通●生活
「…カザト、どーしても行ってしまうにゃ?」
「うん」
「どーしても、どーしてもにゃ!?」
「うん。仕事だからね」
「どーしても、どーしても、どーしてもにゃあああ!?」
「うん。ごめんね、ミルサ」
「謝って欲しいんじゃないにゃああああああああん!!」
とうとう泣き出してしまった恋人を前にしても、カザトは微塵も慌てたりしない。
慣れているのだ。にこにこと呑気に笑いながら、滝のような涙を流し続けるミルサを見守っている。
これは毎朝恒例の儀式のようなものだった。
5分ほどしてようやくしゃっくりが止まりかけたころ、カザトはうんと優しく微笑む。
ミルサのやわらかいオレンジがかった金髪と、先っぽのほうに少しだけ黒いぶちの入った三角の耳を撫でてやる。
「じゃあ、行ってくるね。戸締りはしっかりするんだよ」
「ぐすっ…ふぁい」
まだ涙のなごりを残し、洟をすすりながらもミルサは頷く。
気持ちよく耳を撫でてくれたカザトの手に未練がましく尻尾を巻きつけ、それでも最後はちゃんと手を振ってお見送り。
――だというのに、今朝のカザトときたら。
「あ、ごめんごめん。大切なことを言い忘れてた」
「なんでまた戻って来ちゃうにゃあああああああああああん!!」
そしてまた、ふりだしに戻る。
※
ミルサとカザトは、どちらもネコの恋人同士だ。
もう200年ほどにもなるが、ずっとこの調子。ずっとラブラブ。
いい加減結婚して子供のひとりやふたりや10人や20人いてもいいのだが、何せミルサはこの通り、ちっともカザト離れが出来ない。
こんなお子ちゃまなことでお母さんになんかなれやしないというのが周りの意見で、それについては尤もだとミルサ自身も思っている。
「あたしがお母さんになんかなっちゃったら、子供が子供を育てるようなもんにゃー」
自分でそれを言うなと他人には言われもするが、カザトは笑顔で頷いてくれる。
彼はいつだって優しくて、ミルサの言うことを一度も否定したことがない。
カザトはマダラで、しかもネコの国でもちょっとは名の知れた魔術師だ。
つやつやの黒髪に黒い耳、大きなサファイアみたいに深いブルーの瞳は常に優しい。
背も充分に高いし、それにミルサはよく知らないけれど色んな功績があるらしい。
もちろん女の子にだってものすごくモテる。
だけど今までに一度も浮気したことだってない(ミルサは嗅覚が鋭いので誤魔化してもすぐに匂いでわかるのだ)。
それにどんなにわがままを言っても一度も怒ったことがない。
カッコよくて、自分のことだけを好きでいてくれて、何でもお願いを叶えてくれる。
これほど理想的な彼氏なんていないと、ミルサは本気で思っていた。
「おまけにエッチもうまいしにゃあ…くふふふふふ」
とはいえカザト以外の男の子とつきあったことがない(そもそも他に目がいかない)ミルサにとっては、上手いも下手もない。
判断材料がないし、考える意味もない。
カザトが本当にミルサを愛していることに間違いはないのだし、ミルサの心にカザト以外の男の子が入り込む余地は、微塵も、1ミクロンもないのだから。
人里離れた森の中の一軒家。白い壁に赤い屋根のちいさなおうち。
ふたりの愛の巣は、ミルサの希望をすっかり聞き入れたカザトがつくってくれたものだ。
機嫌よく鼻歌を歌いながら、ミルサは毎日ひとりでお留守番。
なにをしているのかといえば、掃除でも洗濯でも料理でもない。
朝までカザトと眠っていたベッドにもぐりこみ、彼が帰ってくるまでひたすら昼寝にいそしむのだ。
「にゅ~ん、ぬっくぬく~~~…すやすや」
ミルサはいわゆる家事というものをしたことがない。
彼女がやらなくても部屋も服もカザトの魔法(らしい)で常に綺麗になるのだし、料理もカザトが作ってくれる。
寝つきが悪いときは、本棚のカザトの本を開けば2分もたたないうちに寝てしまう。
