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唐突だが、僕、桜田ジュンから質問だ。

14年間、ずっと眼鏡をかけていた人物が突然コンタクトに変えようとする。
これはつまり、どういう事だろう。

色気づいてきたから?
ただのイメチェン?
それとも、もっと実用的な理由で?

答えは全て、ノー。

正解は、長年に及ぶインチキ通販のクーリングオフという高尚な趣味の果てに、僕は手に入れたからだ。
『すけすけ眼鏡』を。



最初は、どうせレンズ部分に下着姿の女の人の写真が張ってあるだけの子供だましだろう、と思っていた。

軽くからかってやるか。
そう思って、僕はいつもと同じように、『すけすけ眼鏡』を注文した。



次に思ったのは、子供だましですらないインチキ商品だな、といった感想だった。

僕の手元に届いたのは、レンズに写真が張ってある、といった事すらしてない、どう見ても普通の眼鏡。
ここまで粗悪だと、笑う気すら起きない。
「すっかり興が削がれたじゃないか」
僕は軽い失望と共に、そう呟いた。
  


そして最後に訪れた感情は……かつてない驚き。そして、高揚感。

それは何気なく『すけすけ眼鏡』をかけてみた時だった。

例えば眼鏡屋で新しい眼鏡を買った時、人はどうするだろうか。
そう、鏡を見る。
誰だってそうする。僕だってそうした。

そして鏡を見て、僕は驚いた。

「あれ?いつの間に」

鏡に映っていた僕は、度の入っていない眼鏡なのでぼやけてはいるが、パンツ一丁の姿にしか見えない。
いつの間に僕は服を脱いだんだろう。
そう思って、慌てて自分の腕やお腹を触ってみると、不思議な事に服の、布の感触がある。

「えっ?」

ある筈の服が、見えない。
この時の僕は『すけすけ眼鏡』はインチキ商品だと思い込んでいたから、軽いパニックを起こしかけた。

「あれ?」
自分の眼鏡をかけて、鏡に向かってみる。
服を着ていた。

「えっ?」
『すけすけ眼鏡』をかけてみる。
僕は、パンツ一枚。綺麗な白のブリーフだ。
染み一つない。
  
「あれ?えっ?あれ?」

何度かそんな事を繰り返す内、僕にとってはショッキングな出来事が起こった。

「ジュンくーん、ご飯できたわよー」

そう言いながら、姉ののりが僕の部屋の扉を開いたのだ。
下着姿で。


いや、厳密には『すけすけ眼鏡』のせいで下着姿にしか見えないのりが、だ。

言い訳するようだけど、僕は血の繋がった姉の下着姿を見ても、興奮なんてあまりしない。
それに、この時僕は『すけすけ眼鏡』を装着していたので、視力は裸眼と大差なく、あまり見えてなかった。

それでも、姉が下着姿で突然やって来たら、驚くなと言う方が無理な話だろう。


「な、ななな、なんて格好してるんだよ!姉ちゃん!」

咄嗟に僕の口から出たのは、そんな言葉だった。

「え?学校の制服だけど……どこか変かな?」

のりはそう言いながら、自分の服をキョロキョロと見ている。

問題は、『すけすけ眼鏡』装備の僕には、その姿は下着姿の姉が身をくねらせているようにしか見えない事。

「と、とりあえず、出てけ!」
危ない趣味に目覚める前に、僕はそう叫ぶとのりを部屋の外へと押し出した。 



と、そんな事があって、僕はこの『すけすけ眼鏡』が本物だと気が付いた訳だが……

いかんせん、『すけすけ眼鏡』には度が入っていない。
かといって、眼鏡を二重に、眼鏡・オン・眼鏡なんて事をしたら、変人のレッテルを貼られてしまう。

そこで僕は、長年慣れ親しんだ眼鏡に別れを告げ……
素敵な『すけすけライフ』を送る為に、コンタクトを付ける事にした。



そして今日。
念願のコンタクトレンズが届き……堂々と『すけすけ眼鏡』をかけての、初登校。
入学式より、修学旅行の日より、僕は興奮している。

しっかりと早起きし、朝食を食べてから、玄関先で満面の笑みを(下着姿の)のりに向けた。
「イッてきます!!」


朝の通学路。
いつもなら憂鬱なそれも、今日は虹色に輝く天国への道にしか見えない。

そして歩く内に……僕にとっては天使の歌声に等しい声が聞こえてきた。

「ジューン!!わーい、ジュンなのー!」

早まる鼓動を抑えながら、僕は振り返る。

「おはよう、ジュン」
下着姿の雛苺が、いつもと同じように屈託の無い笑みで僕へと近づいてきた。
  

『すけすけ眼鏡』のお陰で、雛苺が着ているであろう制服は一切見えない。

今の雛苺はというと……可愛らしいクマさんパンツにスポーツブラ。

中学生にもなってそれかよ、とも一瞬思ったが、子供っぽい雛苺なら仕方の無い事だろう。
いや、しかし。
それにしても、中学生でこの下着は……熟れる前の果実を愛でるようで、アリだ。
『あら、いいですね~』の波が僕の中で何度も押しては返す。

