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翠「そ、蒼星石、止めるです!」
蒼「翠星石ハアハアハアハアハア」
翠「蒼星石が変態になったですぅ!?」
ジ「な、何してるんだ?」
翠「ジュ、ジュン!」
蒼「ジュン君・・・空気嫁」
ジ「あ、ああ、悪い悪い・・・それじゃ」
翠「ま、待つです!助けるです!」
ジ「い、いや、けど・・・・・あ」
翠「な、何カメラを用意してるんです?」
ジ「・・・・・・録画しようと」
蒼「ジュン君・・・・後から是非テープを買わせてもらうよ」
翠「な、なに馬鹿な事を・・・」
蒼「ハアハアハアハアハアハアハアハアハアハア」
ジ「頑張れー」
翠「い、いやあああああ!?」



ジ「・・・美人双子の秘密の花園・・・うん、いいな」







「翠星石?ちょっといい?」

夜も更けてそろそろ眠りにつく時刻、ふと思い立って隣の部屋の扉を叩く。
別の部屋でもう寝ているかもしれないおじいさんとおばあさんの邪魔にならないように、
軽く叩いたのだけれど。残念ながら聞こえなかったのか、それとももう寝てしまったのか、
返事は聞こえてこなかった。どうしよう。
困ってドアノブをひねってみると、どうやら鍵はかかっていない様子。
ちょっと悪いかな、と思いながら、そっと扉を開いてみる。

「あけるよ~?」

小声で言いながら扉を押し開けていくと、
蛍光灯の白い光の中に、足の踏み場も無いほどの白いものが…!!

「!!?」

予想だにしない光景に、声にならない悲鳴が漏れる。
それらは大小さまざまな大きさで床一面を覆い、その白くて丸い、目も鼻も口もない頭を見せていた。
小さなものは手のひらサイズ。大きなものは抱えられそうなサイズまで。
とにかくただ白いそれらが床一面に立ち並ぶ姿は…なんというか、とても気持ち悪かった。



そしてそんな部屋の中心に、パジャマを着た翠星石が、居た。
窓の方を向いて…こちらに背を向けて座る翠星石。
彼女は白いものたちの中でも一際大きなサイズの、
下手すれば人間サイズほどの吊るされたそれに向かって一心不乱に手を合わせて、祈っていた。

「す、翠星石…?」

一瞬異様な光景に呑まれたものの、気を取り直して翠星石に声をかける。
少し声が裏返ってしまったが、この異様な光景を目の前にしては仕方のないことかもしれない。
ともかく、その声が部屋に響き渡るや否や、今まで一心に祈っていた彼女がゆっくりと振り向いた。

「み~~~た~~~で~~~す~~~ね~~~……?」
「うわああああああああ!!?」

半分だけ振り返り、ギラリと光る翠星石の赤い方の瞳。
気がつけば、僕は悲鳴を上げて廊下に座り込んでしまっていた。
彼女がその場から立ち上がって近づいてくる。足で器用に白い物達を除けて、どんどん近づいてくる。
そして、目の前に立って



僕に手を差し伸べた。

「まったく、なにやってるですか。人の顔見て悲鳴上げるなんてひどいですよ。傷ついたです」

なんでもない顔であきれたようにため息をつく。

「そ、そんなこといわれても。一体何をやってたのさ」
「見てわからんのですか」
「わからないよ…部屋一面に良くわからない白いのがたくさん並んでて、
 その中で一際大きいのに何か祈ってるようにしかみえないんだから…」
「わかってるじゃないですか」
「わからないよ!何処からどう見ても邪神だか旧支配者だか
 見ただけで発狂するようなあれやこれやに祈ってるようにしか見えないよ!」

翠星石がキョトンとした表情になった。

「よくわからないですけど、別に変なものになんて祈っちゃいねえですよ。ほら」

彼女は頬を掻きながら、かがんで白い物の一つを手に取った。
それを目の前に近づけて見せてくれる。

「これがなんに見えるですか」
「よくわからない白い物体にしか…ってこれもしかして」

よく見てやっとわかった。これは。

「わかったですか?まったく。どこから見ても「てるてる坊主」じゃないですか!!」

ガクリ。一気に力が抜けて僕は床にへたり込んでしまったのだ。



幽霊の正体見たり枯れススキというかなんというか。

「…うん、やっとわかったよ。っていうかなんでそんなにたくさん作ったんだい?
 いくらなんでも部屋を埋め尽くすほどっていうのは作りすぎだと思うんだけど」
「そりゃー…明日晴れて欲しいからに決まってるじゃないですか」

