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お水が嫌いな方はスルーしてください。


CLUB~n field~ 


銀「あら真紅、貴方まだ一週間でしょ? もうギブアップかしら?」
紅「そ、そんなことないわ。私はまだ平気よ」
銀「そうかしらぁ、なんだかお顔が真っ赤よ。夜ははじまったばかりなのに」
あの人がくだらない通販で貯めてしまった借金を返す為、ここで働き始めて6日目。
慣れないお酒は辛い・・・・・・。
でも・・・・・・でも、ジュンのため、がんばらないと・・・・・・。
銀「まぁいいわ。あまり足を引っ張らないでよ」
紅「わ、わかってるわよ」
この店のナンバーワン水銀燈。
彼女は事ある度に私をいびってくる・・・。
J「水銀燈! 指名入ったぞ」
銀「はいは~い、じゃ、真紅、名前に似合った真っ赤な顔で頑張りなさいねぇ」
紅「・・・・・・」
悪い人じゃない・・・・・・私が何かしたのかしら。


J「おい真紅、何してんだよ早くヘルプにいけ」
考え込んでいるとバックにジュンがやってきた。
紅「あらジュン」
J「あらジュン、じゃない。ここでは僕のことを桜田さんと呼べと言ったろ?」
紅「そ・・・・・・そうね、桜田さん」
J「わかったらさっさといけよ。翠星石とかはもうでてるぞ」
紅「・・・・・・うん」
同期の翠星石、蒼星石、雛苺はそれぞれ頑張っている。
翠星石は、持ち前の明るさで色々なお客さんに人気がある。
蒼星石は、独特の口調がコアなお客さんに受けている。
雛苺に限っては、肥えた眼鏡のお客さんに大人気。
紅「わたしだけ・・・・・・」


フロアに出ると、既に水銀燈がお客さんと良い雰囲気を作り、こちらに皮肉の笑みを向けていた。
J「じゃあ、4番のお客さんね」
紅「わかったわ」
指定された席へと向かう。
途中、雛苺が『雛は~です」と一人称を自分の名前にして客に受けていた。
・・・・・・私もそうしようかしら。
4番テーブルには背格好が良く髪の薄い顔を真っ赤にした男性が座っていた。
『失礼します』と会釈を交わし横に座るとお酒の臭いが鼻を突いた。
私は、この臭いに弱い・・・・・・。
紅「はじめまして」
M「そりゃはじめて会ったんだからはじめてだろ」
わけのわからない事を呂律の回っていない舌で話している。
どうやらかなり酔っているらしい。
紅「そうですか、歓迎します」
M「まぁ、銀ちゃんに会えなきゃこんな店こないだろうけどな、とりあえずは忙しいみたいだから、お前で暇つぶししてやるよ。お前、なんか芸できるか?」
そう言って私に寄り添ってくる男性。
また水銀燈・・・・・・。
紅「芸は・・・・・・できません」
M「んだよ・・・・・・今時、猿でも買い物いけんだぜ、しけてんな」
私が・・・この真紅が猿以下ですって・・・。


紅「ちょっと、あな・・・・・・」
・・・
・・・・・・
・・・・・・ダメ、ここで我慢しなきゃ。
M「なんだよ、文句あんのか?」
紅「い、いえ」
話しをそらさなきゃ。
何か・・・・・・何か話題は無いかしら。
そうだ、雛苺の。
紅「あの・・・・・・し、真紅は楽しいお話がしたいですぅぅ」
出来た。
雛苺と翠星石の合体技。
M「楽しい話し? んな楽しい事があればこんなとここねぇよ」
紅「・・・・・・そ、そうですよね、はは」
M「それに真紅? すぅぅ? なんだよそれ、バカだろ」


___ば、バカですって・・・・・・?。
この真紅を馬鹿ですって!
紅「ちょっと貴方。レディに対してそれは失礼よ!」
M「っは!? んだよテメー」
紅「テメーじゃないわ。私は真紅、普通の乙女、真紅よ!!!!!」
・・・・・・あ。
やってしまったわ。
笑い声が喧騒に変わり、みんなの視線が私に向いてる・・・・・・。
ジュンも奥から慌てて出てきた・・・・・・。
M「おいボーイ! このアマなんとかしろよ! 水商売ってレベルじゃねぇぞ!!!」
J「ベジータ様、すみません!」
駆け寄ってきたジュンが必死に頭を下げている・・・・・・。
私の・・・・・・私のせいで。
J「この娘、まだ新人なもので、大変、申し訳ありません」
悔しい・・・・・・悔しいけど・・・・・・私のせい。
M「まったくよ。俺も新人だっつーのはわかったから寛大な目で見てやってたのによ、なんだよこれは」
J「すみません、ただいま代わりの者をお連れしますので。水銀燈!こっち頼む!」
銀「ただいまぁ~」
・・・・・・水銀燈。


