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「一つ屋根の下 第五十三話 JUMとパン食い競争」



「よし、今のトコはなかなかの好成績だな。」
べジータが得点表を見ながら言う。現在、ヒナ姉ちゃんと柏葉のいるB組に僅差ながらもリードし、トップを
走っている我がクラス。このペースでいけば、学年優勝も狙えるだろう。
「次で……午前中は最後の競技だね……」
早いものだ。まぁ、三日もあるんだからあんまり飛ばしても仕方ないんだけどね。
「次は……パン食い競争?へぇ~。キラ姉ちゃん出るのかな?」
食べ物のある所にキラ姉ちゃんアリ、だ。
「あら、私は出ませんわよ?」
と、隣からキラ姉ちゃんが現れる。キラ姉ちゃんはクラス隣だから当然応援席も隣だ。
「へ?出ないの?キラ姉ちゃん、パン食い競争だよ?」
「ええ、出ませんわ。何故ならば……パン如きでは私のお腹の足しにもなりませんわ。さっさと終わって
早くお昼のお弁当といきたいものです。」
キラ姉ちゃんがお弁当に思いを馳せて目を輝かせている。ああ、そういえば今日は翠姉ちゃんと蒼姉ちゃんが
早朝から一生懸命お弁当作ってたな。みんなで食べるとか言ってたっけ。
「ああ、お弁当のお握り…から揚げ…ウインナー……こういうイベントで食べるとより一層美味しいのが不思議
ですわね。」
ああ、確かに。ほら、遠足とかでもさ。普通に食べるより美味しかったりするもんね。
「きっと……みんなで食べるから……美味しい……」
成る程ね。今回は薔薇姉ちゃんに全面同意だな。と、そんな事を思っている時だった。
「おーっほっほっほっほ!カナの予想通り強力そうな相手はいないかしら~!」
カナ姉ちゃんが現れた。その為のオデコと言わんばかりにハチマキが巻かれてる。
「カナ姉ちゃん、パン食い競走出るの?」
「もちろんよ。カナの作戦通りよ、JUM。確かにカナは姉妹の中ではちょっと運動能力は劣るわ。」
うん、確かに。でもまぁ、あくまで姉ちゃん達が超人過ぎるだけな気がしなくもないけどね。



「そこでカナは考えたの。パン食い競争なんて比較的適当にやる種目。カナは、普通の人相手なら対等に
やれる自信があるわ。つまり、パン食い競争はこの金糸雀が楽してズルしていただきかしら。」
おお、まるで僕の借り物競争と同じ理論だな。
「そんなわけだから、JUM応援よろしくね~。」
そう言うとカナ姉ちゃんは意気込んで集合場所へ歩いていく。う~む……ああやって見るとカナ姉ちゃんて
本当に背が低いよなぁ。3年生の出場選手ではダントツで低くないか?
『それでは、ただいまよりパン食い競争を始めます。ルールは簡単。100Mの50M地点にあるパンを手を
使わないでゲットしてゴールへ走ってください。パン地点では係員が手を使わないか見てるので手を使った
時点で失格となります。ちなみに、今回用意されたパンはアリス高校OBのパン屋さん【トロイメント】の
超人気商品ホイップクリームパンです。』
「な、何ですって~~~~~~!!!!」
キラ姉ちゃんがパンを聞いて絶叫する。確か、トロイメントのホイップクリームパンと言えば、超人気商品で
数は毎日限定。早朝から並ばないと買えない一品だ。濃厚なホイップクリームとカスタードクリームを
ふんだんにパンの中に入れ、かなりのボリュームを誇るとか。そこらのコンビニの、皮の方が多いクリームパンとは
訳が違う。皮は薄くなっており、夢見るようなクリームパンなのだ。キラ姉ちゃんも、よく食べたがっているが
低血圧で寝起きが悪いせいで、何時も断念している。
「ああ・・・ああああ・・・せ、選手交代……」
出来るわけありません。キラ姉ちゃんは膝をガックリついている。
「うぅ…ぐすっ……ほいっぷくりーむぱん……べすべす……神よ!たかがパンと冒涜した私への罰ですか!?」
キラ姉ちゃん、マジ泣きだ。しかも、大袈裟すぎ。
「それでは、3年生のパン食い競争を始めます。よーーーい!!!」
お、カナ姉ちゃんだ。地面に座り込んでのの字を書いてるキラ姉ちゃんはとりあえず放って置こう。
パーーーンと競技銃の音が響く。それと同時にカナ姉ちゃんの小さい体がパン目掛けて駆けて行った。


