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「一つ屋根の下 第四十一話 JUMと挨拶」



「桜田君、ここはこんな感じでどうかな?」
「桜田、予算はどんなもん行きそうだ?早めに申請しないといけないからな。」
放課後、僕等のクラスは全員忙しそうにバタバタしていた。もちろん、僕も忙しい。
「んー、ここにこんな感じにフリルつけてみるか。予算はそうだな……適当に梅岡からふんだくっといて。」
僕は用紙にカリカリとデザインを書き連ねながら言う。文化祭の出し物であるメイド喫茶。そこの制服の
デザインを考えてる訳だ。まぁ、学校だから露出は控えめになるけど、それでも可愛く見せるのが腕の見せ所
だろう。
「悪いな、JUM。俺も手伝いたいんだが……」
「いいよ、お前は仕事多すぎるくらいだろ?体育祭の応援団長もだし、喫茶のメニューだのも決めなきゃ
だしな。大体、これは僕が自分で決めた事だからさ。気にするなよ。」
「ふっ……そう言ってもらえると助かるぜ。じゃあ、頼むな。ああ、トビキリ萌える奴でな。」
ベジータは一言注文を残して仕事へ向かっていく。
「お?JUMの奴がいるですぅ。JUM~!」
ふと、教室の外から僕を呼ぶ声がする。この声は翠姉ちゃんだ。見れば、蒼姉ちゃんもいる。
「やぁ、JUM君。出し物のお仕事かな?」
二人はズカズカと教室に入ってきて、僕の机の前に立つ。
「キャー!蒼星石先輩よ~!!」
女子の黄色い歓声があがる。さすがに蒼姉ちゃんは慣れてるらしいけど、あまり好きじゃないらしい。
「JUMこれ……服のデザインですかぁ?」
翠姉ちゃんが僕のデザインしたノートの紙切れを見ながら言う。そういえば、僕等のクラスの出し物はまだ姉妹
には全く言ってなかったな。
「うん、薔薇姉ちゃんの提案でさ。うちはメイド喫茶やるからその制服。どうかな?」
「JUM……おめぇ……」
「ふふっ……そっかぁ。僕も着てみたいなぁ、JUM君の作ったメイド服♪」


翠姉ちゃんの言いたい事は分かってる。翠姉ちゃんだってあの時の事はよく知ってるから。だからこそ、僕が
学校でデザインをしてるのにビックリしてるんだろう。蒼姉ちゃんはすでに理解して悟りきってる感じだ。
「凄いですよね、桜田君。私、先輩たちの着てたドレス見て素直に感動しちゃいました。」
「そうですよ~。男の人で服デザインしたり、作ったり出来る人って素敵ですよね。」
クラスの女子がキャイキャイ言う。僕は嬉しいんだけど、何だか恥ずかしい。が……僕を褒めてくれてるのに
翠姉ちゃんは不機嫌そうに眉をひそめていた。
「翠姉ちゃん?どうしたのさ?」
「む~……な、何でもねぇですぅ!!」
「翠星石はヤキモチ妬いてるんだよ。他の子がJUM君に近づくのが嫌なんだって。」
蒼姉ちゃんが笑いながら言う。すると、みるみる顔を赤くして翠姉ちゃんが怒鳴る。
「なっ!!そ、蒼星石何を言ってるですかぁ!!そんなわけねぇですぅ!!JUMにそんな魅力も甲斐性も
節操もないですぅ!!勘違いするなですぅ!!」
烈火のごとく捲くし立てる翠姉ちゃん。相変わらずカルシウムが足りてない。乳酸菌とってるぅ?
翠姉ちゃんは起こりながらズカズカと教室を出て行く。
「ほら、翠星石達もJUMなんかに構ってる暇はなかったですよ!早く来るですよ蒼星石。」
「ふふふっ、素直じゃないんだから。じゃあね、JUM君。頑張ってね。」
蒼姉ちゃんは僕にパチリとウインクをすると教室から出て行った。
ちなみに、蒼姉ちゃんのウインクに多数の死者が出たのは内緒だ。



「お帰りなさぁい。遅かったのねぇ~。」
さて、最終下校時間を迎え家に帰ると銀姉ちゃんが出迎えてくれた。まぁ、たまたまいただけだろうけど。
「うん、時間ギリギリまで準備してたからね。」
「そぉ~。デザインは決まったのぉ?」
「うん、決まったよ……って、何で銀姉ちゃん知ってるのさ?」
「翠星石が言ってたのよぉ~。」
僕と銀姉ちゃんはリビングへ向かう。ああ、そういえば翠姉ちゃん来たな。んで、怒って帰っていったんだ。
リビングでは、すでに他の姉妹は揃っていた。
「あ……JUM…お帰り…どうだった?」
「ん、決まったよ。見てみる?そういえば、薔薇姉ちゃんの方は?」
僕は鞄から決定したデザイン画を取り出す。
「うん……白崎さんに色々教えてもらったよ……」
今日、僕と薔薇姉ちゃんは別行動だった。薔薇姉ちゃんは白崎さんのトコで色々とアドバイスを受けに行った
のだ。話を聞く限り、白崎さんはクラスの女子も勧誘してたとか。相変わらず抜け目がない。
「そっか……ええっと…あった、これこれ。」
僕がデザイン画を出す。薔薇姉ちゃんのみならず、姉妹みんながそれに釘付けになる。
「……どうかな。露出は控えめだけど……」
シーンとする……ダメだったろうか……
「凄い……お肌は出せばいいってものじゃない……これは…萌える……」
薔薇姉ちゃんがボソリと言う。何が言いたいか分からないが、ダメ出しじゃないみたいだ。
「JUMったらすごーいのー!ヒナも着たいのよ~!」
「とても可愛らしいですわ。JUM、これを作って私と着たままプレイを!!」
「まぁ、JUMなら当然ね。貴方の指は魔法の指なんですから。」
姉ちゃんたちは次々に賞賛をくれる。どうやら、姉妹内ではOKのようだ。問題は、明日クラスに見せるときだな。


