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[[薔薇水晶先生が教えた事>教科書が教えない歴史『エルトゥールル号』]] [[水銀燈先生がめぐに教えた事>教科書が教えない歴史『二十八日間書き続けた男]]  「薔薇水晶先生に教えてもらったのですが……雛苺先生も何か知ってます?」  そう突然に巴に尋ねられた雛苺は、えっ!? と驚いた表情を作る。  自分は、家庭科担当の教員であり歴史に事になると余り覚えていないのが現状である。  というか、昔ならった歴史の出来事すら覚えてない。  覚えてても、明治維新とかそこら辺だ……  しかし、こう尋ねられては答えねばならぬのが教師……  考えて考えて思い出して思い出して……あっ! と、思い出す。  「一つだけなら知ってるの!」  「本当ですか?」  「ちょっと記憶が曖昧だけど……大丈夫なの!」  ぐっと握りこぶしを作ってそういう雛苺を見て、苦笑をもらす巴。  「ボースと中村屋のインド式カリー!」  「へ?」  いきなりの雛苺の言葉に、唖然とする巴。  ボウズと中村屋のインド式カリーがどうしたのか? と思う。  「坊主?」  「違うの! ボースなの! インドの独立運動家ラス・ビハリ・ボースなの!  ガンジーは無抵抗派なんだけど、ボースは武力革命派なの。ボースは日露戦争の日本の勝利に影響されて  独立運動を志すのよ」  「へぇ……」  「ボースは、第一次世界大戦の時に日本に亡命してきたのよ。  詳しい年号はわすれちゃったの千九百十五年に東京の上野精養軒って言うレストランで、  在日インド人主催の大正天皇祝賀会が開かれたのインドとの交歓をかねて開かれたのよ。  其処に、ラス・ビハリ・ボースが居たのボースは、当時のイギリスによるインド支配の不当を責め、  インドの独立を論じて血を吐くような熱弁を振るったの」  何故か、段々と無表情になっていく雛苺。  どうやら、説明して行く内に感情の隆起が減少したためと思われる。  「これを知ったイギリス大使館は慌てたの……  イギリス側からボースらが逮捕令の出ている革命家である事を突き止め  日本政府に対し、五日以内の退去命令を要求。  彼らは第一世界大戦における日本とイギリスの共通した敵国である  ドイツと通謀して、反乱を企てていると言う言い分でなの。実にあほらしい言い分。  でも、日本は、イギリスと同盟国関係にあった為しぶしぶ要求に応じたの。  このニュースが伝わると、各方面から外務省に退去命令撤回を求めたのよ。  でも、外務大臣は抗議に応じず、ボースが五日以内に日本をでる船に乗れば、  途中で待ち構えているイギリス官憲につかまる事必須で、  尚且つ死刑になる事が決まってるような物なの……」  淡々と言う雛苺に、少しばかり戸惑いを覚える巴。  しかし、雛苺はそのまま話を進めていく。  「そこで、玄洋社と言う民間団体を主宰していた政論家の頭山満はインド独立に奔走している志士を  敵の手に渡して殺させる事は情においても、国の体面にかけても、断じて許せない。  と、言ってボースをかくまう事を決心したの。  ボースを頭山に紹介したのは、亡命中の中国の革命家……  巴も知ってる孫文の計らいによるものなのよ。  頭山は、日ごと新宿の中村屋でパンや菓子を買い、  そこの主人……相馬愛蔵とも顔なじみになったの  その日も、中村屋の店へ立ち寄ると、相馬は新聞を見て、  当時の日本政府のイギリスに対する弱腰に  憤慨していたところなのよ……万一の場合、ここにかくまっても言いと言ったのよ」  「頭山はさっそく計画を実行したの。まずボースほか一名は自動車に乗せられ  麻布霊南坂の頭山邸に運ばれたの……当然、警察官数名が尾行してきてたのよ。  入り口は見張られてるの。中に入った二人はすぐに服を着替えさせられて裏の断崖を下り、  坂下に出て其処に用意してあった自動車で新宿中村屋へ向かうの、  邸内では仲間の宮崎トウテンらが頭にターバンを巻いてインド人に  見せて刑事達の注意をひきつけていたのよ。  中村屋に到着して自動車を降りると待ち構えていた店員二人が  ボースらが脱いだ外套と帽子を身につけて、変わって自動車に飛び乗り、行方をくらましたの。  見事な、スケープゴートなのよ。  逃亡に成功したボースは、インド独立の為に奔走。  しかし、ボースは千九百四十五年の四月……インドの独立を目にする事無く  中村屋の人々に見とられて没する……」  ここで、いったん言葉を切る雛苺。  そして、にっこりと笑って巴に言葉をかける。  「だから、中村屋のインド式カリーはボースが伝えたものなのよ」  巴は、へぇ……と何とか頷いた。  雛苺はどこか満足げな表情をした後、巴の手を取って  うにゅー食べに行くのよ。と職員室へと歩いていった。  その際巴は、ちょっと躓いたが苦笑を浮かべて雛苺についていったのだった。
