◆冬は焚き火◆
パチパチ
薔「垣根の……垣根の……曲がり角……」
J「よう。焚き火してんのか、ばらしー」
薔「……やあ、JUM」
J「あれ? なに燃やしてるんだ、これ……?」
薔「……手紙と写真、だよ。お父様からの……」
J「……それは道徳的にいかがなものかと」
薔「いいの……毎日ポストいっぱいになるくらい送ってくるから……」
J「なんという子煩悩」
薔「本当に……気持ち悪い」
J「なんという親泣かせ」
◆ばらきらのお父さん◆
薔「お父様は忙しい方……世界中を飛び回っているの」
J「確か人形師だろ? なんで世界を旅する必要があるんだ?」
薔「……生きた人形を……見つけるため……」
J「…………そう、なんだ」
薔「………………」
J「………………」
薔「……やっぱり……引いちゃうよね……」
J「い、いや、そんなこと」
薔「できれば若奥様な性格の人形がいいんだって……」
J「さすがの僕でもそれは引くわ」
◆納得◆
ガチャリ
め「ふぁーあ……ん?」
め「いよう、ご両人。焚き火かい」
薔「……おっはー、めぐ」
J「ずいぶん遅いお目覚めで」
め「まあ、仕事は自宅警備ですから」
J「それを言い訳にしたら色々と駄目だろ」
薔「……自宅警備……なるほど……」
J「いや、そこで納得するなよ」
め「あら? これ槐さんからの手紙と写真燃やしてるの?」
薔「うん……あんまり多いから処分に困って……」
め「ふーん、なるほど」
J「いや、そこで納得するなよ」
◆わかればよろしい◆
め「そういえば最近、前髪がのびて邪魔なのよね。そろそろ髪切りに行こうかしら」
J「『前髪で前がみえねぇ』ってか? ははは」
め「…………」
薔「…………」
め「ところで昨日の金曜ロードショー見た?」
薔「うん……見たよ……」
J「HAHAHA、二人揃ってスルーは精神的に応えるなぁ」
め「親父ギャグにもほどがあるでしょうに」
J「……ごめんなさい」
め「わかればよろしい」
J「……でもさ、髪が邪魔と思うんなら、なんでめぐはそんなに伸ばしてるんだ?」
め「ニートがマメに髪切るわけねーだろ、タコ」
J「……ごめんなさい」
め「わかればよろしい」
◆JUMと真紅◆
コンコン
真「JUM。少しいいかしら」
ガチャリ
J「ああ、新規。どうしたんだい」
真「ええ、ちょっとね。ところで私の名前は真紅よ」
J「わかってるさ、神秘」
真「……まあ、いいわ。それよりあなたのアイディアを貸してほしいの」
J「というと?」
真「今私が執筆中の恋愛小説……別れの瞬間にヒロインが恋人を引き止めるシーンがあるのだけれど」
J「ほほう」
真「あなたなら、どのような言葉をかけてほしいかしら?」
J「なぜ僕に」
真「やっぱりこういうのは実際に男性に聞くべきだと思って」
J「ふむ。そうだな……『待ちなさい! このウジ虫!!』とか」
真「……他には?」
J「うーん……『今すぐ戻ってきて私の靴をお舐め!!』とか言われたらゾクゾクしちゃうかも」
真「あなたに聞いたのが間違いだったわ。じゃあね」
J「あ、ちょっと待って、新規」
真「私の名前は真紅だけど、何?」
J「さっきのセリフ僕に言ってみてくれない?」
真「全力で断る」