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私の名前は金糸雀。この薔薇乙女学園の生徒。
金「もうこんな時間になっちゃたかしらー。」
誰もいない放課後の廊下を走っている。
何故私がこんなに急いでいるかというと、それは私の属している委員会のせいである。
私は風紀委員だ。
風紀委員といえば聞こえはいいがしていることは
・ゴミ拾い(掃除)
・草むしり
・教室の整理整頓
この三つがほとんどで言い換えれば美化委員である。
マンガや小説みたいに不良を取り締まったりなんてことはない。まあ不良が出てきても私には取り締まれるような力はないが。
私が急いでいるのはその一つである『教室の整理整頓』をするためである。
この教室の整理整頓は週に一回放課後に残って机を綺麗に並べたり、軽く掃除をしたりすることだ。
簡単そうだが掃除というのは皆でやるとはやいものだが、ただホウキではくだけでも一人でやると面倒なのだ。
また今日は先生に頼まれてプリントの整理をしていた。そのためこんなに遅くなってしまったのだ。
急いでいるのはそのためである。このままいくと帰える頃には真っ暗になってしまう。
さすがに暗い中帰るのはいやだ。だから急いでいるのである。
金「やっとついたかしらー。」
教室の前についた私はドアを開けた。毎週見ている光景。でも今日は一つ違うものがあった。
金「ジュン君かしらー。なんで寝てるかしらー?」
一人の少年が机につっぷして寝ていた。彼の名前は桜田ジュン。
クラスメイトで何回か話したことがあった。私はクラスの中では雛苺とよく話をするが、その雛苺と彼が話している時に話したことがある。
あまり自分から話しかける性格ではなく結構聞き役にまわることが多かったが、なんだかやさしい感じがした。その時から少々気になっていた。
彼に対するイメージはそんなところである。
ジ「う~ん。」
彼は体をゆすり、そして顔を上げた。どうやら起きたようだ。
金「起きたかしらー。おはようかしらー。」
こんな夕方におはようというものなんだが、私は彼に向かっていった。



ジ「あれ?俺なんでこんな所にいるんだ?」
まだ寝ぼけてるらしい。
金「あなたは今まで寝てたかしらー。で、今起きたかしらー。」
簡潔に今の状況を教えた。
ジ「え!?マジ?」
金「マジかしら。」
彼もやっと起きてきたらしい。
ジ「やっべ~。もうこんな時間かよ。早く帰らないと・・・って金糸雀はこんな時間になにしてるんだ?」
私の名前を覚えてくれたんだ。そんなに話した記憶がないので正直意外だった。
金「私は風紀委員かしら。そのお仕事の教室の整理整頓のために残っているかしら。」
そうだった。私も仕事しないと。彼ことで忘れてしまっていた。
ジ「そんな仕事があるのか風紀委員は。大変だな。」
金「大変かしら。だからはやくそこから動くかしらー。」
私も早く帰りたい。さっさと終わらせることにしよう。
ジ「・・・なんか大変そうだな、俺も手伝うよ。」
金「え!?」
彼は妙なことを言い出した。
ジ「だってお前も遅くなるのいやだろ。二人でやったほうがはやいじゃん。」
たしかに手伝ってくれるのは嬉しいが他の人に迷惑をかけていいのだろうか。
金「大丈夫かしらー。毎週やってることかしらー。」
さすがに悪いと思い私は断ったが
ジ「え?毎週やってんのか?」
彼は別のことに食いついた。そして彼はまた同じことを提案した。
ジ「だったらなおさらだ。今日ぐらいはやく終わってもいいだろ。手伝うよ。」
私の中の彼のイメージにお人よしというのが追加された。
金「ではお願いするかしらー。まず床を掃くかしらー。」
こうして初めて二人でやる掃除が始まった。


