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短編「図書館」シリーズ二話「雛苺・金糸雀」

突然だが、私、真紅は図書委員だ。
元々本が好きで、中一のときに初めて図書委員になり…
気が付けば図書室、そして図書委員の常連となり早3年。
その間に図書室仲間ともいうべく、同じく本の好きな友達連も出来て、
図書館をよく利用する人の顔もかなり覚えた。
これは、そんな私の図書室でのある日の話。

この、普段は比較的静かな図書室で、目立つ人物、といえば。本当にことさら目立つのが…

雛「真紅ぅ~!金糸雀いる~?」

きたきた、そう。この雛苺。私より一つ下の学年の彼女はいつも、
この図書室で…無駄に高くてよく響く声で、ぺらぺらしゃべる。

紅「…ここは図書室よ。いつも言っているけれど、くれぐれも静かになさい。」
雛「はぁ~い。しーなのね。しー…」
紅「それと金糸雀なら、奥に返却本を戻しに行ったまま、まだ戻ってこないわ。」

雛苺は、口の前に指を一本立てて、そのまま奥へ歩いていった。
彼女は、よく来る割りに本を借りていく事はほとんど無く、あっても童話や絵本などの薄い本ばかり。
ここは廊下や教室ではなくて図書室なのだ、と私も何度伝えたことか。
しかし暫くすれば、いつもまたすぐに注意を忘れて話し出す。
彼女の声は本当に良く響くので小声だって十分に他の利用者の迷惑になってしまうのだ。
またしばらくしたら、返却された本を棚に戻すついでに注意をしに行かなくてはいけないだろう…
私は受付カウンターでふぅ、と小さくため息をつく。

…先ほど彼女が言っていた金糸雀というのは、私と同じ図書委員常連であると共に図書館友達の一人。
彼女は雑多な広い範囲の本を様々に読んでいて、私の好きな推理小説の類も手広くカバーしている。
そして同学年だからというわけでもないだろうが先ほどの雛苺ととても仲がよく、
ともすれば休み時間のほとんどを図書館で過ごす金糸雀に会うために彼女もここに来ている節がある。
それなので、この前雛苺と金糸雀二人に、お互いにうるさくならないよう気をつけて、と注意した。
それ以来気が付いたら雛苺に静かにするよう金糸雀は言ってくれているらしいのだけれど、
残念ながら効き目はあまりないようだ。

雛「…え、そうなの?…で……」
金「雛苺、しーかしら!」

二人の声が奥から聞こえてくる。

雛「…い…なの…で………すっごぉーい!金糸雀よくわかったなのー!」

思わずため息が漏れた。そろそろ注意しに行かなくてはいけないようだ。
もう書架に戻すことが出来る返却本を数冊手に持ち、
奥の司書の先生に声をかけてから私は歩き始めた。
いつも元気すぎて…少し微笑ましい彼女達の元へ。

次回「司書の先生」

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