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あの後はどうにか静かに放課後まで迎える事が出来た

――性悪と口論に何度かなったが、先生に叱られなかったから大丈夫だろう

とりあえず学校は終ったんだやっと帰れる
「何をしているの? ジュン」
「学校終ったから帰れるんだよ」
「何を言っているの? 終ったのだから学校を案内なさい」
「何で俺が……」
「貴方は私の下僕なのだわ」
「下僕って……」
そんなこと――聞いてしまった貴方が悪いのだわ――は確かに言われたな
「分かったなら行くのだわ」
「……はいはい」
「゙はい゙一回なのだわ」
何で真紅から聞いてしまったんだろう
「ねぇ真紅、僕たちも一緒に行ってもいいかな?」
「雛も行きたいの」
「別に構わないのだわ」
「ありがとう」
本当に蒼星石はいい子だな
ローゼンの事も蒼星石に聞けばよかった
「なら、早速出発です」
「はいなの~」

とりあえずどこを回るか……
この学園は主に本館と分館に分かれている

 本館の一階は、この学園の莫大な学生の靴を収納することができる下駄箱がある生徒玄関
正直、初めの頃は、自分の下駄箱を探すのに、悪戦苦闘したものだ
 二階には、生徒の数にも、負けず劣らないと思うほど居る、教師の溜り場、職員室
二年になった今でも、見たことがない先生の数の方が多い
ついでに、本館と分館を繋ぐ連絡通路があるのはここである
 三階には、会議室、生徒会室がある
全くもって俺には興味が無い場所だ
 四階は……噂では校長室があるらしい
噂だと今まで四階に言った者はいないとか……
学校に何故そんな所が有るのかが気にはなるが、あるのが校長室なら行く必要も無いな

 分館については、本館を正面に見たとき
向かって右にあるのが、北館
左側にあるのが、南館
本館に後ろに隠れてあるのが、西館
分館には図書室やら色々あるがこの広さだ把握できる訳がない

「どこを回る?」
「そうね、翠星石が今日言ってたように一年の教室にでも行くのだわ」
「流石真紅です、話が解るです」
「一年だな、ちゃんとついて来いよ」
「チビに言われなくても大丈夫です」
一年か……懐かしいな
北館は日が入らないから寒いイメージがまだあるな
「 ? どうしたの翠星石」
「ちょっとトイレに行ってくるです」
「じゃあ、ここで待ってるよ」
「すぐに追い付くから先に行ってていいです」
「分かったよ」


「あら、翠星石がいないのだわ」
「翠星石ならトイレに行くったよ」
「あの馬鹿、言ってくれたら待ってやったのに」
一年もここに通ってる俺でもたまに迷いそうになるのに

昨日今日来たばっかのあいつが解るわけ無いだろ――

一年の教室が北館に在ることも言ってない俺も悪いな

「お前らここで待ってろ、すぐに戻ってくるから、いいな、絶対にそこを動くなよ」

「ジュン、行っちゃったの」
「ゴメンね、僕がちゃんと言っていたらよかったのに」
「気にしなくていいのだわ、翠星石は変なところで意地を張るからなのだわ」
「ふふっそうだね」

「蒼星石~どこです~」
やべーですこんなところで迷子になっちまったです
「誰でもいいから出てきやがれです」
返事が返ってこない

「真紅~雛苺~……へっ返事くらいしやがれです……ウグッヒグッ」

「……星石」
「!? 蒼星石ですか!?」
「ハァハァ……やっと見つけた」
「チッチビ人間どっどーしたです?」
「どうしたって迷子になってるお前を探しに来たんだよ」
「だっ誰が迷子なんて……」
「そんなセリフは涙を拭いてから言ったらどうだ?」
「あっ……」
ゴシゴシ
「泣いてなんかねーです、これは汗です」
「はいはい、行くぞ」
「…………」
「んっ? 俺の顔になんか付いてるか?」
「なっなんでもねーです」
「今度はちゃんと着いて来いよ」
「……はい……です」


