ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki

初恋は74式

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
雪華綺晶は、陸上自衛隊の駐屯地をフェンス越しに覗いていた。
「……」
視線の先には、陸上自衛隊が誇る第3世代主力戦車"90式"が居座っていた。
「時代は変わったな」
74式の滑らかな曲線装甲は、レオパルドのような垂直装甲に変わっていた。
自動装填装置の追加、射撃統制装置の改良、日本の誇る技術をふんだんに盛り込んだ純国産の戦車である。
「一度は乗ってみたいものだな」
「先輩?」
雪華綺晶が90式に見とれていると、ふと声をかけられた。
「雪華綺晶先輩、生きていたんですね」
フェンスの向こうに隊員が居た。
雪華綺晶の一年後に陸自に入ってきた中村だった。
「中村だな? 久しぶりだな」
「えぇ、本当に」
中村も、雪華綺晶と同じ砲手を志望して陸自にやってきた。
成績はひどいものだった。
演習弾が教官の戦車に飛んできたこともあった。
「あの90式はお前のものか?」
「いえ、僕は戦車学校の教官になりました」
静止射撃もろくにできなかった人間が教官とは。
雪華綺晶は微笑した。
「しかし、どうしてこんなところに? アメリカ軍は辞めたんですか?」
「あぁ、近くの学校で普通の教師をしている」
「先輩が? まさか陸自式で生徒をしごいてるんじゃ……」
「想像に任せる」
陸自式、むしろナチス式の教育をしていたかもしれない。
雪華綺晶は図星だった。
「でも、生きて子供たちに勉強教えてるって聞いて安心しましたよ。エイブラムスに乗ってT-72をやっつける! って言った時には驚きましたよ」
雪華綺晶の妹の方が、驚き、心配していただろう。
「アフガニスタンと”イラクの自由”にも参加したんですか?」
「私は湾岸で引退した」
湾岸戦争の後、アメリカはアフガニスタンと再びイラクに侵攻した。
結果はニュースで報じられているとおり、ひどいものだった。
「なぁ中村、職業講和の時にお前を呼ばせてもらうぞ」
「えぇ? 本当ですか? 緊張するなあ」
中村は照れていた。
「中村教官! よろしいですか?」
奥の90式のハッチが開かれ、隊員が顔を出した。
「あぁ、ちょっと待っていろ。では先輩、失礼します。また覗きにきてください」
雪華綺晶は敬礼で中村を見送った。

後日

「職業講話ということで、近くの陸上自衛隊駐屯地から隊員さんをお呼びしました。ちなみに、私の後輩です……」
えぇー、と生徒から声があがる。
「本当ですよ? いやぁ、とんでもない先輩でした。僕のご飯を全て奪ったり……」
と、中村。
雪華綺晶の鋭い視線が中村に突き刺さる。
「と、と、まぁ昔話はここまでにして……」
(中略)
「以上で職業講話を終了します。中村三尉に拍手を」
職業講話は、無事に終了した。

「雪華綺晶先生、あの人って先生の彼氏ですか?」
一人のある男子生徒が、終礼後に質問に来た。
「ねぇ、A君……」
沈黙が流れた。
「私の戦車(くるま)洗ってくれるかしら?」
その男子生徒は、一週間のレオパルド磨きの任についている。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

目安箱バナー