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「一つ屋根の下 第百十話 JUMと放課後 後編」



前編のあらすじ・・・放課後、僕はヒナ姉ちゃん、キラ姉ちゃん、柏葉とラプラスへ向かう。
そして、そこで現れたのはメイド服を着た蒼姉ちゃんだった。


「どうしてって僕等は客だから来てもおかしくないでしょ。僕にしてみれば蒼姉ちゃんのがどうして?なんだけど。」
「あっ、そっか。僕はね、夏休みの時ここで姉妹みんなで働いたでしょ?実はその後も薔薇水晶に連れて
行かれちゃって……それ以来僕も時間ある時はバイトしてたんだよ。」
そうだったのか。そういえば……記憶を思い起こせば夏休みの時にお隣の桃種さんが、赤ちゃんを預けに
来た時、蒼姉ちゃんが居なかったのは薔薇姉ちゃんに拉致られてたからだったな。(35話参照)
「そうなんだ。うん、でも……蒼姉ちゃん似合ってるね、その服。」
本当に似合ってると思う。こ~、御奉仕精神が溢れ出ていると言うのかな。少しフリフリのスカートも
実に可愛いし。僕がそう言うと蒼姉ちゃんはこれまた初々しいリアクションをしてくれる。
「も、もうJUM君ったら……そ、それでご注文は?」
蒼姉ちゃんは顔を赤く染めながら平静を装っている。最も照れてるのは一目瞭然なんだけどね。
「えっと、ストロベリーパフェにチョコレートパフェ。それからミックスパフェと、店で一番デカイパフェ。」
ファイナルグゥレイトなんとかって名前だと思ったけど、これで分かってくれるに違いない。
「あはは、雪華綺晶が食べるんだよね?ちゃぁんと家でも晩御飯食べないとダメだよ?」
「あら、心配ありませんよ。私を甘く見ないで欲しいですね。」
蒼姉ちゃんはそれもそうだねって笑いながら厨房へと戻っていった。にしても驚いたな。
「蒼星石とっても可愛かったのよ~。」
「ええ、本当ですね。JUMも随分ご満悦だったようですし……あんなにジーッと見て。」
キラ姉ちゃんが少しだけジト目で僕を見てくる。どうもさっき、柏葉が僕の腕を抱きしめてからご機嫌斜めだ。
眉間にしわを寄せてるキラ姉ちゃんはとても珍しいと思う。そういえば、キラ姉ちゃんって結構嫉妬深かったな。
「桜田君、メイド服好きなんだ……じゃあ働いてもいいかも……」
柏葉がそんな事を漏らす。お願いだから事を荒立てるような事は言わないでくれぇ。



「お待たせ……ストロベリーとチョコとミックス……きらきーのは少し待ってね……」
しばらくすると、薔薇姉ちゃんがトレーの上に三つのパフェを載せてやってきた。それぞれ、僕とヒナ姉ちゃん。
そして柏葉の前に置いていく。うん、美味しそうだ。僕は早速スプーンを手に取る。
「じゃあキラ姉ちゃん。悪いけど先に食べちゃうね。」
「ええ、どうぞ。もうすぐ私のも来るでしょうし。」
キラ姉ちゃんがもうすぐ来るであろうパフェを想像して目を輝かせている。冬にあんな冷たいものを大量に
食べて大丈夫なんだろうか……と思うけど、キラ姉ちゃんなら全く問題ない気がするな。
「あ、いただきます桜田君。」
「JUM、いただきますなの~!」
柏葉とヒナ姉ちゃんが僕に言う。ああ、今日は僕が奢るからかな。律儀な事だね。
さて、それより先ずは苺の方を一口食べる。うん、流石シーズンだけあって苺の甘さと程好い酸味がいい。
次はチョコ。こっちもいい感じにトロトロになってて食べ易い。そして、ミックスして食べる。うん……美味だ。
「大変お待たせしました。こちら、ファイナルアトミックミラクルグゥレイトデンジャラスパフェになりま~す。」
蒼姉ちゃんがまるでバケツの容器に入ったようなパフェを持ってくる。成る程、確かにグゥレイトでデンジャラス
だな、これは。多分元を辿ればみんなで食べる用なんじゃないかと思う。
「まぁ、苺とチョコ以外にも色々盛ってあるのですね。美味しそうです……いただきま~す。」
キラ姉ちゃんは笑顔でスプーンを取り口に運ぶ。すると頬に手を置いて至福の顔をする。
相変わらず美味しそうに食べる人だなぁ。キラ姉ちゃんが食品のCMやったらついつい買ってしまいそうだ。
「ん~……ひあわへです。JUM、有難う御座いますね。」
本当に幸せそうだ。まぁ、確かに手痛い出費だったけど、あんな顔されたら僕だって嬉しくなる。
今日のパフェ代、割引券使って約3000円。姉ちゃん達の笑顔、プライスレス……なんつってね。
「それでね~、翠星石ったらね~。」
さて、折角の喫茶店。僕等はパフェを食べながら談笑をしていた。ヒナ姉ちゃんが知られざる翠姉ちゃんの
失敗談を暴露している。これ、翠姉ちゃんに知れ渡ったら激怒するだろうなぁ。と、思ってた時だった。
「あ、雛苺。ほっぺたにクリームついてるよ。取ってあげるからじっとしててね。」
確かにヒナ姉ちゃんの頬には白いクリームがついていた。しかし、何を思ったか柏葉は……それを舐めて取った。