翠星石が、頬を赤らめてそっぽを向く。明日。そう、明日は二人で出かける予定だった。
折角の日曜日なんだから、どこかでデートでもしようか、なんて話を丁度夕飯の後にした所。
元々僕が部屋に来たのもそのことで相談しようと思ってきたはずだったのだ。

「そっか、それでてるてる坊主なんて作ったんだね」

自然と笑みがこぼれる。楽しみにしてくれる翠星石の気持ちが嬉しくて。

「な、なんですかその表情は!笑うなです!これでも真剣だったんですよ!」
「わかってるって。明日晴れるといいね…フフ」
「んな!その表情はバカにしてる顔です!幼稚だと思ってる顔です!」
「そんなことないよ。…かわいいなあ、とは思ったけど」
「なーーーー!!!」

翠星石の顔が真っ赤になる。これは怒っているのやら照れているのやら。
そんな彼女の様子がおかしくて、あははは、と笑うと、今度こそ本当にヘソを曲げてしまったらしい。

「も、もう怒ったです!これ全部逆さにして祈ってやるです!!」

そう言って、涙目になりながらてるてる坊主をひとつひとつ逆さに置きはじめてしまった。



「ご、ごめんって!冗談だってば!」
「うるさいですー!明日は朝から雨になるです!!」

さすがにそれは困る。慌てて翠星石を止めに入るが、聞く耳持たず。
どんどん逆さに並べられていくてるてる坊主。

「まってってば!ほんと、雨降ってほしくないから!だめだって!」

言いながら、逆さにされたてるてる坊主を端から順に元に戻していく。
しかし戻していった先から、翠星石にまたひっくり返されてしまった。
僕は負けじとそれをまたひっくり返す。
その不毛な戦いは、多分日付が変わるくらいまで続いたと思う。
さすがに疲れてしまった僕達は、
二人そろって白いてるてる坊主の山に囲まれながら部屋の中で寝転んでいた。

「はー…疲れたです。翠星石たちは何でこんな阿呆なことを…」
「そんなこと言ったって。折角のデートなんだから、雨降られたら困るじゃないか…」
「そりゃあそうですけど。でもいくらなんでもさっきの行動は不毛ですよ。阿呆ですよ」

翠星石が、疲れた顔で起き上がる。

「あー。もう、とっとと布団入って寝るです。
 明日ははやいですよ!蒼星石も早く起きるために寝るです!」
「うん、わかってるって」

言われて僕も起き上がったところでふと気がついた。



「あれ?まだ布団敷いてなかったの?」
「そうですよ。祈り終わったら布団を敷こうと思ってたとこです」
「でも、どうするのこれ。さすがに片付けないと布団敷くどころじゃないと思うんだけど」

部屋の畳を覆うのは、無数の白いてるてる坊主とその残骸。
此処に布団を敷いてしまっては、翌朝は布団の裏がすごい事になってしまっているだろう。
その事に気がついた翠星石の表情が固まった。しかし、すぐに諦めたような表情に変わって

「…もう片付けるのも面倒です。仕方ないから今日は蒼星石の部屋に行きます。一緒に寝るです」

そんな事を言い出した。もちろん僕は、

「わかった。それじゃあ一緒に寝ようか」

OKと言って、彼女と共に部屋を出る。
廊下に出て、先に僕の部屋に入っていったのは翠星石。
僕はといえば、電気を消して部屋を出る直前、暗い部屋に白く浮かび上がるてるてる坊主達に、
そっと手を合わせて祈っていた。

明日は絶対晴れますように!

<終>









「さて蒼星石」
「何だい翠星石」
「世間様ではごーるでんうぃーくとやらだそうですが」
「そうみたいだね」
「蒼星石はこんな話を知っているですか?ゴールデンウィークの起源です」
「1948年に祝日法が施行されてからこの間の映画館の入場人数が増大したからじゃないの?」
「そんなもんは後から取ってつけた理由です。本当の起源は1882年、明治15年まで遡るですよ」
「珍しいね、翠星石がそんな難しそうな話するなんて」
「うるせーです。この年の4月14日に今で言う早稲田大学が創設されたです」
「ふんふん?」
「そして創設の二週間後、4月28日ですね。校舎の建設に関った労働者に最後の賃金が支払われたわけですが」
「随分半端な日付だね」
「そこは気にしちゃ負けです。この時現金とあわせて支給されたのが、純金で作られたコインだったのです」
「…負けなんだ?そうか、僕は負けか」
「負けです。でもって、この建設に関った労働者は全国各地から来ていたです。その労働者たちは賃金を受け取ると家へと帰っていきました」
「まあ、当然だね」
「当然純金のコインも全国各地に散らばっていったわけです。遠い人では帰り着くまでに一週間もかかりました」
「大変だね」
「でまあ、この一週間で全国各地に金が散っていったという所から黄金週間と呼ばれるようになったです。これが起源ですね」
「へえ、よく知ってるね。早速明日皆に話してこよう」
「そうするがいいです。みーんなびっくりするですよ」

