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「新説JUN王伝説~序章~」外伝
これは黒王号がジュンに仕える数日前のお話…

その日、薔薇雪華邸に一頭の黒馬がやって来た…
薔「いらっしゃい…黒王号…今日からここが貴方の家…」
黒『…』
雪「どうしたのでしょうか?あまり元気がないようですけど…」
薔「きっと疲れてるだけ…ね、黒王号?」

だが黒王号と呼ばれたその馬はそれから数日経っても食事を一口にもしなかった…

薔「黒王…貴方のために取り寄せた最高級の国産有機無農薬の人参だよ…」
黒『…』
雪「駄目ですわ…北海道から取り寄せた干し草も一口も口にしていませんわ…」
薔「黒王号…このままじゃどんどん弱ってっちゃうよ?お願いだから…何か食べて…」
黒『…』
雪「ばらしーちゃん…」

その姿を物陰から見つめる影がひとつ…

ラ「くうぅ…新入りのくせにお嬢様方にあんなに心配されてッ…私などあんないい人参食べたことがないのに…
悔しい…嫉妬の炎がメラメラと燃えておりますぞおぉおおおっ!!」


その日の夕方…
ラ「黒王殿!ちょっとお話があります!!」
黒『…何だ?ウサギ如きが…貴様と話すことなど私にはない…早く失せろ。』
ラ「貴方にはなくとも私にはあるのです!!だいたい貴方…新入りの癖に態度がでかすぎですぞ!?」
黒『…何だと?』
ラ「貴方は今日もお嬢様方の差し出してくれた食事を無碍にした…私ですらお嬢様方にあんなに良くされたことはないのにッ!!」
ラプラスは只でさえ赤い目から血の涙を出しそうな程の勢いで黒王号に叫んだ
黒『…要するに…私に嫉妬しているのか?』
ラ「なっ!?」
黒『どうやら図星のようだな…流石はウサギ、気の小さきことよ…』
ラ「や…やかましいですぞ!?だいたい貴方はお嬢様方の何が不満だと言うのです!?」
ラプラスは逆ギレ気味に黒王に疑問を投げかけた
黒『…違うのだ…』
ラ「は?」
黒『あの二人は確かに庶民とは一線を違えている…だがあの二人は私の主となるべき器ではない…』


黒王は小さな声でラプラスの疑問に答えた…だがラプラス自身はその答えにいたくご立腹になったようであった…

ラ「ぬぅおおおぉおおぉおお!!さっきから黙って聞いていれば好き放題ほざきおってからにいいぃぃい!!
もう許しませんぞ…この家でお嬢様方に最も愛されるべきはこのラプラスなのですぞ!?決して貴方のような新入りではございませんぞぉおおッ!?」
黒『おい…何か大半が私怨ではないか?』
ラ「問答無用!!こうなればこの家でどちらが上か実力で解らせてあげますぞ!!
では…行きますぞ!?」バッ!!
ラプラスが構えを取る
ラ「はああぁあぁああ…さぁ、とくとその目に焼き付けなさい!!
これが数十年間このお屋敷にお仕えしたこのラプラスが長年をかけ会得した秘拳…『咬兎…』へぶぢゅッ!!」
『メキャア…!!』
黒『すまん…隙だらけだったものでついな…』
ラプラスが台詞を言い終わる前に黒王の蹄がその顔面にめり込んだ
ラ「む…無念…がくっ…」
ラプラスはそのまま崩れ落ち地面に這いつくばった…


黒『ふぅ…弱者を手に掛けるのはあまり良い気はしないな…』
その時であった…
薔「黒王号、大丈夫?」
いつの間にか近くに来ていた薔薇水晶が心配そうに黒王号に駆け寄る
黒『ふん…貴女と話すことはない…帰ってくれ…』
黒王号が薔薇水晶に背を向けた時であった
薔「黒王…そんなこと言わないで!!」
『げしっ』
ラ「へぶぅ!!」
薔薇水晶が倒れたラプラスの上に立ち黒王に話し掛けた
黒『なっ!?貴女はもしや…私の言葉が…』
薔「うん…これがあるから…」スッ
薔薇水晶は左手の指にはめた指輪を黒王号に見せた
薔「プレシャス…“ソロモン王の指輪”…うちの宝物庫で見つけたの…これで貴方と話せる…さぁ、貴方が心を開かない理由を教えて…」
黒『…』

黒王号は真実を静かに薔薇水晶に語り始めた


黒『私の血筋は代々その時代の覇者…「拳王」に仕える血筋なのです…』
薔「拳…王?」
黒『はい…拳王とは混沌の世に蔓延る悪を裁き、弱き者達に光を与える存在…人でありながら天の道に君臨される唯一無二の存在…私はその器となるべき者を探しているのです…』
薔「つまり…私やお姉ちゃんはその器じゃないって言うの?」
黒『残念ながら…』
薔「そうなんだ…でもね?黒王…」
黒『?』
薔「私もお姉ちゃんも貴方を大切に思ってるの…無理に私を主なんて思わなくていい…だからせめてその拳王になる人が見つかるまで生きて…このまま何も食べないままだと貴方は死んでしまう…」
黒『薔薇水晶殿…』
黒王は薔薇水晶の右目に滲んだ涙を見た
黒(この方は…本当に私のことを心配してくれている…)
薔「だから…貴方が本当に仕えたい人が見つかるまでここにいていいんだよ…私も協力するから…」
黒王に薔薇水晶の優しさが突き刺さる…それと同時に意地を張っていた自分への恥ずかしさがこみ上げてきた…
黒『……ご心配を掛けて申し訳ありません…少々空腹になりました…宜しければ何か食べ物を頂けませぬか?』
黒王は少し照れくさそうに薔薇水晶に言った


薔「黒王…」
薔薇水晶の表情がぱぁっと明るくなる
薔「…うん♪少し待ってて…」

しばらくして薔薇水晶は両手にありったけの人参を抱えてきた
薔「はい、いっぱい食べてね…」
黒『いただきます…』
黒王は軽く会釈するとその人参を食べ始めた
薔「美味しい?」
黒『はい…とても…』
薔薇水晶は黒王号が人参を平らげる様子をずっと笑顔で眺め続けていた…

数日後…
薔「やばい…遅刻しそう…」
寝坊をした薔薇水晶が慌てて家を出る
黒『薔薇水晶殿、もし宜しければ私に乗って行きませんか?そこらの車より速い自信があります故。』
薔「本当?じゃあお願い…」
黒『御意…しっかりお掴まりください!!』ヴン!!
薔「きゃあっ!!」
刹那、黒王号は弾丸の如く疾走し、本当にあっと言う間に薔薇水晶を学校まで運んだ
薔「ふぅ…びっくりした…黒王号…速すぎ…」
黒『そうですか?ゆっくり走ったつもりでしたが…』
薔「むー…あ!ジュンだ…」
黒『ジュン?』
薔「私の大事な人…ジュン、おっはー…」
ジ「なぁ、朝っぱらから随分な登場してくれるなぁ…」
薔「…馬に乗ってきちゃいけない校則はないよ…?」


ジ「ま…まぁ、そりゃそうだが…」

黒『!!…このお方はもしや…』
黒王がジュンに近付き全身を見回す…
ジ「な…何だよ?」
薔「珍しい…黒王号が初対面の人に懐くなんて…」

黒『間違いない…この方こそ我が主となるべきお人…拳王となられる器だ!!』


そしてこの日…新たなる拳王の伝説が幕を開けるのであった…

「新説JUN王伝説~序章~」本編へ続く…

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