ネコにとって眠りは至福の時間であり、つまるところ、これが理想の生活そのものと言っていいだろう。
「んん~…しあわせにゃあ~」
まだカザトのにおいが残る枕にふかふかと顔を押し付けて、世界一の幸せ者は臆面もなくつぶやいた。
そして今日も惰眠の海に沈もうとしている。
今朝のお見送りの際、カザトはこう言った。わざわざ戻って来てまでだ。
『あのねミルサ、今日はオレからプレゼントがあるんだ』
『…プレゼントにゃ?』
ミルサは首をかしげた。今日は特に何かの記念日というわけではない。彼女の308回目の誕生日はもっと先だ。
しかしカザトは相変わらず掴みどころのないふわふわ笑顔で続ける。
『そうだよ。オレが出てからちょっと後くらいに届くと思うんだ』
『ふぇ…でも、知らないひとが届けに来るにゃ?』
ミルサはひとりで家に居る時、絶対にドアを開けない。カザトとの約束だからだ。
曰く、『ミルサはとっても可愛いからね。強盗はもちろん、どんな聖人君子だってつい魔がさして、きみをさらってしまわないとも限らないだろう?』。
…勝手にやってろ、と他人は唾を吐くだろうが、もちろん他人の目などまったく気にしないカザトはぬけぬけと言ったものだ。
『心配いらないよ。今日オレがミルサにプレゼントするのは、すごい玩具なんだ』
『…おもちゃ?』
『うん。そいつは自分で鍵を開けて入ってきて、ちゃんと鍵を閉めてくれるからね。
わざわざミルサが自分で出て行って受け取る必要はないよ』
『へえ! すごいにゃ、賢いおもちゃにゃ!』
『そうだろう? オレが帰ってくるまで、先に遊んでてくれて構わないよ』
『わかったにゃ、カザトが帰ってきたら一緒に遊ぶにゃ! あたしが先に使い方を
憶えて、カザトに教えてあげるにゃー』
『そうだね。楽しみにしてるよ』
『はいにゃー! いってらっしゃいにゃー』
ミルサは突然のプレゼントにすっかり機嫌をよくした。
先ほどの涙などどこ吹く風、両腕と尻尾をぶんぶん振って愛しい恋人を送り出したのだった。
かくして数時間後、ドアの取っ手がガチャガチャと音を立てた。
ミルサは耳をぴんと立てたが、ベッドからは出ようとしない。
あくまでも安心しきって羽根布団にくるまっている。
なにしろこの家のまわりは鬱蒼とした森であり、近所に人の目もない。
家屋は小さくて平和で無用心そのものに見えるため、よく通りかかりの不心得者に目をつけられるのだ。
しかしそこは魔法使いであるカザトの住処である。
ひとたびドアを開けようとしたり窓から中を覗いたりすれば最後、恐ろしい結末が奴らを待ち受けていた。
具体的にその『結末』を知らされたことはないが、実際、ここ200年のあいだにミルサの安眠が妨げられたことは一度もない。
それどころか、この家にミルサとカザト以外の他人が入り込んだことすらないのだ。
――だというのに。
「おーい、ミルサぁ。いるか?」
突如そう呼びかけられて、さすがのミルサも跳ね起きる。
ゆうゆうとドアを開けて入ってきたのは、黒髪で青い目の青年だった。
(にゃーんだ、カザト…)
あまりにも見慣れた姿に安堵しかけたミルサだったが、敏感な嗅覚は真っ先に異変に気付いた。
「…誰にゃっ!?」
「なんだよー、ついさっきまで一緒にいたっつーのに。つれねぇなあ」
後ろ手で閉めたドアにしっかりと鍵をかけ、ベッドに歩み寄ってきたその男は確かに、『カザト』ではあった。
背格好も顔も声もなにもかもがカザトそのものだが、しかし目つきが明らかに違う。
深い優しさを湛えたブルーの瞳が、彼らしくない。皮肉げな、どこか嗜虐性を帯びた冷たい光だ。
どんなにそっくりに似せたとしてもそこは誤魔化せない。
しかも、その偽者には偽者たる決定的な証拠があった。匂いもさることながら。
「……嘘言うにゃ! おまえには耳もシッポもないにゃ!」
そいつはヒトだった。
家畜にも等しい落ちモノのヒト。
そんな輩が愛しいカザトの姿を模しているなんて!
