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蒼「(ピピピピ!)うぅ・・・37,9度・・・」
脇に挾んでいた電子体温計を取り出すとそのデシタル表示の数字を見つめポツリと呟いた。

(・・・油断してたなぁ)
お気に入りのくんくん柄の枕に火照る顔を埋めつつそんな事を考える。
春も近付きつつある3月の半ば、日中のポカポカ陽気にうっかり薄手のシャツ一枚で花壇の手入れをしていたのが不味かったか、朝起きるとお馴染みの悪寒と頭痛とお友達になっていた。
(作業に没頭しすぎて体を冷やしちゃうなんて・・・子供じゃあるまいし・・・何してるんだろ・・・)
反省しつつ目を閉じると
「だから言ったです!姉の言うことをちゃんと聞かないからですぅ!」
今度は朝起こしにきた姉の言葉がぼやけ頭に響き渡る。
(うー・・・ちゃんと翠星石の言うこと聞いておくべきだったなぁ・・・でもあの時は動いてて熱かったしそれに・・・っ!)ケホケホ!」
熱で正常な判断ができないのかつい自分らしくない言い訳をしてしまうが、そんなぐにゃぐにゃになった思考を咳が遮った。
蒼「ぅ・・・はぁーはぁー・・・」
腫れているのか呼吸のたびに胸がズキズキと疼く。
午前中は薬のおかげで下がっていた熱も夕暮れが近付くにつれまた上がり始めているようだった。
薬は翠星石が居間のテーブルの上に出してくれているはずだが、風邪が悪化しつつあるのか起き上がる事すら億劫に感じる。
だんだん頭に霧がかかりだす。咳も心なしかひどくなってきた気がする。


蒼「ケホケホケホッ!!ぅ・・・はぁーはぁー・・・・・JUN・・・くん・・・」
病の身に一人っきりの心細さからか思わず恋人兼幼なじみの名を呼んでしまう。

うわごとのように何回も何回も。

その一言一言が夕方のシンとした静かな空気の中に吸い込まれていく。

一体何度呼んだだろう。
蒼「JUNくん・・・うぅ・・・ヒック・・・グス」

『ピーンポーン』

返答などあるはずない呼び掛け。
いい加減心細さも頂点に達し始めた頃、突然玄関のチャイムが鳴らされた
翠星石なら鍵を持ってるしチャイムを鳴らす事などしないだろう、と言うことは・・・
(誰・・・だろう・・・)
『ピーンポーン』

もう一度チャイムが鳴らされる
(しかたない・・・か)
宅急便だろうか、このまま出ないわけにもいかないよねーーーそう思い部屋着のカーデガンに手を伸ばそうとした、その時

ガチャ・・・バタン!

いきなり玄関のドアが開かれる音がした。
蒼「!!?」
ビクりと全身が総毛立つ
(だ、誰!?)

姉ではない、ドスドスドスと重い男性の足音が響く。
それは一階から居間へ、居間から階段へ、階段から蒼星石の部屋へと徐々にしかし一直線に近づいてきていた。
蒼(ま、まさか泥棒!?い、いや、来ないでぇ・・・!)
熱と恐怖でろくに動くことができない蒼星石は、布団に頭まですっぽり包まり震えながら祈るしかできなかった。
そして・・部屋の前でピタリと足音が止まる。

カチャリ

ドアノブを回す音が妙に部屋に響いた。

蒼(いやいやぁ・・・恐いよ!助けてJUN君!?)
パニックになりながら心の中でJUNに必死で助けを求める。
しかし次の瞬間蒼星石の耳に飛び込んできた声の主は泥棒でもなく姉でもなくーーー

J「蒼星石!!」

意外にも一番望みなが同時にありえないと思っていた人の声そのものだった。

蒼「・・・・・・ぇ?JUN・・・君?」
J「熱は!?風邪は大丈夫なのか!?ああぁ、顔色真っ青じゃないか!すぐに病院に・・・」
慌てた様子で蒼星石の下に駆け寄ってくるJUN。
(え?なんで?なんで?ここにJUN君が?)
そんな当たり前の疑問が頭の中に浮かぶ。
しかしそんな疑問も高熱と極度の恐怖に愛しい人と会えた安堵がシェイクされた感情の前では一瞬で吹き飛んでしまっていた。
そして十分に掻き乱された感情の波は蒼星石の弱った心の堤防をアッサリと破壊し・・・
蒼「ぁ・・・JUN君・・・JUN君JUNくんJUNくぅん!ふぇえぇぇぇぇえ!」
気がついた時には大声で泣きながらJUNに抱きついていた。

