6月2日 15時30分
大薔薇中学 2年6組。

キーンコーンカーン・・・
ジュン「よし、上がりだ。疲れたなぁー・・・」

真紅「ジュン?紅茶でも飲みに行きましょう?」

ジュン「お、おう。行こうか。」


 衣替えの時期。一人だけ真赤なセーラー服を着ていた、
同じクラスの真紅も、赤いラインの入った、真っ白なセーラー服に身を包む。

 僕たちは、体育館そばの自動販売機へ足を運んでいた。


ジュン「・・・最近、朝が暖かいよな。」

真紅「ええ。」

ジュン「・・・ ・・・」


 会話が続かないではないか。
どうすればいいんだ、どうすれば・・・!


・・・あ、そうだ。これしかない!


ジュン「・・・って、くんくんが言ってたぞ」

真紅「えっ!?くんくん・・・!そう、あなたもすがすがしい朝に魅力を」

ジュン(・・・よし、作戦成功)


 真紅はもう、ご機嫌である。
そう。彼女は、くんくん探偵の大ファンなんだ。
くんくん探偵に関する知識の深さは、学校で1、2を争うほどだ。

 ・・・ちなみに、真紅と争えるのは1組の水銀燈だけなんだ。
ここだけの話だぞ。


真紅「ジュン♪さあ、紅茶を買って頂戴」

ジュン「ええぇぇぇ!?僕持ちかよ!!」

真紅「のどが渇いてしまうわ・・・!」

ジュン「ちぇっ、しょうがないな・・・」


 サイフから120円を取り出し、これは借りだからな、借り、と
釘を刺してから、あったか~い午後の紅茶のボタンに手を触れた。
ガコン、と音を立て、午後の紅茶の登場だ。

 その瞬間であった。


「くぉらー!!待ちやがれですぅ、抜け駆けは許さんですよ!!」

ジュン「・・・げえっ!!」

後ろからものすごい速さで駆けてくる女の子。
彼女は、3組のツンデレ娘・翠星石である。

 翠星石は、緑色のラインの入ったセーラー服を着ている。もちろん一張羅だ。
彼女・・・なにかと僕を付回すんだ・・・


翠「翠星石にもおごりやがれですぅー!!」

ジュン(¥120→¥240!?)

翠「ジュン♪おねがいですぅ♪」


 ウルウルと見つめてくるオッドアイに、僕の心は折れてしまった。
ああ、われながら情けない。


ジュン「ちぇっ、しょうがないなあ・・・」

翠「やったぁですぅ♪」

サイフからしぶしぶと、もう120円出し、僕は「を~いお茶ッ」を買ってやる。
もちろん、借りだからな!!借りだぞっ!!分かってるな!?
・・・ったく・・・


ジュン「ほれ。」

翠「ありがとうですぅ♪」

真紅「やっぱり、午後の紅茶は赤に限るのだわ」


 ふぅ、と一息つく。せっかくだから僕も何か買っていこう、と思った
その時であった。


「ジューーーーン!!ジューーーーーン!!!」 

ジュン「!!」

真紅「一人増えたようね。」

これまたものすごい速さで僕達のもとへ走ってくる、
ちょっとあどけなさの残る女の子。彼女こそ、5組の天使・雛苺である。
例に漏れず、彼女もオーダーメイドの桃色を基調とした
セーラー服を着ている。しかも、あちこちにリボンがついている。


ジュン「今度はお前かぁ・・・」

雛「ヒナもヒナもー!」

ジュン(¥240→¥360・・・ 僕も買うから¥480?ハァ・・・)

雛「ヒナも買うのよ!ジュン、先に買ってもいい?」

ジュン「うへっ!?↑」


 拍子抜けしてしまったのか、変な声が出てしまった。
真紅がちょっと冷めた目でこっちを見ている。
翠星石は笑いをこらえている。

ジュン「ああ。いいぞ。何買おうか迷ってたんだ」

ジュン(よし・・・¥480→¥360!)

雛「ありがとなの!オレンジ、オレンジ・・・うゆ?」

ジュン「・・・どうしたんだ?オレンジジュースなら、売り切れてないぞ?」

雛「・・・いちごみるくもあるの。どっちにしようかなの・・・?」



 なんということだ。どちらにしようか迷い、首を右に左に忙しそうに振る雛苺が、
こんなにかわいらしいとは・・・ ・・・なんと・・・ ・・・


ジュン「ゴホンゴホン、あー、たまにはいちごみるくでも飲もうかな!
    僕あんまり喉渇いてないんだ。半分でよかったらやるよ?」

雛「ほんとに!?ありがとなの!!じゃあ、ヒナがオレンジジュース買うから、
  半分飲んでいいよー♪」

ジュン「なんとっ」

翠(なんですとぉー!!か・・・間接キッ・・・///)

真紅(なかなかやるわね・・・雛苺)

 なんだか勘違いされてしまってるみたいだ・・・
ま、とにかく、すこし涼しい放課後のひと時を、四人で楽しく過ごしたぞ。

 ・・・なんだか、後ろに妙な気配を感じるなぁ・・・気のせいか?


2組の策士・金糸雀「・・・この手があったかしら!カナたちもこの手を使うかしら!」

7組の精鋭・薔薇水晶「・・・ ・・・高等・・・テク・・・」

7組の妖精・雪華綺晶「諸刃の剣ですわ?」

カナ「上等かしら!」


4組の僕っ子・蒼星石「・・・ベジータくんが同じ手を使ってきそうだね・・・」

1組の女王・水銀燈「・・・ありえる話ねぇ。しかも、全力で空振りそうよぉ♪」

蒼「あはは・・・・・・」

                                             【おわり】

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最終更新:2009年07月03日 13:51