ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki

冬の日の闖入者

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~冬の日の闖入者~


校舎の柱でもつついたら壊れそうなほど寒い冬の日。僕は職員室でうとうとしていた。
寒いのは当然で、今は冬だから。だからこそストーブのある職員室は居心地がいいんだ・・・。
朝早く学校に来るとこうのんびりする時間があっていいね。

・・・ん、何かひざの上が重いよ?
僕はそっと目を開ける。

にゃあ

・・・にゃあ?あれ、このふわふわした生き物はもしかして・・・

「あ、その仔猫どうしたんですぅ?」

唐突にドアが開き翠星石先生が入ってきた。彼女は僕の膝の上の猫を発見するとすぐに興味を示した。
でも、僕にどうしたと聞かれても。
彼女はは僕が連れてきたと思い込んでいるようで、このままでは僕が拾ってきた猫ということにになってしまいそうだ。

「違うよ、翠星石。この猫は僕が寝てたらいつの間にか・・・」

僕は困り顔で弁解する。しかし彼女は微笑を浮かべて・・・

「・・・怪しいですぅ。蒼星石って意外にかわいいもの好きですからねぇ。
 道端に捨てられてたとかそういうことじゃねぇですかぁ?」

「もぅ・・・」

訂正。微笑じゃなくてニヤケ顔だったね。
何にせよまだ小さい猫だし、放って置くわけにはいかないな。
しかし真紅先生に見つかったら面倒だしなぁ・・・。
どうして真紅先生が猫を嫌っているのかは僕も知らない。水銀燈に聞いても「さぁ?噛まれでもしたんじゃないのぉ?」だしなぁ。
僕も授業があるし誰かに預けていこうっと。

「やぁみなさん。今日も元気かーい?」

校長室と繋がるドアが開きいつもに増して元気な校長先生が登場した。
・・・適任者発見。早速打診してみよう。

「おはようございます、校長。唐突ですが少しお願いしたいことが・・・」

「む、どうしたんだい?・・・猫か。いいよ」

よかった。
校長が快く承諾してくれたので僕は授業をしに教室に向かった。
始業のベルが鳴る。危ない危ない、先生が遅刻しちゃだめだよね・・・。
一時間目は数学だったんだけど期末テストが近いのでプリントをやってもらうことにした。
教育とは詰め込みだ!と誰かが言ってたけど僕は賛成できないな。
誠意を持って教えれば生徒は付いてきてくれるはず。

・・・なんて下らない事を考えつつ生徒たちの様子を見る。ついぼーっとする僕。
窓の外に目を向けると空はどんよりと曇っていた。冬の雨は冷たいから濡れないようにしなきゃ。
そこまで考え視線を戻す。・・・と僕の目にそのぼんやりした気持ちを吹き飛ばすような光景があった。

「やぁ、ちょっと暇だったから見回りに来たよ。」

校長先生だ。この人はいつも校内を歩き回っているのでいつもなら気に留めないのだけど・・・

にゃあ

あ、胸に仔猫を抱いて教室に来たら・・・

「校長先生、この猫どうしたんですか?」

「かわいい~。」

「ちょっと触ってもいいですか?」

・・・あぁ、予想通りだ。生徒たちは猫に気を取られちゃったよ・・・
確かにあの仔猫可愛いし、見てれば触りたくなるけど・・・ダメダメ!今は授業中!

「ほら、今は授業中だよ!席に戻って。校長先生も休み時間にいらっしゃって下さい!」

ここはガツンと言っておかなきゃね。けじめをつけないと。

「むぅ、キミに怒られたら仕方ないなあ。ではまた会おう諸君!」

素直に頷き、軽やかなステップで校長は去っていった。
ざわついた雰囲気を何とか落ち着けてその授業は終わらせることが出来た。
午前の授業はつつがなく終わり、昼休み。
職員室でプリントの採点をしていた僕にまたもや予期せぬ来訪者が。

「・・・蒼星石先生、猫を拾ったって本当・・・?」

「ちょっと見せて欲しいのー!」

薔薇水晶先生と雛苺先生だ。どこから聞いたんだろう?
赤ペンを動かす手を止め、僕は聞き返す。

「拾ったわけじゃないけど・・・誰から聞いたの?」

「翠星石先生から聞いたのー!」

・・・やっぱりか。口が軽すぎるよ・・・。
とりあえず今は校長に預けていることを告げてそっちに行ってもらう。
あ、猫ってあまり構われると逆に嫌がるんだって。言っておこう。