-明けて翌日-

「すーいーせーいーせーきー」
「おや蒼星石。怖い顔してどうしたです」
「歴史の先生に思いっきり論破されたよ!どうしてくれるのさ!!嘘つきにはおしおきだーっ!!!」
「っぴゃー!?そんなやめろです脱がすなですー!!おのれ金糸雀、ホラふきやがったですねー!!!」

「ふっふっふー。こうして翠星石の株が下がれば自然とカナの人気も上がるかしら!あーんカナってばなんて策士!自分で自分が恐ろしいかしらー!!」








 かちっ。
「ん……もう三時?」
「うっそ! 明日どーするですー?」
「××まで行くんだっけ……辛いなー」
「食べ歩きですよーぅ。あとー、服買ってアンティーク買ってー」
 もそ。
「起きられる?」
「……自信ねぇです」
 もそもそ。さらり。
「はぁ……」
「……ふー……明後日にしましょうか」
「いいの?」
 さらさら。
「起きるの一時くらいにして、爛れた朝と気だるい午後を楽しむですよ」
 くすくす。さらり。
「じゃぁ、そうしようか」
 もそ。






「蒼星石~、おままごとするですよ。翠星石がお母さんで蒼星石がお父さんですぅ」
「また僕が男役なの…?まぁいいけど」

「ただいまー」
「お帰りなさいです、あなた。ご飯にするですか?お風呂にするですか?それともわ・た・し?」
「?? えっと、それじゃあごはn」
「ちっがうです!ここは翠星石って言うところです!」
「わ、わかったよ。それじゃあ翠星石が欲しいな」
「/////嬉しいですぅ、それじゃあ服を脱ぐですよ~」
「!? 何で!!??」
「そういうのがセオリーとかいうもんだと絵本に書いてあったですぅ。その後は一緒に布団で寝るです」
「脱ぐ必要性がよく分からないけれど…」
「いいから寝るですよ。蒼星石、あったかいです…」
「翠星石もあったかいよ。なんだか眠くなってきちゃった…zzz」

その後、お婆さんに裸で一緒に寝ている所を発見されてびっくりされたりしたとか。











「雨だね」
「雨ですね」
「良く降るね」
「こう天気が悪いとなーんもやる気が起こらんですね」
「だからといって一日中寝てるのもどうかと思うけどね」
「だーって。気分が乗らないのに何をしろと言うですか」
「室内でできる軽い運動とかさ。運動不足は肥満の原因だよ」
「翠星石は太らない体質だから大丈夫です」
「…それ、真紅や水銀燈の前で言っちゃダメだよ」
「どうしてです?」
「翠星石は嫉妬の炎に焦がされたい?」
「…わかったです」
「よろしい。それにしても良く降る雨だね」
「あまり降りすぎると庭の草花がダメになっちまうです」
「本当だよ。乾きはまずいけど、過剰な水分もまずい」
「かといって今から鉢に移して室内に入れるのもなんですし。早く止むことを祈るだけです」
「……で、やっぱりベッドに寝転がるんだね君は」
「なーんもやる気が起こらんですもの」
「じゃあヤる気を起こしてあげよう」
「………なんで翠星石の上に覆い被さってるですか」
「もちろん、ヤる事をヤる為さ」
「気分が乗らねーって言ってるですのに」
「大丈夫大丈夫。僕に任せて」
「………はあ。仕方ない奴ですぅ………」
「楽しもう?雨も悪くないって思えるくらいにさ」
「………蒼星石」
「何?」
「ほどほどにするですよ………おめーが頑張ると翠星石は疲れて何もできなくなっちまうです」
「クス…了解」



「おやおや、またあの二人はじゃれあっとるのか」
「仲がいいですねぇ、本当に」
「全くじゃのう。外は冷たい雨だというのにこの家は夏のように暑いわい」
「ふふふっ。いいじゃありませんか、おじいさん」
「マツや」
「なんですか?おじいさん」
「ワシも、こう、なんというかその」
「……おじいさん、お年を考えなさいな」
「年など。わしは生涯現役だもんで」
「言葉遣いがおかしいですよ?お茶でも飲んで落ち着いてくださいな」
「エフン。ともかくじゃ」
「……仕方のない人ですね。ふふふっ」
「ワシは、ワシはハァッ!」
「あーれー♪」


終われ
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