~お盆こうしゅうか・・・アレ?~
八月も半ば。
世間ではお盆の時期である。無論学園の教師、生徒も例外ではなく、皆めいめいその準備をしていた。
そこにあの突発男、ローゼンが招集を掛ける・・・
世間ではお盆の時期である。無論学園の教師、生徒も例外ではなく、皆めいめいその準備をしていた。
そこにあの突発男、ローゼンが招集を掛ける・・・
ロ「いやー休みにも関わらずみんな良く集まってくれたね。僕は嬉しいよ。」
ぬけぬけと言ってのけるローゼン。当然全員から不満の声が挙がる。
水「まったく、今度はなんだって言うのぉ?」
真「私たちもそう暇ではないのだわ。」
雪「内容によっては・・・(チャキ)」
薔「あなたのおっしゃることなら・・・♪」
・・・訂正。1人だけ目を輝かせていた。このバカップルめ・・・
ロ「まぁそんな怒らないでよ。今回は真面目さ。
・・・実は今日お盆の作法についての講習会をここでしようと思ってね。」
・・・実は今日お盆の作法についての講習会をここでしようと思ってね。」
翠「・・・・・・・・・は?」
蒼「今、『お盆の作法についての講習会』て聞こえたような気が・・・」
雛「ヒナたちの耳がおかしくなったのー?」
皆の言い分は散々である。これも日頃の行いか。
流石にずっこけるローゼン。
流石にずっこけるローゼン。
ロ「だぁー!ちょっとは信じてくれー!
・・・お盆の作法って知っていそうで実は詳しく知らないものだろ?
そこをしっかり覚えてもらおうと思ってね。」
・・・お盆の作法って知っていそうで実は詳しく知らないものだろ?
そこをしっかり覚えてもらおうと思ってね。」
どうやら本気のようだ。明日は雹でも降るのではなかろうか?
・・・まぁそれは置いといて、感心する教師たち。
・・・まぁそれは置いといて、感心する教師たち。
ラ「珍しいこともあるものですね。で?校長自らお教えになるのですか?」
ロ「いや、僕はぜーんぜん知らないよ。だから生徒諸君と一緒に教師たちに教えてもらおうと思ってね。」
やはり校長は校長であった。
金「やっぱりそういうことかしら・・・」
蒼「でも集まってもらったからにはやるしかないよね。皆もいいかな?」
水「はぁ・・・面倒ねぇ・・・」
ロ「銀ちゃん、やってくれたらくんくん探偵の特大ぬいぐるみをプレゼントするよ。」
水「・・・と思ったけどたまにはこんなのもいいわねぇ。」
真「ずるいのだわ!校長、私にも・・・」
ロ「うん、やってくれたらね。」
蒼星石の説得とうにゅー、くんくん人形などを駆使した物で釣る作戦によって何とか全員を了承させた。
一応名目上は勉強なので中止する理由も無い。
形式としては教師たちが順々に知っていることを教えるという事になった。
一応名目上は勉強なので中止する理由も無い。
形式としては教師たちが順々に知っていることを教えるという事になった。
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
夕方。
「昼間は暑い」というローゼンの申し出で、イベントは夕方から始めることとなっていた。場所は体育館だ。
「昼間は暑い」というローゼンの申し出で、イベントは夕方から始めることとなっていた。場所は体育館だ。
蒼「では始めようか。
まずこの割り箸を刺した茄子とキュウリ。これは何だと思う?」
まずこの割り箸を刺した茄子とキュウリ。これは何だと思う?」
短い割り箸を四本刺した茄子とキュウリを見せる蒼星石。
生徒A「確か・・・牛と馬だったと思います。」
この程度は広く知れ渡っているようだ。
顔をほころばせる蒼星石。
顔をほころばせる蒼星石。
蒼「正解。でもこれがどういう意味か知っている人はいるかい?」
二問目を出す。
今度は場が静かだ。コレは難しかったか?