J「なっ!?ち、ちょ!蒼星石!!?」

蒼星石の突然の行動にJUNは反応すらできずーーーというか普段の彼女をもっとも知るからこそ反応できなかったと言うべきかーーーはがい締めにされる。
J「ちょっ、そ、蒼星石!落ち着けって!」
訳が分からないままどうにかして落ち着かせようとするが胸の中の恋人はイヤイヤと頭を振るばかりで一向に泣き止む気配が無い。
それどころか密着した体は熱と汗でしっとりと濡れ、JUNの鼻孔を病の匂いと女の子らしい甘い薫りがくすぐった。しかもーーー
J(ちょむねむねあたあたウェァ!(゜∀゜)wwwwwww)

その後、何だかんだで蒼星石(&自分)を落ち着かせる事にJUNは30分の時間を要することになった。

ー30分後ー
J「お、落ち着いたか?(ヤ、ヤバカッタ・・・カナリヤバカッタッス)」
蒼「う、うん・・・JUN君、驚かせちゃってごめんね(///)」
J「と、とりあえず横になって・・・薬取ってきてやったからちゃんと飲めよ?それからこれポカリな、喉乾いてるだろ?」
蒼「ん・・・ありがと(///)」
(あぁ、そっか・・・それでさっき居間の方から足音がしたんだーーーって)
蒼「そういえば・・・どうして僕が ケホッケホ!ぅ・・・風邪引いてるって・・しってたの?薬の場所だって・・・」
J「ん?あぁ、翠星石から聞いたんだ。あと自分の帰りが遅くなるからつって替わりに様子看ててくれって頼まれた」
蒼「ケホッケホッケホッ!そうだったんだ・・・もう・さっきは本当に・・恐かったんだからね・・・」
J「ごめんな、ベル鳴らしても出てこなかったし薬も飲んでなかったから・・・鍵の隠し場所は前に教えてもらってたから・・・その心配でさ、つい・・・」
蒼「もぅ・・・そんな風に言われたら怒れないよ・・・でも次からはッ!ケホケホッケホケホケホッ!」
急に激しい咳き込み体をが襲う。興奮したせいだろうか・・・それとも大きな声を出したから?なんだか熱も上がった気がーーー
J「お、おい!蒼星石大丈夫か!?ほら、早く薬飲めって!」
ヒューヒューと苦しそうに喉が鳴る。
蒼「ぅ・・・ん」
なんとかJUNから薬を受け取るとポカリを口に含んでカプセルを流し込んだ。
蒼「ん・・・くぅ~」
しかし腫れた喉は水分は通してもなかなか異物を受け入れてはくれない。
喉に詰まる苦しさに思わず涙目になる。

それに気付いたJUNはとっさに自分の飲んでいたポカリを口に含むとそのまま蒼星石に口付けをした。

蒼「んむ!・・・んっ」

驚きに一瞬目を見開くが拒まず受け入れる。
コクッ、コクッ、コクッ、と甘く優しくゆっくりと喉が動く。

チュパ・・クチュ・・・

その行為は薬が喉を通りすぎても止むことはなかった。
J「ん・・・」
蒼「・・・ぁ」
しばらくして二人はゆっくりと唇を離した、間に架かる糸は離れるほどにキラキラと光りやがてプツリ、と切れて無くなる。


蒼「・・・・・・・」

J「えっと・・・その、なんだ・・・」
JUNは何事か呟きながら明らかに熱以外で顔を真っ赤に染め放心状態の蒼星石の耳元に頬を寄せると
J「これで不法侵入は許して頂けますか?お姫さま?」
と悪戯小僧のような調子で問い掛けた。

蒼「・・・・・・」
J「・・・おーい?」
蒼「・・・・・・」
J「・・・戻っておいでー」
蒼「・・・ぇ!あぁ、ぅ、ぁ(///)」
J「(おKw戻ってきたwよし、じゃあ・・・)・・・許して頂けますか?お姫さま?w」
にやにやしながらわざとらしく同じ言葉を耳元で囁き直す
蒼「・・・ぁう・・・ぅん(///)」
J「そりゃよかったw」
蒼「・・・でも、ちょっとだけ」
J「ん?」
蒼「・・・ちょっとだけ許してあげる・・・だからもうちょと続けてくれなきゃ・・・全部は許してあげないよ?(///)」
J「はいはい、お姫さまの仰せのままにw」

そして二つに別れた影はゆっくりと一つに重なり合っていった。

次の日ーーー
結局蒼星石のお許しははポカリも尽き、帰ってきた翠星石に発見されかけるまで終わらなかった。
そんな事やってた二人はお互いに風邪を貰い拗らせ何日も寝込むこととなりましたとさ。


ーENDー

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