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アリスゲームが終わってどれくらいの時間がたったんだろう。
何とかブランクを取り戻し中学を卒業した僕は今市内の高校に通っている。
クラスメイト「おい桜田、今日は転校生が来るらしいぜ?」
ジュン「こんな時期に転校してくるなんて一体どんな奴なんだ?超能力者じゃあるまいし」
梅岡「ほら席にさっさとつけー、今日は転校生が来てるんだ。ほら、入って入って」
そこには見覚えのある金髪のツインテールの人形が…。
…?!人形じゃない。人間だ。
真紅「シンク・ローゼンよ。みんな、よろしく頼むのだわ」
僕の頭は真っ白になった。そこにはあのいなくなったはずの真紅が立っていたのだ。
梅岡「席は…そうだな。桜田の隣が開いてるな。あそこでいいか?」
真紅「ええ。ちょっと日当たりが悪いけど、まぁしょうがないわね」
真新しい制服で学校指定の鞄を抱えた真紅は僕の隣の席に座った。
真紅「よろしく、ジュン君?」


昼休み、クラスメイトに質問攻めにされる真紅を尻目に僕は混乱した頭を整理しようと
お気に入りの屋上で昼飯を食べる事にした。
真紅「ジュン、久しぶりね」
そこにはやはり見慣れたあの真紅の姿が現れた。違うと言えば高校の制服を着てる事と
体のサイズが変わった事だろうか?さすがにあの大きさのまま人間になるのは不自然だろうからな。
ジュン「何の音沙汰も無くなったと思ったらいきなり学校に来るなんて一体何考えてるんだよ。
しかもその体、一体どうなってるんだ?」
真紅「いやらしいわね。レディの体をじろじろ見るものじゃないのだわ」
ジュン「球体間接もないし、どうみても人間じゃないか。」
真紅「私にもわからない。アリスゲームが終わった後、私はお父様に会ったの。
そこでお父様はおっしゃったわ。私の分まで強く生きろ、と。そしてお父様は行ってしまったわ。
もしかしたら、これがアリスになるという事なのかもしれない。」
ジュン「他の奴らはやっぱり戻ってないのか?」
真紅「あの子達は、お父様と一緒にいるわ。遠くで私を見守っててくれる」

学校が終わると、帰宅部の僕は寄り道もせず真っ直ぐ家に向かう。
いつものようにカバンをベッドに放り投げ、上着を脱いでPCのスイッチを入れる。
いつものようにベッドの上で真紅が難しそうな本を呼んでいる。
……?
ジュン「こらあああああ!!」
真紅「早かったわね、おかえりなさい。」
ジュン「おかえりなさい、じゃない!!何でお前はまた僕の部屋でくつろいでるんだあああ!」
真紅「あら、家来の物は私の物。私の物も私の物よ?」
ノリ「ジュン君、今日からまた真紅ちゃんが一緒に暮らすことになったからよろしくね。
お姉ちゃんもびっくりしちゃった~!まさか真紅ちゃんが本当の女の子になっちゃっうなんてね~!」
悪夢だ。またあの地獄のような生活が始まるのか。まぁ今回は真紅だけみたいだけど、少し寂しい気もするかな・・・。
真紅「ジュン、紅茶を淹れてきて頂戴」
ジュン「はいはい、わかりましたよー」
真紅「はいは一回でしょ?」
相変わらずの傍若無人振りだ。人間になってもちっとも変わりゃしない。
チャイム「ピンポーン」
こんな時間に誰だろう?