そこで突然雛苺が手を挙げた。
今度は場が静かだ。コレは難しかったか?
そこで突然雛苺が手を挙げた。
雛「ヒナが答えるのー!ご先祖様がこっちに来るときは馬で急いでくるのー!
それで、帰るときは牛でゆっくり帰るの。」
それで、帰るときは牛でゆっくり帰るの。」
自信満々の雛苺。彼女がこちらの方に詳しいというのは意外だった。
まぁ雛苺の場合イベント好きからきているのだろうが。
これも一年のイベントの一つと考え楽しんでいるのだろう。
まぁ雛苺の場合イベント好きからきているのだろうが。
これも一年のイベントの一つと考え楽しんでいるのだろう。
蒼「大正解!今雛苺先生が言ったとおり、ご先祖様は行きにキュウリの馬、
帰りに茄子の牛に乗っていくんだ。・・・て何やってるの!?」
帰りに茄子の牛に乗っていくんだ。・・・て何やってるの!?」
翠「江戸っ子のお盆は素早いですぅ!お供え物は数分供えたら料理に使っちまうですぅ!」
とっとと野菜を持っていってしまう翠星石。蒼星石も苦笑いだ。
ただ一本だけ持っていってどうするのか?・・・あ、特設キッチンのうしろに山と盛ってある。
ただ一本だけ持っていってどうするのか?・・・あ、特設キッチンのうしろに山と盛ってある。
蒼「・・・ということらしい。東京の人たちは7月の半ばにお盆を済ませるんだって。
せっかちだよねぇ。」
せっかちだよねぇ。」
生徒B「どうして7月にするんですか?」
翠「お盆を7月に済ませて、8月は泳ぐんですぅ!それが、江戸っ子でぃっ!ですぅ。」
薔「・・・翠星石先生、なんか漢らしい・・・いたっ!」
翠「漢じゃないですぅ・・・」
まるでコントのような翠星石と薔薇水晶。そのとき会場に大きな音が響き渡る。
ぐぅ~~~~。
雪「だめだ・・・ばらしぃ、お腹すいた・・・」
その音とは雪華綺晶のお腹の音だった。爆笑に包まれる場内。
真「まったく、はしたないのだわ。でも今翠星石と雛苺が夏野菜カレーを作っているみたいだし、
そろそろ晩御飯にしましょうか。」
そろそろ晩御飯にしましょうか。」
歓声を上げる生徒たち。だんだん会場にいい匂いが漂ってきた。
・・・校長。大の大人が飛び跳ねながら喜んでるのはちょっと・・・。
・・・校長。大の大人が飛び跳ねながら喜んでるのはちょっと・・・。
十分後。
翠・雛「できたですぅ!(のー!)」
再び歓声を挙げる生徒たち。
二人の作ったのはさっきも言ったとおり夏野菜カレー。
普通の具のほかに茄子やブロッコリーなどが入っている。
普通の具のほかに茄子やブロッコリーなどが入っている。
翠「棒棒鶏も作ったですぅ!」
つまりのところバンバンジーである。なるほど、さすが家庭科教師だけあって出来は素晴らしい。
しかもさっきの茄子とキュウリを上手く使っている。
しかもさっきの茄子とキュウリを上手く使っている。
金「それでは食べるのかしら!」
全員「いただきまーす!!!」
そして食べ始める教師陣と生徒たち。
所々から「うまーい!」とか「こんなの食えて幸せー!」などとの喜びの声が聞こえる。・・・が!
所々から「うまーい!」とか「こんなの食えて幸せー!」などとの喜びの声が聞こえる。・・・が!
バタン!
「ぶふぅー!」
「ぶふぅー!」
謎の音が響く。驚いて皆がそちらを向く。その目に映った光景とは・・・
・・・カレーを吹き出して白目をむいている蒼星石と、倒れためぐだった。
翠「ふっふっふ、引っ掛かったですぅ。」
雛「実はこの中で3人だけうにゅーとマポロチョコ入りカレーなのー。」
・・・やはりただのカレーではなかったのだ。ん、3人目は?
