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あまりに事が一気に進みすぎることには危険も伴うが、それだけ好転するものは一気に好転する。

ジュンにキスされた水銀燈、それを見ていた雪華綺晶…
涙していた水銀燈も落ち着き、3人は昼食に入ることにした。
雪「さあどうぞ、お箸もナイフもフォークも揃ってますわ。遠慮なさらないでどんどんお食べ下さいまし」
ジ「お前の弁当はいつ見ても多いの一言に尽きる」
銀「…べっ別に私は要らないわ」
雪「じゃあお飲み物は?生憎ヤクルトしかございませんけど…」
銀「…」サッ コクコク
ジ「…(ヤクルト好きなんだ)」
雪「…(ヤクルト好きですのね)」
…と、こんな感じで、この三人は校舎の外での昼食を楽しんだ(?)のだった。

食堂で昼食を済ませた生徒達と同じ頃に教室に戻ってきた三人を見たクラスメイトらは驚いた。
あの最凶転校生が、ジュンと雪華綺晶と一緒に教室に入ってきたのだ。
しかも、何やら凶悪さが薄れていた彼女に、ジュンの取り巻き乙女達を始め、皆が違和感を抱き…
やがて驚愕した。一羽のカラスこそまだ肩に載せてはいたものの、水銀燈はもう刺すような眼も視線も
周囲に投げかけることなく、静かに自分の席に戻っていく。
午前中の水銀燈は、転校初日の不安を掻き消すために、わざと凶悪に振舞っていただけなのか…?と、
クラスメイト達は同時に考え、もしかしたら彼女もジュンたちを切っ掛けにして徐々にクラスに溶け込んで
くるかも…とも期待した。怖いもの見たさもあろうが、カラスを操る不思議な少女と懇意になりたいと思ったのである。
ベジータや他の男子生徒たちに「一体何があったんだ!?」と詰め寄られるジュンと、同じく女子生徒たちに
囲まれる雪華綺晶。二人がジュンの暴走…キスの事を明らかにしなかったのは言うまでもない。
…にわかに騒がしくなった教室から、また一人の少女がそこを後にした。

その頃。
水銀燈の下僕のカラス達は、校舎の上に集まって色々と話をしていた。
「あのきらきしょーとかいう人間こわかったねー」
「さっきなんか食べられちゃうかと思ったよ」
「銀様をおいて逃げちゃったからあとで怒られるかもー」
「でも銀様のようす、何か変わらなかった?」
「あのメガネにちゅーされてからなんだか大人しくなっちゃったねー」
「どうしてかなー」
「銀様が僕たち以外のやつに敵意を向けなくなるのってめずらしいねー」
「ねー」
「メイメイ様は?」
「銀様のお供だよー」
「そっかー。ところでみんなお腹空かない?あのきらきしょーのお弁当おいしそうだったから僕お腹空いたー」
「同じくー」
「じゃあ食べに行こうよー」
「どこに行くの?」
「すぐそこだよー」
カラス達が一斉に飛び立った。

機嫌の悪そうな薔薇水晶が気晴らしに外を歩いていると、校舎のそばのウサギ小屋の辺りから
またも騒がしい鳴き声が聞こえていた。
見ると、あちこちガタがきて、トタンの屋根や側面の金網があちこち破れているウサギ小屋の中に
あの忌々しいカラス共が侵入し、中のエサを狙ってウサギ達とケンカをしている。
薔薇水晶が近寄ると、勘のいいカラス達はあっというまに飛んでいってしまった。
薔「ふん…きらきーも…皆も…あんな転校生なんかに…」
ウサギ小屋の傍に座り込んだ薔薇水晶は、憂さ晴らしに中のウサギたちに小石をぶつけ始めた。
可愛らしいやつあたりと言えば確かに可愛らしいのだが…一難去ったばかりのウサギにとっては迷惑
極まりないだけである。

 「おやおや、僕の友達にイタズラするのはやめてくれないかな」

突然背後から声を掛けられ、驚いて振り向いた薔薇水晶は、そこに作業服姿の若者の姿を見た。
白崎と言う名の用務員は、ラインマーカー用の石灰粉をリアカーで運んでいる途中のようで、
別段怒っている様子でもなく目を細めて薔薇水晶を見ている。
薔「…ふん」
立ち上がった薔薇水晶は、そのまますたすたと昇降口へ戻っていった。

午後の授業では、水銀燈はもうカラスを使って暴れさせるようなことはしなかった。
ジュンが様子を見ると、彼女は静かに肩に載せた一羽のカラス・メイメイの翼を撫でてやっている。
落ち着いた感じの水銀燈の様子に、ジュンだけではなくクラスの全員の精神が普段の授業へと戻ることが出来た。
帰りのHRの時間に教室に入ったクラス担任の梅岡は、特に教室が荒れている様子でもないのを見て、
そのままHRを進めて放課にしたのであった。

つづく

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