カナ姉ちゃんは意外に早かった。姉妹の中では遅い方らしいが……あっと言う間に50M地点
つまり、パンがぶら下がってる所にやって来る。
「ふっふっふ、カナの作戦通りかしら。後はこのパンを食べて……よっ!ちょあっ!!……あれ?」
カナ姉ちゃんがピョンピョンと手を後ろにして飛ぶ跳ねる。ここで、決定的な作戦ミスが生じたようだ。
「………あれれ~?と、届かないかしら?」
必死にピョンピョン飛ぶカナ姉ちゃん。が、いかんせん背が低すぎる。そうしてるウチに続々と後続がやってくる。
「……金糸雀……ああして見るとやっぱり小さいよね……」
「うん、まさかぶら下がってるパンに届かないのは計算外だろうね。」
僕と薔薇姉ちゃんは何だか微笑ましくカナ姉ちゃんは見守っている。一方、当の本人は必死だ。
「あぁ~ん、想定の範囲外かしら~!ちょあ!!ひゃ!?は、ハチマキが下がってきたかしら!」
あまりにカナ姉ちゃんが飛びすぎたせいか、ハチマキが下がってカナ姉ちゃんの目を覆う。
「……目隠しプレイ……」
薔薇姉ちゃんがボソリと言う。いや、あれはプレイじゃないような。お?パンに届いたか?
「もうちょっと……きゃっ、パンのクリームがぁ~~~……」
もう氏家先生御免なさいな状況だ。カナ姉ちゃんはパンに届いたはいいが、トロイメントのホイップクリームパンは
前に言ったように、皮が薄く中はたっぷりだ。白いホイップクリームがカナ姉ちゃんの顔に付きまくってる。
「……どんどんエロクなってるね……どうみても顔射です……」
「薔薇姉ちゃん、学校でそういう事言わないの。」
で、何とかカナ姉ちゃんはパンをゲット。すぐにハチマキを直し、パンを加えたままゴールへ向かい、あれだけ
時間を食ったにも関わらず無事に一位をゲットしていた。
「ふふっ、どうJUM?カナの作戦通りよ。見直したかしら?」
「うん、とりあえずカナ姉ちゃん顔のクリーム拭こうね。」
自慢げにエッヘンと胸を張るカナ姉ちゃん。顔に付着したクリームのお陰で台無しだ。
「くんくん……クリームの匂い……そのクリームいただきですわ~!!」
「え?ちょっとキラキー……きゃああ!!?カナのお顔がキラキーの舌でまさちゅーせっちゅ!!!」
キラ姉ちゃんがカナ姉ちゃんの顔を嘗め回す。そこまで食べたかったんだろうか。


『それでは、午前の競技は終了です。昼食後、午後の競技を開始いたします。尚、本日は特別に
食堂でトロイメントのホイップクリームパンを販売いたします。是非、お買い求め下さい。』
へぇ、粋な事するもんだな。やっぱりOBだからかな?
「よかったね、キラ姉ちゃん。食堂で売ってるって……あれ?」
「きらきーなら……あれ……」
薔薇姉ちゃんが指差す先。すでに砂煙が上がってよく見えないがキラ姉ちゃんが猛ダッシュしているようだ。
キラ姉ちゃんの事だ。どんな手を使ってでも入手するだろうな。
「JUM……音楽室に行こう?今日はそこでみんなとお食事……きらきーも後で来る……」
「音楽室?いいのかな、勝手に使って。」
「大丈夫……金糸雀は部長さんだから……職権乱用。」
要するに勝手に使うって事か。でもまぁ、静かに姉ちゃん達と食べれるならそれもいいかな。
「よし、それじゃあ行こうか。翠姉ちゃんと蒼姉ちゃんのお弁当、楽しみだね。」
「うん……とっても楽しみ……二人とも気合入ってたから……」
僕は薔薇姉ちゃんと音楽室へ向かっていく。
「JU~~~~M!!ヒナも一緒に行くの~~!」
「JUM、音楽室でも紅茶が飲めるように準備なさい。」
道中、ヒナ姉ちゃんと真紅姉ちゃんと合流する。さ、楽しいお弁当タイムの始まりだ。
END

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