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夕日が生徒会室に差し込んできた。
ふと時計に目をやると五時をさしていた。じっと長い針を見ていると、重なると同時に『夕焼け小焼け』が流れる。
「もうこんな時間かしら。ちょっと桜田くん!ちゃんと議事録は取っているのかしら?書記の貴方がしっかり
しないと、生徒会はきっちり進行しないのかしら!」
金糸雀は机をバン!と叩く。音に驚いてジュンはびくっとした。
「あ、ああごめんなさい、おね・・・すいません。生徒会長」
ジュンは慌ててノートに走り書きで今までの議事をまとめた。
「まったく・・・そんな汚い字でノートに書いてどういうつもりかしら。いいかしら?議事録は生徒会みんなが
・・・・くどくど」
(あーあ、また始まったよ。生徒会長の小言が。実の弟になんであんなに辛く当たるんだろう?
そう思わないか?笹塚?)
(え・・・うん)
金糸雀に説教されるジュンを不憫に思ったべジータが隣にいた笹塚に話しかける。
「ちょっとそこの二人!!なにをコソコソ話をしているのかしら!?笹塚くん!立っているのかしら!!」
「え・・・」
笹塚はなにも言い返せないまま、廊下へ行った。
金糸雀はくるりと生徒会メンバーを見渡す。一つ呼吸をおいた。
「じゃあ今日はこれで終わりかしら。各自今日の議題について十分に吟味してくることかしら。特に
桜田くんはノートを綺麗にまとめてくるのかしら」
本日の生徒会はなんの問題もなく終了した。

おい、生徒会長だ。お前、さよならって声かけろよ。
えー、どうせいつものスマイルで返されて、それ以上はないよ。
金糸雀さんは完璧主義だからなあ。
生徒会長よ。あいかわらずセンスのいいもの身に着けてるわー。
金糸雀さん。この前のテストでまたトップだったらしいわよ。
へー。大変ねえ・・・そういえばこの前も・・・

金糸雀は周りの生徒の小言など意に介さずに笑顔を振りまいて帰宅する。
何事もなかったかのように、我が家の玄関を開けた。
バッグをリビングのソファに放り投げ、足を速める。
「おねえちゃん。おかえり~。今日の晩御飯はおねえちゃんの大好きなオムレツだよ~」
ジュンがフライパンを片手に金糸雀のほうを振り向く。しかしジュンは、振り向かなければ良かったと思った。
「ジューーンーーーただいまかしらぁーー」
金糸雀が料理するジュンのことなぞ構わずに飛びついてきた。いきなりの姉の愛情表現にジュンは
フライパンの上のオムレツを落とさないように堪えた。
「今日はごめんねごめんねーかしらー。ジュンのこと嫌いじゃないのかしら!むしろ大好きなのかしら!!」
金糸雀はジュンに抱きついたまま、ジュンのホッペにキスをしまくる。
「ちょ、おねえちゃん。料理できないよ。それにリップクリームがホッペについて・・・あむ!!」
金糸雀はジュンの唇の中に己の舌をねじ込み、最大の愛情表現をする。
「んは!!もうなんて愛しいのかしら!!ジュン、ご飯食べ終わったらさっきの議事録、カナと
いっしょに書き直すかしら」
「わかったよ。わかったから、テーブルに運んで」
「了解かしらぁ~♪」
金糸雀は軽い足取りでテーブルに料理を運ぶ。
「じゃ、食べようか」
「ジュン」
金糸は満面の笑みで自分の隣をポンポンと叩く。座れ。とのことらしい。
いつものことなのでジュンは文句も言わずに金糸雀の隣に座る。腰を据えると予想通り、
ブラコンな姉は弟にしなだれかかってきた。
「おねえちゃん。せめて、ご飯だけは・・・」
ジュンが金糸雀の態度を注意すると、これまたいつもの通りむくれる。
「えーえー。やだやだやだ!カナはジュンにあーんしてもらいたいのかしらー!!」
金糸雀はジュンの胸をポカポカ叩く。
あーあ、またはじまったよ。と思ったジュンは仕方無しに箸でオムレツの卵の部分を金糸雀の口に運ぶ。
「おいしいのかしらー!ジュンは料理の天才かしらー!」
金糸雀の顔が緩む。
「はいジュン。あーん・・・」
金糸雀はジュンから箸を奪い取ると今度はお返しにジュンの口にオムレツを運ぶ。
ジュンは自分で作っておいて何だが、美味いと思った。
「お姉ちゃん。箸くらい自分の使うよ」
「えへへ。姉弟なんだから、そんなの気にしなくていいのかしら。・・・ホッペにお弁当さんついてるのかしら」
金糸雀はジュンの頬についてる米粒をはむっと食べた。そのついでにジュンの頬を舌で舐める。
「おねえちゃん!ちょっと気持ち悪いよ!」
姉の吐息に混じってオムレツの匂いがする。ジュンの頬を舐め終わった金糸雀はジュンの顔をガシっと掴む。
「んふふ~。この味は・・・嘘をついてる味かしら~」
姉の瞳を直視できない。
正直、金糸雀のようなかわいい女の子にここまで猫可愛がりされて、悪い気はしない。
「え、・・・うん・・まあね」
語尾が小さくなったが、ジュンは顔をポリポリと掻く。
「なんてかわいいのかしらー!!そうかしら!今日は久しぶりにお風呂に一緒に入るのかしら!
ジュンの成長っぷりをこの目でしっかりと確かめてやるのかしら~!!」
金糸雀は指先を口の前に置き、しししっと笑うと、ルンルン気分で食器を片付け始めた。
(久しぶりって、先週一緒に入ったばっかりじゃないか・・・。こんな生活、学校の奴らに知られたら
どう思うんだろうな。べジータなんておねえちゃんのこと、好きみたいだから砂吐くよな。きっと・・・それに)
ジュンは汚れてないままの自分専用の箸を見る。
(今日もまた未使用か・・・買ってから半年経つんだけど、一度も使ったことないんだよなあ・・・)
大きくため息をつくと、脱衣所から姉の呼ぶ声が聞こえてくる。
「ジュン~!脱がしっこしようかしら~!カナのナイスバデーを拝むチャンスかしら~!」
ジュンの足取りは重く、脱衣所へ向かった。


「おはようございます」
「おはようかしら」
「金糸雀さん。おはよう」
「おはようかしら」
キーンコーンカーンコーン。
「やっべ!遅刻しちゃう!!」
息を切らせるジュンの前に検問をしている金糸雀が立ちふさがる。
「桜田くん。3秒の遅刻かしら。生徒会役員が遅刻するなんて持っての他かしら!!後で生徒会室に
来るのかしら!!」
また生徒会長の弟イビリが始まったよ。と他の生徒会役員が気の毒そうな目線を送る。
「ささ!撤収かしら!!」
金糸雀は、授業に遅刻するかしら、と他の役員たちをけしかけると後ろで肩を落としているジュンに
ウインクを送った。
(ごめんね!大好きなジュン)
ジュンにはそう伝わった。

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