J「真紅さんはちょっと、こっちへ」
紅「は、はい」
J「ちゃんと謝ってからだろ」
紅「は、はい、すみませんでした・・・・・・」
M「・・・・・・っち」
男性に頭を下げ、バックへ向かうジュンについていく。
周りでは騒然としたフロアを少しでも早く元に戻そうとスタッフの皆が頑張っていた。
銀「あんまり気にしないでね」
バックに向かう途中、すれ違いざまに水銀燈が耳打ちしてきた。
その声は、憐憫を含んでいる。
紅「あ・・・・・・ありがとう」
銀「まぁ、使えない妹の始末は姉がつけなきゃいけないのは当然だから」
紅「・・・・・・」


バックでは、汚れた床で薔薇水晶さんが横たわっていた。
妖艶な彼女には似つかない格好で・・・・・・。
J「薔薇水晶、今日も頑張ったんだな、お疲れさん」
薔薇「いえ、仕事ですし」
J「でも、あまり無理はするなよ。水銀燈を追い越したければゆっくり機会を待つんだ」
薔薇「はい」
彼女はスタッフの憧憬の的だ。
美しい容姿に甘えず、礼儀正しく、気が利く。
それに比べて私は・・・。



私は、悔しさで心がつぶれそうになりながらジュンについて更衣室へと入った。


紅「ジュン・・・・・・ごめんなさい」
J「まったくよお前はさ!」
流石のジュンも怒っている。
拳をロッカーへと押し当て、とても怖い目つきをしている。
J「おい、真紅。俺がなんでここにお前を連れてきたかわかるか?」
紅「・・・・・・」
場所はバックの奥にある更衣室。
何時もなら何かをしてしまった時は、バックで話しをする筈。
J「ちょっと、ここの壁に耳を当ててみろよ」
紅「え?」
J「いいから、早く」
紅「わ、わかったわ」


『もうさ、さっきは、あのアマにビックバンアタックかまそうかと思ったよ』
壁伝いに聞こえる声・・・・・・さっきの男だ。
ここはちょうど、あのセキの裏なのね。
でも、聞きたくなかった。
きっと、水銀燈と一緒に私を嘲笑っているんだ・・・・・・。


『だめですよ、そんなことしたら地球が壊れてしまいます。幾らあの娘がダメでもそれはダメですよ』
・・・・・・水銀燈。
幾ら私がい無いことを良いことにあんなことを・・・・・・。
もう・・・・・・もう、ダメかしら・・・・・・。
J「ちゃんと聞いてろよ」
ジュン・・・・・・貴方は何故、こんな残酷な事を私に・・・・・・。
J「ちゃんと聞けっていったろ!」
___っドン!!!
紅「きゃっ!」
ジュンに頭を壁へと叩き付けられた。
耳が痛い、熱い・・・・・・酷い・・・・・・酷いわ、ジュン。
J「ちゃんときけ! これが水銀燈の本当の気持ちなんだよ」
今更・・・・・・彼女は私を道化のように嘲笑って、それでお客さんを笑わせるの。
なんでそんな事、この真紅が聞かなくちゃいけないの・・・・・・。


『でもね、ベジータさん。あの娘、新人なのに頑張ってるんですよ。まだまだ不慣れですけど彼女なりに一生懸命なんです。あまり悪くは言わないでくださいね」
___っえ?


『次にいらした時は自信を持ってお相手させられるよう、ちゃんと教え込んでおきますから」
___そんな・・・・・・あの水銀燈が・・・・・・。
J「どうだ、真紅。わかったろ、あいつだって好きで虐めてるわけじゃないんだ。みんな、もちろん俺もお前に期待してるから厳しくなるんだ。それだけは忘れるな」
紅「・・・・・・」
J「耳のことは謝らないからな」
そう言い残してジュンは表へと出て行った。
紅「みんな・・・・・・私のため・・・・・・」




この日から、本当の、私のお水生活がはじまった。

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