「たのもーーーですぅ!(なのぉ!)」
前言撤回。家中に響くこの甲高い声の主は勿論あの二人。
ジュン「真紅、お前騙したなーっ!!」
真紅「あら、何の事かしら?」
雛苺「わーい!ジュン、久しぶりなの~!」
家にあがるなり雛苺が飛びついてきた。リボンのない雛苺は少し大人びた様にも感じられた。
翠星石「相変わらずお前はいつまで経ってもチビチビなのですぅ~」
早速悪態をついてきた翠星石は僕より少し背が低いくらいの身長になっていた。
さすがにあの衣装で外をうろつく分けにもいかないのか二人とも人間の女の子らしい装いだ。
実は不覚にもこの時雛苺ごときにドキドキしてしまったなんてとても言えやしない。
人形の時とはわけが違う、年頃の女の子に抱きつかれるなんて僕は未だ経験した事がなかったんだ。
翠星石は近所の花屋でバイトしてるらしい。「人間はちっとも植物の気持ちがわかってねーですぅ」とか言ってたなぁ。
雛苺と金糸雀は中学から通ってるらしい。あいつらは小学校から始めた方がいいんじゃないのか…。
蒼星石と水銀灯、雪華綺晶の行方はまだわかっていないようだ。


雛苺「うわぁーーーい!はっなまっるさぁーん!」
翠星石「やはりノリの花丸ハンバーグは素晴らしいですぅ」
ノリ「あらあら、まだまだあるからどんどん食べてねぇ。それにしても
またみんなでご飯を食べられるなんてお姉ちゃん嬉しいわぁ~」
相変わらずこいつらは食い意地が張っている。これじゃあ食費も馬鹿にならないな。
と思ったが、さっき真紅が僕に一枚の紙切れを渡してきた。鞄の中に入っていたらしい。
英語で書かれていてわからないけど、よく見てみると数字の0の数が5個。
どうみても小切手だった。しかも日本円にしてかなりの額だ。
ローゼンはうちにこいつらを全て任せる気なのか…。


夕食の手伝いをさせられて疲れたのでとっとと風呂に入って寝る事にした。
全くこの生活が明日から毎日続くと思うとゾッとする。そう思いながら背中を流す。
雛苺「ジュン、雛も一緒にお風呂入るの~!」
ジュン「え、ちょっと待tgyふじこ」
雛苺「雛がジュンのお体洗ったげるの!」
ジュン「いいいよ!自分で洗えるから、こっちに来るなああああ///」
雛苺「遠慮しないのー!」
僕は一糸纏わぬ姿の雛苺から隠れるようにして湯船に逃げ込んだ。
雛苺「雛ね、またジュンとノリに会えてとーっても嬉しいの!」
ジュン「あああ、そりゃあ、よかったな!」
あさっての方向を向いたまま、僕はすっとんきょうな声で返事を返した。
翠星石「納得行かねぇですぅ!淑女が男子と一緒に風呂に入るなんて不潔極まりないのですぅ!
ノリ「あらあら、雛ちゃんはまだ小学生くらいの年かなぁと思ったんだけど・・・。」
人形の時とはわけが違う、年頃の女の子に抱きつかれるなんてましてや女の子とお風呂に入るなんてry
雛苺「ジュン、耳まで真っ赤だったの~。あと、腫れてたの直ったなの?」
翠星石「なっ…!不潔ですぅぅっぅぅうう!!!」
風呂からあがるなり思いっきりみぞおちにストレートをくらって僕はその場で悶絶した。


鞄の中で寝るわけにはいかなくなった雛苺と翠星石は父さんと母さんの部屋、
真紅は僕の部屋で寝ることになった。なんで僕が床で寝なきゃならないんだ?
夜中、ふと目を覚ますと真紅が起きていた。何か考え事をしているようだった。
ジュン「眠れないのか?」
真紅「ええ、ちょっと」
そういえば、前にもこんな事があったな。真紅が水銀灯の事を考えて眠れなかった時だ。
また何か悩みでもあるんだろうか?しかし、こうして真紅を見ると本当に普通の女の子だ。
確かに人間になった真紅が目の前にいる。起きたら夢オチだったなんて事はなさそうだ。
ジュン「あの第7ドールはどうなったんだ?あいつも人間になってるのか?」
真紅「あの子は私達姉妹の中でも特別な、実体を持たないドール。どうなったかは私達にもわからない。」
ジュン「そうか。あんな奴だけど一応お前達の姉妹、ローゼンの事を思って戦ってたんだよな。
一人だけ仲間外れなんてかわいそうかなぁと思ってさ。」
真紅「そうね。あの子も水銀灯と同じ、お父様に会うために戦っていのだわ。
ただ、ほんの少し不器用だけだっただけ。お父様を愛する気持ちは皆同じ。」
ジュン「あいつももしかしたら人間になってどこかで暮らしてるのかもな」
真紅「ええ。きっとあの子も、蒼星石も水銀灯もきっとどこかで元気にやっているわ。