「な、「ひゃっ!?トモエ、くすぐったいの~。」
「ふふっ、甘いね。雛苺のほっぺたは……」
え~と?とりあえず僕は状況の判断をする。ヒナ姉ちゃんのほっぺたにクリームがつく。それを柏葉が舐める。
うん、それだけだね。それだけだけどさ……何なんですか、これは。
「どうしたの?二人ともぽけーっとしちゃって。」
柏葉が僕とキラ姉ちゃんに言う。流石のキラ姉ちゃんもショッキングな映像だったのか、スプーンでパフェを
すくったままポカ~ンと固まっているようだ。まぁ、無理もないだろうけど。僕だってビックリだ。
「えっと……お、お二人は本当に仲がいいですね。」
とりあえずキラ姉ちゃんが困惑しながら感想を述べる。仲がいいってレベルじゃねぇぞ。
「そうかな?これくらい結構普通だと思うけど。ねっ、雛苺?」
そう言って柏葉は再びヒナ姉ちゃんの頬をぺロリと舐める。僕は再びその動作に見入っていた。
「もう、トモエったら~。ヒナくすぐったいの苦手なのに~。」
苦手と言いながらヒナ姉ちゃんは嬉しそうにはしゃいでいる。う~ん、女の子同士ってこんなもんなのかなぁ。
少なくとも、僕はべジータとはこんな事、死んでもしたくない。そう思って二人をポ~ッと僕は眺めていた。
多分、その眼差しから柏葉は何かを感じ取ったんだろうか。柏葉はトコトコと僕の隣に歩いてくる。そして……
「何だよ柏葉。どうかした……のかって……え、え、え……えええええ!?」
本当に何を思ったか分からないけど。柏葉は僕の頬をヒナ姉ちゃんを舐めるようにぺロリと舐めた。
僕の頬を這った柏葉の舌に思わず背筋がゾクゾクする。
「何となく……して欲しいのかなって。」
そんな事は全然思ってなかった訳でもないような、あるような。僕が困惑していると、バン!!と大きな音を
立ててテーブルを叩いて立ち上がるキラ姉ちゃんが居た。ご機嫌斜めだったのが今の行為で爆発した感じだ。
「巴!!貴女JUMになんて事を……!」
「別に気にする事じゃないでしょう?私と桜田君は幼馴染でもあるんだし。昔はよくこんな事したよね、桜田君。」
そんな覚えはありません。いや、覚えがないだけでしてたのか……今はそんな事どうでもいい。何時もの
落ち着いてて清楚なキラ姉ちゃんからは想像できないほど、ドス黒いオーラが渦巻いている。
「あ、う、え、えと……ヒナちょっとおトイレいくのよ~……」
昔から危険察知に人三倍は鋭いヒナ姉ちゃんは早くも脱走する。正直、僕も脱走したい。
「ふふっ……ふふふっ……そうですね……気にする事じゃありません……幼馴染同士ですからね……ふふっ。」
お、キラ姉ちゃん鎮火したか?そのまま殴り合いにでもなりそうな雰囲気だったけど、キラ姉ちゃんは席に座って
パフェを口に入れる。ああ、よかった。落ち着いたな……でも、そう思った僕はパフェより甘かったようで。
「JUM、このパフェはマロンまで入っているんですよ。どうですか?食べませんか?」



