『誰が私に…?』
NGWord:百合
目に映るのは綺麗に色付いた木々、真っ青な空に白い雲、どこまでも広がる薔薇園。
―いつかまた来たいわねぇ―
そう言った彼女は今はもういない。私の手に届かない場所に行ってしまった。
「真紅…真紅ッ」
雛苺だ、この高い綺麗な声は。
「真紅ッあのねッ…水銀燈が…帰ってくるのよッ!」
―また、会いましょぉ―
気が付いた、それが5年前の事だというのに。
…我ながら情けない記憶力なのだわ。苦笑が漏れる。
「しんく…嬉しくないなの?」
控え目に聞いてくる雛苺。まったくどこまでも可愛らしい子だ。
「嬉しいわ―嬉しいに決まってるのだわ―」
―ねぇ真紅ぅ…大好きよぉ―
また笑みが零れる。今度は純粋な意味で。
「私は水銀燈が大好きなのだから」
銀「真紅ぅ~早く抜いてちょうだい///」
銀「いっ…痛い///」
紅「水銀燈あんまり動かないで血が出てしまうわ」
銀「だって中々抜けないし痛いんだものぉ///」
紅「やっと棘抜けたわよ」
銀「ありがとう///」
紅「それよりさっきから何で顔を赤らめてるのかしら?」
銀「こんな棘一つでしかも情けない姿だからよぉ」
真紅「そう」
難しいですな
真紅と水銀燈
銀「おコタはやっぱりいいわねぇ~」
紅「そうね、おコタに入ったら簡単には出られないのも頷けるわね」
銀「……………」テレビを見てる
紅「ちょっと眠くなってきたわ」ゴソゴソ
銀「ちょ…真紅ぅ、足絡めて来ないでよぅ」
紅「水銀燈の太股が暖かくて気持ち良いんだもの仕方ないのだわ///」
銀「何で顔赤らめてるのよぉ、ってちょっと……足でどこ触ってるのよ…あっ」
真紅「ここは暖かいと言うより熱いのね///」
銀「やめてってばぁ…そこは……っだめぇぇ///」
紅「何故かしら?ここ湿ってるようね」グニ
銀「あぅあぁぁ………もう……」
作者が力尽きました
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銀「のりぃ、真紅いるぅ?」
の「あら、銀ちゃん。悪いけどまだ真紅ちゃん寝てるの。起こしてきて貰えるかしら?」
勝手知ったる他人の家。水銀燈は真紅の部屋に直行したようです。
銀「あらぁ、真紅、まだ寝てるのぉ?」ユサユサユサ…
ベッドを揺らしても、真紅は目覚める気配もないようです。
紅「くぅ…くぅ…」
銀「寝ていればこの子も見られるのにねぇ。」
紅「すぅ…すぅ…」
銀「ちょっといたずらしちゃおうかしら?」
紅「くぅ…くぅ…」
水銀燈は、「寝てる間にキス」の規則に従って、きっかり一秒ベッドを揺らしました。
紅「むぅ…う~ん…」
銀「いいわぁ、じゃあ、いただいちゃうわぁ。」…チュッ
紅「すぅ…すぅ…」
銀「…こうやってずっと見ていたいけど、そうもいかないわねぇ。」
紅「くぅ…くぅ…」
銀「真紅、どこかいっちゃだめよぉ?」
紅「すぅ…すぅ…」
この後、銀様は真紅を起こすことなく学校に行ってしまい、遅刻した真紅にしたたかに殴られたようです。
それでもいつもよりもにこやかな銀様に、真紅は不思議な気持ちになったということですが、それはまた別のお話。
銀「水銀灯よ、さらば!ですってぇ?ゆるさないわぁ!」
工作員A「銀様、我らにお命じください、すぐに○下電工をジャンクにして参ります。」
銀「いいわぁ、行って来るのよぉ。」
こうして、水銀燈と○下電工の水面下の死闘が始まりました。
しかし、世界の○下もさるもの。依然として脱水銀灯の姿勢を崩そうとはしません。
銀「そうねぇ、何か良い方法はないかしらぁ?」
パラ”水銀灯より省エネで、CO2の大幅削減間違いなし!”
銀「いいわぁ、これよぉ。」
…一時間後
銀「いいかしらぁ、この映像をできる限りのメディアに載せるのよぉ。」
工作員B「かしこまりました、水銀燈様!」
銀「水銀燈は自家発電もするのよぉ?水銀灯のほうが省エネになるにきまってるじゃなぁい?」
B「な、なんだって…」
その後、数時間内のうちに、世界中は鼻血とkskの嵐となり、
水銀灯省エネ説が世界に広まる結果となりました。めでたしめでたし。
銀「という夢をみたのよぉ?」
紅「よくそんなこと平気でいえるわね。」
銀「あ~っ!!ちょっと真紅ぅ!?」
真「どうしたの水銀燈騒がしいわね」
銀「真紅ぅ、私のアイス食べたでしょぉ?」
真「貴女のアイス?」
銀「そうよぉ乳酸☆革命ってアイスが冷凍庫にあったでしょぉ!」
真「…そんな明らかに貴女の為だけに存在するようなアイスなんて食べないわ」
銀「むぅ~…じゃぁ確かめたげるぅ」
真「ちょ…貴女、何顔を寄せて…むぐ」
チュッ
銀「わぁい貰っちゃったぁ貰っちゃったぁ、真紅の唇貰っちゃったぁ」
真「…///」
銀「これで許してあ・げ・るぅ☆」
真「もう…なのだわ///」
翠「翠星石がアイスを横取りしたばかりに姉妹が危ない道を進んでるですぅ」
蒼「うほっいい双子」
翠「でででDEATHぅ!!!」
「そんな顔しないでよ」
夏の日差しも、朝はまだ弱い。
東から射す薄明かりが、人気のない駅のホームに、二人の影を長く伸ばしていた。
「これっきり、もう会えないわけでもないでしょ」
「そうは言うけどね、水銀燈」
向かい合う真紅の瞳は、かけられる声と同様に潤んでいる。
「また会えるからと割り切れるほど、別れは単純なものではないはずよ」
声が聞きたければ電話すればいいし、顔が見たければ写メールで事足りる。
けれど、それで縮められるのは物理的な距離だけ。
想いは時と共に、反比例的に隔たっていくものだ。
それが解っているからこそ、真紅は辛かったし、それを見つめる水銀燈もまた胸の痛みを覚えていた。
「どうせまた年の瀬には会えるわよ。じゃあね」
湿っぽい空気を鼻で笑い飛ばし、水銀燈はバッグを手に、定刻どおりに着いた電車に飛び乗った。
慌てて乗る必要など、まったくないにも拘わらず。
真紅は、ドアをくぐった所で立ち止まった水銀燈の背中に、そっと語りかける。
「そんな顔、しないで」
ドアが閉まり、電車が走り出す。
水銀燈はずっと、ドアの前に立ち尽くしていた。
「なによ……おばかさん」
グッと噛んだ唇の横を、一筋の雫がこぼれ落ちていった。