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ずっと、ずっと、昔のお話。

遠い、遠い、誰も知らない場所での出来事。 






ここ、ローゼン王国は、一つの問題を抱えていました。




王様であるローゼンさんは、『ねっとげーむ』が楽しくって、部屋から出てこなくなってしまいました。
お陰で、国の政治は荒れ放題。

薔薇のように美しい彼の娘達は、そんな国の状況をとっても悲しく思い……
でも、いくら廃人寸前でも、そこは敬愛するお父様の事と、涙を飲んで我慢しました。

そして、王様であるローゼンさんが部屋から出てきた時には国は滅亡してました。
なんて事にならないように、一生懸命に頑張ろう。

そう、7人の王女様は心に決め、慣れない政治の世界へと飛び込んでいったのです。


こうして、一つの問題は何とか解決したかに見えたのですが……

そこはやっぱり、気位の高い7人の王女様。

互いに協力なんてせず、誰もが我が道を行くというスタンスで行動を始め……
それがまた、問題を呼び起こしてしまいました。
 





第一王位継承者の水銀燈はある日、何やら小難しい理由で、視察のために病院に行きました。

すると、どうでしょう。

その病院では、黒髪の可愛らしい女の子の患者さんが歌を歌っているではありませんか!

そんな彼女を見た水銀燈の胸は、そりゃあもうドッキドキ。
きゅんきゅん!って音が聞こえてきそうなくらい。

黒髪の女の子(めぐちゃんと言います)に出会ってからというもの水銀燈は、毎日、病院に行く始末。
本当に、ぞっこんラブ、ってやつです。

そんな水銀燈でしたが、めぐちゃんの病気がとても重い心臓の病気だと知って……
それはもう、とてもとても驚きました。

どれくらい驚いたかと言うと、病院の部屋から出るドアと窓とを間違えて、そのまま地面に激突しちゃうくらい。

お陰で水銀燈は、足を怪我してしまい………

でもめぐちゃんの隣のベッドに入院できて、ちょっとだけ得したなぁ、といった表情をしていました。
めぐちゃんは水銀燈の為に歌を歌いながら、ちょっとだけ引き攣った笑いを浮かべていました。


 


次に出てきたのは、第二王位継承権を持つ、金糸雀。
彼女はある日、社交界に着ていく服を作ってもらう為に、町の仕立て屋さんを呼びました。

するとやって来たのは、そばかすがチャームポイントのお姉さん。

そのお姉さんは、みっちゃんという名前で、町では有名な変人さんでした。

みっちゃんさんは金糸雀を見るや否や、獣のような速さで彼女に飛び掛ると……
必殺の『まさちゅーせっつ』を放ちました。

すぐさま近衛兵に捕らえられ、牢獄にぶち込まれたみっちゃんさん。

確かに彼女は変人さんでしたが、それでも、そこは職人の端くれ。
牢獄の中だというのに、どうやったのかは分かりませんが、素敵なドレスを金糸雀の為に仕立て上げました。

自分の為に素敵なドレスを作ってくれたみっちゃんさん。
『まさちゅーせっつ』も、悪気があってした訳ではありません。
金糸雀はすぐさま、みっちゃんさんを牢獄から出すように命令をしました。

そうして釈放されたみっちゃんさんと金糸雀は、二着目のドレスでもと町に戻り………

そこで、借金のカタに差し押さえられたみっちゃんさんのお店を発見しました。
数日空けただけで、このありさま。

みっちゃんは、ちょっとヤバ目な所からお金を借りてたに違いないかしら。
そう思った金糸雀は、顔を引き攣らせていました。


  



次に登場するのは、第三王位継承者の翠星石です。
彼女は政治なんてそっちのけで、ひたすらツンとデレを繰り返していました。

そんな、ちょっとアレな女王様。
これはチャンスと考えた悪い人間は、こっそり悪い事を始めました。

それは、戦争で使う道具を作って、外国に売るための工場の建設。
山を崩して、畑を壊して、大きな武器工場を作るという、恐ろしいアイディアです。


家臣達からその事を報告されても、翠星石は「関係ないですぅ」と好き勝手をして暮らしています。

この前なんて、右手に如雨露、左手にクワを持つと……
目をキラキラさせたままハイテンションでどこかに行ってしまいました。


そして、その翌日。
悪い人が工場の建造の続きをと、山に入ったら……そこには見事なお花畑が広がっていました。

一面に広がる、素敵なお花畑。
なんだかそれを見ているうちに、いつの間にか悪い人の目からは涙がこぼれはじめ……
同時に、彼の心の中の悪い気持ちも、涙と一緒にすっと落ちていきました。


悪だくみが潰えた事を知った町の人たちは、しきりに翠星石を褒め称えます。

ですが……褒めれば褒めるほど、翠星石は恥ずかしがって出てきません。
試しにと、誰かが悪口を言ってみると、すぐに出てきます。

やっぱり、ちょっとアレな女王様だなぁ、と町の人たちは思いました。
 





第四王位継承権を持つ蒼星石は、双子の姉の翠星石とは違い、とても真面目な子でした。

あまりにも真面目すぎて……
ある日、老人ホームの視察に行った際、一人のおじいさんのお話を、その後の予定をキャンセルしてまで聞くほど。

それははたして、真面目といえるのだろうか、といった声も聞こえてきそうですが、彼女は至って真面目です。
決して、老け専ではありません。


あまりに長すぎて、誰もがスルーしてしまいがちなおじいさん達の話を聞いてくれる蒼星石。
その噂はまたたく間に、お年寄り達の間に広がりました。

そしていつしか蒼星石は、お年寄りの間で「かじゅき」と呼ばれるようになりました。
意味は分かりません。
蒼星石も、ちょっと困った表情をしていました。

それでも、心優しく、真面目な蒼星石は、今日もお年寄り達の話し相手になる為にお城を出発します。
町では、老け専であると、もっぱらの噂です。
本人は否定しています。

 