怒りに燃えるミルサの前で、カザトそっくりのヒトは肩をすくめて笑った。
「残念でした。それでも俺はカザトなんだよ、ミルサ」
わけのわからないことを言いながら、ことさらゆっくりとベッドに腰掛ける。
硬直したまま動けないミルサにゆっくりと顔を近づけてきた。
「ち、近づくにゃ! ヒトのぶんざいで! …カ、カザト、カザト助けてにゃー!」
「だから、『俺も』カザトなんだって」
暴れて逃れようとする細い両手首を軽々と捕まえられる。
カザトを名乗る青年は、恐怖にぺったりと倒れたミルサの耳にかるく息を吹きかけた。
「ひぁっ…!」
あっさりと反応してしまうそこは、ミルサたちネコの弱点だ。
しかし『耳』を持たないそのカザトは彼女の反応が面白いらしい。しつこく熱い息を吐きかけるようにして、こう言った。
「カザトに聞かなかったか? 今日、おまえにプレゼントがあるってよ」
「そっ…れがどうしたにゃ…!」
「だから、それが俺なんだよ。俺はカザトからおまえへの、『プレゼント』」
ミルサの脳裏にカザトの言葉が蘇る。
『今日オレがミルサにプレゼントするのは、すごい玩具なんだ』
『そいつは自分で鍵を開けて入ってきて、ちゃんと鍵を閉めてくれるからね』
呆然と見上げるミルサに、『プレゼント』は思いきり悪い笑みを浮かべた。
そうだ、確かにこいつはさっき、あっさりと鍵を解除し、そしてまた鍵をかけた。
カザトの言葉どおりではないか。……ということは。
「なっ…なんなのにゃ!? おまえは一体…!」
「だーから、おもちゃだって。カザトがいない間、お前が退屈しないで済むようにね。
なあ、早く遊ぼうぜ? ミルサぁ」
自称おもちゃのカザトは依然としてニヤニヤ笑いを崩さない。
『オレが帰ってくるまで、先に遊んでてくれて構わないよ』
そうだった。本物のカザトもそう言ったはずだ。
「なっ…あ、遊ぶって…?」
「そうだなあ、別になんだっていいんだぜ? 俺はカザトだから、お前の好きなことをなんだってしてやる。
…まあ、俺としては」
ミルサの綺麗な長い髪に差し込んだ指先が、いやらしくうなじを掻く。
それだけで眼をとろんとさせてしまうミルサに『カザト』は、歯を剥きだして笑った。
「昨夜もお盛んだったんだろ? …せっかくだから、こっちのカザトともヤろうぜ」
「にゃにゃにゃ!? にゃにをバカなこと言ってるにゃーーー!?」
「びっくりすることねぇよ、カザトはそのつもりで俺と契約したんだからさ」
「け、契約!?」
「そうだよ。<カザトと完全に同一の存在になって、お前を楽しませる>って契約」
小気味良く話しながらも手はすいすい動き、あっというまにミルサは丸裸にされる。
気がついたときにはもうベッドに押し倒されていた。
電光石火の早業だ。そのうえ両脚を高く持ち上げられ、小さな胸の先に膝がくっつくぐらい折り曲げられる。
「にゃ…にゃにゃにゃ!? にゃにするにゃぁぁぁ~~!?」
「暴れんなって。…最初は…こうふるんらろ」
「ひ…っ! んん!?」
たっぷりと唾液を乗せた舌先で蕾を弾かれ、ミルサは全身をぴぃんと引き攣らせた。
そのまま肉厚の唇で吸い付かれ、ちゅぷちゅぷと音を立てられる。
「あ、あ…! あっ、にゃっ…!」
時おり軽く当てられた歯でしごかれ、そうされるのが大好きなミルサはもう抵抗できない。
片方の手で小さな胸をわし掴みにし、やわやわと揉みながら、指で挟んだ桃色の先端をときおりキュッと刺激される。
(にゃ、にゃぁ…なんで…!?)