「へ、へぇ~。そうなんだ。じゃあ食べてみようかなぁ。」
キラ姉ちゃんが満面の笑みで言うから、安心しきって僕は言う。でも、何故か彼女は自分の口にパフェを含む。
「え?キラ姉ちゃん僕にくれるんじゃ……んむっ!?んんんんっ……」
「んっ……ちゅぷっ……ちゅるっ……」
次の瞬間、僕の口の中にはキラ姉ちゃんの舌。そして約束どおりパフェが送り込まれていた。あぁ、確かに甘くて
美味しいな。大変な状況の割りに、僕はそんなどうでもいい事を思っているのだった。
「ンンッ……ぷはっ、どうでしたか?美味しかったですよね?」
キラ姉ちゃんが言う。これには流石の柏葉もぽかーんと口を開けて僕らを見ていた。
「ふふっ、姉弟ですからこれくらい当然です……まぁ、巴には逆立ちしても無理でしょうけど。」
カチン!そんな音が柏葉から聞こえた気がする。ああ、逃げたい逃げたい。一刻も早く。誰か僕を助けて
くれないだろうか。辺りを見回すと薔薇姉ちゃん、蒼姉ちゃん。そして脱走したヒナ姉ちゃんが心配そうにこっちを
見ている。見てるだけじゃなくて助けて欲しい。無理臭いけど。
「ふふっ……雪華綺晶ったら……どうやら決着付けた方がいいみたいだね。」
「ええ、結構ですよ。前々から貴女は油断できないと思っていましたし。出る杭は打たねば……ね。」
ラプラスにて竜虎激突か。その中心は言うまでもなく僕。いや、本当勘弁してくれませんか。
「どうやって白黒つける?私としては桜田君本人に決めてもらうのが後腐れなくいいと思うけど。」
「ええ、それがいいですね。さぁ、JUM?貴方は私と巴、どちらを選びますの?」
ズズイとマジな顔を近づけてくる二人。何だか僕は蚊帳の外な感じなんですけど。でも、二人の目はマジだ。
ここで適当な事を言えば、僕に明日はないような気さえする。僕はふぅと息を吸い込むと二人に言う。
「分かったよ……じゃあ二人とも目を瞑って。」
二人はキュッと目を瞑る。やれやれ、今日は何だか二人とも変だぞ?何時もは喧嘩なんて無縁の癖にさ。
まぁ、これは仲直りの意味も兼ねてちょっとした罰って事でいいよね。僕は二人の頭に手を添える。
ああ、二人とキスするなんて洒落た真似は僕はしないよ?僕がするのは……
「じゃあ、いくよ。」
二人がコクリと頷く。多分、今二人は自分の頭に手が添えられてるから勝ちを確信してるだろう。
甘い甘い。今回キスするのは……喧嘩した悪い子二人さっ。
僕は二人の顔を近づけさせる。お互い、相手の息と唇を感じたんだろうか。二人は求め合うようにキスをした。



(やりました!やっぱりJUMは私を選んだんですね!)(やった!やっぱり桜田君は私を……)
多分今のが二人の心境なんだろうな。僕は微笑ましく見守る。キラ姉ちゃんと柏葉の熱いキスを。
二人は目を瞑ったままお互いの頭を抱きしめあい熱烈に愛を交わしてる。いやはや、なかなか危ない絵だな。
そして、二人の目が同時に開かれる。そして、見開かれる。一秒、二秒、三秒……硬直の後二人は
顔を真っ赤に染め上げて笑えるくらい同じ声をあげた。
『えっ、ちょっ、な、なんでぇーー!?』
「さぁ、何でだろうね。僕には二人が仲直りしたくってキスしたように見えたけど?」
僕がニヤニヤしながら言う。二人は顔を見合わせると照れくさそうに笑ってくれる。
「ごめんなさいね、巴。ちょっと今日の私はテストでイライラし過ぎていたみたいです。」
「ううん、私こそテストで変なテンションになってたみたい。ごめんね、雪華綺晶。」
そう言って、二人は笑顔をかわす。うんうん、仲良きはよきかなよきかな。
「じゃあ、仲直りの証に一緒にパフェ食べよっか。このジャンボパフェなら丁度いいんじゃないかな。」
「まぁ、いいですね。二人で半分こしましょうか。」
仲良く半分こで仲直りか。微笑ましいな……なぁんて思ってると柏葉は言った。
「あ、支払いは桜田君よろしくね。」
「は……ちょ、ちょっと待て!何でだよ!?」
「だって桜田君、雪華綺晶は一つだけって言ったけど、私と雛苺にはそんな事言ってないでしょ?
だから、もう一つだけお願いね。」
柏葉はそう言って僕にウインクをする。やられた……確かに柏葉は油断できないようだ。
今日の僕の出費……手始めの3000円。追加で約1000円。延べ4000円。二人の友情……
プライスレス……なんて言える訳ないよバーロー。次のお小遣いまでどうするんだよ、僕。
駄目元で白崎さんに、ここでバイトできるか頼んでみようか……この際恥じも外聞も捨てて
メイド服くらい着ちゃうぞ。僕は本気でそんな事を思った冬の放課後。


ちなみに。腹いせにべジータでも弄ってやろうと思った僕はナンパの話を聞いた。
「ふっ、見て悶えろ!!俺が昨日ゲットした可愛い可愛い子猫ちゃんだ!!!子猫……ちゃん……だ。」
携帯の画面には文字通り子猫が映っていた。僕は、何だか和んだ。
END

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