そういえば、前にもこうやってあなたに悩みを聞いてもらった事があったわね。」
ジュン「そうだな。人間も人形も悩みは尽きないからな。人間は眠れば嫌な事も忘れてすっきりするもんさ」
真紅「ねぇ、ジュン」
ジュン「ん?」
真紅「こっちに来て」
ジュン「え、何言ってるん…」
真紅「だめなの?」
人形の時とはわけが違う、年頃の女の子と同じベッドで寝るなんてry
僕のベッドは無駄にセミダブルで、二人で寝るには十分な大きさだけど
真紅の顔なんかまともに見る事はできずに僕はベッドから落ちそうな感じでその夜を過ごした。
真紅「ジュン、ありがとう。おやすみなさい」
ジュン「お、おやすみ」
一睡もできなかった事は言うまでも無い。


古泉「おやおや、こんな所に一般人が入り込んでしまうとは一体どういう事でしょうか?」
真紅「誰?名を名乗りなさい!」
古泉「おっとこれは失礼、僕の名は古泉一樹。」
真紅「私は真紅。ローゼンメイデン第5ドールよ。貴方は一体何者?ここは貴方のnのフィールドなの?」
古泉「ドール…?一体何の事かはよくわかりませんが僕は超能力者、とでも言っておきましょうか。
そして我々はあなたの言うこのフィールドを閉鎖空間と呼んでいます。」
真紅「貴方も人形師の類なのかしら?もしかしてお父様の事を知っているの?」
古泉「申し訳ありませんが、あなたのお父さんが誰だか僕にはちょっとわかり兼ねます。」
真紅「そう。まぁいいわ」
古泉「しかしあなたも大したものだ。この状況を見てほとんど驚いていませんね。
ん、まずい。始まったようです」
轟音と共に巨大な人間の形をした怪物が現れる。
真紅「あれは一体何?」
古泉「神人ですよ。涼宮さんのイライラが限界に達するとry」
真紅「よくわからないけど、あの化け物を倒さない限りこのフィールドからは出られないようね」
古泉「まぁ、そういう事になりますね」
真紅「いいわ、この真紅がローゼンメイデンの何においてあの怪物を始末するわ」
古泉「え、ちょ、待ってください!」
真紅「ホーリエ!」
無数の薔薇の花弁が巨人を包み込み、人工精霊は高速回転しながらその四肢を順に切断していく。
真紅「意外とあっけなかったわね。」
古泉「これは驚いた。あなたも能力者だったとは…。
真紅「どうやらこの姿になってもnのフィールドの中では力は使えるようね」
古泉「素晴らしい。真紅さん。どうです?あなたも我々の組織に入って一緒に戦いませんか?
我々としてはあなた程の能力者が協力して頂ければ、非常に有難いのですが」
真紅「いやよ、面倒くさい」
そういって真紅はさっさと去っていった。


雛苺「真紅~早くしてなの~!」
いつもの雛苺のつんざくような声で僕は目を覚ました。
真紅「ちょっと!話しかけないで頂戴!気が散るでしょ!トイレの前で騒ぐなんて非常識なのだわ!」
やっぱり普通の人間と一緒、食ったらちゃんと出るものも出るらしい。
翠星石「全く人間というのは不便な生き物なのですぅ」
ジュン「お前らそんなんで文句言ってる用じゃこの先やっていけないぞ?」
雛苺は中学、僕と真紅は高校へ、姉ちゃんは大学へ行ってる間、
残った翠星石がバイトの時間まで家で留守番する事になった。
ノリ「じゃあ翠星石ちゃん、お留守番頼んだわね」
雛苺「翠星石、一人で寂しくないのぉ?」
翠星石「ななななーに言ってるですぅ!全然寂しくなんかないのですぅ!
家の事はこの翠星石に任せて大船に乗った気でいやがれですぅ~!」
そう言って僕らを見送った翠星石の笑顔はちょっと寂しげだが頼もしくも見えた。


