駆け寄ってきた。
「先生こんにちは!!見に来てくれたんですか!?」
蒼「うん。それにしてもみんな凄い活気だね」
「はい!みんな商売に必死だから」
ははは、と笑いながら再び汗を拭う。
「あ、蒼星石先生。暑いんですか?」
蒼「うん、ちょっとね」
「それじゃあ、私たちのお店に来てくださいよ!!」
女子生徒は我ここに得たりといった表情で、蒼星石を自分の店へ連れて行った。
「はーい!上客一名様ご来店でーす!!」
女子生徒が店番に声をかける。蒼星石の姿を見ると、黄色い歓声が上がった。
奥にいた男子生徒も駆け寄ってきた。
蒼「ここは・・・?」
「ここは私たちが部活でやっているアイスキャンデー屋です!部活とは何の関係も無いですけど…」
「手作りで、美味しいですよ!!」
店番の生徒たちが自身ありげに腕を組む。
蒼「へぇ、アイスキャンデーかぁ。懐かしいなぁ」
子供の頃によく食べたアイスキャンデーを思い出す。懐かしい甘さが口の中に蘇る。
暑い陽射しが冷たいアイスキャンデーをより魅力的に見せる。
蒼「それじゃあ一本貰おうかな」
「ありがとうございます!!ミルクとチョコとイチゴがありますけどどれにします?」
蒼「うーん、それじゃあミルクを貰おうかな」
「まいどー!80円になりまーす!」
ポケットから小銭を取り出し、アイスキャンデーと交換する。
歩きながら食べようとしたが、店の生徒たちが感想を心待ちにしている様子だったので、その場で食べることにした。
蒼「それじゃあ、いただきます」
意外に小さな口でアイスキャンデーを咥え、先端を丁寧に舐め取る。
蒼星石の隣でそれを見ていた女子生徒が「あ…」と声を漏らした。
蒼「うん、美味しいよ!!」
「先生、そういう食べ方なんですか…」
蒼「え?なんか変かな?」
「あ、いえいえ!!とてもいやらし…じゃなくて可愛い食べ方だなぁって!!蒼星石先生はガリガリと噛んで食べるのかと…あははは!」
蒼「酷いなぁ。ボクはそんなイメージなのかい?まぁ食べ方は特に意識してるわけじゃないけど…」
そう言って再び咥える。店番の生徒たちが身を乗り出し、食い入るようにそれを見つめる。
アイスキャンデーを咥えたまま、上下にそれを動かす。
蒼「ん…んむ…あむ…ん、ふぅ…」
その度に漏れる蒼星石の息遣いは、妙にいやらしかった。もちろん本人は意識していないのだろうが。
口の端から垂れたミルクの白い雫を、舌ですくい取る。
それを食い入るように見ていた生徒たちの耳には、もはや周りの喧騒など入ってこなかった。
聞こえるのは、時々漏れる息遣いと、アイスキャンデーと唇が擦れる音のみだった。
店番の生徒たちが自身ありげに腕を組む。
蒼「へぇ、アイスキャンデーかぁ。懐かしいなぁ」
子供の頃によく食べたアイスキャンデーを思い出す。懐かしい甘さが口の中に蘇る。
暑い陽射しが冷たいアイスキャンデーをより魅力的に見せる。
蒼「それじゃあ一本貰おうかな」
「ありがとうございます!!ミルクとチョコとイチゴがありますけどどれにします?」
蒼「うーん、それじゃあミルクを貰おうかな」
「まいどー!80円になりまーす!」
ポケットから小銭を取り出し、アイスキャンデーと交換する。
歩きながら食べようとしたが、店の生徒たちが感想を心待ちにしている様子だったので、その場で食べることにした。
蒼「それじゃあ、いただきます」
意外に小さな口でアイスキャンデーを咥え、先端を丁寧に舐め取る。