そのことを言いに僕は校長室へ向かう。

・・・校長先生と一緒に寝てた。

昼間から校長が寝ている学校というのも少し心配だけどこれなら午後は大丈夫そうだね。
安心して午後の授業の準備をし、教室へ向かう。
午後の授業は何の問題もなく進んだ。見ると空には太陽の光が雲の間から差し込んでいた。これなら雨は降らないかな。
そんな他愛のないことを考えながら授業をしていると・・・あ、公式書き間違えた。
そんなこんなで終業のチャイムが鳴る。
終礼を済ませ、僕は職員室へ戻る。

「・・・」

職員室に突いた僕の目に飛び込んできた光景。それは・・・
何かが僕の椅子の上に載っている。大体予想は付いたけど僕はそっと椅子を引く。すると・・・例の仔猫が丸まっていた。

「・・・どういうこと?」

座るに座れない僕に校長がバツの悪そうな感じで話しかけた。

「・・・すまない、こうも熟睡されると起こす気になれなかったんだ。」

そんな理由で、と少しは思ったけど言わないでおこう。
確かに仔猫はよく眠っている。その寝顔を眺めていると起こす気になれないという気持ちも少しだけ分かった気がする。

それにしてもやっぱり可愛いなぁ・・・      パシャ

「蒼星石先生の満面の笑顔ゲットかしらー!」

金糸雀先生がカメラを構えて喜んでいる。
もぅ、ちょっと隙を見せたらこれだよ。まぁ笑顔なら・・・いいか。
と、ここでふと我に返り後ろを振り向くと・・・

「あらぁ、随分と可愛い仔猫ちゃんねぇ。」

水銀燈先生が珍しく微笑みを浮かべ、

「この写真も撮っとくかしら。」

金糸雀先生がカメラを猫に向け、

「和むですぅ・・・」

翠星石先生が目を細め、

「お人形さんみたいなのー。」

雛苺先生がうっとりし、

「・・・寝顔もいいね。」

「そうだな。家でも飼ってみようか・・・」

薔薇水晶先生と雪華綺晶先生が仲良く語っていた。いつの間に!?
見ると他の先生たちが勢ぞろいしていた。気配の消し方が忍者みたいだよ・・・
あれ、見てる人が僕を含めて5、6・・・7人!?

「いい寝顔なのだわ。」

その声は・・・真紅先生!?キミは猫が嫌いだったんじゃ・・・
しかし真紅先生は何を言っているのというような表情で答えた。

「あら、寝ている猫を目の前にして逃げるほど私はお子様じゃないのだわ。」

なるほど。これは失礼したな。しかし彼女の態度は水銀燈先生の一言で一変する。

「ふふふ、じゃあ起こしてあげましょうか?」

「や、やめるのだわ!」

ふふ、やっばりうろたえるんだね・・・。まだまだ猫恐怖症克服までは遠いみたいだ。
慌てる真紅先生が猫みたいに見えたのは僕だけかな?

ふみゅ・・・

あ、起きた。慌てて逃げだす真紅先生。仔猫は事情を分かっていないけど僕たちはこの子をどうするか決めないといけないね。
でも、今の僕の心にある考えは一つだ。

「蒼星石・・・」

翠星石が意味ありげな目つきで僕を見る。分かってるよ。

「この猫は僕が責任持って飼おうと思うよ。いいかな?」

「よく言った!ですぅ。翠星石もたまに世話しに来るですよぅ。」

他の先生たちも異論はないみたいだ。じゃあ・・・これからよろしくね。


こうしてこの仔猫は僕が飼うことになった。そうそう、名前は「ラピ」にしたよ。
翠星石が「シャ○センにするですぅ!」とか言ってたけどこれはエレガント・スルーだね。

ちなみに学校に行くときは世話が出来ないから連れてくるしかないんだ。
大丈夫。連れてきたら世話してくれる人がいっぱいいるから。
一番熱心なのが水銀燈先生というのは・・・ふふ、秘密だよ。

まだまだ子供でいたずらもたくさんするけど・・・僕が親の代わりに叱ってあげないとね。

これから一緒だよ、新しい家族、ラピ。


うーん・・・でも何でラピは僕の膝の上に載ってたんだろう?

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