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「一つ屋根の下 第四十四話 JUMと食卓」



「……JUM……のだわ……」
体が揺さぶられる感じがする。そういえば、声も聞こえる。太陽の光も当たってる……でも、体が起きて
くれない。疲労が溜まってるのかもしれないな。疲れてるときは寝よう。うん、それが一番だ。ぐぅ……
「起きなさいJUM。全く、困った下僕ね……せっかくこの私が起こしてあげてるのに。」
そんな声がする。しょうがないじゃん、眠いんだからさ。春眠暁を覚えず~……秋だけど。
「仕方ないのだわ……少しはしたないけれど……起きなさい、JUM!!」
「ぐぼっ!?」
僕のお腹の上に何かがボスンと乗った感じがする。うあ……きっつ……思わず僕は目をあける。
「ようやく起きたのね。おはよう、JUM。」
僕のお腹の上に乗ってたのは真紅姉ちゃんだった。制服のスカートの裾を押さえて僕に見えないように
座っている。髪もツインテールなトコを見ると自分で結ったのか。大抵は僕にやらせるんだが。
「げふっ……おはよう……でもさ、そんなヒナ姉ちゃんみたいな起こし方しなくても…」
ヒナ姉ちゃんは大抵僕に飛び掛って僕を起こす。まぁ、ヒナ姉ちゃんは軽いからいいんだけどね。
「あら、たまにはいいでしょう?それとも、私が重いとでもいいたいの?」
いや、重いわけじゃない。むしろ、真紅姉ちゃんは相当細い。身長の低いカナ姉ちゃんよりも体重が軽いくらいだ。それでも、実際はヒナ姉ちゃんの体重で限界なわけで。
「いや、軽いけどさ。まぁいいや。起きるから、どいてよ姉ちゃん。」
「よろしい……JUM,少し余所見をしてなさい。」
真紅姉ちゃんがホンノリ頬を染めて言う。ああ、余所見しないと……見えちゃうかもだしな……
とりあえず、僕がそっぽを向くと真紅姉ちゃんは降りてくれる。僕は、そのままリビングへ降りていく。
そういえば……真紅姉ちゃんと話したのは久しぶりだな。いや、他の姉妹もかも……


「いよいよ明日から学校祭ねぇ~。準備も今日で終わりねぇ。」
銀姉ちゃんが当然のようにヤクルトを飲みながら言う。毎朝バッチリ乳酸菌とってるなぁ。
「何だかんだで今年も何とか準備は終わりそうかしら~。」
「そうだね。毎年間に合わないかも!とか言いながら間に合っちゃうからね。」
年上組がそんな話をする。確かに、何だかんだでウチのクラスも間に合いそうだった。
「あー……そういえばさ。」
と、僕はふと口を開ける。大したことはない内容なんだけど。ただ、此処最近でどうしても気になる事。
「その……姉ちゃんたちはやっぱり今日もクラスのみんなと晩御飯行くの?」
「?多分そうなるですけどぉ。どうしたですか?JUM。」
翠姉ちゃんが不思議そうな顔をする。そうだよなぁ。前日なんだからクラスで食べに行って、明日への気合でも
入れるべきなんだろうなぁ。
「……ううん、何でもないよ。多分僕と薔薇姉ちゃんも遅くなるだろうからさ……うん……」
僕はそれっきり黙々と朝ご飯を食べていった。
「……JUM?お腹がすきましたの?元気がありませんわよ?」
いや、今食べててお腹が空く人が……キラ姉ちゃん以外にいるとは思えません。
「何でもないよ。何でもないんだ……」
とりあえず僕は言葉を濁した。言って、どうにかなる事じゃないのは分かってる。
「……JUM……」
ただ、薔薇姉ちゃんはやけに心配そうに僕を見ていた。何か言いたげなようだけど。
それでも、薔薇姉ちゃんは敢えて黙っていた。


「さぁ、みんないよいよ明日だね!!メイド喫茶『梅岡屋』!!あ、店の名前は先生が勝手に決めたんだけど
ね。どうかな?ほかにいいのがあればそっちで。なければ梅岡屋で決まりね!!」
何とも客が来なさそうな店名だ。さり気に自己主張が強すぎる。この名前だけは削除せねばなるまい。
「……まぁ、名前はいいとして。準備も万端だな!どうだ?薔薇嬢。制服はきれたか?」
「…もうちょっと…まって……ん、桑ぴー胸がはみ出ちゃうね……もう一個サイズあげようか……」
現在、僕等は廊下で女子の着替えを待っていた。制服は全部完成した。さすがに、全員のサイズを
計るなんて不味すぎるので、ある程度は調整ができるフリーサイズにしてある。薔薇姉ちゃんの小さな
声に廊下からは歓声のような声があがる。
「な、なぁ。聞いたか?桑田さん凄いらしいぜ?」
「お、おう。やべ、何か俺興奮してきちゃったよ。」
最早男子のお約束とも言えるような会話だ。そうか、桑田さんは標準より上か。一つサイズ上となると……
って!僕は何考えてるんだか。さすがに職権乱用すぎるだろ!とりあえず、破廉恥な妄想を振り払う。
「……よし、みんなOKだね……じゃあ、入って良いよ……みんなもアレを忘れずにね……」
薔薇姉ちゃんのOKが出る。僕等はドキドキしながら教室のドアをあけて中に入っていった。
そこは、不思議な空間だった。とても教室なんて思えない。可愛らしい部屋模様に、可愛らしい制服に
身を包んだ美少女達が僕らを迎え入れてくれた。
『おかえりなさいませ、御主人様♪』
女子の大合唱が聞こえる。薔薇姉ちゃん、コレを言わす練習したのか……と、同時に窓が割れそうな歓声が
湧き上がった。男たちの挽歌だな。
「いやっほーーーう!!桜田さいこーーーーー!!!」
「桜田、神認定!!」
「父さん、母さん、俺、生まれてよかったよ!!」
「クリリンの事かーーーーー!!!」
何だか意味不明な声も混じってるけど……まぁ、好評って受け取っていいんだよね?


