「ほらこんな時間まで勉強するのもいいですが、試験はねみぃと集中できねぇですよ?」
「わかってるんですか?わかったんならさっさと寝やがれですぅ」
「べ、別にお前らを心配してるわけじゃねぇんですよ!?ただ夢見が悪くなるのが嫌なだけですぅ!」
「……がんばるですよ…」
「今日の試験はどうだったかな?良くできた?」
「フツーのやつらなら良くできたかもしれませんが、深夜遅くまで起きてた奴が良くできたわけねぇですぅ」
「そんなこというものじゃないよ翠星石」
「今日で全てが決まるんですよ!?昨日夜遅くまでこんなとこ見てる馬鹿は落ちたって知らんのですぅ」
「そんなこと言ったらダメだよ。それに今日ずっと心配してたじゃない」
「そそ、そんなわけねーですぅ。それは気のせいですぅ」
「それにね翠星石、今日だけじゃなく明日もあるんだよ?」
「え?試験って一日だけじゃねぇんですか?」
「そうだよ。だからボクらはみんながちゃんと合格できるように癒してあげないとね」
「そんなこと言ったってどうやって癒すのか蒼星石はわかってるんですかぁ?」
「ううん、わからない。でも願ったり祈ったりするだけでも違うかもよ?」
「やっぱりこういうときに役に立たん奴ですぅ。やっぱりこんな事のときには……」
「どうするの翠星石?」
「今から九州に行くですぅ」
「ええ!?今から行くの!?それになんで!?」
「菅原公に代理で会いに行ってきてやるですぅ」
「誰なの?」
「それは行ってのお楽しみですぅ♪」
「ボクらだけじゃ危ないからジュン君も連れていこうよ」
「ちび人間が一人増えたところでなにも変わらんですぅ。でも蒼星石がそこまで言うんなら連れていかないわけにもいかんですねぇ」
「翠星石、顔がニコニコしてるよ」
「さあ蒼星石ジュンを誘って九州へいざ行かん!!ですぅ」
「わかったよ。翠星石は言い出したら聞かないからね。……ゴメンねジュン君」
「さあ行っくですぅ~!!」
「というわけで、到着ですぅ~♪」
「ゴメンね、ジュン君。こんな時間にこんなところまで連れ出しちゃって」
「僕は別に良かったんだけど、本当に良かったのか雪華綺晶?飛行機調達させてもらって」
「確かにね。あれはカツアゲしてるようにも見えたよね」
「いいんですわジュン様。こんな時間に旅行というのも中々なものですわ。それにわたくしの事は雪華綺晶じゃなくて……」
「ああ、そうだった。ごめんなきらきー」
「南の地方と言えどさみーですぅ。しょ、しょうがねぇからジュンと手ぇつないでやるですぅ」
「ああ、うん。それにしても福岡まできて何するんだ?」
「あぅ~暖けぇですぅ~♪じゃなくて、さあさあ太宰府へと行くですぅ!!」
「ささ、お嬢様方どうぞこちらへ」
「ラプラス!!こんな時間にこんなとこで何やってんだ?」
「いや薔薇お嬢様が……」
「やっほー、ジュン。おはよー」
「薔薇水晶か!ついてきたのか!?」
「ラプラスに頼んでね。それよりズルイよお姉ちゃん。わたしがちょっと早めに寝たからって置いてっちゃって」
「ついてきたからには仕方がありませんわね。一緒に行きましょう」
「じゃあ甘えさせてもらおうかな。ボクたち福岡の道なんてわからないからね」
「じゃあ置いてった罰としてジュン……隣にね?」
「あ、うん。失礼します。ってこれって僕への罰?」
「あんまり気にしちゃダメだよ……。…それよりなんで翠星石がジュンの隣に座ってるの…?」
「な、成り行きですぅ!気にするなですぅ♪」
「ずるい……ボクも隣がよかったのに……」
「ふむ、やはりこんな時間と言えど混んでいる様でございますな」
「ラプラス……アレの使用を許可するよ……」
「アレですな?了解致しましたぞ」
「アレってなんの事なんだ?」
「見てれば分かりますぞ。ではポチッとな」
「あ!両方のドアからなにか翼みたいなものが!」
「まさかとは思うけど、薔薇水晶はこれに乗ってきたの?」
「蒼星石正解。パチパチパチ」
「どこからどう見たって飛行機じゃないよ。ワゴン車だよね」
「……じゃあ飛行車で。…いや、飛車で」
「将棋じゃないんだから。それより大丈夫だよね?」
「大丈夫……燃料は満タンだから地球を2周ぐらいできるよ」
「いや、燃料じゃなくて危険がないか聞いたんだけど」
「それも大丈夫だよ……。念のため緊急脱出装置もついてるから…」
「「「え!!」」」
「……まじで?」
「恥ずかしいのですか。では向こうを向いてましょうか」
「わ、わかった」
「あわわ…ジュン君、眠気でまともな思考じゃなくなってるよ。あーもう翠星石ばっかりずるいよ」
「…翠星石…」
「……ふにゃ?」
「!!!」
「何やってるですかぁ~?」
「よ、よかった。寝惚けてた。助かったな。殴られるかと思った」
「残念だったね翠星石。いや、おはよう」
「おはようですぅ。で、何が残念だったのですかぁ?」
