あの世に嫌われている方々・Returns
すっばらしい朝が来たっ、きっぼーうのあっさーが
「朝っぱらから元気なこった」
あら、私は今自分なりに人生を謳歌しているのよ
「だからってラジオ体操のはねーよ」
あら、昔の私ならもっと絶望的な歌詞だけどね
「素晴らしい朝が来たが希望なんかありゃしないってか」
ま、そんなところね。あ、そろそろ着替えるから…
「じゃ、適当に食堂にでも行ってくるわ」
そうだね…15分位したら戻って来て
「あ~あ、やっぱりまだやってないか…」
-今俺が居るのは有栖川大学病院の食堂
意外とご飯が美味しいのでちょくちょくご飯を食べに来る
「…」
-暇だ。流石に15分も静寂を守れるほどおしとやかな人間でない俺は、これから先、自分がどうなるかを考え続けた
(もし、手術が失敗したらって…本当は考えたくないが、仮に失敗したらもうアイツには会えないのかな…)
-俺の手術は前回の事故(この世に嫌われた女、あの世に嫌われた男参照)の後遺症を治すための手術だって聞いてるけど…実際失敗すると一生寝たきりだからな…
「って…もう15分か…」
あら、遅かったのね
「これでも急いだつもりだよ」
そう?
「ま、ちょいと考えごとをしてただけなんだけどね」
何?
「今回の手術」
あら、珍しいわね
「そう?
俺だって人間だし、あの時からずっとプラスに考えるのをやめたからさ…」
何? もし手術が失敗したらとか思ってたの?
「ビンゴ」
あら
「さて白の柿崎さん、どこに飛び込む」
19番でって…なんでアタック25なのよ
「ま、気にせずに」
でも、君らしくないわ、そんな事に怖がるなんて
「確かにそうだけどさ…実際失敗したらもう柿崎とこんな話できないんだぜ」
え…
「だってそうだろ?
柿崎が失敗したら死んじまうし、俺が失敗したら寝たきりになって話すこともままならないし…」
…
「柿崎…」
…分かってる…でも、私は手術が成功するって信じてる。だって…だって君はあの時、居きるか死ぬかの瀬戸際だったのに生きているんだよ?
私だって、幾度となく余命が延びているんだもの
「そっか…そうだよな…ごめん…柿崎…」
良いよ…でも、一つだけお願いがあるの…
「何?」
私を…抱き締めて…この想いが…無くならないうちに…
「…分かったよ…」
(やっぱ柿崎も女の子なんだな…華奢で、ちょっと力を入れただけで、すぐに崩れちまいそうだ…)
やっぱり、君は男の子だよ…なんだかんだ言っても…頼りがいのある体…
あの世に嫌われている方々・Returns
完