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~エピローグ~
 ハロー、ハロー、聞こえますか?
「……ジッジジ………ジジッ……」
こっちは、夜です
「ジジッ……」
今日は天之川が綺麗に見えます
「……ジッジッ……」
そっちでは織姫と彦星は見えますか?
「ジー……」
もし、これが完成してるなら
「ジー……ジジッ」
真紅、君が聞いてる頃は、俺はもう、いい年だ
「ジジジ……ジジジジジジ」
もう少し、時間はかかるけど、必ずそこに行くから
「ジッ……ジッ……ジッ……」


「ジジッ……ロ……ジジッ……」

「ジッ……ハロー……ハロー……」

「ジッ……誰かいますか?」

「ジッジッ……織姫と彦星は……ジジッ……会えました」

「ハロー、ハロー……ジジジッ」


~完~


その時にはすでに、日が落ちきっていた
それでも、明かりがなくても周りははっきりと見える
いつもと違う、妙に明るい空を見上げた
今日は七月七日、織姫と彦星が一年に一度会える日
俺は二人の待ち合わせ場所を眺めた
「……おめでとう」
ゆっくりと無線機の電源を入れた

「……ジッ……ジジッ……」
電源は入ったが成功したかはわからない
でも、もし繋がっているなら、伝えたい
「ジッジッ……ジジッ」
ハロー、ハロー、ハロー


眩しい光が瞼を刺した
「ジッ……ジジッ……」
あのまま、眠っていたらしい
眠気まなこで、不格好な無線機を眺め、そして、立ち上がった
「次はロケットか……絶対に行ってやるからな」
日が昇り、晴れわたる空に誓った
その向こうで待っている、真紅のために


その時はただ、真紅の声だけでも聞きたかった
そんな、安易な考えから無線機を作ろう思ってしまった
買おうとしたが、宇宙にいる真紅の元に届くほどの高性能な物は学生の俺が買えるはずがない
あの時はゴミ集積場を、あさったりもした
どうしても、足りないパーツはバイトをして買ったが
正直、肉体は限界に近かった
それでも、真紅の顔を思い浮かぶ度に頑張れた
真紅が居なくなった、今だから分かる
きっと俺は、真紅が好きだったんだ


適当に集めた材料を鞄に積めて、手頃な場所を探した
そしたら、この町で一番高い山に来ていた
きっと、少しでも、真紅の側に居たかったのだろう
集めてきた材料を闇雲に地面に散乱させ、手探りで製作に取り組んだ
ただひたすら、真紅の声を聞きたいがために、夢中になっていた

不格好ではあるが、ついに、出来上がった



「薔薇学の制服……着てみたかったのだわ」
「お前なら、入れるよ」
「ジュン、私ね……」
激しい戦闘機の音が真紅の声を掻き消した
「凄いな、あれが宇宙で戦ってるなんてな、どうせ、パイロットになるやつとは雲泥の差だけどな」
世界を活気づけるためか、ローザミスティカのレプリカ機が毎日のように飛んでいるが
実際、騒音でしかない
「……ジュン、私……」
真紅は俺の耳元に唇を近付けて囁いた、その声が震えていたのは今でも忘れない
「私……アレに乗るの」
俺の肩に真紅の手の震え伝わるのが感じる
多分、今、いつ落ちてもおかしくない位、不安定な状態だろう
それでも俺は、真紅の方を振り返る事なく、自転車を進める足を止めなかった
何を話したらいいか分からず、特に会話のないまま、俺は真紅を家に送った

そして、次の日にはもう、真紅はアレに乗るって宇宙へと飛びたった
真紅はもう居ない、それでも頭から真紅が居なくなる事はなかった


だから、なのかは分からないが




 中学校、最後の冬
俺たち学生は受験と言う、最後の難関にぶつかっていた
俺は近くにある、レベルの低い学校に行こうと思っていたから、ろくに勉強もせず、同じ様な考えの奴らと遊んでばかりだった
俺には同い年の幼馴染みがいる
真紅は、中3になってからは受験勉強を頑張ってた
行きたい学校でも、あるのだろう

「頑張ってるな」
「まぁね」
うすうすだが、ここ最近、真紅から違和感を感じていた
それでも、一生懸命に頑張る、真紅をみていたら気のせいだと思い込んでいた
「まぁいいのだわ、ジュン、せっかくだから私を送りなさい」
「はいはい」
「……まったく」
今日は何時ものような返事が来なかった
たまには、そんな日もある、それが今日だっただけだ
俺は適当に理由を付け、足早に教室を後にし、自転車の後ろに真紅を乗せた
「いいか?」
「大丈夫だから、早く行くのだわ」
「りょーかい」

真紅の帰り道は薔薇学園の前を必ず通る
薔薇学園を通る時、真紅はじっとそこを見ていた
「そんなに見て、着たいのか?」
今の真紅では薔薇学園に入ること不可能ではない
だから、あんなに勉強を頑張っていたんだし




~プロローグ~
 俺の周りの世界は平和だ
数十年前に地球の近くで、謎の生命体が発見され
いま現在、ラプラスと言われる、そいつらと地球の戦いが続いている
戦いと言っても、場所は宇宙でしか行われておらず、昔はラプラスの存在すら疑っていた

俺は自分の通う、薔薇学園の制服を身に纏い
学校生活、最後の締め括り、卒業式へと向かった
将来については無事に決まっているからか、余裕は少しあった
けど、不安の方が大きかった
あの頃、自分には関係の無いことだと思っていたが
卒業したら、俺は士官学校に行く

何故、そんなところに行くのかと言うと、宇宙に行くためだ
宇宙に魅せられた奴らは何人も居る
俺もそんな一人だと思ってもらえればいい
実際の所は、ある人に気持ちを伝えるため
七光年先に居る彼女に、想いを伝えるためだけに入った
これは、戦争だから人員不足になれば、すぐに会えるかもしれない
それでも俺はもう、18歳だ
彼女はまだ、16歳
きっと会える頃には俺はもういいおじさんだな

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