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私たちを乗せたバスは、最初の目的地『白蛇山地』に到着した。
ここで、白蛇山地の紹介をちょっとだけ。
(パンフレットから適当に抜粋しただけだから、私の知識ではないのだけれど……許して頂戴)
白蛇山地は、昔ながらの豊かな自然が残っている珍しい場所。
世界遺産に登録されているのだわ。
綺麗な水と滅多に見る事の出来ない石、それに『白蛇伝説』で観光客を集めているのだわ。
お土産で有名な『白蛇飴』はその仄かな甘みが大人気だ。

 

 

 

 

 

紅「んん~~……」
銀「ああ~~~!」

私たちは大きく伸びをして、バスから降りた。
太陽の柔らかな光が私たちの肌を包む。とっても暖かくて、いい気持ちなのだわ。
目の前には、ドラマでしか見たことが無かったような、昔ながらの自然が広がっている。
そして、目の前には大きな『白蛇』の看板。

蒼「白蛇は幸運の象徴と言われているんだ。抜け殻を見つけた人は、願いがかなうらしいよ」
銀「どこで知ったのぉ?」
蒼「この前、テレビで見たんだよ」
翠「ほぁ~~……。蒼星石は良く覚えてるですぅ」

……一つ欲しいわね。これで私の唯一のコンプレックスである『微乳』を『美乳』にしてやるのだわ!

ジュン「真紅、今一つ欲しいとか思ってただろ」
紅「なっ……何でそれを!?」

ジ……ジュン! どうして私の考えが分かったの?
まさかエスパー? 私の頭の中に、銀色のスーツを着て、スプーンを曲げているジュンが頭に浮かんだのだわ。
私はそのイメージをブンブン首を振ってかき消す。

 

ジュン「……僕はエスパーじゃないぞ。お前の顔を見てたらベジータでも分かる」
紅「……くすん」

私……考えてる事が顔に出ているみたいね。直せるように努力してみようかな。

金「早く来るかしらー! 真紅にジュン!」
苺「みんなを待たせるのは良くないのよ~」
ジュン「やばっ! 行こうぜ」
紅「ええ、急ぎましょう」

金糸雀と雛苺が私たちに向かって手を振っている。
向こうを見ると、みんなが集合していた。
どうやら、待たせてしまったみたいね。

 

 

 

 

 

梅岡「注意することはこれくらいだな。それではしばらくの間、自由行動にするぞ。好きにしろ!」

梅岡先生の諸注意も終わり、めいめいが荷物を持って動き出す。
ジュンがベジータに引っ張られていったので、私は水銀燈たちと一緒に白蛇山地を回る事にした。

銀「どこから見ていくぅ?」

水銀燈がマップを広げ、みんなに提案する。
こういう時リーダーシップをとってくれるのが、ありがたいわ。

雪「ここはどうでしょうか?」

雪華綺晶がマップの左端を指差す。
なになに……『白蛇の湧き水』。お肌がすべすべになりそうね。
……ここから歩いてすぐみたいだ。

薔「……私は賛成」
蒼「僕もそこが良いなぁ」
銀「それじゃ、『白蛇の湧き水』に行きましょう」
全員「おー!」

 

 

 

 

 

『白蛇の湧き水』には、歩いて五分ほどで到着した。
白蛇を象った歴史を感じさせる石像の口から、滾々と水が湧き出ている。
石像の周りは木で囲われており、木漏れ日がきらきらと辺りを照らしている。
見ていて、どこか落ち着く風景だ。