カザトだけが知っているはずの、ミルサが喜ぶ技巧をさんざん尽くされる。
お尻の割れ目を垂れ落ちていくぬるい体液が尻尾の付け根を濡らし始めたころ、
「お、いい感じ。じゃあ、もう挿れちゃっていいかなー?」
「にゃあああ! ダメにゃああああああ~~~!!」
「おーい、そこは全力で『い●ともー!』だろうが、常識的に考えて。ノリ悪ィなー」
「何わけわかんにゃいこと言って…にゃっ!?」
入り口付近をぐちゅぐちゅとかき回していた2本の指を抜き、『カザト』はいきり立って太い血管を浮かせた自分のものを取り出した。
ミルサは思わず目を疑った。
それは今までさんざん受け入れてきたカザトのものと、やはり同一のものに見えたからだ。
「見たくらいじゃわかんねーだろ? …うらっ!」
「にゃ…ああぁあぁんんっ!!」
ずぶりと奥まで突っ込まれたそれは、やっぱりカザトだった。
ミルサにはそれがわかるのだ。
まっさらだった初めてのころから少しずつ、カザトの形に合わせて目覚めていった性感帯の全てが、ひとつも外れることなく反応していた。
「にゃ…あ…っ…」
「これでわかっただろ? 俺はカザトなんだって」
声もなく、はくはくと口を開け閉めしているばかりの彼女を真正面から抱きしめた『カザト』は、まるでネコのように喉で笑った。
そして容赦なく激しい律動を開始する。
「にゃっ、にゃ…にゃぁあぁああんっ!」
――乱暴に揺さぶられ、快感に霞む視界の中に、いつのまにかカザトがいた。
「にゃ…ぁ、カザト…!」
いつ入ってきたのか。いつから見ていたのか。なぜ助けてくれないのか。
無意識に、たすけて、と言おうとしたのに、その青い深い瞳はいつものように優しく笑っている。
怒るでもなく、嫉妬に狂うでもなく、揺さぶられるままのミルサを穏やかに見ている。
「気持ちいいかい、ミルサ?」
「気持ちいーよなー? な、ミルサ?」
言葉もないミルサに代わり、首筋に唇を押し当てたまま『カザト』が言う。
「にゃあぁ! あっ! …あぁ…カザ、とぉ…!」
「大丈夫だよ、ミルサ。彼は、オレだから」
「そ。俺はカザト。カザトは俺。な? カザト?」
「ああ、そうだよ。彼はオレ。オレの姿をした可愛いミルサのためのお人形」
つじつまの合わない会話だったが、ふたりのカザトの間では通じているらしい。
いかにも楽しそうに顔を見合わせて笑っている。
互いを同じ名で呼び合っているにも関わらず、その笑顔はやはり対照的だった。光と影のように。
「ほら…ね。いい子だから…安心してイクんだ」
「おら、とっととイッて、もっと締め付けろっ!」
「んにゅ…ん、んん…っ、んーーーーーーーっ!!」
キスをしてくれるカザトの頭をかき抱き、舌を絡めながら、『カザト』に一番奥まで突きこまれる。
そしてあっけなくミルサは絶頂に駆け上がった。
※
「あんっ…にゃ…はぁぁ…」
数日が過ぎても、森の中の小さな家からは3人ぶんの声が聞こえる。
ふたりのカザトに前と後ろの穴を同時に犯されながら、ミルサは息も絶え絶えに喘いでいた。
「だいぶこっちのほうも慣れてきたね、ミルサ」
「あー、2本挿しなんてAVでしか見たことなかったけど、結構いーもんだなー」
ふたりのカザトは同じ姿で、てんで勝手なことを言う。
ベッドに横たわったカザトの上に仰向けで寝かされ、お尻に挿れられたあげく、覆いかぶさってきた『カザト』に前を埋められた。
この体勢のままもう何度もイカされている。