翠「あれ?3人に仕掛けたのですが・・・あと一人は誰ですぅ?」
雪「む、お菓子入りのカレーというのもなかなかGJだな。」
この人だった。さすが鉄の胃袋を持つ人間。一ヶ月で210万円分食べる胃袋は伊達ではない。
・・・ちなみにその後蒼星石はラプラスに胃薬を貰って復活し、めぐは水銀燈がハグしたら飛び起きた。
その時鼻血が出ていたのは見なかった事にしよう。
その時鼻血が出ていたのは見なかった事にしよう。
さて、満足(二人除く)したところで後半の講座の始まりだ。
翠「では今から『迎え火』を教えるから耳をきれいにしてよく聞きやがれですぅ。
迎え火とはその名の通りご先祖様を迎えるために焚く火ですぅ。」
迎え火とはその名の通りご先祖様を迎えるために焚く火ですぅ。」
水「これを目標にして帰ってくるからぁ、消したらだ・め・よぉ。」
普通に言えばいいものをわざわざ艶かしく言う水銀燈。
しかしくんくん人形を抱きながらでは色気もへったくれもない。
しかしくんくん人形を抱きながらでは色気もへったくれもない。
真「では実際に点けてみるのだわ。燃やすものはわらやおがらよ。」
そして点火する真紅。しかし彼女が点火した途端体育館の照明が消える!
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
悲鳴が響き渡る。しかも迎え火の周りにうっすらと光るものがいくつも・・・人魂!?
蒼「ふふふ、さっきのお返しだよ。じゃあ金糸雀、よろしくね。」
金「任せるのかしらー!ほれ、火力最大かしら!」
物陰でほくそえむ二人。勿論人魂がそう都合よく現れるはずが無い。
金糸雀作の人工人魂だ。たまには金糸雀の発明も成功するようだ。
更にスピーカーから怖い声を流す。今日は月が出ていないので効果はばつぐんだ!(ポケモン風)
金糸雀作の人工人魂だ。たまには金糸雀の発明も成功するようだ。
更にスピーカーから怖い声を流す。今日は月が出ていないので効果はばつぐんだ!(ポケモン風)
散々怖がらせた後、照明をつける。
そして中の状況を見た二人は吹き出してしまった。
そして中の状況を見た二人は吹き出してしまった。
真「はっ!私は何を・・・てきゃあ!」
水「くんくん、助けてぇ!」
まず真紅が水銀燈に抱きついている。水銀燈は手のくんくんを握り締めていた。
翠「ち、ちび苺が怖がってそうだったから付いていてあげたですぅ!」
雛「うゆ?ヒナ、何も言ってないのよー?」
次に翠星石は雛苺の背中に張り付いている。何故か全然怖く無さそうな表情の雛苺。
薔「お姉ちゃん・・・」
雪「ばらしぃ・・・」
きらばらは体育館の隅っこで仲良くくっついている。
・・・何か目がやばいって!
・・・何か目がやばいって!