 放課後の誰もいない廊下に響く二つの足音
「翠星石が来たようだわ」
真紅が言ったように、廊下の先の、角から翠星石の姿が見えた
「蒼星石ぃ」
蒼星石を見つけた途端、走り、抱きついた
「ちょっ、痛いよ翠星石」
「気にするなです」
「まったく、一人が怖かったのなら、私たちを待たせればよかったのだわ」
「なっ!? 翠星石が怖がる事なんてこの世にねーです」
本当に意地っ張りだな、さっきまで泣いてたのに
「ほら、今度こそ行くぞ」
「そーです、早く行くです」
「まったく遅れたのはお前の……んっ?」
突然、後ろから制服を引っ張られた
「雛苺どうかしたか?」
「ヒナ、迷子になりたくないの」
「なっ!? ズル……翠星石は別に迷子になんてなってねーです」
「確かに迷子なのだわ」
「真紅まで!? そっ、それにそんなことをしているから、雛苺はいつまで経ってもチビ苺なんです」
「う~」
「あーもう、さっさと行くぞ」

南館とは違う、北館から漂うひんやりとした空気
「懐かしいな」
二年になってから一ヶ月も経っていないがここが懐かしく感じる
「それにしても……人がいないのだわ」
「仕方ないだろ、今は丁度、宿泊研修だからな」
「まったく、これじゃ、骨折り損のくたびれ儲けです」
「大変だったのは翠星石だけだよ」
「そんな昔の事を蒸し返すなです」
結局、目的の一年がいなかったんだ、
「もう、帰っていいか?」
「そうね、次は三年の教室かしら」
「う~ん……生徒名簿はどうかな?」
「流石、蒼星石です」
「蒼星石、頭いいの」
「それは無理だろ……ってどこ行くんだ!?」
「職員室なのだわ」
ちょっと待てよ、今は個人情報保護法とかなんとか色々あるけど、こいつらには通じないだろうし
「そうだ、生徒会室に行かないか? あそこならきっと」
「そう、なら、案内して頂戴」
生徒会室に生徒名簿があるはずが無い、これで諦めるだろう
それに行事が近い訳でもないし、使ってないはずだし大丈夫だろう

「まだですか~」
「この階段を登ったらだ」
階段の先に広がる景色には、生徒会室とか先生の会議室とかここにいるだけで嫌になるものがある
「ジュン君、どれかな?」
「え~と」
ズボンの後ろポケットから生徒手帳を出し眺めた
「何を見てるです?」
「言ってなかったっけ? 生徒手帳に地図が載ってんだ」
「そーゆー事は早く教えやがれです」
確かに教えていれば翠星石が迷子にはならなかったな
「げっ!! 最悪」
「話しを聞きやがれです」
「出たところが悪かったみたいだ、生徒会室は一番奥の部屋だ」
言うと同じに指した指の先を見た雛苺がいきなり走り出した
「競争なの」
「待ちやがれです、チビ苺」
馬鹿かあいつら?
こんな無駄に学校だぞ
生徒会室まで百メートルはあるぞ

「ざまーみやがれです」
「う~負けたの」
「真紅と蒼星石も早く来るです」
あんなに大声を出さなくてもいいだろ
ガラガラ
誰も居ないと思っていた生徒会室の扉が突然開いた
「これは怒られるな」
とりあえず翠星石がいると余計に面倒な事になると思い、急いで駆けた
「ちょっと静かに……」
「スイマセン、すぐにいなくなりますから」
怒られる前に謝って逃げるが一番だ
「……桜田君?」
「えっ!?」
生徒会室から出てき人を見れば、いつも見慣れた顔だった
見慣れたと言うより、俗に言う幼馴染みだ
「なんだ柏葉」



