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とうとう今日は……待ちに待った修学旅行!
いつものようにジュンや水銀燈と一緒に登校して、担任の梅岡先生の話を聞いた後、バスに乗り込んでさあ出発よ!

 

 

 

 


まだ朝もやが残っている薔薇学園に停っている八台のバス。
そしてそれに乗り込むたくさんの生徒達。
みんな朝だと言うのに異様にテンションが高い……。
私たちも手荷物を抱えてバスに乗りこむ。
外では実行委員長の笹塚君が見送りに来てくれた人たちに向かって簡単な挨拶をしているわ。
私の座る席は後ろから三番目。隣はジュン(水銀燈たちが要らぬお世話をやいたのだわ……)
一番後ろの席は、ウルージ君やベジータが陣取っていた。
そして、私の後ろの席は翠星石や蒼星石ね。通路を挟んで水銀燈と雪華綺晶。
ついでだけども、後ろは金糸雀や雛苺と……かなり固まってるわね。
何か大きな力でも働いたのかしら……?

 

 

 

 

 

外には、いろいろな人がお見送りに来ていた。
さっき蒼星石と翠星石がお爺さんとお婆さんと話していたわ。

のり「ジュン君!真紅ちゃん! 気をつけてね! あと、お土産も宜しくね!」
ジュン「はいはい、分かったよ」
真紅「行ってくるのだわ、のり」
のり「お赤飯炊いて待ってるからね!」
ジュン「そんな必要ないぞ」

外から大声で私たちに声をかけてくるのは、ジュンの姉の『のり』さん。
ちょっとおっちょこちょいだけど、とっても優しい人よ。

巴「雛苺、いってらっしゃい」
雛苺「はーいなのー!」

こっちは巴さん。雛苺の家に下宿している大学生。
剣道が物凄く強くて、高校時代はインターハイで優勝するほどの腕前だと言っていたわ。

槐 「薔薇水晶ー! 楽しんで来るんだぞー!」
白﨑「二人とも、行ってらっしゃい」
薔「……分かりました」
雪「お見送りに来てくださって、ありがとうございます」

千切れんばかりに手を振っているのは薔薇水晶のお父様の槐さん。ドールショップを経営しているのよ。
後ろでは『変態』で有名な白﨑さんがニコニコ笑っている。

 

みつ「カナぁぁぁーーーー!」
金「み……みっちゃん!」
みつ「きゃあああああ!! カナぁぁぁぁーーーー!」

金糸雀の叔母さんのみつさんが、イソギンチャクの様にバスの窓ガラスにへばりついていた。
すぐに梅岡先生がやって来て、引き剥がし始めた。けれど、中々はがれない。

みつ「カナと離れるなんてぇ~~~信じられないのよ!」
梅岡「離れなさい!警察を呼びますよ!」
みつ「いやだ~~~~~!」

仗助君や笹塚君は顔を引きつらせていたわ。
私たちは何度も見慣れてるから気にしないけど……。
しばらくすったもんだがあった後、梅岡先生とその他数名の先生に引き剥がされてつまみ出されたようだ。

仗助「あれが……おめーの叔母さんか?」
金「……そうかしら」
ウルージ「メチャクチャだ……噂以上……!!」
仗助「マジに グレートな人だな……」

さっきの騒動のお陰で、みんな出発前からかなり疲れた様子だ。
梅岡先生はぜぇぜぇ息を切らしている。

笹塚「それでは、行ってきます」

そして、笹塚君の挨拶も終わって、やっとバスが出発した。

 

 

 

 

 

私立薔薇学園の修学旅行の伝統にのっとって、バスガイドさんは乗っていない。
だって、自分たちでゲームやレクリエーションをいっぱい用意してるもの。
ガイドさんがいても、仕事が無いわ。

ベジータ「よっしゃあーーー!! バスの中といえばサイコロトークだろ!」

大きな正二十面体の物体を掲げながらベジータが叫ぶ。
ああ……昨日作っていたのはこれだったのね。

翠「おお! 最初は翠星石が振ってやるですぅ! えい!」
ベジータ「おう! じゃんじゃんやってくれ、翠嬢」

掛け声と共にサイコロが転がる。
何が出るかな?何が出るかな?
……あのライオンの出てくる番組、今でもやってるのかしら。

ベジータ「イエー! 『身内の恥ずかしい話』!!」
ジュン「なになに……?」
翠「ほああーーーっ!?」
紅「これは……」

身内の恥ずかしい話……これは自分に一切の被害がないけれど……
言われる方は物凄い罰ゲームだ。

ベジータ「身内の話……誰の話をするんだ?」
翠「それじゃあ……蒼星石の話をしてやるですぅ!」
蒼「ええ!? 僕!?」
翠「当然ですよ」

 

蒼星石が驚きの声をあげる。
そりゃそうでしょう……自分の秘密を言われるんだもの……

銀「で、どんな話をするのぉ?」
金「ちょっと興味が出てきたかしら」

水銀燈と金糸雀の二人がズイと身を乗り出す。……もう五十年もしたら、噂話が大好きのオバサンになりそうね。

ベジータ「どんな話なんだ!? まさか、実はふたなrウボァー!」
蒼「そんなわけないでしょ!」
笹塚「ベジータァァァァァ!」

ベジータが謎の言葉を言い終わる前に蒼星石の鉄拳がドスッと顔面にめり込んだ。
すぐに笹塚君とウルージ君が鮮やかな手際で介抱にまわる。
それにしても……ベジータは何を言おうとしてたのかしら?
私はジュンに聞いてみた。

