薔薇乙女の書き初め
ジュン「お、書き初めか……何にするんだ?」
銀「そうねぇ……『虎穴に入らずんば虎児を得ず』?」
ジュン「……紙に入りきるのか?」
銀「古文のように書けば、何とかなるわよぉ。」
ジュン「はぁ……お、金糸雀。お前も書き初めか。」
金「かしら♪ 元旦と言えばおひさま! というわけで……」
ジュン「『おひさま』か。」
金「ひらがなは繊細さが要求されるかしら! けどこれがなかなか難しいかしら!」
ジュン(……小学校の教室、後の方に貼ってあるやつみたいだな)
「ん、翠星石と蒼星石もやってるのか」
翠「もちろんですぅ。この翠星石に掛かれば、書き初めなんぞお茶の子サイサイですぅ♪」
蒼「…… ……よし」
ジュン「……どっちも『初日の出』か。」
蒼「ベタだけど、やっぱりお正月はこれだよね。ところで翠星石……
……漢字で書いたほうが、4文字ですっきりおさまるよ?」
翠「じゃかあしいですぅ!! べ、別に全部ひらがなでもいけるですぅ!
これでも見やがれ、ですぅ!!」
ジュン「と、『とら』」
蒼「迫力があるよね。」
翠(……ニイッ)
ジュン「……雛苺は……?」
雛「とらさんなのー!」
ジュン「虎の絵を描いてどーするんだよ……ん、雪華綺晶に薔薇水晶も
書き初めか……。」
雪「はい。たった今、仕上がったところです。
『荊の道』……です♪」
薔薇「……わたしも。……『薔薇』。」
ジュン「……よく書けてるな……なんか、スケールの大きな書き初めだ……」
薔薇「……真紅も、できたみたい」
ジュン「ほーう、どれどれ」
…… ……
ジュン「『2010年を迎えるにあたって、まず下僕たる同級生桜田ジュンの再教育ならびに
勉学の指導を抜かりなく。また淑女として恥ずかしくない素行の良い行動に心がけ
生活を送ること。紅茶の味の違いをもっと深いところまでわかることの出来る様に
そしてくんくん……』」
真紅「だ、だめよジュン! まだ書き終わっていないわ。」
ジュン「突っ込みどころが分かんねーよ!!」
【完 一年宜しくお願いします。】