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Mother of Love
奇跡よ今 僕を救え 何処へ行けば 何をすれば
夜明けよ今 僕を救え 何処へ行けば 何をすれば
夜明けよ今 僕を誘え 愛が欲しい 愛して欲しい



「…は?」 今、なんて?
「いや、だからさ。僕、ガンらしいんだ」
理解できない。
「確か膵臓だったかな?最近やった検診で分かってさ」
嘘だ。
「ステージ4、だって。よくドラマとかであるじゃん。あなたの余命はもってあと何ヵ月ですってやつ」
聞きたくない。
「くく…言われたよ。あと半年らしいんだ。
あ、でもそれたしか4ヶ月前くらいの話でさ」
嫌だ…
「うん。つまり、僕の命はあと2ヶ月あるかないかってことらしいんだ」
「ジュン…嘘ですよね?冗談ですよね?今日何日か知ってるですよね?四月一日じゃないですよ?
ね?ジュン?嘘だと言ってくれるですよね?ね?」
「…ごめん。嘘じゃないんだ」


私の口からは気付けば悲鳴がもれていた。
声になったのか、ならなかったのかすら、分からないほどに。


LUNA SEA 第5話 「MOTHER」 


「あ、そういえばですねぇ、こんな夢を見たことがあるんですよ」
話に集中して聞いていた3人の意識を戻す。
湿っぽい話はやっぱり苦手だ。娘なんてすでに涙目になっている。
「不思議なもんなんですけどねぇ。お父さんが帰ってくる何日か前に、こんな夢見たんですよ。今になってやっと思い出したです」


真っ白な壁。真っ白なカーテン。病室のベッド。
ピッ、ピッと規則的な音を立てる機器。
チューブに繋れた男の体。
その側にいる女。泣いているのか?
男が何かを口にする。聞き取れない。
女も何かを答える。音がしない。
だが、少しずつだけ。少しずつだけと音が届いてきた。


「い……でも………に…るって………約……じゃ……かぁ!」
「………んな」
「…付…………………なんか………ですぅ!」



私はそこで飛び起きた。夢は、あの夢は…。
きっとあの男はジュンで、女は私だったのだろう。
時刻は真夜中。…でも、どうしても自分を抑えられなかった。


『嫌な夢をみたです…。少し話を聞いてくれないですか?』



迷惑な話だ。夢の話に付き合わせるためにわざわざメールを送るなんて。
けど…意外なことにメールはすぐに帰ってきた。


『どうしたんだよ(笑)こんな時間に。ちょうど眠れなかったから良かったものを(笑)何だ?どんな夢?』


良かった。ジュンからメールが帰ってきた…。彼の優しさに泣きそうになる。


『ジュン。いつまでもずっと、一緒にいてくれるですよね?』


今考えれば、なんて変な文面だ。それほど私は気が動転していたのだろう。


『一体どんな夢見たんだよ?(笑)』

言いにくいけど…
『ジュンが病院にいて、死にそうになってる夢です…』
あまりにも鮮明すぎた。


『なんだよそれ。まぁ、できる限りは一緒にいるよ。
約束する。保証はないけど』


少し返信が遅い。
まったく、あのチビはキザな台詞でも言おうとしたんですかね?そんなの似合いもしないのに。 

でも、落ち着くことのできた自分がいるのも事実。

『そうですか。まぁ、チビにはキザな台詞なんて似合わねぇですから、無理にひねりだそうとするなですよ。
それとこんな時間にメール送ってすまんです。
じゃあ、おやすみです。




それと、ありがとです。』

この空白は、精一杯の照れ隠し。きっと彼は気付かないだろうけど…。
メールでも素直になりきれない私って一体…。

メールの着信音がしたが気にしない。今度こそ優しい夢の世界へ…。

『チビって言うなって(笑)もう僕の方がでかいだろ。じゃあな。おやすみ。




やっと決めたよ。』

私も人のことを言えない。彼にも隠したい事があったようだ。
この空白はきっと、葛藤の証なのだろう。

大切なことは決まって何もかも終わった後に分かってしまう。
この文に気付けたなら、その時すぐに問いつめ、彼の所へと飛んでいったというのに。

第5話 「MOTHER」 了

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