蒼星石の隣でそれを見ていた女子生徒が「あ…」と声を漏らした。
蒼「うん、美味しいよ!!」
「先生、そういう食べ方なんですか…」
蒼「え?なんか変かな?」
「あ、いえいえ!!とてもいやらし…じゃなくて可愛い食べ方だなぁって!!蒼星石先生はガリガリと噛んで食べるのかと…あははは!」
蒼「酷いなぁ。ボクはそんなイメージなのかい?まぁ食べ方は特に意識してるわけじゃないけど…」
そう言って再び咥える。店番の生徒たちが身を乗り出し、食い入るようにそれを見つめる。
アイスキャンデーを咥えたまま、上下にそれを動かす。
蒼「ん…んむ…あむ…ん、ふぅ…」
その度に漏れる蒼星石の息遣いは、妙にいやらしかった。もちろん本人は意識していないのだろうが。
口の端から垂れたミルクの白い雫を、舌ですくい取る。
それを食い入るように見ていた生徒たちの耳には、もはや周りの喧騒など入ってこなかった。
聞こえるのは、時々漏れる息遣いと、アイスキャンデーと唇が擦れる音のみだった。
残暑の陽射しに照らされて、融けたアイスキャンデーの雫を、垂れ落ちないように舌で舐め取る。
「いい!!蒼星石先生良いですよ!!」
いつの間にか生徒たちはデジカメのレンズ越しに蒼星石を見ていた。
蒼「な、なに撮っているんだい!?」
「い、いえ…記念に…。か、家宝にしますので…」
そう言う女子生徒の目は、どこか血走っていた。
蒼「そ、そんな食べてるところを撮られるなんて、恥ずかしいよ…」
アイスキャンデーを咥えたまま、赤面し、うつむく。その瞬間フラッシュが瞬く。
「先生!か、カメラ目線お願いします!!」
え?と此方を向いた瞬間に男子生徒がシャッターを押す。
「つ、次は上目遣いで!!」
続け様に別の男子生徒が要望を出す。
蒼「お、落ち着いて食べさせてよぅ!」
逃げ出そうとした蒼星石の前に、女子生徒が立ちふさがる。いつの間にか、取り囲まれていた。
「さぁ!遠慮せずに食べきってください!!」
結局、食べきるまで帰らせてもらえなかった。
両手でキャンデーを持ってくれだの、舌だけで食べてくれだのといった訳のわからない要望にほぼ無理矢理付き合わされた蒼星石は、
暑さとは別の汗を掻きながら食べる羽目となった。
「いい!!蒼星石先生良いですよ!!」
いつの間にか生徒たちはデジカメのレンズ越しに蒼星石を見ていた。
蒼「な、なに撮っているんだい!?」
「い、いえ…記念に…。か、家宝にしますので…」
そう言う女子生徒の目は、どこか血走っていた。
蒼「そ、そんな食べてるところを撮られるなんて、恥ずかしいよ…」
アイスキャンデーを咥えたまま、赤面し、うつむく。その瞬間フラッシュが瞬く。
「先生!か、カメラ目線お願いします!!」
え?と此方を向いた瞬間に男子生徒がシャッターを押す。
「つ、次は上目遣いで!!」
続け様に別の男子生徒が要望を出す。
蒼「お、落ち着いて食べさせてよぅ!」
逃げ出そうとした蒼星石の前に、女子生徒が立ちふさがる。いつの間にか、取り囲まれていた。
「さぁ!遠慮せずに食べきってください!!」
結局、食べきるまで帰らせてもらえなかった。
両手でキャンデーを持ってくれだの、舌だけで食べてくれだのといった訳のわからない要望にほぼ無理矢理付き合わされた蒼星石は、
暑さとは別の汗を掻きながら食べる羽目となった。
その年の文化祭では、蒼星石がアイスキャンデーを食べる様子をおさめた写真が最も多くの売り上げを誇ったという事は、あまり知られていない。