翠「綺麗ですぅ……」
苺「きらきらしてるのー!」
雪「美しいですわ……」

みんなもその風景に見とれていたようだ。しばらく私達がそのままで居ると、金糸雀が口を開いた。

金「あそこに看板があるわ、行って見るかしら!」

金糸雀が見た方向には、苔むした看板が立っている。
何が書いてあるのかしら? 私たちはその看板の所まで行ってみることにした。

薔「……湧き水について書いてある」
蒼「白蛇伝説のことも載ってるよ」

白蛇伝説……。ここで私の口から簡単に説明しておくわね。
パンフレットの受け売りだけど、気にしたら負けなのだわ。

【昔、この山を治めていたお姫様が居ました。
お姫様はとても美しく、まるで白い蛇のようだったので『白蛇姫』と呼ばれていました。
あるとき、お殿様が白蛇姫をお嫁さんにしようと、この山までやってきたのよ。
だが、白蛇姫はお殿様の求婚を断ったのだわ。それで怒ったお殿様は白蛇姫を切り殺したの。
そしてそれだけではなく、その死体を焼いてしまったのだわ。
しかし、白蛇姫の死体は真っ白な蛇に変わり、今でもこの山で生きている……】

という話。全く、酷い話よ。

  

雪「この水……とても美味しいですよ」

雪華綺晶が湧き水をすくってコクコクと飲んでいる。
私も雪華綺晶に習って湧き水を飲んでみた……これは……なんと気品溢れる水なのだわ……。

紅「美味しい……」
銀「本当? 私も飲んでみるわぁ」

水銀燈も水を掌で掬い、水を啜る。

銀「とっても美味しいわぁ! こんな水飲んだ事ないわ!」
翠「ええ!? 翠星石にも飲ませるです!」
金「カナにも飲ませてほしいかしらー!」
苺「ヒナもおみず欲しいのよ!」

噴水に駆け寄った翠星石たちも、白蛇の湧き水をゴクゴクと飲んでいる。

翠「うめぇですぅ!」
金「こ……これは爽やかかしら!」
苺「うんまぁぁーーーい!」

口々においしいと言う翠星石たち。

蒼「この水……美肌の効果があるみたいだよ」
薔「……お肌がつるつる」

看板をずっと見ていた蒼星石と薔薇水晶がそう言った。
あら、それは本当?
二人が飲み終わったら、もう一回飲んでみようかしら。……ん!?
目の前に白い蛇の姿が見えた……気がした。

 

紅「あれは何?」
銀「あれってぇ?」

水銀燈が手をヒラヒラ振りながら、気だるそうに答えた。

紅「さっき、白い蛇が見えたのだわ」
銀「気のせい気のせい。あの伝説は迷信よぉ、真紅」
翠「どこにもいねーじゃねぇですか。白い木の棒でも見間違えたんじゃねーですか?」
紅「……そうかもしれないわね。ごめんなさい」
翠「別に謝るこたぁねーですよ」

え? じゃあさっきのは……?
やっぱり気のせいだったみたいね。美乳になれると思ったのに……。

蒼「みんな、そろそろ白蛇の里の方にも行ってみない?」

蒼星石がマップを指差して言った。
白蛇の里……土産物も買っておいた方が良いわね。
テレビ番組で何度も紹介されている名産品、『白蛇飴』も食べてみたいのだわ。

 

翠「よっしゃー! 次は白蛇の里ですよー!」
苺「レッツゴーなのー!」
銀「何で二人共そんなにハイなの? お土産買うだけよぉ」
薔「綺麗な水晶……売ってるかな?」
蒼「ここで採掘される紫水晶はとっても綺麗って聞いてるよ。しかもご利益つき」
金「ほほう……一つ買っておきたいかしら」
雪「私は『白蛇飴』を食べてみたいですね」

私以外の全員が、白蛇の里に向かって歩き出した。
私はもう一度だけ白蛇の石像の方を振り向いた……そこは元のように静けさを取り戻していた。

紅「白蛇は……。ふふ、やっぱり気のせいね」
銀「真紅。突っ立ってると置いてくわよぉ」
紅「……今行くのだわ」

水銀燈が私を呼んでいる。
私は後ろを振り向かずに、皆の所へと歩き出した。
……なんとなくだけど、白蛇は今でもこの山に生きている。
そんな気がした。

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