そして一番やばかったのがローゼンとラプラスだ。
ロ「・・・」
ラ「・・・」
ローゼンの上にラプラスが乗っている。しかも腰のところに。
何ともいえない沈黙が場を包む。
何ともいえない沈黙が場を包む。
他の生徒たちも腰を抜かしていたり、泣き出していたり様々だった。
・・・JUMにめぐと巴が抱きついていたりするが。
それを見る男子たちの目。JUM、ご愁傷様。
・・・JUMにめぐと巴が抱きついていたりするが。
それを見る男子たちの目。JUM、ご愁傷様。
ロ「・・・じゃあ寝ようか。寝具はこっちで用意してある。」
ラ「・・・」
目を合わせないローゼンとラプラス。何故かって?それは勿論ウ(以下自己規制)
にしてもいきなり泊まれと言われて動じない生徒たちも流石だ。
是非入学してみた(ry
にしてもいきなり泊まれと言われて動じない生徒たちも流石だ。
是非入学してみた(ry
最早講習会でなくなっていることは突っ込まないで頂きたい。
ということで全員布団を敷いた。何百人も布団を敷いても問題ないほどの体育館。
やはり是非見てみた(ry しつこい。
ということで全員布団を敷いた。何百人も布団を敷いても問題ないほどの体育館。
やはり是非見てみた(ry しつこい。
そして消灯。
布団に入り呟く蒼星石。
布団に入り呟く蒼星石。
蒼「ふぅ・・・やっと休める・・・(ぼふっ)!?」
顔に何か当たる。枕だ。顔を上げると例の目だけ光らせた翠星石がいた。
翠「ふっふっふ、蒼星石、休むにはまだ早いですぅ!お泊りの夜といったら枕投げですぅ!」
皆思いは同じだったのか、その言葉を皮切りに乱闘が始まる。
修学旅行と違い、何百人もの枕投げ。それは凄まじいものとなった。
修学旅行と違い、何百人もの枕投げ。それは凄まじいものとなった。
水「ちょっと、何処触ってるの!」
真「不可抗力だわ!」
雛「わーい、投げまくるのー。あ、うにゅーも投げるのー!」
翠「ほれ、蒼星石もやるですぅ!」
蒼「やったな、えいっ!」
薔「あなた・・・」
ロ「薔薇ちゃん・・・」
ラ「ふ、今こそ校長を討ち取るチャンス!」
J「うるさいな・・・て柏葉!?」
巴「桜田君もやろうよ・・・ね?」
枕投げに興じるみんな。若干二名ほど変なことしてなかったか?
そして人間を蹴散らして回る集団が二組出現した。
金「枕発射マシーンかしらー!」
雪「何の、こちらは枕バズーカだ!」
この二人の出現により枕投げは一気に勝負が付いた。
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
次の日の朝。
まともに布団に寝ていた人間は一人もいなかった。
まともに布団に寝ていた人間は一人もいなかった。
そしてイベントは終了。
水「疲れたわぁ・・・」
金「久しぶりに発明が成功したかしらー!」
翠「うーん、楽しかったですぅ!・・・て蒼星石、しっかりするですよぉ!」
蒼「一睡も出来なかった・・・」
真「たまにはこういうのもいいのだわ。」
雛「また明日もやりたいのー!」
薔「明日はちょっと・・・」
雪「翠星石、例のカレーのレシピを教えてくれ。」
めいめい感想を述べる教師たち。感想の相違はあれど皆楽しかったようだ。
雛苺や金糸雀はもちろん、疲れたと言っていた水銀燈や蒼星石も笑顔を浮かべている。
雛苺や金糸雀はもちろん、疲れたと言っていた水銀燈や蒼星石も笑顔を浮かべている。
ラ「で、この費用は校長が払ってくれるんですよね・・・て逃げやがったなあの野郎!」
イベントの言いだしっぺは既に逃亡していた。
しかしこの講習会の名を借りた合宿?は生徒たちの心に良い夏の思い出を残したようだ。
生徒たちの笑顔が楽しかった事を何より表していた。
しかしこの講習会の名を借りた合宿?は生徒たちの心に良い夏の思い出を残したようだ。
生徒たちの笑顔が楽しかった事を何より表していた。
後日。
教師総出の捜索によりローゼンは捕まった。
しかし何故か費用は割り勘となった。
ロ以外(思い出をありがとう、校長・・・。)
教師総出の捜索によりローゼンは捕まった。
しかし何故か費用は割り勘となった。
ロ以外(思い出をありがとう、校長・・・。)
ロ「?」
おしまい。