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何故か、夢中で蒼星石を追いかけている翠星石。

「蒼星石、待つですぅ~!」
蒼星石の頭には何故かウサギの耳が生えていて、腕時計をチラチラ見ながら走っている。
いくら呼んでも、叫んでも聞こえてない様子。涙目の翠星石。やがて見失ってしまう。「蒼星石…うぅ…どうして…」

「あらぁ、お困りのようねぇ」
ふと上から声がしたので見上げると水銀燈が木の枝に腰掛けてニヤニヤしている。
「水銀燈…そんな所でなにしてるですか?」

「やあねぇ、私は水銀燈じゃないわぁ、チェシャ猫。耳も生えてるでしょう?」
そう言いながら水銀燈は自分の猫耳を弄ぶ。ニヤニヤしながら。

「ウサギさんなら向こうでやっているお茶会場所へ向かったわぁ。行ってみなさいな。」
「あ、ありがとうですぅ…。でもお前が猫耳しても可愛くないですぅ。おととい来やがれですぅ。」


「ぐ……!」
チェシャ猫もとい水銀燈はお茶会の場所を翠星石に教えた後、ニヤけ顔を必死で保ちながら飛び去って行った。

翠星石は水銀燈に教えてもらった道を進んで行くと、庭先らしい所で優雅に紅茶を飲んでいる真紅を見つけた。

「真紅、ちょうどよかったですぅ。蒼星石を見なかったですか?」

しかし、真紅はそれに答えず、テーブルに置いてあるハンドベルを鳴らす。
すると、何処からともなく酷くやつれた今にも死にそうなジュンがやって来た。
「ジュン、紅茶をおかわり。」

ジュンは黙ってティーポットを下げて紅茶を淹れに行ってしまった。
「あら、翠星石。そんな所で何をしているの?蒼星石はそこの薔薇園を通って行ってしまったわ。」
今、翠星石に気付いたらしい真紅はそう喋りながらテーブルのスコーンに手を伸ばす。

「し、真紅はなんでこんな所でお茶を?」
翠星石は尋ねたが、聞こえてないのか真紅は答えもせずにスコーンを食べている。

「ここの時計は壊れていてずっと3時を指したまま。それで四六時中、お茶の時間なのよ。」
いつの間にか現われた水銀燈が、やはり無理したニヤけ顔で語りかけて来た。

「その娘、帽子屋って呼ばないと返事しないわぁ。ずっと前からうかれウサギと一緒にお茶会してるの。
ジュンも大変ねぇ。」
「うかれウサギ?」
「あれよ」

水銀燈が指を差した先には、何か叫びながら踊り狂い、お茶を飲むラプラスの魔がいた。

「あれはうかれてるんじゃなくてイカれてるんですぅ。」
「どっちでもいいわぁ。」

翠星石はその場を後にして薔薇園へ入って行った。

「綺麗な薔薇園ですぅ。」
「此所からは女王の領地よ。気を付けないと女王に首を刎ねられるわぁ。」

翠星石はそれを聞いてビクビクしながら進む。
すると、どこからともなく声がする。
「まずいかしらぁ~。ヤバいかしら~。」

行ってみるとそこには金糸雀がいた。真っ赤な薔薇の前で頭を抱えている。
「ちびカナ、こんな所でなにしてるですかぁ?」

「…!み、見たかしら?」
「な、なんですか…?一体…。」
「お願いだからこの事はみんなに内緒かしら!バレたらカナの首が…!」

突然ラッパの音が鳴り響く。見ると手足の生えたトランプが2列を作って並んでいる。トランプの1人が叫ぶ。
「女王閣下のおなーりー!」
「ひいぃぃい!」
金糸雀も同時に絶望の悲鳴を上げる。

トランプの列の間を通ってくるのは………雛苺だ。
雛苺は金糸雀の前の赤い薔薇を見ながら不機嫌そうに喋る。
「ヒナはピンク色の薔薇のみを咲かせろと言ったのー。誰が赤い薔薇なんて咲かせたなの?」

「金糸雀……です…」
女王の御付きらしい薔薇水晶が静かに答える。金糸雀はガタガタ震えている。
雛苺はしばらく間を置いてから言った。

「金糸雀の首を刎ねるのーーー!」

泣き喚く金糸雀はトランプ達に引きずられて城の中へ連れて行かれてしまった。
「ヒナはタダでさえ機嫌が悪いのー。それは誰かがヒナのうにゅーを食べてしまったからなのー。」
翠星石は震えながらそこに立ちすくんでいた。

「女王閣下……苺大福を食べた犯人が………たった今……わかりました…」
突然、薔薇水晶が声を出した。
「本当なのー?そいつは誰なの?」
「はい……そこにいる……翠星石です…」
薔薇水晶は翠星石にむかって細い指を向ける。

「ち、違うです!翠星石は食べてないですぅ!証拠はあるんですかぁ!?」
「あなたの口元についている……あんこが……何よりの証拠……」

翠星石は驚いて口を拭う。あんこがべっとり袖に付いていた。

「ひいぃぃい!これは何かの間違いですぅ!濡衣ですぅ!」
翠星石は必死で弁解する。

「いいえ、私は見ていたわぁ。女王閣下の苺大福を翠星石が食べてる所ぉ。」
さっきから翠星石の側にいた水銀燈が口を開く。
「僕も見ていたよ。」突然、声と共に現れたのはウサ耳を生やした蒼星石。

「そんな、蒼星石…あな…た…まで…。」
絶望の表情で最愛の妹を見つめる翠星石。
「残念だったね。君をここまで誘い込んだのは君の罪を公に晒す為さ。」
「でないと罪の無い私達まで首を刎ねられちゃうのよぉ。だから私も手伝ったのぉ。」

「そ、そんな…そん…な………ってないですぅ!やってないですぅ!本当にやって…!」

「有罪……ですね。」
「当然よぉ。」
「女王閣下、然るべき処罰を。」
3人は口々に訴える。そして……、

「翠星石の首を刎ねるのー!」

女王雛苺の判決と共に歓声が上がる。
「女王閣下、万歳!」「女王閣下、万歳!」

そして翠星石はベッドに仰向けに縛り付けられる。目の前には大きな鉈を振りかざす雛苺。

「首を刎ねるのー!スポーンなのーー!」
「ひいぃぃいぃいいい!」

ガバァッ

首を刎ねられる瞬間、翠星石は目を覚ました。
いや、もしかしたら遠く離れた自分の胴体を一瞬見たかもしれない。
その日から、翠星石は雛苺の苺大福を盗み食いしなくなったとさ。

終了

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