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『メイメイ飼育日記』第2回


ピピピピピピ…


早朝、室内に目覚ましのアラームが鳴り響く。
銀「ん……んん…」
その部屋の主である水銀燈はベッドの中でけだるく寝返りを打つ。
だがやがてその白い手を伸ばしスイッチを切ってしまった。
銀「ん…むにゃ…くぅ…」
無意識のうちにアラームを止めてしまった彼女は再びベッドの中で夢の中へ落ちようとしたが…


『ゼットォ~ン…』


銀「……ん?」
ふいに耳に飛び込んできた奇妙な声に水銀燈はうっすらと重い瞼を開く。
するとそこには自分を見下ろす謎の生物がいた。しかもその生物の顔面には凄まじい光が集まっているではないか…
銀「ひっ…!ひぃぃいいいいいい!!」
その恐怖の光景を間近で目にした水銀燈の意識は一瞬で覚醒し、早朝の室内に絹を裂いたような絶叫が響き渡った。


銀「まったく…起こしてくれるんならもっと普通に起こしなさいよねぇ…」
学校へ向かう水銀燈は先程の出来事にブツブツと不満を呟く。
メイメイ、それがあの謎の生物の名前である。正確にはゼットンという種類の生物らしく昨日薔薇水晶に誘われて行ったペットショップからいつの間にか付いてきてしまったのだ。


しかもこの生物、テレポートはするは妙に知能は高いは…
挙げ句の果てには怒ると口から火を吐くというからタチが悪い。
これならワニか大蛇のほうがまだ可愛げがあると思いながらも命が惜しくてとても面と向かって言えたものでもなく、水銀燈はただただ自分の不運を呪うしかなかった。
銀「…ったく、朝一番から消し炭に変えられたんじゃたまったもんじゃないわよぉ…ブツブツ…」
水銀燈は尚も絶え間なく不満を吐き出しながら学校へと向かう。
するとそこに薔薇水晶が声を掛けてきた。
薔「銀ちゃん……おっはー。」
銀「薔薇水晶…」
薔「…どうかした?……なんか元気ない…」
銀「当然よぉ…朝っぱらから寿命を大幅に縮められたんですもの…はぁ。」
薔「…何が…あったの…?」
銀「昨日の謎の生物…あれが今私の家にいるのよぉ。」
薔「……え?」
銀「昨日家に帰ったら何故か私の部屋にいたのよぉ…」
薔「よっぽど……気に入られたんだね…」
銀「嬉しくないわよぉ!!ワケわかんないだけじゃなくてテレポートはするはすぐに火を吐こうとするは!!あんなのと一緒じゃ私の人生おしまいよぉ!!」

薔「怒っちゃ駄目…血圧上がっちゃうから……乳酸菌摂ってる…?」
銀「それは私の台詞よぉ!?
ハァ…もう嫌ぁ…」
水銀燈は目に涙を浮かべてうなだれた。
薔「元気出して…じゃあ…今日学校が終わったら…昨日のお店に行こ……頼めば引き取って貰えるかも…」
銀「そ…それよぉ!!」
薔「きゃっ!」
水銀燈は薔薇水晶の肩を掴む。
銀「あぁ、何でこんな簡単なことにもっと早く気付かなかったのかしら?
第一私はあの子にお金を払ったワケじゃないんだし…」
薔「ぎ…銀ちゃん……肩…痛い…」
銀「そうと決まれば放課後、早速交渉に行くわよぉ!!」
薔「わ…わかったから……離して…爪が食い込んでる…」


そして放課後…
銀・薔「「……」」
二人は昨日訪れた店の前に立っていた。だがひとつ、大きく異なることは店の入り口にはシャッターが下ろされ、そこには『閉店しました』と書かれた貼り紙が貼ってあるということである。
銀「どういう事よぉ…?」
薔「……さぁ?」
するとそこへ近辺の住民らしき男性がやってきた。
男「あぁ、そこの店長さん…なんか違法な生き物を裏で取引してたらしくって…今朝警察が家宅捜索に入ってしょっぴかれてったよ?」

銀「えええぇ!?」
薔「これは…予想外……」
男「あの分だとしばらくはムショから出ては来れないだろうから、もう早く帰りなさいな。」
そう言うと男はさっさと帰っていった。
残された水銀燈は案山子のように呆然と立ち尽くすことしかできないのであった……。


銀「……はぁ。」
薔「銀ちゃん…元気出して……」
店からの帰り道、ため息を吐き続ける水銀燈に薔薇水晶が声を掛けるが全く反応がない。
薔「仕方ないよ…これも何かの縁だと思って……」
銀「冗談じゃないわよぉ!?うぅ…なんで私がこんな目に遭わなくちゃいけないのよぉ…」
薔「そ…そのうち…情が移るよ……名前まで付けてあげたんでしょ?」
銀「付けてあげたんじゃなくて付けさせられたのぉ…はぁ…帰りたくなぁい…。」
薔「銀ちゃん…ガンバ……あ、私こっちだから…ばいばい…」
銀「あっ!薔薇s……行っちゃった……ハァ…」


1人残された水銀燈はため息と重い足を引きずりながら家路を辿るのであった。


帰宅後…
銀「ふぅ…疲れた…って、えええええええええええ!!?」
自室の扉を開けた水銀燈は目の前の光景に絶叫した。
銀「な…何よ…これぇ…?」
その室内には無数の黒い羽が至る所に散乱しており、見るも無残な有り様であった。
銀「これ……もしかして、カラスの羽ぇ?でも、なんで…」
水銀燈がその羽を拾い上げたそのときである…


ーーゴキリ…メキョ…メキョ…グチャ…ペキョ…ピチャピチャ…


突如彼女の耳に不気味な音が飛び込んできたのだ。
銀「なに…?この音……」


メ「ゼット~ン…」
銀「ヒィッ!!」

すると、辺りを見回す水銀燈の目の前に突然メイメイが姿を現した。
銀「お…脅かさないで頂戴……あれ?」
そのとき水銀燈は見てしまった…メイメイの口(?)の付近に赤い液体が付着しているのを…
銀「ま…まさか…あんた…(((゜д゜;)))」
メ「ゼ~ット~ン…」
するとメイメイは満足げに両手でポンポンと腹を叩いてみせた。
銀「や…やっぱりぃ…」
メ「ゼット~ン…」つ?
そしてメイメイは水銀燈に向かって何かを差し出した。
銀「ん?なに…それ……」
水銀燈は差し出された『ソレ』に目を向ける…
差し出された小さな黒い塊…
水銀燈がソレをカラスの生首だと理解するまでさほど時間はかからなかった。
銀「…………きゅう。」パタン…


そしてそのまま水銀燈の意識は深い闇の中へと堕ちていったのであった……。


続く

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