紅「ねぇ、さっきベジータは何と言おうとしてたの? 教えて頂戴」
ジュン「え?」

ジュンの顔が赤くなったり蒼くなったりする。

ジュン「ゴ、ゴホン……それより、翠星石の話が始まるぞ」

……はぐらかされたわね。別に良いわ、修学旅行が終わったら、自分で調べてやるのだわ。
えーと……『ふたな』……なんだったかしら? 
私がそう心にきめた時、翠星石が話を始めようとしていた。

 

翠「それでは蒼星石の昔の恥ずかし~い話をするですよ~。おめーら、耳の穴かっぽじって聞きやがれです」
蒼「わわーっ!やめてよぉ、翠星石!」
銀「じっとしてなさぁい、蒼星石」
雪「そうですわ。これはルールですよ」
蒼「だけどこれは……恥ずかしいよ~~!」

手足をちたぱたとばたつかせる蒼星石。
けれど、水銀燈と雪華綺晶ががっちり押さえつけているので動く事ができない。

翠「しっしっし……それでは始めるですぅ。実は―――――」

 

 




蒼「ううう……恥ずかしいよ……」
翠「ごめんですぅ……調子に乗りすぎたです」
蒼「……ふんだ」
翠「本当にごめんですぅ」

翠星石の話は聞いてるこっちが恥ずかしくなるほどの凄まじい話だった。
だからこうして蒼星石は席の隅っこで顔を真っ赤にしてヒザを抱え、翠星石が平謝りに謝っている。

銀「あははははは! 貴方、今でも頭を洗うときはシャンプーハットを使うのねぇ!」
苺「ヒナは4さいのときに『そつぎょう』したのよー!」

げらげら笑い転げているのは水銀燈と雛苺。全くもう……

 

雪「えーと……とりあえず、次のサイコロを振りませんか?」
薔「……翠星石や蒼星石には悪いけどね」
ベジータ「よっしゃー!」

雪華綺晶と薔薇水晶は、次のゲームをしようと催促してるわね。
それにしてもベジータはもう回復したの……? ゴキブリみたいなのだわ。

仗助「次は……おれか」

仗助君がサイコロをくるくると回す。
さて、出目は……

金「……『死にかけたときの話』かしら」
雪「随分マニアックな出目ですね」
仗助「……ほお~~~~。よしッ!」

仗助君は、真顔になってみんなのほうに向き直った。
私を含め、二十四の瞳が仗助君の方を向く。

仗助「それじゃあ 話すぜ――――」

 

 

 

 

 

仗助「そして……町は救われたんだッ! 大げさかもしれねーけどよ」

金「ひゃあ~~~っ! 凄いかしら!」
銀「アンタ、死線くぐってきたのねぇ。アクション映画みたいだわぁ」
ウルージ「おーおー」
苺「くんくんみたいなのーーー!」

みんな口々に賛辞の言葉を述べる。それほど仗助君の話は面白かった。
弓と矢をめぐる『スタンド使い』の攻防。殺人鬼『吉良吉影』との死闘……
にわかには信じられない話の連続だったのだわ。

 

 

 

 


その後も、サイコロトークは続いた。
ウルージ君の生々しい怖い話でみんなでガクガク震えたり、金糸雀のオデコの話で笑い転げたりした。
どれもこれも本当に面白い話だったわ。

蒼「次は真紅の番だよ」
翠「早くサイコロを振るですぅ」

この二人、もう仲直りしたのね……
二匹の子犬のようにべったりな蒼星石と翠星石が、私にサイコロを渡してきた。

紅「ありがとう」

私は一言お礼を言って、サイコロを振った。
さて、出目は……

 

銀「ぷっ……これは真紅にぴったりの出目ねぇ」
薔「……面白そう」
紅「むっ……『胸の話』!?」
翠「きゃははははは! 傑作ですぅ!」

胸に関しては圧倒的なコンプレックスを持ってる、私に?

銀「真紅、早くさっさとその小さいお胸の話でもしたらぁ」

その一言で―――私はキレた。

紅「ベジータ! まずはそのサイコロを作った貴方に責任を取ってもらうのだわ!」
ベジータ「これは俺のせいじゃあnウボアー!」
笹塚「ベジータぁぁぁぁ!」
蒼「真紅、落ち着いて! 早く! みんな止めるの手伝って!」
翠「じっとしやがれですぅ!」
ジュン「くそぉぉおぉぉ! 強い! 押さえきれない!」
紅「次は水銀燈なのだわあああああ!!」
銀「きゃああああああ!」

お淑やかさをかなぐり捨てて、ベジータを殴り倒し、そして水銀燈に襲い掛かろうとする私を双子とジュンが必死で止めようとする。
え? あとのメンバーは何をしているのかって?

 

ウルージ「おーおー好き勝手暴れなさる」
金「……何でそんなに落ち着いているかしら」
苺「さっすが僧正なのー!」
ウルージ「ふふ……冗談でも有り難い。そうだ、お菓子でも食べなさるか?」
雪「もちろんですわ!」
薔「ちょっときらきーちゃん……反応が速いよ」
仗助「おっ 『鎌倉カスタード』! おれも貰っていいか?」
ウルージ「おーおー良かろう」
薔「……甘くてふわふわしてる」
雪「もう一個くださいな」
金「食べすぎかしら。雪華綺晶」


バスは私たちを乗せて、最初の目的地『白蛇山地』へと向かう。

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