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「ユリウスッ!よけてッ!!」

 一人の少女の叫び声が、しんと静まっていた森の中でこだまする。
 その声に少年がしゃがみこんだ。それと同時に少年の頭の上を獣の陰が通り過ぎた。
 少年は小さく舌打ちすると、銀に光る剣の柄を握って構えた。

 少年の目の前には数匹のコボルト、いわゆる人食い狼。
 奴らは数ヶ月なにも食べていないようで、肋骨がくっきりと浮かび上がるまでに見えている。
 やわらかい肉を目の前に、コボルト達はゆだれを垂らしながら口を大きく上げ、息を荒げていた。

 一匹のコボルトが少年に襲いかかった。少年は身をかわし、コボルトを斬りつけようとした。
 しかし、コボルトのほうもすばやく、その刃をなんなく避けた。
 するともう一匹のコボルトが、タイミングよく少年の背後を襲った。

「くっ…。」

 少年は片目を瞑りながら振り返り、襲ってきたコボルトを居あい切りで切り倒した。
 紅の鮮血が少年の服や頬に冷たく当たり、跳ね返って地に落ちる。
 先ほどまで銀色の閃光を放っていた剣の刃は、紅く奇妙な光を放っている。

 コボルトは、待っていましたといわんばかりに駆け出した。
 逃げたのではない。標的を替えたのだ。無防備のイヴに……

 一匹のコボルトが白い牙を闇夜のなかで光らせ、後ろ足で力強く飛び上がった。
 自分めがけて飛び掛る飢えたコボルトを目の前にして、イヴは目を見開いた。








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