第五王位継承者である真紅は……徐々に荒れつつある国の情勢に、どんよりしていました。
このままでは、大好きなお父様の帰りを待つまでも無く、国は滅びてしまうと。


そこで真紅は、お城の図書館に行き、さまざまな過去の文献を読みあさります。

まるで本の虫になったみたいに、昼も夜も、本を読み続けます。

そして……家臣達が真紅の事を心配し始めた時………
バン!と音を立てて、図書館の扉が開きました。

ふらふらと、随分とやつれた表情の真紅が、何やら一枚の紙を手に図書館から出てきて………

その紙に書かれた文章を見て、家臣達は歓喜の声を上げました。

そこに書かれていたのは、思わず忠誠心をかき立てられる王家からの言葉。
これを読めば、国民が一つになり、どんな困難でも打ち勝てるだろうと確信させる文章。

家臣達は大喜びで、その文章を書いた看板を町の目立つ所に置きました。


ですが……国民の多くは、荒れた国政のせいもあり、あまり文字が読めません。
文字が分かる人間も、3行以上は読めないという、気がふれたとしか思えない連中ばかり。

真紅は自分の努力が無駄だったと知り……ぱたんとその場に倒れてしまいました。

 




そんな時立ち上がったのは、第六王位継承者の雛苺。

彼女は真紅の志を継ぎました。


文字だけが、人に何かを伝える手段ではない。
そう言い、雛苺は真紅の書いた文章をにらみ付けると……やがて目をつぶり……それからペンを手にしました。

結局、文字かよ。
家臣達がそんな風に、がっかりと肩を落とす中、雛苺は完成したそれを高らかに掲げます。

そこには、どう見ても子供のラクガキ以下の物体が描かれており……
「真紅の考えを絵にすると、つまりはこういうことなのよ! 」
と、雛苺は高らかに宣言します。

家臣達は正直、正気の沙汰とは思えませんでしたが……
それでも、王女様の言うことだからと、その絵を町の目立つ所に貼り付けてみます。


当然、誰にも理解されず……

それどころか、町からは「戦争が始まるのか」だの「天狗の仕業か」といった声が聞こえてきます。

町の有志達が、謎の絵の解読の為に、小さな家にこもって研究をしているそうですが……
誰も期待していませんでした。


 



そして最後。
第七王位継承者の雪華綺晶。

彼女の番が来る頃には、すっかり国も衰え……とっても悲しい雰囲気が町に広がっていました。

これは、私が何とかしなければ。
雪華綺晶はそう考えます。
今こそ、王家の誇りにかけて立ち上がる時だ。
雪華綺晶はそう心を決めます。

ですが……

お腹がすいて、ベットから起き上がることが出来ませんでした。


すっかり国は荒れ果ててしまった為、農作物の収穫も減り……
そのせいで、人の10倍はぺろりと食べる雪華綺晶は、常にお腹がペコペコでした。

お腹が減って、起き上がれない。

あまりに情けない状況に……雪華綺晶は天井を虚ろに見つめたまま、ふふふ、と笑います。

それを見た家臣達は……
ついに王女様の気がふれてしまわれたのかと、ガクガク震えました。


 




このまま国は滅びてしまうのか……


誰もがそう思ったとき……永年開かれなかった、国王ローゼンさんの部屋の扉が、ちょっとだけ開きました。


7人の王女様は、ちょっとだけ開いた扉の前に集まり、お父様の言葉を待ちます。
ですが……
ローゼンさんは7人の姿を見ると安心したのか、無言で扉を閉めてしまいました。


相変わらず、何がしたいのか分かりません。

家臣達がどんよりと、再び閉じられた扉を見つめる中……
7人の王女様は、何故か感涙をこぼしていました。

一体、あのやりとりから何を感じたというのでしょう。

やっぱり、誰にも分かりませんでしたが……それでも、一つだけ分かったことがありました。


彼女達はローゼンさんの事が本当に大好きで……

その為に、今までみたいに意地を張って一人で頑張ろうとせず、協力していこうとしていることが。


 
その日から、国は元気を取り戻し始めました。 



めぐちゃんとの交流を通して医療の実情を見た水銀燈が、福利厚生に大幅な改革を打ち出します。

金融に関する事は、何故だか金糸雀がやけに詳しくなってます。

翠星石のお陰で、町には花と緑がよみがえり、人々を癒してくれます。

蒼星石は水銀燈と協力して、福利厚生…主にお年寄りの生活に安心を与える策を提案します。

真紅は識字率の低さを何とかするため、学校の建設の指揮をとりました。

雛苺がいつか描いた絵を解析していた集団は、今では立派な芸術家となり、文化面を支えています。

雪華綺晶は食糧を安定して確保する為に、手広く外国とも交渉を始めました。 




こうしてローゼン王国は、昔以上の活気を取り戻し……
町の人も、家臣達も、7人の女王様も、いつまでもいつまでも、仲良く手を取り合いながら暮らしましたとさ。





めでたし、めでたし。 



 
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