「なんでもないよ。なんでも。気にしないで」
「なんか顔も声も笑ってるですぅ」
「いや~~惜しかったですなぁ~~」
「………ラプラス……後でね…」
「ちょ~っとお仕置きが必要なようですわね」
「ふふふ、私を殺ると帰れなくなりますぞ」
「チッ……」
「ほ、ほらさっさと行こうよ」
「あ、そうだな。ほら行くぞ翠星石?」
「はいですぅ」
「…ねぇジュン君?今度はボクとも手をつないでくれるかな?」
「あ、うん。いいよ」
「…ジュン君の手、暖かいね」
「……いや~~双子がいい感じになってますなぁ」
「……ここにいても遅れをとるだけだね」
「そうですわね。早く行きましょう」
「……帰りも乗るからね…ラプラス」
「……ふう、まったくご主人様も酷い命令を出してくれますな。こちらの身にもなって頂きたいものです」
「それにしてもまだ午前4時だというのに人がたくさんいるな」
「やっぱり大学を受験する人たちの親達なんだろうね」
「やっぱり困った時には神頼みですねぇ。さあ御詣りするですぅ」
「で、何を願うんだ?」
「……ジュンとの恋愛成就…」
「じゃなくて、スレの受験生のみんなが安心して試験受けられるように。そして願わくば合格できるように」
「本人は来れないですからね。その代理をやってやるんですぅ」
「へぇ~~、中々いいことするじゃないか」
「翠星石が考えたんですぅ」
「意外だな。でも偉いな」
「もっと誉めてもバチは当たらんですよ?」
「なんのバチなんだか……」
「で、両手をつないだままだと御詣り出来ないんだが」
「ならそのまま目ぇ瞑って祈ってればいいんですぅ」
「手をはなすという選択肢はないのか?」
「ボクももう少しこのままでいたいな?」
「しょうがないな」
「……すっかり蚊帳の外ですわ」
「……ラプラスが…謝ってても…許さない」
「で、お賽銭持ってきたのか?」
「5円で十分ですぅ」
「縁結びじゃないんだからさ」
「くっくっく、こういうこともあろうかとここにお金は用意してありますぞ」
「お前は先回りが好きなのか?まったく」
「でもありがたく使わせてもらうですぅ」
「ではこちらを…」
「流石にとんでもない量だね。こんなにいらないんじゃ…?」
「いえ、深夜に起きてるような馬鹿にはこれぐれぇが丁度いいですぅ。それに人数で割れば多くはないはずですぅ」
「翠星石、まだ根に持ってたんだね」
「では、1千万ほど投入~」
「ああっ!僕がやってみたかったのに!」
「はっはっは、早い者勝ちですぞ~」
「……なんかラプラスまでジュンと仲良くなってない?」
「二度と日がみれなくなるような体にしないといけませんわね、ばらしーちゃん」
「じゃあ、みんなで御詣りしようか」
「あれだけいれたからご利益あるよね?」
「ああ、僕たちができるのはこのぐらいだからな」
「だから精一杯祈ってやるですぅ。感謝しろですぅ」
「仕方ありませんね。この私も一緒に祈ってあげましょうかね。皆様(お嬢様)が真面目に祈るとも思えませんし」
「皆様には大事にしてもらっていますものね。そのお礼を少しでも返せると思いながらやりますわ」
「………あれだけ入れたんだから恋の成就もしてくれるよね?」
「菅原道真公がこまると思うんだけどな。まあいいか」
(みんな頑張ってね/ですわ/れよ)
(頑張りやがれですよ?翠星石達が今回に限り応援してやるです。ありがたく思えですぅ)
(……ジュンと……ひとつになりたいな……色んな意味で……)
(全員は難しいでしょうが頑張ってくださいませ。私も少しなら御手伝い致しますぞ)
「ながいな~二人とも(翠星石とラプラス)」
「今回だけですからね。それなりに気合いを込めてやったですぅ」
「ふふふ、ちょっと別の世界と通信を」
「なんか妖しげだな。それはそうと今からどうする?帰る?」
「こんなこともあろうかとホテルを用意してありますわ。ジュン様、一緒に行きましょう」
「用意がいいな。それで何人分用意したんだ?」
「皆様来ると思いまして9人分とりましたが余ってしまいましたわね」
「それって何部屋分なんだ」
「二部屋ですわ。片方に5人、もう片方に4人ですわ」
「じゃあ丁度男と女で分かれられるな」
「嫌ですぅ。翠星石はジュンと寝るんですぅ」
「ボクも一緒にね?ジュン君」
「……じゃあ別の部屋にはラプラスが寝ろよ。お前も疲れてるだろ?」
「おおお!この私に慈悲をくださるのですか!!ありがたき幸せ!!他人の優しさに触れたのは何年ぶりでございましょう!!!」
「大袈裟なやつだな。それに余っても仕方ないだろ?4人部屋だからゆっくり寛げよ」
「あぁ、涙がでてまいりましたぞ」
「じゃあ行こうか」
ホテルに泊まって観光してまわって帰ってジュンがラプラスと友達になりラプラスを匿ったのはまた別のお話……
《打倒!センター試験 完》