「ここはこれでよしっと……おーい、べジータ!!ここの飾りはこれでいいか?」
「おう、それでいいぞ。よっし……みんな集まってくれ!!」
時間は夜の8時少し前。当然日はとうの昔に暮れて外は暗闇の包まれてる。
「これで準備は終了だ。色々あったが……とりあえずお疲れ様だ!!」
クラスからお疲れーと声があがる。ん?何か梅岡が達成感に満ちた顔してる。貴方は何もしてないですよ?
「うんうん!!素晴らしい!よく頑張った!!感動した!!先生、このクラスの担任になれてー……」
タラタラと梅岡が話し出す。僕等はそれの無視を決め込んで今後の話をする。
「さて……今日は早めに帰るとして……みんなで飯いくかー!?もちろん、用のある奴は帰っていいぞ。
強制はしねえからな!明日からみんなで頑張ろうぜ!!」
梅岡が壁に話してる間にべジータが綺麗にまとめる。帰る人もいれば、飯に行こうと残ってる人もいる。
僕と薔薇姉ちゃんは残ってる側だ。でも……
「よし、JUMと薔薇嬢も行こうぜ!!ガッツリ食って行こうぜ!!」
ベジータを先頭に歩き出す。だが……僕はべジータに言った。
「御免、べジータ。僕…やっぱり今日は帰るよ。」
薔薇姉ちゃんは僕の隣で僕をジッと見てる。ベジータとクラスメイトも僕を凝視する。梅岡はまだ壁と話してる。
「ええー!?せっかく桜田から色々聞きたかったのにー!」
「行こうよ~、ほら薔薇しーちゃんも桜田君誘ってさ~。」
クラスが少しガヤガヤとする。しかし、べジータはそれを遮りフッと笑うと言った。
「はははっ、そうだな。今日は帰りな。もちろん、薔薇嬢も。お前達にはその時間も大事な時間だからな。
また明日会おうぜ!!」
「……わりぃ、サンキューな!!御免ね、みんな。話は打ち上げででもしようね!!」
僕はそう言って教室を飛び出す。薔薇姉ちゃんも僕について教室を飛び出した。


僕と薔薇姉ちゃんは家に向かって走った。
「……正直ね……私もJUMと同じ気持ちだった……最近晩御飯みんなで食べてないから……」
薔薇姉ちゃんには完全に僕の心は見透かされてたのかもしれない。下校時間解禁になって以来、僕ら姉弟
が一緒になって晩御飯を食べる事はなかった。まぁ、仕方ないんだけどもさやっぱり……正直寂しかった。
家に帰っても材料はないかもしれない。他の姉妹もきっといない。でも…今日の僕は家で食べずにいられない。
「はぁはぁ……ただいま!!」
僕が勢いよくドアを開ける。ん?鍵が開いてる?玄関を見れば靴が7足……
「……JUM……もしかして……」
僕と薔薇姉ちゃんがリビングに向かう。リビングのドアを開けると、そこにはテーブルの上に食事が並び
席についた姉妹がいた。
「やっぱり帰ってきたですね?みんな待ってたですよ。」
「翠姉ちゃん……これって……」
「朝方JUMが言いたい事くらい分かったわよぉ。まぁ、私もそう思ってたしねぇ。あ、言っておくけど打ち合わせ
なんてしてないわよぉ?みんな、自分の意思で早く帰ってきたんだからぁ。」
銀姉ちゃんが言う。何だ……僕だけじゃなかったんだ。きっと、姉弟皆一緒……
「クラスの子と食べに行くのもいいですけど、やっぱり家でみんなと食べるのが一番美味しいですわ。」
全く、キラ姉ちゃんの言うとおりだ。僕は、姉ちゃん達と一緒に御飯食べるのが好きなんだ。
「ふふっ、さぁJUMと薔薇しーも帰ってきた事ですしぃ食べましょうかぁ……手を合わせてくださぁい。」
「銀姉ちゃん、それ古いよ。」
思わず僕等は笑ってしまう。それでも、言われるままに手を合わす。小学校以来かな…こんなの。
「いいじゃなぁい……それじゃあ、いただきます!」
『いただきまーーす!!』
家に声が響き渡る。やっぱり食卓は……みんな一緒が一番だな。
END

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