僕は暴れ狂うもう一人の僕を抑え付けながら、雛苺と一緒に通学路を歩いた。
もちろん、彼女の下着姿を両の眼にしっかりと焼き付けながら。


そうして辿り着いた学校はというと、僕にとっては楽園。エデンだった。

全ての生徒が(残念な事に初老の先生までも、だったのだが)下着姿で歩いている。

「フヒョヒョー!」
思わず、変な笑いが口から漏れ出てしまう。

とりあえず、諸々の男子生徒にしか分からない理由で、僕はその場に立っていられなくなってしまった。
仕方が無いので校庭の隅に座り、そこで改めて観察する事にした。

お、あそこに居るのは、同じクラスの翠星石と蒼星石じゃないか。
ほう、ほう。
なるほど。
薄いグリーンのパンティーと青の縞パン。
それにしても、蒼星石。そのブラジャーはちょっと小さいんじゃあないか?
胸が窮屈そうにしているよ?ウフフ……
  

鼻息が荒くなっていくのが自分でも分かる。
今にも鼻血がとめどなく溢れかえってきそうな錯覚すら感じる。


「フヒーッ!!フヒーッ!!!」

ほんのちょっとだけ目を充血させながら、僕は校舎へと向かう女子生徒をひたすらに観察する。

金糸雀は、ちょっと背伸びしたい年頃なのだろう。
少しだけサイズの大きめの、大人びたブラジャーを着けていたが、それがまた良い。

水銀燈は服の上から見てもスタイルが良いのは分かりきっていた事。周知の事実、ってやつだ。
そんな、男子生徒から絶大な支持を得ている水銀燈の下着姿。
それも黒の上下だなんて!
正直、ご飯何杯でもイけちゃう!


大興奮なんて言葉じゃあ足りない位に興奮しっぱなしの僕は、それからも学園のアイドル達を観察し続けていた。


そして、そろそろ教室に移動しとかないと遅刻になっちゃうかな、という時間になった頃。

「あら。ジュン、こんな所で何をしているの?」

金髪碧眼ツインテールの高慢系美少女、僕のエンジェル、真紅の声が聞こえてきた。

(良いの!?こんなに早くメインディッシュにイッちゃっても良いの!?良いよ!!)

期待に胸を高鳴らせ、目を血走らせ、呼吸を荒くしながら、僕は真紅へと視線を向けた。
  

そこには……
ああ、そこには間違いなく、女神が居た。 


細く長い腕にすらりと伸びた足。
流れるように綺麗な鎖骨に、小さく可愛らしいおへそ。

下着姿の真紅が、僕の目に入ってきた。 


うっとり、ねっとり、真紅を見つめる僕。
心の底から思う。買って良かった『すけすけ眼鏡』

そんな風に、愛でる、としか表現できない視線をしている僕に、真紅は怪訝な表情を向けてくる。
ああ……いいよ、その表情も……。
ウフフフフ……。

夢の世界と賢者の時代に突入寸前な僕は、真紅にうっとりとした目を向けるが……ふと、気が付いた。


短い時間とは言え、僕は『すけすけ眼鏡』のお陰で女の子の下着姿はかなりの数見てきた。

そんな僕だから気が付いたんだろう。

不自然なのだ。
真紅のブラジャーは。

「ん?……あれ?」

改めて、真紅のブラをまじまじと見てみる。
そして……僕は気付いた。
  

一枚。いや、二枚……まさか三枚!?

真紅は、ブラジャーにパットを三枚も仕込んでいるのか!?
それだけの数を仕込みながら、決して豊かとは言いがたい胸だと!? 


「三枚もパットを使っておいてだと!?」

辿り着いた真理のあまりの残酷さに、僕は思わず驚愕の声を上げてしまう。


次の瞬間、僕の顔面には真紅の拳がめり込んできた。

『すけすけ眼鏡』が粉々にされた感触と共に、僕は意識を手放した。




 

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