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「つ…着いたのか…?」

絞り出すようにして出た一言。
これがバスを降りて最初の言葉だった。
電車から始まった薔薇乙女+1の戦いは電車から乗り継いだバスの中でも終わらず、僕と周囲の客の神経を鰹節の如く削り続けた。
ここまで来るのに一週間はかかった気がするよ…

「で…この東京ドームが7~8個入る位の異様な広さは何なんだ?」
「これが世界に誇る我が企業【ラ・プラス】の総力を結集した巨大複合リゾート『兎の湯』ですわ!」
「…世界最大規模の…温泉リゾート…いぇ~い…♪」

総力を結集するとこ間違えてるな。
そんな感想が出かかったが、これからお世話になる訳だし飲み込んでおく。 

「よくテレビで特集組んでたから楽しみかしら♪」
「これは色々楽しめそうね」

殺伐としていた空気が和らいできたのにホッとする。
旅行中ずっとこうだと奇跡の減量に成功しそうだ…

「じゃあ、まずはホテルに行って荷物を下ろそう。それからどこに行くか決めないか?」
「そうねぇ、その方が楽だろうしぃ」
「では、ホテルに向かいましょうか」

そう言って雪華綺晶が入り口の係員に何か話しかける。

「では、皆さん敷地内はこちらのゴーカートでの移動となります。運転は単純なのでずが、10分程の簡単なレクチャーと事故保険加入を此方で受けて頂きます」

係員についていくと4人乗りの結構立派なゴーカートが並んでいた。
説明などを済ませてから改めて見るとなんかジープみたいだな。
なんだか妙な不安が… 

「まともに走れねぇ鈍亀はとっとと失せやがれ!なの!」

キキィィィィ!

「このチビ苺何しやがるです…っぴゃー!?」

ガリガリガリガリ!

「下克上上等!これからはヒナの時代なのよ!」

キャキャキャキャッ!

「そんな…あの位置からドリフト!?何故雛苺が…へぶしっ!」

ドガシャアッ!

父さん、母さん、姉ちゃん。
僕死にそうです。
雛苺は人相が変わって蛇苺化してます。
っていうか超絶殺人運転テクの持ち主の上に、スピード狂だったなんて初めて知りました。
…訂正、スピード狂じゃなくてスピード凶です。
遠心力が大空へ僕を誘い、同乗者の水銀燈は白目を向いて気絶、雪華綺晶は涙を流しながら笑っていてとても怖いです。

へるぷみー 


~回想~

「このゴーカートは我が社の優良商品でトリプルAどころではない高性能車ですの。私達のはほぼ普通車と変わらない感覚で運転出来ますわ。特別に一般通路ではなく、業務通路を走れますから早く移動できます」

免許とか法律とか大丈夫なんだろうか…
一抹どころではない不安を感じるが、華麗にスルーされて乗員分けがじゃんけんで決められた。

「やった~ジュンと一緒なの!」
「これが愛の力ねぇ♪」
「車の中で私を召し上がりませんか?」

ヤバそうなメンツだな…
因みに、残りは
翠星石・金糸雀・薔薇水晶・めぐさん
真紅・蒼星石・巴
に別れた。
雛苺が『ヒナでも簡単に運転出来るのよ?』と運転席に座り、いざホテルへ一直線…ってここで回想から現実に復帰したくないなぁ… 

走り出して5分、水銀燈が沈み雪華綺晶が壊れた。
翠星石のゴーカートは壁に押し付けられて火花を散らして急停車。
カーブではドリフトしながら真紅達のインに車体を強引にねじ込む力技を披露し、挙げ句通路から弾き出すという有り様。
極悪テクを披露した雛苺は爽やかな笑顔だ。

「とっても快適だったの~♪」

ホテルの前ではしゃぐ雛苺とゾンビのような足取りでふらつく僕。
程なく真紅達も到着するが…あ、めぐさんが倒れた。
巴は真っ青なまま笑ってるし、真紅は何やらブツブツと…
全員に容赦なく心的外傷を刻み込んだ雛苺。
二度と運転席には座らせない。
そう固く誓ったが、目下の所ボロボロの彼女達をどうやってホテルに運び込むかが問題だ。
情けないが…ホテルの人に助けてもらう事にしよう…

続く

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