ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki

盗撮

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男子A「ダメだ…穴なんか1つも無い…。てか、ほとんど要塞だろ…これ…。」
男子B「カメラ付けて、ラジコンヘリ飛ばすにしてもなぁ…。多分、すぐ打ち落とされるだろうしなぁ…。」
ある日の午後、家の中で何かについて相談しあう有栖学園の男子生徒たち。
その中央には、学園の見取り図が広げられていた。
男子A「ここに、レントゲン車が止まるだろ?…で、ここが更衣室からの通路…なんだけど…。有刺鉄線に、監視カメラ…それに蒼星石先生のファンの女子数十名…。なんでもアリじゃねーか…。」
男子B「あーあ…せっかく当日の配置図まで手に入れたのになぁ…。」
そう言い、がっくりとうなだれる生徒たち。
どうやら春の健康診断の際、『女性はブラを取ってレントゲンを撮らなければいけない』という話を聞きつけ、このような作戦会議を開いていたようだ。
しかしその鉄壁の守りの前に、戦う前から戦意を喪失してしまったようだ。
「やめやめ、解散解散。」と見取り図をたたみだす1人の生徒。
その時、今まで黙って話を聞いていたもう1人の生徒が、静かにこう言った。
男子C「…なぁ…。『ターゲットが誰でもいい』って言うのなら、何とかなるんじゃないか…?」
その発言に、その場にいた者たちは全員釘付けとなった。


男子A「…おい、こんなところで油売ってる場合じゃないだろ!?もうすぐ、健康診断終わっちまうぞ!?」
作戦決行当日、例の3人組は何故か教室にいた。
もう時間が無いと、焦った様子で『発案者』に耳打ちする男子生徒。
その様子に、彼は落ち着いた様子でこう言った。
男子C「…大丈夫だよ。動くのは俺らじゃないし。外側がダメなら、内側からってね。」
男子A「は!?マジで!?でも、中にいるのは医者含めて全員女だろ!?そんなの、協力するヤツなんて…」
?「…『ヤツ』だなんて、失礼な呼び方止めてくれるぅ…?もう少し、この私に対して敬意を払って欲しいわねぇ…。」
その声に一斉に振り返る一同。そこには、時計型のカメラをぶら下げ、意地悪そうに笑う女性の姿があった。
水銀燈「…ほら、多少画像は悪いけど、ちゃんと撮れてると思うわよぉ。」
恐る恐る彼女からそれを受け取ると、生徒のうちの1人がこんな質問を投げかけた。
男子A「あ…ありがとうございます…。で…お、お金はいくら位支払えば…」
水銀燈「ん?映ってるのは真紅よ?あんなブサイクに、お金を払う必要なんて無いわぁ…♪その代わり…」
男子A「そ…その代わり…?」
水銀燈「その画像、ネットで流しちゃいなさぁい♪」
一同「…は!?」
とても教師とは思えないその発言に、一同は「何が彼女をそこまでさせるんだろう…」と感じずにはいられなかった。


男子A「…ま、流す流さないは別としても、上手くいって良かったな!!」
喜びを素直に表現しながら、彼は実に幸せそうにそう言った。
水銀燈先生本人は、真紅先生のことを『ブサイク』と罵っていたが実際はそんなことはなく、むしろ、かなり美人の部類に入る…。
それがまさか無償で手に入るとは…。
男子B「おい、いいから早く見ようぜ!!」
男子C「いや、やめとけって!放課後、またコイツの家で…」
?「…騒々しいわね。一体何を騒いでいるの?」
噂をすれば何とやら…その時、廊下の影から彼らにとって今最も会いたくない者…つまり真紅がスッと姿を現した。
慌ててカメラを隠す生徒。しかし、学園一規則に厳しい彼女はそれを見逃さなかった。
真紅「あら?今、何を隠したの?出しなさい。」
男子A「い、いや…先生は見ないほうがいいと思いますよ…なぁ?」
男子B「そ、そうそう…ショックを受けるというか…イテッ!」
余計なことを言うなと、別の男子が彼の脇をつつく。
その時、ふと思い立ったかのように1人がこう言った。
男子A「…まぁ、ショックは受けるかも知れないよな。自分の貧…イテッ!!」
男子B「バ、バカ…!余計なこと言うなよ!プッ…ククククク…」
その言葉につられ、必死に笑いをこらえる生徒たち。その様子に、真紅は眉毛を吊り上げながら静かにこう言った。


真紅「…一体、何がおかしいの?そんなに面白い事があるのなら、みんなにも披露してあげたら?」
男子A「い、いや…披露してもいいですけど…なぁ?」
男子B「流石にマズいよな!?こればっかりは…」
その瞬間、真紅は彼らの背後にすばやく回りこみ、彼らが必死に隠していたものを回収した。
これ以上、話し合いをしても時間の無駄…。それに、さっきからこの子達は、私を小ばかにしたような態度を取り続けている…。
これは、久しぶりに大きなお説教が必要らしい。
真紅「…なるほど。こんなものを学校に持ってきていたわけね。で、一体何をそんなに必死に隠していたのかしら?」
そう言って、彼女はカメラを起動させ、中に入っている画像を検めようとした。
生徒たちの明るい表情は一転し、みるみるうちに真っ青になっていく。
しかし、それは彼らだけではなかった。
無表情のまま画面を眺める真紅。気丈にも目の前の現実を受け入れようとしてはいるものの、その目にはうっすらと涙がたまっているようにも見える。
そして、おもむろにカメラを床に叩きつけて破壊すると、彼女はそのままどこかへ行ってしまった。
…後には、壊れたカメラとその持ち主たちだけが、その場にとり残された。