それはある晴れた日の午後だった。
女子「あなた、普通の人間じゃないわね?」
真紅「なっ…失礼ね。何を言い出すの?」
こいつは入学当初から学校で噂になっている有名な電波女だ。
女子「こんな時期に転向してくるなんてあなた絶対怪しいわ!SOS団に入りなさい!」
真紅「いやよ面倒くさい」
説明を聞く間髪も入れずに真紅はこれを断った。
女子「しょうがないわね。次を当たるわよ、キョン!」
いまいち乗り気でない、卑屈そうな顔をした男子を連れて彼女は風のように走って行った。
真紅「変ね。あの人間、何故私が普通ではないとわかったのかしら?」
ジュン「いや、あいつらが普通じゃないんだよ。本当に面倒に巻き込まれる前に断って正解だよ」
真紅「そう。この学校という所にはいろいろな人間がいるのね」
ジュン「ああ、お前達は限られた人間としか関わった事がなかったもんな。いろいろな人間と触れ合うのも
意外と楽しいもんだよ。外の世界に触れるのも新鮮だろ?」
真紅「そうね。ジュン、あなた変わったわね」
ジュン「そうか?」
真紅「ええ、とても。強く、たくましくなったわ。」
高校に入って色々な人間と出会って僕は確かに変わったかもしれない。
中学の頃あれだけコンプレックスだった服飾のデザインという僕の趣味は、
今ではむしろ自分の目標になっている。高校を卒業したら僕は服飾関係の道へ進もうと考えている。


蒼星石「君はどう思う?この状況。アリスゲームに敗れたはずの僕らをこうして、
しかも人間として蘇らせるなんて、お父様は一体何を考えていたんだろうね」
水銀灯「さぁ?」
蒼星石「僕達は間違っていたのかな?同じ姉妹同士で傷つけ合う事は正しかったと思う?」
水銀灯「アリスゲームはお父様の望みよ。私はお父様に会うために、あなたのローザミスティカを奪ったわ。」
蒼星石「ねぇ。お父様はもういない。それは君も知っているだろう?僕等にもう戦う理由なんてないんだ。
君にはもう翼はないけれど、自由に飛び回る事が出来るんだよ。水銀灯」
水銀灯「…。わかってるわ。そんな事」
ラプラスの魔「束の間の休息か、支配者の罠か」
水銀灯「ラプラスの魔!」
蒼星石「君は一体何者なんだ?何故僕達ローゼンメイデンに付きまとうんだ?アリスゲームは終わったんだ。
もう僕達に関わらないでくれないか?お望みとあらばその尻尾を叩き落としてあげるよ」
蒼星石は庭師の鋏をラプラスに向けた。
ラプラスの魔「おやおや。せっかくアリスになれたというのに、貴方は鋏を向ける相手を間違っておられます。
新しい玩具は、もう貴方達のそばへ。そして闘いの序曲を奏でるのです」
水銀灯「何を言ってるの?」
蒼星石「話しても無駄だよ」
ラプラスの振りぬいた手が中に弧線を描くと、ぱっくりと空間が避けた。
ラプラスの魔「それでは、御機嫌よう」
水銀灯「相変わらずわけのわからない奴ね」
蒼星石「さて、僕はみんなの所へ戻るよ。君はこれからどうするんだい?」
水銀灯「さぁ?」
そう言って水銀灯は蒼星石のフィールドを後にした。
蒼星石「僕達も行こうか。レンピカ」


