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私が、Teegesellschaftでアルバイトを始めてから、
二ヶ月くらい経ったかしら。
場所が場所だけに、新規客はあまり見かけないけれども、常連は多いわ。
薔薇水晶さんは、無口なほうだけれども、決して悪い人ではないわ。
むしろ、アルバイトの人をよく気にかけてくれるのだわ。
紅茶の葉の状態や淹れ方の作法、覚えることは多いけれども、
こういうのも、楽しいものね。
自分で淹れた紅茶というのも、中々味わい深いものだわ。
扉が開く。常連さんだわ。
紅「いらっしゃいませ。」
客「いつもの」
いつものテーブルに座り、そういったわ。
紅「かしこまりました。少々お待ちください。」
薔薇水晶さんに注文を伝えたのだわ。
調理は彼女の仕事だわ。だけれども、今日は違ったわ。
薔「……淹れてみる?……」
紅「え、……私が淹れていいのですか?」
薔「……うまくなったから……」
紅「はい、がんばります。」
薔薇水晶さんが、私の腕を認めてくれたわ。
私は、薔薇水晶さんとジュンから教わったことを思い出しながら、紅茶を淹れたわ。
お客さんは、いつものように文庫本を読んでいたわ。
紅「おまたせいたしました。」
しばらくして、お客さんがカップを口に運んだわ。
どうかしら。私の紅茶は大丈夫なのかしら。
お客さんは、何も言わずに紅茶を飲んだあと、帰ったわ。
紅「私の紅茶、大丈夫だったのでしょうか?」
薔「……いつもの時間を過ごして貰った……それで十分……」
紅「……そうですね。そうですよね。」
今日、私はいつもより満足した気分で店を後にしたのだわ。
ジュンに、聞いてもらいたい。
ジュンは、喜んでくれるかしら?
 
僕は、いつも通り、水銀燈と紅茶を楽しんでいる。
最近、彼女はよくお茶菓子を持ってきてくれる。
これがまたおいしい。
お茶の時間は、真紅の時とは違い、
静かに楽しむといった雰囲気ではないけれど、
他愛もない話をしながら、飲む紅茶も悪くない。
僕は、楽しそうな水銀燈の笑顔が好きだったりする。
そんな楽しい時間を邪魔するかのごとく、部屋の電話がなる。
ちなみに、地味にお金がかかるから、携帯電話は持ってない。
ジ「ちょっと、電話出てくる。」
誰だよ、せっかく楽しんでるのに……。気分を害された。
そう思いながら、受話器をとる。
ジ「もしもし」
紅「もしもし」
いつもよりも、どことなく嬉しそうな声だ。
ジ「真紅か。
  お前からかけてくるなんて、珍しいな。
  どうしたんだ?」
紅「今日、Teegesellschaftで、
  薔薇水晶さんの代わりに、初めて紅茶淹れたのよ。」
ジ「おぉ、薔薇水晶さんが認めるほど上達したんだ。おめでとう。」
薔薇水晶さんは味にはこだわる人だから、
薔薇水晶並みにおいしいのが淹れられるようになったんだろう。
紅「あなたが色々教えてくれたからよ。
  ありがとう。」
ジ「べ、別にお礼なんて……」
紅「まぁ、私の下僕としては中々の働きだったわよ」
ジ「このっ!……ま、これで僕もお役御免だな。」
紅「……そういえば、そろそろアイスティーの季節ではなくて?」
ジ「ああ、そうだな。……あれ、お前熱いの専門じゃなかったっけ?」
紅「薔薇水晶さんに淹れてもらったけれども、
  アイスティーもなかなかのものね。」
ジ「あぁ、薔薇水晶さん、ほんと何でも上手く淹れるよな。」
紅「そうね……」
ジ「……ははぁ~ん、そっか、なるほどな。」
紅「……なによ?」
ジ「今度は、アイスティーのおいしい淹れ方を教えて欲しいわけか?」
紅「……ま、下僕が折角教えると申し出てるのだから、
  聞いてあげてもいいわね。」
ジ「このっ、口の減らない奴だな。
  ……まぁいい。アイスティーにも、色んな淹れ方があるんだけど……」
その後、簡単にできるものを教えて電話を切った。
他の入れ方はまた今度教えろとのご命令だ。
それはともかく、真紅の紅茶淹れる技術はそこまで上達していたのか。
今度、僕も、飲んでみたいな。
そんなことを考えてると、不意に後ろから声がかかった。
銀「あらぁ、楽しそうな電話だったじゃなぁい。
  誰からだったの?」
ジ「真紅から。
  ほら、僕の故郷のTeegesellschaftでバイトしてる……。」
銀「よく電話するの?」
ジ「あぁ、電話かけるようになったのは最近だけどな。」
銀「そう。でも、客が来てるのに長電話なんて失礼でしょ?」
不機嫌そうに、水銀燈が言う。
ジ「わるかったよ。水銀燈」
銀「……紅茶、ご馳走様。」
そういうと、水銀燈は足早に出ていった。
たしかに、失礼だったかな。
あんなに機嫌悪そうな水銀燈は、初めて見た。
……ちゃんと謝ったほうがいいな。
僕は、扉をノックする。
ジ「水銀燈?いるんだろ?でてきてくれないか?」
しばらくして水銀燈がうつむきぎみにでてきた。
ジ「さっきはゴメン。水銀燈のことも考えないで……。」
銀「ほんとよ、
  私の気持ちも考えないで勝手に盛り上がって……。」
うつむいたまま、彼女は答える。
なんか、彼女の声が変だ。
ジ「水銀燈?明日、暇か?
  よかったら、一緒に出かけないか?
  ちょっとぐらいなら、おごるからさ?」
水銀燈は、少し反応した。
あ、古典的だけど、物で釣るってやっぱり効くんだこれ。
ジ「水銀燈、駄目か?
  僕は行きたいんだけど?」
銀「わかったわ。それじゃ、また明日。」
少し、柔らかい声でそう答えてくれた。
機嫌、少しは直してくれたかな?
というか、僕がどこかに連れて行くってのも始めてだな。
……さて、どうしたものか。
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