雛苺「ねー、今日も真紅…学校にこないの…?」
蒼星石「うん…。どうしても行きたくないってさ…。」
あれから1週間、彼女はずっと学校を休み続けていた。
残されたほかの教師たちはその原因が分からず、彼女の対応に四苦八苦していた。
一方、この混乱に乗じてその勢力を急拡大させたものもいる。
…水銀燈だ。
彼女にとって、『災い転じて福となす』とはまさにこの事…。生徒たちから話を聞いた時は流石に身の危険を感じたものの、どうやらそれは杞憂に終わったらしい。
しかも、真紅の変わりに彼女が臨時で英語を教えることにもなった。
今まで、あの子はなかなか学校を休んでくれなかったために、その授業を乗っ取る機会などめったになかった。
しかし今回、彼女は当分学校に来そうもない…。
加えて、この間必死で読み漁った教育本のおかげで、生徒たちの間にも私の人気が広まっているようだ。
そして…もしこれで真紅が学校を辞めるようなことがあれば…
水銀燈「…私の勝ちね…。」
誰に言うでもなく、彼女は1人屋上でそう呟いた。
これほどまでに完璧な勝利など、過去にあっただろうか?
そりゃあ、昔には受験で真紅よりもいい学校に合格したこともあったし、細かい勝負では何度も勝っている…しかし、これほどまでに完璧なものは…
水銀燈「しかし…終わってみると、呆気ないものね…。」
最初は彼女の『不幸』に手を叩いて喜んでいた彼女だったが、時が経つにつれある心境の変化が生まれてきた。
…何か、目的の達成よりも、その過程のほうが面白かった気がする…。
そう…真紅を小ばかにしたり、時には本気でやりあっていた頃のほうが…
それに、あれ以来胸のむかつきも収まらない…。何というか…後味が…
水銀燈「…全く、これだからお馬鹿さんは嫌いなのよ…」
そう言うと、彼女は車のキーを取り出し、彼女の家へと向かった。


水銀燈「真紅ー、いるのなら早く出てきなさぁい。」
玄関のドアを『非合法な方法』でこじ開けると、彼女は部屋の電気を手当たり次第につけ始めた。
暗闇から一斉に解き放たれる室内。そこには、ベッドの上で膝を抱えて座る真紅の姿があった。
水銀燈「はい、見ぃつけた♪なーに、電気もつけないでそんな…」
真紅「…帰って…。」
水銀燈「ん?今来たばっかりでしょう?少しぐらい話を…」
真紅「いいから帰って…!あなたが黒幕だって事ぐらい、私には分かってるんだから…!」
その時、真紅の瞳から涙があふれ出した。その今まで見たことの無い光景に、水銀燈は少し動揺しながらもその間違いを正そうとする。
水銀燈「…悪いけど、それは違うわ。私はあの子達に…」
真紅「もういいの…。あなたが、相変わらず私のことを嫌っているのは知ってるわ…。でも、もう満足したでしょう!?これ以上、私を苦しめないで…!!私はもう…」
水銀燈「話を聞きなさい!!」
真紅の悲痛な叫びを遮るように彼女は声を張り上げ、さらにこう言った。


水銀燈「…言っておくけど、あの子達はまだカメラの中身を見ていなかったそうよ?大体、あなた最後の最後まで下着を取らなかったじゃない。それは自分でも確認したでしょう?…全く、下着姿ごときで情けない…。」
真紅「…う、うるさいわね…。大体あなたが…」
水銀燈「それに、あなたがいないと学校に張り合いがなくてつまらないでしょう…? ほら、みんな待ってるわよ。早くしなさい。」
そう言うと、彼女は真紅の手を引き、学校へと急いだ。
ま…たまにはこうやって情けをかけてやるのも悪くない…。
千載一遇のチャンスを逃したことに対し、彼女は先ほどした行為を自分の都合のいい様に解釈した。
そう…それは『勝者』にだけ与えられた特権…。
車の中で、早くもその勝利に酔う彼女に対し、真紅はこんなことを考えていた。
…さっき、『下着姿ごとき』って言ったわよね…?じゃあ、自分の時もそんな事が言えるのかしら…?
真紅「…ふふ…ふふふふふ…」
水銀燈「…?なぁに?ついに、頭までイカれちゃったのぉ?」
その様子に、水銀燈はのん気にそう呟いた。
この詰めの甘さ…それこそが彼女の最大の弱点であること…そしてそれは最大の強みでもあることを、本人は今も自覚しきれていないようだった。


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