下駄箱を開けると一枚の手紙が入っていた。
「放課後、誰もいなくなったら一年五組の教室に来てください」
学生特有の淡い期待なんかを持ちながら僕は教室の戸を開けた。
そこにいた人物を目にして、僕はかなり意表を突かれた。
朝倉「入ったら?」
クラスの委員長の朝倉だ。
ジュン「何の用だ?」
朝倉「ちょっと聞きたい事があるの。真紅ちゃんの事なんだけどね…。どう思ってる?」
鈍感な僕でもこの一言で事態を察した。これは告白フラグ!
ジュン「え、どうって…た、ただのクラスメイトだよ」
朝倉「人間はさ、よくやらなくて後悔するよりやって後悔する方がいいって言うよね。これはどう思う?」
ジュン「ん、まぁその通りだよな。」
朝倉「でしょう?でもね、上の方にいる人は頭が堅くてついて行けないの。
手をこまねいていたらどんどん良くない事になりそうだから。だったら、もう現場の独断で
強行に変革を進めちゃってもいいわよね!」
あれ?こいつは一体何を言おうとしているんだ?
朝倉「何も変化しない観察対象に私はもう飽き々しているのね。だから」
あなたを殺して、シンク・ローゼンの出方を見る。」
次の瞬間、何か光るものを振りかざした朝倉はそれを僕目掛けて振りぬいた。どうみてもナイフです。
なんだなんだ!?なんなんだ!!この状況はなんだ!なんで僕が朝倉にナイフを突きつけられなきゃなんないんだ?!
ジュン「冗談はやめろ!マジ危ないって!」
朝倉「冗談だと思う?ふ~ん。死ぬのって嫌?殺されたくない?
私には、有機生命体の死の概念が良くわからないんだけど」
ジュン「意味がわかんねぇよ!いいからその危なっかしい物をどっかに置いてくれ!」
朝倉「うん、それ無理!」
教室の戸を開けようとするが開かない。周りを見渡すと既にそこにいつもの教室は無かった。
なんなんだここは、nのフィールドか?こいつは一体何者なんだ?


朝倉「じゃあ、死んで!」
やばい、体が動かない!ありかよ!
翠星石「ちょーっと待ったーぁッですぅ!寝言は寝て待て(?)ですぅー!」
巨大な植物が地面を突き破り、僕の周りを覆い尽くした。
翠星石「ジュン、怪我はないですか!?」
ジュン「ああ、大丈夫だ。助かったよ。」
翠星石「まったく、チビ人間ときたら途方もない抜け策なのですぅ」
ジュン「なにぃ?」
翠星石「翠星石がついてやらないと野垂れ死に確定ですねぇ」
ジュン「おい待て!誰がお前なんか…」
翠星石「危ないっ!」
何か呪文の様な言葉を口にした朝倉の手から光の矢の様なものが放たれた。
朝倉「あなた達、自分の置かれてる立場が分かっていないようね?」
翠星石「どうやら口喧嘩をしている場合じゃなさそうですね」
ジュン「ああ、そうだな」
朝倉「この空間に侵入できるって事は、あなたもシンク・ローゼンと同じね。
あなたの方から出向いてくれるなんて丁度よかったわ。でも、その人間を守りながらいつまで持つかしら?」
翠星石「ジュン!危ないっ!」
植物に囲まれて動けなくなった僕をかばった翠星石は、無数の矢のようなものに貫かれた。
ジュン「翠星石!!!」
翠星石「うう、ジュン…。私としたことが、ドジ踏んでしまったのですぅ」
朝倉「それだけダメージを受けたら、もう植物を呼び出す事はできないわね。じゃあ、とどめね!」