ジ「毎週こんなこと一人でしてるのか、すごいな。」
金「これだけじゃないかしらー、他の曜日にゴミ拾いもしてるかしらー。」
ジ「へー。」
他愛のない会話をして掃除はすぐ終わった。
でも、もう太陽は地平線に沈もうとしていた。
ジ「よし、帰るか。」
金「そうするかしら。今日はありがとうかしら。」
本当に彼には感謝したい。一人でやったら本当に真っ暗になるところだった。
校門まで一緒に歩く。校門に着いた時彼はまた妙なことを言い出した。
ジ「お前どのへんに住んでるんだ?もう暗いし送って行くよ。」
彼は本当にお人好しらしい。
金「さすがにそこまでしてもらうのは悪いかしら。」
そんなお人好しにお断りを申したが、
ジ「大丈夫だって暗い中女の子一人にさせるわけにはいかないからな。」
どうも無理なようだ。私もこの夕暮れの中一人で歩くのは正直怖い。そういう意味ではありがたかった。
金「ではお願いするかしら。」
結局彼の申し出をうけ一緒に歩く。
また他愛のない話をして歩く。
でも私は話の内容などほとんどわかっていなかった。ある一つの考えが頭を占めていたからだ。
なんか恋人同士みたい。
私はこれまで男の子と一緒に帰ることなんてなかった。
そのためどうしたらいいかわからなかったし、とても恥ずかしかった。
でも悪い気はしなかった。彼と一緒にいることが。
結局ほとんど何を話したかわからないまま家に着いてしまった。
金「ここかしらー。今日はありがとうかしらー。」
そういって私はそそくさと家に入ろうとする。


ジ「あ、そうだ。」
でも彼に呼び止められた。
ジ「来週も残るよ。」
金「え?」
また彼は妙なことを言った。私は振り返る。
ジ「いつも一人でやるのは大変だろ、俺帰宅部だから暇な時間はたくさんあるし。」
金「ええ!?」
本当に驚いてしまった。嬉しかったが、これ以上迷惑かけるわけには・・・でもまた彼と二人っきりになれる。この二つが私の中で戦っていた。
ジ「迷惑か?」
戸惑う私に彼は言う。そんなことはない。これ以上あたなに迷惑をかけたくないだけ。
でも・・・
金「じ、じゃあお願いするかしらー。」
私は彼と一緒にいたかった。
ジ「わかった。では来週も放課後残っているよ、じゃあなー。」
そういって彼は歩き出した。
金「さよならかしらー。」
私も別れの挨拶を送る。その後ドアを開け家に入ったら、玄関にみっちゃんがいた。
なんだか含み笑いをしている。まさか・・・
み「んふふ~、みてたわよ~。」
やっぱり。とたんに顔が熱くなる。
金「べ、別にジュン君とはなんでもないかしらー!」
精一杯否定する。本当になんでもない。本当になんでも・・・
み「へぇ~、あの子ジュン君っていうんだ~。」
みっちゃんはまだにやにや笑っている。
金「ただ、きょうの風紀委員の仕事を手伝ってもらっただけかしらー。」
まだみっちゃんには伝わらないようなのでさらに弁解する。


み「そうね~。確かにまだ何にもなさそうね~、でもあなたの気持ちがそうじゃないようね~。」
うっ。
そのみっちゃんの発言はおもいっきり図星だった。
金「そそそそそんなことないかしら~!!なんでそんなこというかしら~!!」
み「顔が嬉しそうに笑ってるわよ。」
気持ちを見抜かれ戸惑う私にみっちゃんはそう言って鏡を見せる。
本当だ。気づかないうちに私は笑っていたようだ。
み「カナちゃんもとうとう好きな子ができたのね~。しかもまた会う約束をするなんてやるじゃない。」
みっちゃんは心底うれしそうだ。
金「だ、だからまた風紀委員の仕事を手伝ってもらうだけかしらー。」
そう、仕事を手伝ってもらうだけなのだ。それだけのはずだ。
み「でも、ふたりっきりなのよね~。しかも放課後。」
金「だから仕事を・・・」
もうみっちゃんにはなにを言っても無駄だろう。軽くトリップしてる。
そんなみっちゃんを尻目に部屋へ向かう。
ふと来週のことを考える。
来週彼と会うときはもうちょっとおしゃれをしていこうか?
何かさしいれを作っていってあげようか?
どんな話をしよう?
・・・さっきから彼のことしか考えてない。
本当に彼のことが好きになってしまったようだ。

おしまい
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