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ここは…どこ?

「…ぐすっ…ひぐっ…」

あの子は……?

「……うぅっ…おとうさまぁ…ぐすっ…」
あぁ、そうか…あれは小さい頃の私。
お父様が遅くまで仕事で…引っ越してきたばかりで友達のいなかった私はいつも一人ぼっちだったんだっけ…

「おいっ、おまえどうしたんだっ?」
そうそう。この日もいつもの公園でブランコに乗って泣いてたら、彼が声をかけてくれたんだっけ。

「……ぐすっ…お、おとうさま…おしごとでおそくまで…かえってこないの…だからわたし…おとうさまがかえってくるまで…ひっ…ひとりぼっち…なの…」
「ともだちはいないのか?」
「……ひっこしてきたばっかりだから…ともだち……いない…」
そう…私は本当に一人ぼっちだった。
だから…このあとの彼の言葉がどれだけ嬉しかったか。

「よし…じゃぁぼくがおまえのともだちになってやる!」
「……ほ…ほんとにっ…?」
「ほんとだ!だからもうなくな!」
「…うんっ!」
このとき…頭撫でてくれたよね。
…ちょっと乱暴だったけど。

「あっ、おまえなまえなんていうんだ?」
「…え…えと…ばらすいしょー…」


「ばらすいしょーか。よろしくなっ!」
「…うんっ!」


「…ん…もう朝…?」
寝ぼけ眼でお気に入りのアッガイの目覚まし時計を見ると、起床にはまだちょっと早い時間。
まだまだ覚醒しきっていない頭でほけーっとしていると、先ほどの夢を思い出してきた。
「…あのときの夢見るなんて…久しぶり」
そう。あれは私たちが初めて出会ったときの夢…
あの頃は…お父様が公園に迎えに来るまで毎日2人で遊んでたんだよね。それでお父様が迎えに来ても『帰りたくないっ!』ってワガママ言って、よく迷惑かけたっけ…
ジュンが山奥の中学校に転校する…なんて聞いたときはビービー泣いたよね…あのときは私を泣きやますためにジュンったらすっごく苦労してたね…


でもね…あのときは本当に怖かったんだよ?また一人ぼっちになるんじゃないかって……
だから…高校生になってジュンがこっちに帰ってきたときはすっごくすっごく嬉しかった。
でもそのときのジュンってなんだか元気なかったよね…その理由がまさか…

「…ジュンどうしたの?久しぶりに会えたのに元気ないよ…?」
「…薔薇水晶…僕さ…親に勘当されちゃったんだ…『才能がないヤツなんかいらないっ!』ってね…」

今は友達の笹塚君やベジータ君と一緒にいるようになって、昔みたいによく笑うようになったけど…あのころのジュンの辛そうな顔…今でも忘れられない……

…あのね、ジュン。私は貴方の笑顔が大好き。
だから…ずっとそばにいて、ずっと貴方の笑顔を見ていたい。
もうあんな辛い顔はしてほしくない。
今は勇気が無くて、貴方にこの気持ちを伝えることはできないけど…いつかきっと伝えるから。だからそれまで…待っててくれますか?


「…ってもうこんな時間っ!?」
しまった…こんなことしてたらもう遅刻ギリギリの時間になってしまった…
急いで制服に腕を通し、一階に降りる。途中何回か階段を踏み外しそうになったが、なんとか大丈夫だ。

リビングに入ると、お父様がエプロンをつけたままコーヒーを飲んでいた。
「…ヤバい…遅刻する…」
「おや…薔薇水晶にしては珍しいね?ほら、パン焼いてるから食べながら行きなさい」
苦笑しながら焼きたてのトーストを渡してくれるお父様。
うわっ、熱っ…
「…はひはほう…ひっへひはふ…」
「はいはい、気をつけるんだぞ?」

通学路を走りながらパンを飲みこむと、眠そうにゆーっくり歩いているジュンの後ろ姿が見えた。


「…ジュン」
「あれ?薔薇水晶がこんな時間にここにいるなんて珍しいな?このままだと遅刻だぞ?」
「…むか…誰のせいだと思ってるの…?」
「ぼ、僕かよっ!?」
「…そう、ジュンが悪い。ほら急ぐ。走ったらまだ間に合うから」
ジュンの腕をとって走り出す。
高校に入学して以来、無遅刻無欠席を保ってきたんだから、遅刻なんてするわけにはいかない。
「はぁ?…ちょっ…引っ張るなってばっ…!」
あ、今気付いたら…これって結構カップルっぽい…ジュンは気づいてないけど……まぁいっか。


さぁ、今日も1日頑張ろう―――

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