翠星石「終わりですぅ。」
朝倉「何の事?永遠だった筈のあなたの人生が?」
翠星石「違うです。既に…お前にシマネキソウの種を植え付けておいたです。」
朝倉「そんなっ…!体が動かない!」
翠星石「もはやシマネキソウはお前の体の自由を奪う程まで成長しているですぅ。
私がある言葉を発すればそれは爆発的に成長し、宿主の体を突き破るのですぅ」
朝倉「侵入する時にあらかじめ種を仕込んでおいたのね。どうりで登場が派手すぎると思った。
あの巨大な植物は私の気を引く為のカモフラージュだったわけね。
あ~ぁ、残念。膠着状態をどうにかするいいチャンスだと思ったのにな。ジュン君。よかったね、延命できて」
でも気をつけてね。いつかまた、私みたいな急進派が来るかもしれない。それまで真紅ちゃんとお幸せに。じゃあね!」
翠星石「さよなら…ですぅ」
その言葉を合図に朝倉の体を無数の蔓が突き破った。
翠星石「皮肉ですね…。悪党の血の方が綺麗な花が咲くのですぅ」
そう言うと翠星石はゆっくりと地面に倒れ込んだ。
ジュン「翠星石!大丈夫か!?」
翠星石「ジュン、どこも怪我してないですか…?」
ジュン「ああ、大丈夫だよ!そんな事はどうでもいい!何であんな無茶したんだよ!」
翠星石「よかった…。どうです?少しは翠星石の事、見直しやがれですぅ」
ジュン「うん!うん!お前はよく頑張ったよ!だからもう喋るな!」
翠星石「一回しか言わないから、よく聞くです。ジュン…翠星石は、ジュンの事が…」
ジュン「す、翠星石?翠星石!翠星石ーーー!!!」
何とか一命を取り留めた翠星石は今市内の病院に入院している。
しかし一体あいつは何者だったんだろう。普通の人間じゃないって事だけは確かだ。今となってはもう何もわからない。
ジュン「そういえばお前、あの時何言おうとしてたんだ?」
翠星石「ななな何の事ですぅ?いいからお前はさっさとリンゴの皮でも剥きやがれですぅ!」
医者が言うには人間とは思えない驚異的な速さで回復してるらしい。そりゃあ普通の人間じゃないもんなぁ。
怪我人とは思えない程元気な翠星石を見て、僕はこんな日がずっと続けばいいと考えていたんだ。


薔薇水晶「お父様…。お父様なのね?あぁ…会いたかった…」
古泉「いえ、僕は古泉一樹。あなたもお父さんを探しているんですか。
ですが、すみません。僕はあなたのお父さんでも何でもありませんよ。」
薔薇水晶「あなたは…お父様。それはお父様の声。お父様の温もり…」
古泉「困ったなぁ。よく見てください。おそらくきっと何かの勘違いでしょう。それよりあなたは?」
薔薇水晶「あなたは…お父様ではないのね。お父様は…どこなのっ!!!」
紫色の水晶が古泉を目掛けて飛び出す。古泉は間一髪これを避ける。
古泉「くっ!あなたも能力者かっ!待ってください。僕はあなたのお父さんとは何の関係もありません。
どうか矛先を僕に向けるのはやめて頂けませんか?」
薔薇水晶「お父様に…会いたい」
古泉「おや、泣いているんですか?どういう事情かわかりませんが、
もしよかったらお話を聞かせて頂けますか?僕にできる事なら喜んで協力しますよ。」
薔薇水晶は自分とローゼンメイデン、アリスゲームについて簡単に古泉に説明した。
古泉「なる程。あなたは随分特殊な環境で生まれた人間のようですね。これも涼宮さんの精神の反映なんでしょうか。
もしかしたらあなたのお父さんはどこかの閉鎖空間、いや、nのフィールドに迷い込んでるのかもしれませんね。」
薔薇水晶は俯いたまま頷いた。
古泉「わかりました。もしこれからこのnのフィールドを発見した時はまず、空間内の人間の捜索に力を入れるよう上に打診してみます。
最近はあなたのようにこの空間に迷い込んでしまう人間が増えているようですからね。」
薔薇水晶「ありがとう…」
古泉「いえ、レディが困っているのを放っておくわけには行きませんからね。当然の事ですよ」
薔薇水晶は涙をその眼帯にしまい込み、新たな目標に向かって歩き出そうとしていた。


蒼星石「た、ただいま。おじいさん。おばあさん。」
元治「おぉ、カ、カズキィ!いや、蒼星石!よく、よく戻ってきてくれたなぁ…!」
マツ「あぁ、何て事!きっとまた会えるって信じてたわよ。」
蒼星石「長い間留守にして、本当にごめんなさい。もう絶対にどこにも行かないから、
またここに置いてくれますか?」
元治「勿論じゃよ!嬉しいなぁ、お前とまた暮らせるなんて。しかし、蒼星石。お前ちょっと背が伸びたんじゃないのか?」
蒼星石「ええ、実は僕達ローゼンメイデンはどういうわけか人間になってしまったみたいなんです。」
元治「本当じゃ、本当に人間のようじゃ…」
元治は確かめるように蒼星石の体を撫で回した。
蒼星石「ちょ、おじいさん!変な所触らないでください///」
元治「蒼星石、おまえ、ま、まさか…女だったのか!!」
蒼星石「ごめんなさい。隠してるつもりはなかったんだけど…」
唖然とする元治。マツは驚きの余り汲んでる茶を溢してしまった。
元治「そうか、まぁそれはしょうがないのぉ」
マツ「でも、あなた元々綺麗な顔立だから全然不自然じゃないわねぇ」
蒼星石「そ、そうかな?ありがとうございます。」
元治「しかしこれじゃあ、蒼星石にワシの後を継いでもらうのは無理じゃなぁ…」
蒼星石「ごめんなさい。でも、おじいさんのお店の手伝いなら僕に任せてください。」
マツ「あら、頼もしいわねぇ」