「そういえば、みんなのクラスは何やるのさ?」
「翠星石のクラスは劇をやるですぅ!翠星石と蒼星石は主役ですよ。」
エッヘンと胸を張る翠姉ちゃん。その胸を見て真紅姉ちゃんは歯軋りする。まぁ、放って置こう。
「へぇ~……何の劇?」
「『ツンデレラ』って劇だよ。僕が王子様役で、翠星石がツンデレラ役だよ。」
ん?ツンデレラ?シンデレラじゃないんだ?何かのパロディだろうか。まぁ、それでも配役はピタリだな。
「カナのクラスは色々な実験をするかしら~。」
カナ姉ちゃんが実験するのだろうか。とりあえず、学校爆破とかは勘弁ね。
「私のトコはお化け屋敷ねぇ……何が悲しくてお化け役なんかしないといけないのかしらぁ。」
銀姉ちゃんがはぁ、と溜息をついた。
「私のクラスは休憩所よ。様々なお茶が用意してあるのだわ。」
真紅姉ちゃんが言う。成る程、あれってあると便利だよね。クラスの方も運営が結構楽らしいし。
んで、確かキラ姉ちゃんのクラスはフードファイトだったはずだ。と、なると残りは……
「ヒナ姉ちゃんのクラスはなにやるの?」
「うぃ?ヒナのクラスはね、『欧米かっ!』なのー!」
・・・意味が分からない。某芸人のネタって事しか分からない。
「……何それ?どんな事やるの?」
「うーとね、ヒナのクラスには留学生がいるでしょ?オディール。だから、外国の文化とかを紹介するのよ~。
ヒナはね、アメリカの担当で、おっきなハンバーガーを巴と作るのよ~。」
ああ、中学の英語の教科書に写真つきで載ってたな。アメリカのハンバーガー。あれ、結構デカイんだよね。
でもさ、留学生のオディール・ホッセーはフランス人じゃなかったっけ。ああ、だから欧米の欧なわけか。
「ふ~ん、どうせチビチビのミニサイズの脳味噌じゃ欧米の事なんか分からんですよ。」
「む~、ヒナちゃんと勉強してるもん。ヒナ、アメリカの挨拶できるのよ!」
「じゃあ、やってみろですぅ!!ほら、おめえは今アメリカ人ですぅ。」
翠姉ちゃんとヒナ姉ちゃんの下らないケンカがはじまる。
「翠星石をアッと言わせてあげるのよ~!JU~~~M!!」
と……何を血迷ったのかヒナ姉ちゃんは僕に飛び掛り……あまつさえキスをした。


「んっ……えへへ~……JUMに挨拶なの~♪」
僕はヒナ姉ちゃんを咄嗟に抱きかかえる。身長差的に仕方ない。いや、そうじゃなくてさ。
「………ち、チビ苺ーーーー!!!何してやがるですかぁーーー!!!」
「う?翠星石がやれって言ったのよ?アメリカでは親しい人とはキスで挨拶するのよ~。」
ヒナ姉ちゃんは僕に抱きかかえられながら足をパタパタしている。いやさ、確かにそう聞くけどさ。
何もみんなの目の前でする事ないんじゃない?
「欧米かっ!ですぅ!!ここはアメリカじゃなくて日本ですよ!?日本はそんな習慣ねぇですぅ!!」
「うよ?翠星石ったら変なのね。ヒナは今アメリカ人なんでしょ?ね、JUM?」
ヒナ姉ちゃんがニコニコしながら言う。うわぁ、ヒナ姉ちゃん……なんて言うか強い……
「う、ううぅう~~……じゃ、じゃあ翠星石もJUMに挨拶として……」
「それも変なのよ?ヒナは翠星石がアメリカ人って言ったからキスしたのよ。でも、翠星石は日本人でしょ?
翠星石はさっき日本はそんな習慣ないって言ったのよ~。」
完全に論破される翠姉ちゃん。いやはや……本当に高校になってからヒナ姉ちゃんは大人になったよなぁ。
「ふふふっ……これじゃあ翠星石の負けねぇ~。ヒナの方が遥かに筋が通ってるわぁ。」
銀姉ちゃんが言う。まぁ、確かにそんな気がしなくもない。でもさぁ……
「人前でもキスするのも……何だかアメリカのイメージ……かも……」
薔薇姉ちゃんが言う。僕が気になったのはそこなんだけど。みんなの前でキスなんて、ある意味露出狂に
近いんでは……ヒナ姉ちゃんは全く気にしてないが。
「……遂にヒナまで……」
キラ姉ちゃんが顔を伏せたままボソリと言う。僕は少し気になったが、ヒナ姉ちゃんがじゃれて来るので
気にしてられなかった。
「うう……うえーん!!蒼星石ぃ~、チビ苺が翠星石をいじめるですよぉ~!!」
「えへへ~、JUM~♪アメリカではもっと凄い事もするのよ~?」
ああ……相変わらず我が家は騒がしい秋の夜。明日も準備忙しいんだからさ。とりあえず、オロナミンCでも
飲んで元気ハツラツしておこう。そうじゃないと、僕は持ちそうにない……
END

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