突然現れたもうひとりのカザトは、確かに声も体もカザトそのものだった。
他人の空似にしては出来すぎなほど似ている。
原型そのものも瓜二つと言っていいほど似てはいたのだが、さすがに細部までとなると無理がある。
それもそのはず、瞳の色やほくろ、声質の僅かな違いといった細かな差異は、魔術で補っているのだ。
ミルサは知らないことだが、カザトが日夜研究に励んでいる魔術というのが「変身術」である。
魔術の中でも最高度に位置するそれを、彼は着実に身につけつつあった。
隠密行動などでどうしても他者に見せかけたい場合、多くは幻惑の術でそれらしく『見せる』という方法を取る。
肉体を完全に別のものに作り変え、またそれを元に戻すなどという術は今のところない。
というよりほとんど不可能と思われてきたし、それを必要とされる局面もないといえば、ない。
しかし術者に必要も不要もない。誰も成功したことがないのなら、なおさら自分がやりとげてみたい。
そう考えて、多くの術者が今日も変身術の研究にいそしんでいる。
完成すればしたで、いくらでも使い道はあるだろう。
カザトはそんな彼らの熱意からは最も遠く隔たったところにいる男だった。
あまり研究熱心ともいえないし、人と競うことも好きではないし、いつもにこにこしていて争いごとには関わらない。
帰りもいつも定時で、どこにも寄り道することなくまっすぐに帰宅する。
おまけにフラスコやビーカーを扱うより、スープの鍋をかきまわしているほうが好きという有様だ。
にも関わらず、何を思ってか神はこの男に天啓を授けたらしい。
まだまだ未発達ではあるが、ある日突然、部分的に肉体を変化させる術を見出した。
それだけでも魔術者の誰もが目の色を変えるだろう。
しかし野心などひとつもない無欲なカザトは、それを自慢するでも駆使するでもなかった。
淡々と研究書をまとめ、金に困ったらどこかの金満家か、地位や名声を欲しがる3流の術者に売り飛ばそうとさえ思っていたのだ。
しかし転機は訪れた。
たまたま街中を歩いていて、通りかかった奴隷市場に自分そっくりのヒトがいるのを発見した。
面白ずくで買い取ったあと、極めて丁重にお願いしたうえで実験に協力してもらったのがそもそもの始まりだった。
「もぉ…、いやにゃ……こんな生活…」
ミルサを挟んだふたりのカザトは、華奢な肩ごしに眼を合わせてにやりと笑い合う。
そして計ったようなタイミングで同時に言った。
「「じゃあ、どんな生活がいい?」」
フェミニストのカザトと、サディストのカザト。
確かにこれはまったく凹凸のない、完全に満たされた性生活だ。
それをわかっているふたりのカザトは、ミルサの左右の耳にそれぞれ口を寄せ、同時に囁いた。
「「オレはずっとこのままがいいな」」
しかもひとりはヒトだ。この世界では人権もなく、身よりもない。
放り出されればのたれ死ぬか、死ぬより辛い目に遭わされる。この『お遊び』の参加は願ってもないだろう。
ミルサもどれだけ中に出されたところで妊娠することはないし、どれだけ抱かれても浮気にはならない。
何せカザト自身が「こっちもオレ」だと名言している以上、頑なに拒否するのも馬鹿馬鹿しいとすら思い始めている。
「うう~~~~…もう、どっちも意地悪にゃ~~~!!」
「「それは光栄」」
「ひ、あ、あああぁぁっ…!!」
同調の魔法を使っているのだろう。動きまで完全にシンクロしたふたりのカザトに翻弄され、ミルサはまた限界を越える。
しばらくは、こんな日々が続きそうだ。