蒼星石はアリスゲームが終わった事を二人に告げた。
マツ「それは大変だったわねぇ。」
元治「ん?どうしたんじゃ?蒼星石。何か浮かない顔をしているようじゃが?」
蒼星石「おじいさん、おばあさん。真紅達は僕の事を許してくれると思いますか?
僕は同じ姉妹でありながら、彼女達を傷つけようとした。翠星石達に会わせる顔がないんです。」
マツ「大丈夫よ。翠ちゃんも、真紅ちゃんも、チビ人間さんもあなたに会いたがってるはずよ。
きっと許してくれるわよ。同じ姉妹なんだし」
元治「おいおい。ジュン君だろ?」
マツ「あらやだ。また翠ちゃんの口癖が、移っちゃった」
蒼星石「そうか。おばあさん、ありがとう。少し安心しました。」
マツ「そうだ、今度みんなをうちに呼んでいらっしゃいよ。
私が腕を振るって料理をご馳走してあげるわ」
元治「ほらほら。また張り切りすぎてギックリ腰にでもなられたら、たまらんよ」
蒼星石「あははは!わかりました。今度、真紅達の所へ行ってみる事にします」
そう遠くない未来、蒼星石は正式に二人の養子となって幸せに暮らす事になる。


めぐ「出てけっていったでしょ!」
ドアが開くなりそう叫んだめぐは、それが看護婦ではない事に気づいた。
めぐ「水銀灯…?水銀灯なのね?その姿は一体…」
水銀灯「わからないわ。目が覚めたらこんな酷い姿になっていたのよ」
めぐ「すごいじゃない水銀灯、あなたきっとアリスになれたのね。って事はお父様にも会えたの?」
水銀灯「いいえ。私はアリスゲームに敗れたわ。最後に残ったのは真紅。
私はお父様に会う事ができなかった」
めぐ「そう、残念ね。でもよかったじゃない。思った通り、あなたやっぱり美人ね」
水銀灯「お父様に会えなければ何の意味も無いわ。こんな体。
誇り高いローゼンメイデンでいた方がよっぽどマシよ」
めぐ「贅沢言うものじゃないわ。水銀灯。この世には健康な体が欲しくても
そうは行かないあたしみたいな人間が五万といるのよ」
水銀灯「フン、人間の事なんて知ったこっちゃないわ。」
めぐ「あなたには何もわからないわ!あなたはいいわよねぇ水銀灯。不完全なお人形が
こんなにきれいな女の子になれたんだから。私はジャンクのままよ!あなただけは私と一緒だと思ってたのに…!
この、裏切りも…!」
そう言い切る前に、水銀灯はめぐの頬をはたいた。
水銀灯「めぐ。自分の事をジャンクだなんて言うものじゃないわ」
めぐ「ごめんなさい、水銀灯。あなたの前で取り乱しちゃうなんて。
あたし、あなたの事がちょっと羨ましくなっちゃって。私は何も変わってないわ。
まずい食事にまずい薬を毎日毎日。こんな人生早く終わっちゃえばいいのに」
水銀灯「めぐ。私が毎日来てあげるから、私がずっとついててあげるから、
だから死ぬなんていうもんじゃないわ」
めぐ「ありがとう。水銀灯。ずっと一緒よ。約束よ?」
水銀灯「ええ、死が二人を分かつまで」

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