 よかった柏葉か……
あれ? 何でここに?
「今日何あったけ?」
「ううん、先生に調べものを頼まれただけ」
「そうなんだ」
「桜田君は何をしてるの?」
「こいつらに学校を案内してるんだよ」
「こいつらとはなんですか」
「はいはい、そうだ、柏葉も一緒に来てくれないか? 来てくれたら助かるし」
「ごめんね、もうちょっとかかりそうだから」
「なら、手伝うよ、お前らもそれくらいいいだろ?」
「仕方ないのだわ」
「ありがとう」
「へへ、ヒナ誉められたの」


柏葉が頼まれていた調べ物も三人がいればすぐに終った
真紅は
「何で私が、下僕のあなたがやりなさい」
翠星石は
「めんどくせーです」
とか、勝手な事を言って手伝わないし
雛苺は雛苺で、結局遊んでいたし
これじゃ、真面目に探していた、俺らが馬鹿みたいだ

「ところで、何処に行くの?」
「そうだった、お前ら次はどこにするんだ?」
「何を言ってるの? 私たちは生徒名簿を見に来たのだわ」
「生徒会室にそんなものがあるわけないだろ」
「ジュン君、どうゆう事?」
しまった!! つい口が……
「生徒名簿は日本の法律で勝手に見れないんだよ、説明するのが面倒だったからつい……」
「それではなっとくいかないのだわ、こうなったら職員室に行くのだわ」
「柏葉、こいつらに説明してくれないか?」
「いいけど……」
流石、柏葉だ
なんとか法についてをちゃんと説明出来るなんて
「……と言うことなの、分かってくれた?」
「分かったのだわ、まったくこんな簡単のことも説明出来ないなんて使えない下僕なのだわ」
「ところで、どうして生徒名簿が見たいの?」
それは聞かない方がいいだろう
こんな、くだらない事で下僕扱いされるなんて

「それはね……」

「……なんだ」
「何だか大変なんだね」
あれ? 柏葉には何も無し!?
くっそー、こんなことなら、初めから蒼星石に聞いていれば良かった
「でも、もう時間が遅いからまた明日にしない?」
「それもそうね」
おっ!? やっと帰れるか?
そういえば、もう日が沈みかけている
やっぱり柏葉に頼んで正解だった

「じゃあな」
生徒玄関でみんなを見送った
また、翠星石が迷子になられても困るからな
俺はみんなを見送った後、校舎裏へと向かった
この学校の名前は私立薔薇学園
その名前の通り、校舎裏には植物園に負けないんじゃないかって言うくらい
広大な薔薇園が広がっている
圧巻されそうなほどの広さだが俺にはそこが一番落ち着く場所だ
花に興味が無いと普通の人はここに足を踏み入れない
異常なまでに生徒が多い、この学園では、唯一、一人でいられる事が出来る
それもまた、ここに来る理由の一つだ

しかし、今日は先客がいるようだ
「……です」
んっ? この独特な語尾は……
「翠星石か?」
「チビ人間!?」
驚きながら翠星石はこちらの方を向いた
隣には蒼星石だけがいる
そういえば、双子だったな
「何してるんだ?」
「花を見てるに決まってるです」
そりゃそうだ
「いい景色だろ」
「うん、学校にこんな所があるなんて凄いね」
多種多様に咲き乱れる薔薇が沈みゆく夕陽に真紅に染まる
「いつ見ても綺麗だな」
「花、好きなんですか?」
「好きだな、詳しくはないけど」
「そうなんですか」
今日もこの景色を見れたし
「俺は帰るけど、お前らは?」
「もうちょっと見ていくよ」
「そっか、じゃあな」
もう少し見ていたかったが、翠星石が居ると落ち着けなさそうな気がして

今日は早めにここを後にした


「……好きなんだ」
「なっ!? 何のことです!?」
「ジュン君のこと」
「そっそんな訳……」
「隠さなくたって、それくらい分かるよ」
「う~」
「でも、僕らは……」
「分かってるです!!」
「……それならいいけど」


~翠星石・三部完

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