[[薔薇水晶先生が教えた事>教科書が教えない歴史『エルトゥールル号』]] [[水銀燈先生がめぐに教えた事>教科書が教えない歴史『二十八日間書き続けた男』]]  「薔薇水晶先生に教えてもらったのですが……雛苺先生も何か知ってます?」  そう突然に巴に尋ねられた雛苺は、えっ!? と驚いた表情を作る。  自分は、家庭科担当の教員であり歴史に事になると余り覚えていないのが現状である。  というか、昔ならった歴史の出来事すら覚えてない。  覚えてても、明治維新とかそこら辺だ……  しかし、こう尋ねられては答えねばならぬのが教師……  考えて考えて思い出して思い出して……あっ! と、思い出す。  「一つだけなら知ってるの!」  「本当ですか?」  「ちょっと記憶が曖昧だけど……大丈夫なの!」  ぐっと握りこぶしを作ってそういう雛苺を見て、苦笑をもらす巴。  「ボースと中村屋のインド式カリー!」  「へ?」  いきなりの雛苺の言葉に、唖然とする巴。  ボウズと中村屋のインド式カリーがどうしたのか? と思う。  「坊主?」  「違うの! ボースなの! インドの独立運動家ラス・ビハリ・ボースなの!  ガンジーは無抵抗派なんだけど、ボースは武力革命派なの。ボースは日露戦争の日本の勝利に影響されて  独立運動を志すのよ」  「へぇ……」  「ボースは、第一次世界大戦の時に日本に亡命してきたのよ。  詳しい年号はわすれちゃったの千九百十五年に東京の上野精養軒って言うレストランで、  在日インド人主催の大正天皇祝賀会が開かれたのインドとの交歓をかねて開かれたのよ。  其処に、ラス・ビハリ・ボースが居たのボースは、当時のイギリスによるインド支配の不当を責め、  インドの独立を論じて血を吐くような熱弁を振るったの」  何故か、段々と無表情になっていく雛苺。  どうやら、説明して行く内に感情の隆起が減少したためと思われる。  「これを知ったイギリス大使館は慌てたの……  イギリス側からボースらが逮捕令の出ている革命家である事を突き止め  日本政府に対し、五日以内の退去命令を要求。  彼らは第一世界大戦における日本とイギリスの共通した敵国である  ドイツと通謀して、反乱を企てていると言う言い分でなの。実にあほらしい言い分。  でも、日本は、イギリスと同盟国関係にあった為しぶしぶ要求に応じたの。  このニュースが伝わると、各方面から外務省に退去命令撤回を求めたのよ。  でも、外務大臣は抗議に応じず、ボースが五日以内に日本をでる船に乗れば、  途中で待ち構えているイギリス官憲につかまる事必須で、  尚且つ死刑になる事が決まってるような物なの……」  淡々と言う雛苺に、少しばかり戸惑いを覚える巴。  しかし、雛苺はそのまま話を進めていく。  「そこで、玄洋社と言う民間団体を主宰していた政論家の頭山満はインド独立に奔走している志士を  敵の手に渡して殺させる事は情においても、国の体面にかけても、断じて許せない。  と、言ってボースをかくまう事を決心したの。  ボースを頭山に紹介したのは、亡命中の中国の革命家……  巴も知ってる孫文の計らいによるものなのよ。  頭山は、日ごと新宿の中村屋でパンや菓子を買い、  そこの主人……相馬愛蔵とも顔なじみになったの  その日も、中村屋の店へ立ち寄ると、相馬は新聞を見て、  当時の日本政府のイギリスに対する弱腰に  憤慨していたところなのよ……万一の場合、ここにかくまっても言いと言ったのよ」  「頭山はさっそく計画を実行したの。まずボースほか一名は自動車に乗せられ  麻布霊南坂の頭山邸に運ばれたの……当然、警察官数名が尾行してきてたのよ。  入り口は見張られてるの。中に入った二人はすぐに服を着替えさせられて裏の断崖を下り、  坂下に出て其処に用意してあった自動車で新宿中村屋へ向かうの、  邸内では仲間の宮崎トウテンらが頭にターバンを巻いてインド人に  見せて刑事達の注意をひきつけていたのよ。  中村屋に到着して自動車を降りると待ち構えていた店員二人が  ボースらが脱いだ外套と帽子を身につけて、変わって自動車に飛び乗り、行方をくらましたの。  見事な、スケープゴートなのよ。  逃亡に成功したボースは、インド独立の為に奔走。  しかし、ボースは千九百四十五年の四月……インドの独立を目にする事無く  中村屋の人々に見とられて没する……」  ここで、いったん言葉を切る雛苺。  そして、にっこりと笑って巴に言葉をかける。  「だから、中村屋のインド式カリーはボースが伝えたものなのよ」  巴は、へぇ……と何とか頷いた。  雛苺はどこか満足げな表情をした後、巴の手を取って  うにゅー食べに行くのよ。と職員室へと歩いていった。  その際巴は、ちょっと躓いたが苦笑を浮かべて雛苺についていったのだった。  レスには書かなかった備考。  ボースが教えたインド式カリーは今も、新宿中村屋に存在します。  また、新宿中村屋にインド式カリーについての歴史も紹介されています。

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